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3話
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全ての設定が終わりスタート地点である『名も無き村』へと降り立つ。ここはスタート地点に設定できる中で一番大きい大陸で、敵のレベルが低い初心者向けの基本的なスタート地点の一つになる。
「おぉ!凄い!現実の景色と殆ど変わらない!」
ムゲンセカイでは一人称視点と俯瞰視点が切り替えられるが最初は一人称視点になっているので本当に自分の目で見ているような感覚になる。一応ゲームなのでチャットログやコンソール・簡易マップ等が視線に映っているが大きな違和感は感じない。一応ワールドログをオフにすればチャットログ等は非表示になるし、システムサポートをオフにすればコンソールやマップ等は表示されない。全ての行動がリアルと同じ状態になるので近くに行かないと会話も出来ないし俯瞰視点にもならない、それからログ等も表示されないしアーツも自分で動いて発動しなければならないのでリアル差を追求する一部のプレイヤーにはそういうプレイスタイルの人もいる。
周りには村人らしきNPCが見える、頭上に緑ネームが出ているので間違いないだろう。ワールドログをオンにしているのでNPCは緑、プレイヤーは白、敵は赤でネームが表示されるよう初期設定されているはずだ。
自分の身体を確認すると簡素な薄茶色のシャツとズボン、シンプルな靴を履いている。腰には少し首を振ると背中に弓と矢筒、それから尻尾が見えた。恐らく頭の上には犬耳がついているんだろう。
メニュー画面を開きちゃんとログアウト出来るかを確認する。けしてフリではない、昔そういう小説を読んだことがあったので念の為に確認しただけだ。後はステータスと所持金の確認、特に課金等はしていないので最初は1万Gからのスタートになっている。所持品は装備しているであろう村人の服と村人の弓・木の矢x99、それから相棒の呼び笛と馬鈴のみ。呼び笛は相棒であるマルコを呼び出す笛で、馬鈴は初期騎獣である馬を呼び出すアイテムだろう。騎獣は移動用の乗り物でゲーム内通貨や課金で購入も出来るらしいがプレイヤー全員に馬が配られているので無課金でも困る事はない。一応この馬は名前を付けたり出来なくて見た目もみんな同じ茶色い馬でスピードもプレイヤーが走る速度の2倍までしか出ないが当分はこのままでいいだろう。
「凄いな、本当に昔妄想してたゲームの中に入ったみたいだ。なんだか年甲斐も無くワクワクしてきたぞ」
取り合えず身体を動かしてみる。と、言っても少し歩いたり走ったりジャブを打ってみたりするくらいなのだが軽快に動けている気がする。システム上は年齢による差はないようだ、むしろゲームなのにあったら困るが。
そして意味も無くNPCに話し掛ける。
「こんにちは、今日はいい天気ですね!」
「あぁ、そうだな?」
若干変な目で見られつつもファーストコンタクトには成功した。耳からしっかりと声が聞こえたし、チャットログにも表示されている。聴覚の範囲内であれば意識して聞く事が出来てログにもしっかり出るようになっているらしいのでおいおい確認しておこう。
それから早速マルコを呼び出してみる。相棒も少しだけイジれたので森の王者とも呼ばれるクマタカ風の大型にしてみた。ちょっと大きいがゲーム補正なのかギリギリ肩に乗せることが出来た、かっこいいしかわいい。
「ピューイ!」
おぉ、鳴いた。なんかあんまり鳴かないって聞いてたから感動した。挨拶をしてくれたのだろうか。
「よし、マルコまた後で呼び出すから一旦戻ろうか、ごめんな」
ずっと出しっぱなしでも問題ないんだけどちょっと大きすぎて村人さん達が怖がるかもしれないので一度帰還させて村の中を見て回ろうかな、それからちょっとだけ村の外にも行ってみよう。
