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中央大陸編

歴史の石碑

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 想い焦がれた石碑は街の中央広場にあった。10mはあろうかという巨大な石の壁に大きく文字が彫られている、それが半円状に5枚並んでいる姿は圧巻である。それぞれが神話に描かれている歴史の節目を刻み、裏面には蟻のように小さな字がびっしりと書かれ、世界の主要な出来事を書き記している。歴史の本や童話に出てくるような冒険者の名前や成し遂げた偉業、魔物の軍勢が起こした大氾濫、新しい国の誕生と古い国の滅亡。全てを見るのには膨大な時間が掛かるだろう、想像していた通り素晴らしい石碑だ。

「まじですげぇな・・・」

 これは長い時間を掛けてでも見に来る価値はある。残念ながら裏面は小さすぎて読むのが大変なので表面だけしか読んでいないが予定よりも長く滞在して読んで見るのも楽しいかもしれないな。

 石碑広場は特に囲い等はなく誰でも自由に見る事が出来るので一旦他の用事を済ませてじっくりと読む事にしよう。まずはいつものように冒険者ギルドと商業ギルドに行って報告関連を済ませたら一旦転移で自宅へ戻る。

「ただいま、歴史の石碑は思っていた通り素晴らしかったよ」

「お帰りなさいませご主人様。私も是非見てみたいです、それに一度見れば記録出来るかと思いますので情報面でのバージョンアップが見込めます」

 確かにアンドロイドである彼女達なら一度見れば記録出来るだろうし、一応与えてはいるけど改めてこの世界の歴史を取り込めば有意義な情報が得られるかもしれないな。

「そうだね、ずっとこの屋敷に居てもらっているし偶には一緒に出掛けようか」

「「ありがとうございます、ご主人様(マスター)」」

「じゃあ今日は中途半端だから明日朝の人が少ない時間帯に行こうか」

 絶世の美女と美少女を2人も連れてたら絶対目立つから出来るだけ人が少ない時間帯にしないとね、ただでさえ気配薄めておかないと自分に向けられる視線もあるからこれ以上視線を集めるのは避けたい。

 という訳で一夜明けて朝方から2人を連れて聖都へ転移する。2人にも一応気配を薄めて貰って隅から隅まで石碑を記録して貰いました。折角だから聖都の様子も記録して貰って帰宅。帰宅後は彼女達の情報のアップデートを行ってみました、今までの情報よりもちょっとだけ精度が上がったみたいです。

「ご主人様今回のバージョンアップでいくつか新しい情報が得られました。どうやら聖都の上空には天空神殿があるようです」

「へ?」

 なんかとんでもない情報が聞こえた気がするんだけど。

「地球の知識でいうと宇宙空間に存在するコロニーのようなものらしく、過去何度か神自身が地上の民を助けたという内容が石碑の裏面に記されておりました。それと同時に神殿への来訪が人類の最終試練として課されているようです」

「そ、そんな事が書いてあるんだ。そっちは勇者にパスって事で忘れてもいいよね?」

 そんな面倒で明らかに神ルートっぽい事に触れたくないのが本音ですし、正直やれる気はするけどやる気はない。とりあえず今の所はだけどね・

「恐らく問題ないかと。期限等は記されておりませんでしたし、強制力があるものではないようです。念の為神殿へ到る方法の推察は完了しておりますが、お聞きになりますか?」

「いや、大丈夫。取り合えずスルーでいこう」

「畏まりました、では少し遅いですが昼食に致しましょう」

 うちのメイドさんは素晴らしいので軽くスルーしてくれました。これが面倒くさい奴なら強制的に神ルートに入らされる所だったよ、本当に危なかったぜ。

「じゃ、取り合えずご飯の後にオリハルコンとアダマンタイト渡すから本当に念の為に武器とか作っておいてもらえる?」

「すでにいくつか完成しておりますので後ほどお持ち致します」

 仕事が速い出来るメイド達でした。

「お願い、じゃあこの件はこれで終了で」

 そんな感じで石碑から重要な問題を読み取ってしまった訳ですが概ねスルーに成功しております。取り合えず直近の予定としては南大陸の旅だね、取り合えずゆったり見て回りながら冒険者ランク上げる感じでいこう。

 ちなみに聖都は全ての中心とされているので冒険者ギルドや商業ギルド、職人ギルドの総本部があり、議会によって運営されている永世中立都市となっている。世界中から才能とやる気に溢れた人が集まるので自然と文化が栄えて今まで見たどの街よりも素晴らしい。ただし、面倒事も集まってくるので街中には転生者っぽい人が結構いる、なんなら勇者も居た。聖都の学園を主席で卒業して今は冒険者ギルド本部に所属して聖都周辺で修行中らしい。
 鑑定のギフト持ち以外には転生者だと分からないように偽装しているとはいえ厄介事がやって来ない内に早めに聖都を出る事に決めた。ちなみにタイミング良く天下一を決める武道会みたいなのが開かれてたけど安定のスルーです。一応情報収集の為に鳥さんの目では見てたけどね。

「そろそろ一人で情報集めて整理するの面倒になってきたし前から予定してた魔導コンピューター作った方がいいかな」

「それが宜しいかと思います」

 メイドさん達にも求められてるので情報収集用のスーパーコンピューターならぬスーパー魔導コンピューターの作成に取り掛かりましょう。
 まずは屋敷の地下に空間魔法で新しく部屋を造ります、そうしましたら空間収納から各種素材を取り出しましてあーしてこーして、ミスリルやらオリハルコンやら組み合わせまして・・・はい完成。実際にはメイドさん達の力もかなり借りて想像通りの人工知能を作り出しました。あやふやな所を補完してくれる魔法って本当に凄いと思う。ちなみに禁書に情報が載ってて過去に簡易的な人工知能を作った人が実際に居たらしい、今回はその情報と設計を参考にしてます。

「ふぅ、完成した。君の名前は集まる君ね、よろしくね」

「ワタシノナマエハ、アツマルクン、カシコマリマシタ」

 微妙に片言なのは昔見たアニメの情報からであんまり強い自我は与えてません、あくまでも使い魔達から情報を集積して分析する機械っていう感じで考えてる。取り合えず今まで必要な時だけリンクさせてた使い魔達の情報を常時こいつに繋がるように設定して俺は今まで通り必要な時だけ必要な情報を得られるようにしてある。集めた情報は整理してメイド達に渡って、そこから重要な情報だけ俺まで来るようにした。どうせ情報集めても自分で動く事って殆ど無かったからなね。

「ゲンザイ、カドウリツ15%デス」

 性能をシンプルにしたので東大陸と中央大陸の一部を繋いでも15%の稼働率で済んだ。これなら安定した運用が出来るだろう。

「了解、じゃあなにかあったら宜しくね」

 ついでにペットとしてシンプルな猫又を召喚してみた。風と聖属性持ちで抱いてるとほんわか暖まるようなやさしい気持ちになれる癒し系のもふもふちゃんです。スノーとエンとぴーちゃんも居るんだけど鳥と猫のもふもふはちょっと系統が違うと思う、断じて浮気じゃないから3匹共そんな切ない瞳で見つめないで!みんな大好きなんだから!
 結局いつものように3匹が頭の上に、膝の上にはタマが載るというもふもふパラダイスが完成しました。ちなみにタマも戦闘は出来るけど基本的には屋敷に居てもらう予定です。

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