1 / 1
婚約者の元恋人が復縁を望んでいるので、婚約破棄してお返しします。
しおりを挟む
「私に彼を返してよ!」
彼女は婚約者の元恋人だ。
話があると呼ばれ、開口一番にそう告げられた。
どうやら彼女は、彼との復縁を望んでいる様だ。
「…そういう事は、あんなことする前に言うべきじゃない?私、知ってるわよ。あなたたちが少し前から、連絡を取り合って密会してたの。」
「仕方ないでしょ、気持ちが止められなかったんだから…。それに、私だけじゃないわ!彼も、私との復縁を望んでるのよ。」
「あの人が、そう言ったの?」
「ええ。あいつはお金に細かくて口うるさいから嫌だ、お前の様に何でも受け入れてくれる女がいいって。」
「あの人、そんな事…。」
どうやら彼も、まんざらではないらしい。
「私ならどんな彼でも受け入れる、どんな彼でも愛せるわ!」
「…分かりました。そういう事なら、婚約破棄してお返ししますね。でも、後から要らないと言うのは無しですから。」
「要らないなんて、言う訳ないでしょ!」
※※※
「あいつ、簡単に別れてくれたな。お前に任せて良かった」
「ああいうのは、女同士の方がいいのよ。きっと、私の魅力に恐れをなしたのよ。私の方が可愛いし、負けたと思ったんでしょ。」
「おまけに慰謝料も請求しないとは、つくづく間抜けな女だぜ。」
これで、私と彼の幸せな暮らしが始まるわ。
『…でも、後から要らないと言うのは無しですから。』
あの言葉は少し引っかかるけど…あれは、負け惜しみだったのかしら─?
※※※
「ちょっと、これどういう事よ!」
「何だ、そんなに焦って?」
「あの女から手紙が届いたのよ!あなた、あの女から随分お金を借りていたのね。それを、倍にして返済しろって!あなた、その旨が書かれた借用書にサインしたって言うじゃない!もし返さないなら、あなたを訴えるって。あなたが無理なら、私に返せって…!」
「確かにサインはしたが、あの時は酔っ払ってて覚えが…。」
「そもそも、何でこんなにお金を借りてたのよ!?この金額の倍を返せだなんて、私破産しちゃうわ!」
「金持ちのご令嬢なんだから、助けてくれよ?この借金は、お前が豪華な食事や高いドレスをねだったからだ…お前の借金だと思って、な?」
「借金だと知ってたら、そんなの欲しがらなかったわよ!あなたみたいな男、もう要らな─っ!」
『…でも、後から要らないと言うのは無しですから。』
あの女、全て分かってたのね。
この人の借金も、私がこうなることも分かって…だから慰謝料も取らずに─!
私は、がっくりとその場に崩れ落ちた。
※※※
私は、2人から無事にお金を返してもらった。
自分たちの持っているお金をかき集め、何とかしたらしい。
でもそのせいで、今は苦しい生活を送っているそうだ。
そしてお金が無いせいで2人の間には喧嘩が絶えず、別れるのも時間の問題らしい。
別れるのは勝手だけど、だからって彼を返品してこないでね。
あなたと違って、私は復縁は望んでませんし。
私にはもう、真面目で誠実な恋人が居るもの。
でもあなた、私に言ったわよね。
要らないなんて、言う訳ないって。
…だってあなたは、どんな彼でも愛せるんでしょ─?
彼女は婚約者の元恋人だ。
話があると呼ばれ、開口一番にそう告げられた。
どうやら彼女は、彼との復縁を望んでいる様だ。
「…そういう事は、あんなことする前に言うべきじゃない?私、知ってるわよ。あなたたちが少し前から、連絡を取り合って密会してたの。」
「仕方ないでしょ、気持ちが止められなかったんだから…。それに、私だけじゃないわ!彼も、私との復縁を望んでるのよ。」
「あの人が、そう言ったの?」
「ええ。あいつはお金に細かくて口うるさいから嫌だ、お前の様に何でも受け入れてくれる女がいいって。」
「あの人、そんな事…。」
どうやら彼も、まんざらではないらしい。
「私ならどんな彼でも受け入れる、どんな彼でも愛せるわ!」
「…分かりました。そういう事なら、婚約破棄してお返ししますね。でも、後から要らないと言うのは無しですから。」
「要らないなんて、言う訳ないでしょ!」
※※※
「あいつ、簡単に別れてくれたな。お前に任せて良かった」
「ああいうのは、女同士の方がいいのよ。きっと、私の魅力に恐れをなしたのよ。私の方が可愛いし、負けたと思ったんでしょ。」
「おまけに慰謝料も請求しないとは、つくづく間抜けな女だぜ。」
これで、私と彼の幸せな暮らしが始まるわ。
『…でも、後から要らないと言うのは無しですから。』
あの言葉は少し引っかかるけど…あれは、負け惜しみだったのかしら─?