まずは簡易マップに頼らず村の中を探索してみる、そんなの大きい村じゃないようで気になる場所は冒険者ギルドの出張所と道具屋くらいだった。冒険者ギルドでは特に鉄板のイベントもなく、冒険者として登録出来た。このゲームでの冒険者は住民からの依頼を受けたり、倒したモンスターの数等で等級が上がり上位になるとランキング等もあってプレイヤーが競い合っているらしい。自分は全然興味ないけど。
メリットはギルドを通した報酬の増額やNPCからの好感度のアップでデメリットは特にない。ランキングが高ければゲーム内イベント等で特別な報酬が得られる事もあるらしく、トッププレイヤーを目指す者には避けて通れない道なのだとか。
特に必要なイベントや依頼が無かったので一旦冒険者ギルドを出て道具屋へ向う。狩人には矢が必須なので価格のチェックをしておかないといけないだろう、一応理想は銃を使いたいのでその辺りも調べたいと思う。
「すいません、弓や矢って売ってますか?」
「ん?内には木の弓と木の矢、それから鉄の矢が売ってるぜ?弓は1,000G、矢は一筒100Gと1,000Gだ」
恐らくだけどNPCの販売アイテムの相場は全ワールドで共通になってるらしいと検証結果が出てたからこれで間違いないんだろうけど物価がよく分からないからなぁ、言われたとおり買うしかないよな。
目の前に表示されているアイテム情報を見ると弓は初期装備と性能は同じで、木の矢が攻撃力+1、鉄の矢は攻撃力+10となっている。
「ちなみにもっといい弓が欲しい時はどこに行ったらいいですか?」
「そうだな、木工ギルドに行くか大きな街の武器屋に行くしかねぇだろうな。この辺だとこれで十分だからうちには置いてねぇ」
『分かりました。ありがとうございます。折角なので鉄の矢筒を1つ下さい」
「はい、まいどあり。にいちゃんは旅人さんだから950Gでいいぜ。ほらよ」
ついでに回復用のポーションを10個購入してお礼を言って道具屋を出る。何があるか分からないし簡単に死ぬのも嫌なので準備だけはしておこう。次は村の外に出て初戦闘だ。
「おぉ!凄い!現実の景色と殆ど変わらない!」
ムゲンセカイでは一人称視点と俯瞰視点が切り替えられるが最初は一人称視点になっているので本当に自分の目で見ているような感覚になる。一応ゲームなのでチャットログやコンソール・簡易マップ等が視線に映っているが大きな違和感は感じない。一応ワールドログをオフにすればチャットログ等は非表示になるし、システムサポートをオフにすればコンソールやマップ等は表示されない。全ての行動がリアルと同じ状態になるので近くに行かないと会話も出来ないし俯瞰視点にもならない、それからログ等も表示されないしアーツも自分で動いて発動しなければならないのでリアル差を追求する一部のプレイヤーにはそういうプレイスタイルの人もいる。
周りには村人らしきNPCが見える、頭上に緑ネームが出ているので間違いないだろう。ワールドログをオンにしているのでNPCは緑、プレイヤーは白、敵は赤でネームが表示されるよう初期設定されているはずだ。
自分の身体を確認すると簡素な薄茶色のシャツとズボン、シンプルな靴を履いている。腰には少し首を振ると背中に弓と矢筒、それから尻尾が見えた。恐らく頭の上には犬耳がついているんだろう。
メニュー画面を開きちゃんとログアウト出来るかを確認する。けしてフリではない、昔そういう小説を読んだことがあったので念の為に確認しただけだ。後はステータスと所持金の確認、特に課金等はしていないので最初は1万Gからのスタートになっている。所持品は装備しているであろう村人の服と村人の弓・木の矢x99、それから相棒の呼び笛と馬鈴のみ。呼び笛は相棒であるマルコを呼び出す笛で、馬鈴は初期騎獣である馬を呼び出すアイテムだろう。騎獣は移動用の乗り物でゲーム内通貨や課金で購入も出来るらしいがプレイヤー全員に馬が配られているので無課金でも困る事はない。一応この馬は名前を付けたり出来なくて見た目もみんな同じ茶色い馬でスピードもプレイヤーが走る速度の2倍までしか出ないが当分はこのままでいいだろう。
