1 / 1
醜いと評判の王子に嫁ぐ事になりましたが…彼は私の理想通りの方で、幸せになれました。
しおりを挟む
「お姉様って本当に地味で存在感が無いわね。だから男に相手されないのよ?」
私を見下す美人の義妹。
まさか、この子と同時期に同じ国に…それも王家に嫁ぐ事になろうとは。
私は兄の第一王子、義妹は弟の第二王子の妃になるのだ。
「あちらの国に行っても、仲良くしてあげるわ。そうじゃなきゃ、あなたが余りに憐れだし?だって、あの醜いと評判の第一王子がお相手って…。」
あなたのお相手の第二王子は、美形と評判だものね…さぞや気分がいいでしょう。
あの国に行く前は、そう思って居たのに…まさか、こんな事になるとは─。
※※※
「よく来てくれたな。我が息子の王子たちは、それぞれの部屋でお前たちの訪れを待って居る。王である私への挨拶が住んだら、早く行くがいい。」
「はい、王様!私、第二王子に会いたくて会いたくて…もう待ちきれなかったんです!」
そう言って、義妹は王の元を去って行った。
「…第一王子のあの子は、大層醜くてな…。お前には申し訳ないが…。」
「いえ。どんな容姿であれ、私はこの国に、王子の元に来れて光栄です。私も、早速彼に会って参ります。」
私は王に頭を下げ、玉座の間を後にした─。
「失礼します……?」
部屋が真っ暗だわ…。
すると、闇の中から若い男の声がした。
「来てくれてありがとう。俺は君の夫となる第一王子だ。でも、この醜い顔を見られたくなくて…。」
「王子…私は相手の容姿より、中身を大事にしたいと…そう思って居ます。ですから…部屋の灯りを付けて頂けないでしょうか?」
ややあって、王子の分かったと言う声がした。
すると、王子がランプを付けたのだろう…部屋の中が、パっと明るくなった。
そして、私の視線の先に居たのは…まるで彫刻の様な、それはそれは美しい青年だった。
何て素敵なの…。
私と違い、目鼻立ちがハッキリしてて…。
この彼のどこが醜いと言うのよ!?
「やはり、俺の顔は醜いか…?」
驚き固まっていると、私がショックを受けそうなったのだと王子は思ったらしく、不安そうに声をかけて来た。
「とんでもないです!あなたは、まさに私の理想そのもの…あなたの妃になる事が出来て、本当に嬉しく思います。」
そして王子と話す内に…この国は元居た国と、美醜の基準がかなり違う事が判明した。
この国では、どうやら私のような地味顔でボヤッとした薄い顔の方が、美人、美形だと思われるらしい。
「こんなに美しい妃を持てて、俺は幸せだ…。」
「私も…こんなに素敵な方の妃になれるなど、夢のようです。」
私たちは、まさにお互いが理想そのものだったのだ。
あれ…そう言えば、義妹のお相手の第二王子は、この国一の美形と言われてたんじゃ…?
と、言う事は─。
※※※
翌朝、朝食を一緒に取る予定だったので、用意された部屋に行ってみれば…義妹は死んだような目をし、ぼうっと座っていた。
そして、その傍らには…不機嫌な顔をした第二王子が─。
彼は私を見るなり、義妹を怒鳴りつけた。
「やはり、姉の方が美人じゃないか!この大嘘つきが!」
「だ、だって私はこれまで、あの人より美しいと…どの娘よりも美しいと言われてきたのに~!」
そう言って、義妹はポロポロと涙を零した。
そして、私をキッと睨み付け叫んだ。
「何よ、そんな派手なドレスを着ちゃって!その顔で本当に似合ってると思ってるの?この国でちやほやされたからっていい気になってるんじゃないわよ、この勘違いブス!」
「あなた…まだ美人とかブスとかそんな事にこだわっているの?国が変われば価値基準も変わるのだから、そんな事─」
「うるさいわね…私みたいな女がちやほやされない国なんて、どうかしてるわ!?こんな国に来るんじゃなかった…いっその事、こんな国など滅んでしまえ─!」
すると、それを聞いた第二王子と、部屋に入って来た第一王子、王が驚きの顔で義妹を見た。
「い、今、何と言った…?」
「お、王様!今のは、その…。」
「父上!こいつは確かに、国が滅べと言った!俺の妃になったというのに、何て女だ!」
「だ、だってあなたが、私の容姿を馬鹿にするから…。わ、私はね…あなたよりもこの第一王子の妃になりたいわ!醜い何て嘘じゃない!どうしてこうなるのよ~!」
「生憎だが…容姿だけで人を判断する女は好かない。彼女とは一晩中、色々な話をしたが…彼女と過ごす時間はとても楽しく幸せだった。高飛車で傲慢な君とは…とてもそんな時間は過ごせそうにないな。」
「そ、そんな…。」
あっさり第一王子に振られてしまった義妹は、その場にガクリと崩れ落ちた。
