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借金押し付けて婚約破棄ですか、でもあなたの計画バレてますよ?
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「俺がふがいないばっかりに、すまない。こんな借金を抱えてしまって…。」
そう言って涙を流す、私の婚約者。
こういう時だけ、都合よく涙が流れるのね。
あなたの涙腺、どうなってるのよ。
「頼みがある…俺を愛してるなら、この借金、お前が払ってくれないか?」
そう言って、彼は私の手をギュッと握りしめてきた。
私があなたのことを可哀そうに思ってそのお金を払ったら、私と婚約破棄してあの子と逃げるつもりでしょう?
あなたの計画、バレてますからね。
※※※
『本当に、大丈夫なの?』
『大丈夫だって。あいつは俺に惚れてるから、泣いて頼めばすぐ金出してくれるよ。』
『じゃあそのお金を持って、私たちは逃げちゃえばいいんだ。』
『そう言う事。残りの借金も、全部あいつに押し付けてな。』
あなたたちが陰でコソコソ会ってたのは知ってたけど、そんなことまで考えてたとはね。
本当に、呆れたわ─。
※※※
「…そこまで追い詰められてたのね。でも、おかしいわよね。あなた、最近臨時収入があったんじゃないの?」
「は?何のことだよ…。」
「私、知ってるんだからね。あなたが、うちの会社の情報を他社に流して、お金貰ってること。」
「ま、まさか、そんなこと…。」
「あなたの浮気相手、その会社の受付嬢でしょ。あなたも、遊ぶ相手を選んだ方がいいわよ。」
『私の彼、すごいんだよ。開発したシステムをね、うちの会社の偉い人に流してるの。なんかスパイみたいでカッコいいでしょ!』
『それヤバくない?あんた、犯罪者と付き合ってんの?』
『ヤバいの?でもさ、私彼ともうすぐ、愛の逃避行するんだ。』
『何それ、ウケるんだけど!』
「こんなことを、よくも外でベラベラ話せるわよね。」
「あ、あいつ…馬鹿かよ、こんなの撮られやがって!」
「あなたも十分馬鹿でしょ。その愛の逃避行って、私に借金押し付けて婚約破棄して逃げることでしょ。これがその証拠よ。」
私は彼に、2人の会話を録音した物を聞かせた。
「お前、この時も近くに居たのかよ!いや…でもお前はあの時出張で、あそこには居ないはず。…どうやってコレを─。」
「それは、俺が録音したんです。」
※※※
「お前、何でここに!?」
現れたのは、彼の後輩で私の同期だった。
「先輩、あなたウチの社の情報を他社に横流しして、それを俺の仕業にしようとしましたね。そんなに俺を陥れたかったですか?彼女が教えてくれたんです、あなたがしようとしてることを。だから、俺も彼女を助けたくて手を貸したんですよ。」
「お前ら、グルになって俺を嵌めやがったな!」
「くだらない女とグルになって、私を陥れようとしたのはあなた。そして、卑怯な手で彼を陥れようとしたのもあなた。悪いのは、全部あなたじゃないの。証拠は揃ってるし、もう社には連絡済みだから。…残念だけど、もう愛の逃避行はできないわよ。」
彼は、がっくりと肩を落とした。
借金も背負い、犯罪者になり、もうどうしようもないわね─。
※※※
「ありがとう、今日は来てくれて。」
「いや。それより、大丈夫か?こんなことになって…。」
「うん…そうね、悲しいっていうか、虚しいかも。心にぽっかり穴が開いたみたい。」
「お金は奪われても、また稼げば何とかなる。でも踏みにじられた愛は、もう元には戻らないからな。」
「うん。でもね…新しく愛を育てていくことは出来るかなって思う。まだ、私にはそれができる。それは、あなたが居てくれたから、そう思えるんだよ。」
「そうか。…じゃあこの先も、俺が傍に居るよ。」
そう言って、彼は私を見て、優しく微笑んだ─。
そう言って涙を流す、私の婚約者。
こういう時だけ、都合よく涙が流れるのね。
あなたの涙腺、どうなってるのよ。
「頼みがある…俺を愛してるなら、この借金、お前が払ってくれないか?」
そう言って、彼は私の手をギュッと握りしめてきた。
私があなたのことを可哀そうに思ってそのお金を払ったら、私と婚約破棄してあの子と逃げるつもりでしょう?
あなたの計画、バレてますからね。
※※※
『本当に、大丈夫なの?』
『大丈夫だって。あいつは俺に惚れてるから、泣いて頼めばすぐ金出してくれるよ。』
『じゃあそのお金を持って、私たちは逃げちゃえばいいんだ。』
『そう言う事。残りの借金も、全部あいつに押し付けてな。』
あなたたちが陰でコソコソ会ってたのは知ってたけど、そんなことまで考えてたとはね。
本当に、呆れたわ─。
※※※
「…そこまで追い詰められてたのね。でも、おかしいわよね。あなた、最近臨時収入があったんじゃないの?」
「は?何のことだよ…。」
「私、知ってるんだからね。あなたが、うちの会社の情報を他社に流して、お金貰ってること。」
「ま、まさか、そんなこと…。」
「あなたの浮気相手、その会社の受付嬢でしょ。あなたも、遊ぶ相手を選んだ方がいいわよ。」
『私の彼、すごいんだよ。開発したシステムをね、うちの会社の偉い人に流してるの。なんかスパイみたいでカッコいいでしょ!』
『それヤバくない?あんた、犯罪者と付き合ってんの?』
『ヤバいの?でもさ、私彼ともうすぐ、愛の逃避行するんだ。』
『何それ、ウケるんだけど!』
「こんなことを、よくも外でベラベラ話せるわよね。」
「あ、あいつ…馬鹿かよ、こんなの撮られやがって!」
「あなたも十分馬鹿でしょ。その愛の逃避行って、私に借金押し付けて婚約破棄して逃げることでしょ。これがその証拠よ。」
私は彼に、2人の会話を録音した物を聞かせた。
「お前、この時も近くに居たのかよ!いや…でもお前はあの時出張で、あそこには居ないはず。…どうやってコレを─。」
「それは、俺が録音したんです。」
※※※
「お前、何でここに!?」
現れたのは、彼の後輩で私の同期だった。
「先輩、あなたウチの社の情報を他社に横流しして、それを俺の仕業にしようとしましたね。そんなに俺を陥れたかったですか?彼女が教えてくれたんです、あなたがしようとしてることを。だから、俺も彼女を助けたくて手を貸したんですよ。」
「お前ら、グルになって俺を嵌めやがったな!」
「くだらない女とグルになって、私を陥れようとしたのはあなた。そして、卑怯な手で彼を陥れようとしたのもあなた。悪いのは、全部あなたじゃないの。証拠は揃ってるし、もう社には連絡済みだから。…残念だけど、もう愛の逃避行はできないわよ。」
彼は、がっくりと肩を落とした。
借金も背負い、犯罪者になり、もうどうしようもないわね─。
※※※
「ありがとう、今日は来てくれて。」
「いや。それより、大丈夫か?こんなことになって…。」
「うん…そうね、悲しいっていうか、虚しいかも。心にぽっかり穴が開いたみたい。」
「お金は奪われても、また稼げば何とかなる。でも踏みにじられた愛は、もう元には戻らないからな。」
「うん。でもね…新しく愛を育てていくことは出来るかなって思う。まだ、私にはそれができる。それは、あなたが居てくれたから、そう思えるんだよ。」
「そうか。…じゃあこの先も、俺が傍に居るよ。」
そう言って、彼は私を見て、優しく微笑んだ─。
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