「凄いな、本当に昔妄想してたゲームの中に入ったみたいだ。なんだか年甲斐も無くワクワクしてきたぞ」
取り合えず身体を動かしてみる。と、言っても少し歩いたり走ったりジャブを打ってみたりするくらいなのだが軽快に動けている気がする。システム上は年齢による差はないようだ、むしろゲームなのにあったら困るが。
そして意味も無くNPCに話し掛ける。
「こんにちは、今日はいい天気ですね!」
「あぁ、そうだな?」
若干変な目で見られつつもファーストコンタクトには成功した。耳からしっかりと声が聞こえたし、チャットログにも表示されている。聴覚の範囲内であれば意識して聞く事が出来てログにもしっかり出るようになっているらしいのでおいおい確認しておこう。
それから早速マルコを呼び出してみる。相棒も少しだけイジれたので森の王者とも呼ばれるクマタカ風の大型にしてみた。ちょっと大きいがゲーム補正なのかギリギリ肩に乗せることが出来た、かっこいいしかわいい。
「ピューイ!」
おぉ、鳴いた。なんかあんまり鳴かないって聞いてたから感動した。挨拶をしてくれたのだろうか。
「よし、マルコまた後で呼び出すから一旦戻ろうか、ごめんな」
ずっと出しっぱなしでも問題ないんだけどちょっと大きすぎて村人さん達が怖がるかもしれないので一度帰還させて村の中を見て回ろうかな、それからちょっとだけ村の外にも行ってみよう。
まずは簡易マップに頼らず村の中を探索してみる、そんなの大きい村じゃないようで気になる場所は冒険者ギルドの出張所と道具屋くらいだった。冒険者ギルドでは特に鉄板のイベントもなく、冒険者として登録出来た。このゲームでの冒険者は住民からの依頼を受けたり、倒したモンスターの数等で等級が上がり上位になるとランキング等もあってプレイヤーが競い合っているらしい。自分は全然興味ないけど。
メリットはギルドを通した報酬の増額やNPCからの好感度のアップでデメリットは特にない。ランキングが高ければゲーム内イベント等で特別な報酬が得られる事もあるらしく、トッププレイヤーを目指す者には避けて通れない道なのだとか。
特に必要なイベントや依頼が無かったので一旦冒険者ギルドを出て道具屋へ向う。狩人には矢が必須なので価格のチェックをしておかないといけないだろう、一応理想は銃を使いたいのでその辺りも調べたいと思う。
「すいません、弓や矢って売ってますか?」
「ん?内には木の弓と木の矢、それから鉄の矢が売ってるぜ?弓は1,000G、矢は一筒100Gと1,000Gだ」
恐らくだけどNPCの販売アイテムの相場は全ワールドで共通になってるらしいと検証結果が出てたからこれで間違いないんだろうけど物価がよく分からないからなぁ、言われたとおり買うしかないよな。
目の前に表示されているアイテム情報を見ると弓は初期装備と性能は同じで、木の矢が攻撃力+1、鉄の矢は攻撃力+10となっている。
「ちなみにもっといい弓が欲しい時はどこに行ったらいいですか?」
「そうだな、木工ギルドに行くか大きな街の武器屋に行くしかねぇだろうな。この辺だとこれで十分だからうちには置いてねぇ」
『分かりました。ありがとうございます。折角なので鉄の矢筒を1つ下さい」
「はい、まいどあり。にいちゃんは旅人さんだから950Gでいいぜ。ほらよ」
ついでに回復用のポーションを10個購入してお礼を言って道具屋を出る。何があるか分からないし簡単に死ぬのも嫌なので準備だけはしておこう。次は村の外に出て初戦闘だ。
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