※※※
「ちょっと、これどういう事よ!」
「何だ、そんなに焦って?」
「あの女から手紙が届いたのよ!あなた、あの女から随分お金を借りていたのね。それを、倍にして返済しろって!あなた、その旨が書かれた借用書にサインしたって言うじゃない!もし返さないなら、あなたを訴えるって。あなたが無理なら、私に返せって…!」
「確かにサインはしたが、あの時は酔っ払ってて覚えが…。」
「そもそも、何でこんなにお金を借りてたのよ!?この金額の倍を返せだなんて、私破産しちゃうわ!」
「金持ちのご令嬢なんだから、助けてくれよ?この借金は、お前が豪華な食事や高いドレスをねだったからだ…お前の借金だと思って、な?」
「借金だと知ってたら、そんなの欲しがらなかったわよ!あなたみたいな男、もう要らな─っ!」
『…でも、後から要らないと言うのは無しですから。』
あの女、全て分かってたのね。
この人の借金も、私がこうなることも分かって…だから慰謝料も取らずに─!
私は、がっくりとその場に崩れ落ちた。
※※※
私は、2人から無事にお金を返してもらった。
自分たちの持っているお金をかき集め、何とかしたらしい。
でもそのせいで、今は苦しい生活を送っているそうだ。
そしてお金が無いせいで2人の間には喧嘩が絶えず、別れるのも時間の問題らしい。
別れるのは勝手だけど、だからって彼を返品してこないでね。
あなたと違って、私は復縁は望んでませんし。
私にはもう、真面目で誠実な恋人が居るもの。
でもあなた、私に言ったわよね。
要らないなんて、言う訳ないって。
…だってあなたは、どんな彼でも愛せるんでしょ─?
19
お気に入りに追加
19
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
義妹を溺愛するクズ王太子達のせいで国が滅びそうなので、ヒロインは義妹と愉快な仲間達と共にクズ達を容赦なく潰す事としました
やみなべ
恋愛
<最終話まで執筆済。毎日1話更新。完結保障有>
フランクフルト王国の辺境伯令嬢アーデルは王家からほぼ選択肢のない一方的な命令でクズな王太子デルフリと婚約を結ばされた。
アーデル自身は様々な政治的背景を理解した上で政略結婚を受け入れるも、クズは可愛げのないアーデルではなく天真爛漫な義妹のクラーラを溺愛する。
貴族令嬢達も田舎娘が無理やり王太子妃の座を奪い取ったと勘違いし、事あるごとにアーデルを侮辱。いつしか社交界でアーデルは『悪役令嬢』と称され、義姉から虐げられるクラーラこそが王太子妃に相応しいっとささやかれ始める。
そんな四面楚歌な中でアーデルはパーティー会場内でクズから冤罪の後に婚約破棄宣言。義妹に全てを奪われるという、味方が誰一人居ない幸薄い悪役令嬢系ヒロインの悲劇っと思いきや……
蓋を開ければ、超人のようなつよつよヒロインがお義姉ちゃん大好きっ子な義妹を筆頭とした愉快な仲間達と共にクズ達をぺんぺん草一本生えないぐらい徹底的に叩き潰す蹂躙劇だった。
もっとも、現実は小説より奇とはよく言ったもの。
「アーデル!!貴様、クラーラをどこにやった!!」
「…………はぁ?」
断罪劇直前にアーデル陣営であったはずのクラーラが突如行方をくらますという、ヒロインの予想外な展開ばかりが続いたせいで結果論での蹂躙劇だったのである。
義妹はなぜ消えたのか……?
ヒロインは無事にクズ王太子達をざまぁできるのか……?
義妹の隠された真実を知ったクズが取った選択肢は……?
そして、不穏なタグだらけなざまぁの正体とは……?
そんなお話となる予定です。
残虐描写もそれなりにある上、クズの末路は『ざまぁ』なんて言葉では済まない『ざまぁを超えるざまぁ』というか……
これ以上のひどい目ってないのではと思うぐらいの『限界突破に挑戦したざまぁ』という『稀にみる酷いざまぁ』な展開となっているので、そういうのが苦手な方はご注意ください。
逆に三度の飯よりざまぁ劇が大好きなドS読者様なら……
多分、期待に添えれる……かも?
※ このお話は『いつか桜の木の下で』の約120年後の隣国が舞台です。向こうを読んでればにやりと察せられる程度の繋がりしか持たせてないので、これ単体でも十分楽しめる内容にしてます。
突然現れた自称聖女によって、私の人生が狂わされ、婚約破棄され、追放処分されたと思っていましたが、今世だけではなかったようです
珠宮さくら
恋愛
デュドネという国に生まれたフェリシア・アルマニャックは、公爵家の長女であり、かつて世界を救ったとされる異世界から召喚された聖女の直系の子孫だが、彼女の生まれ育った国では、聖女のことをよく思っていない人たちばかりとなっていて、フェリシア自身も誰にそう教わったわけでもないのに聖女を毛嫌いしていた。
だが、彼女の幼なじみは頑なに聖女を信じていて悪く思うことすら、自分の側にいる時はしないでくれと言う子息で、病弱な彼の側にいる時だけは、その約束をフェリシアは守り続けた。
そんな彼が、隣国に行ってしまうことになり、フェリシアの心の拠り所は、婚約者だけとなったのだが、そこに自称聖女が現れたことでおかしなことになっていくとは思いもしなかった。
婚約者と親友がやって来て「愛し合ってる」とか言ってきたうえ婚約破棄を宣言されてしまいました。が、父が復讐しました。
四季
恋愛
婚約者と親友がやって来て「愛し合ってる」とか言ってきたうえ婚約破棄を宣言されてしまいました。が、父が復讐しました。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
初恋の残滓
あやむろ詩織
恋愛
「もう初恋の夢は見ない」のクリフ視点です。
リクエストいただきましたので、別視点を書いてみました。
お楽しみいただければ幸いです♪
*浮気男側の話になりますので、ばっちこいという方のみお読み下さい。
【完結】どうかその想いが実りますように
おもち。
恋愛
婚約者が私ではない別の女性を愛しているのは知っている。お互い恋愛感情はないけど信頼関係は築けていると思っていたのは私の独りよがりだったみたい。
学園では『愛し合う恋人の仲を引き裂くお飾りの婚約者』と陰で言われているのは分かってる。
いつまでも貴方を私に縛り付けていては可哀想だわ、だから私から貴方を解放します。
貴方のその想いが実りますように……
もう私には願う事しかできないから。
※ざまぁは薄味となっております。(当社比)もしかしたらざまぁですらないかもしれません。汗
お読みいただく際ご注意くださいませ。
※完結保証。全10話+番外編1話です。
※番外編2話追加しました。
※こちらの作品は「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。
寵妃にすべてを奪われ下賜された先は毒薔薇の貴公子でしたが、何故か愛されてしまいました!
ユウ
恋愛
エリーゼは、王妃になる予定だった。
故郷を失い後ろ盾を失くし代わりに王妃として選ばれたのは後から妃候補となった侯爵令嬢だった。
聖女の資格を持ち国に貢献した暁に正妃となりエリーゼは側妃となったが夜の渡りもなく周りから冷遇される日々を送っていた。
日陰の日々を送る中、婚約者であり唯一の理解者にも忘れされる中。
長らく魔物の侵略を受けていた東の大陸を取り戻したことでとある騎士に妃を下賜することとなったのだが、選ばれたのはエリーゼだった。
下賜される相手は冷たく人をよせつけず、猛毒を持つ薔薇の貴公子と呼ばれる男だった。
用済みになったエリーゼは殺されるのかと思ったが…
「私は貴女以外に妻を持つ気はない」
愛されることはないと思っていたのに何故か甘い言葉に甘い笑顔を向けられてしまう。
その頃、すべてを手に入れた側妃から正妃となった聖女に不幸が訪れるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
1700文字でこうもまとめるとは……。
さてはあなた、天才ですね。勉強させていただきます!
お話を読んで下さって、ありがとうございます。
このような感想を頂き、とても嬉しく思います。
これからお話を書いていく上での励みになります。
本当に、感謝の気持ちでいっぱいです。