「お前の様な娘は、第二王子の妃に在らず。この国を悪く言うお前を反逆者とみなし、この場で捕らえる!」
「王様!さっきのはつい勢いで…ちょっとお姉様、見てないで助けてよ!?」
「お断りです。あなたの人を見下した態度は、いつか身の破滅を呼ぶと思ってました…。私を不快にさせるならまだしも、国相手では…同情する事も庇う事も出来ませんよ。」
※※※
そして義妹は王の命で捕らえられ、すぐに牢へと入れられた。
彼女は、罰として暫く幽閉され…その後は国外追放…自国へと送り返される事となった。
国に戻った彼女は、あの国がいかに酷い国で、自分は無実…被害者なのだと周りの者に訴えたそうだけど…元々美醜で人を見下していた彼女だったからちっとも同情されず、むしろいい気味だと笑い者になってしまったらしい。
そのせいでいい縁に恵まれず、再婚する事も叶わず…しかも実家からも見放され、一人寂しく暮らしているそうだ。
互いに王子のお相手に選ばれた時は、まさかこんな事になるとは思ってなかったわ。
嫁ぎ先があの国でなかったら、絶対に起こらなかった逆転劇でしょうね─。
私を見下す美人の義妹。
まさか、この子と同時期に同じ国に…それも王家に嫁ぐ事になろうとは。
私は兄の第一王子、義妹は弟の第二王子の妃になるのだ。
「あちらの国に行っても、仲良くしてあげるわ。そうじゃなきゃ、あなたが余りに憐れだし?だって、あの醜いと評判の第一王子がお相手って…。」
あなたのお相手の第二王子は、美形と評判だものね…さぞや気分がいいでしょう。
あの国に行く前は、そう思って居たのに…まさか、こんな事になるとは─。
※※※
「よく来てくれたな。我が息子の王子たちは、それぞれの部屋でお前たちの訪れを待って居る。王である私への挨拶が住んだら、早く行くがいい。」
「はい、王様!私、第二王子に会いたくて会いたくて…もう待ちきれなかったんです!」
そう言って、義妹は王の元を去って行った。
「…第一王子のあの子は、大層醜くてな…。お前には申し訳ないが…。」
「いえ。どんな容姿であれ、私はこの国に、王子の元に来れて光栄です。私も、早速彼に会って参ります。」
私は王に頭を下げ、玉座の間を後にした─。
「失礼します……?」
部屋が真っ暗だわ…。
すると、闇の中から若い男の声がした。
「来てくれてありがとう。俺は君の夫となる第一王子だ。でも、この醜い顔を見られたくなくて…。」
「王子…私は相手の容姿より、中身を大事にしたいと…そう思って居ます。ですから…部屋の灯りを付けて頂けないでしょうか?」
ややあって、王子の分かったと言う声がした。
すると、王子がランプを付けたのだろう…部屋の中が、パっと明るくなった。
そして、私の視線の先に居たのは…まるで彫刻の様な、それはそれは美しい青年だった。
何て素敵なの…。
私と違い、目鼻立ちがハッキリしてて…。
この彼のどこが醜いと言うのよ!?
「やはり、俺の顔は醜いか…?」
驚き固まっていると、私がショックを受けそうなったのだと王子は思ったらしく、不安そうに声をかけて来た。
「とんでもないです!あなたは、まさに私の理想そのもの…あなたの妃になる事が出来て、本当に嬉しく思います。」
そして王子と話す内に…この国は元居た国と、美醜の基準がかなり違う事が判明した。
この国では、どうやら私のような地味顔でボヤッとした薄い顔の方が、美人、美形だと思われるらしい。
「こんなに美しい妃を持てて、俺は幸せだ…。」
「私も…こんなに素敵な方の妃になれるなど、夢のようです。」
私たちは、まさにお互いが理想そのものだったのだ。
あれ…そう言えば、義妹のお相手の第二王子は、この国一の美形と言われてたんじゃ…?
と、言う事は─。
※※※
翌朝、朝食を一緒に取る予定だったので、用意された部屋に行ってみれば…義妹は死んだような目をし、ぼうっと座っていた。
そして、その傍らには…不機嫌な顔をした第二王子が─。
彼は私を見るなり、義妹を怒鳴りつけた。
「やはり、姉の方が美人じゃないか!この大嘘つきが!」
「だ、だって私はこれまで、あの人より美しいと…どの娘よりも美しいと言われてきたのに~!」
そう言って、義妹はポロポロと涙を零した。
そして、私をキッと睨み付け叫んだ。
「何よ、そんな派手なドレスを着ちゃって!その顔で本当に似合ってると思ってるの?この国でちやほやされたからっていい気になってるんじゃないわよ、この勘違いブス!」
「あなた…まだ美人とかブスとかそんな事にこだわっているの?国が変われば価値基準も変わるのだから、そんな事─」
「うるさいわね…私みたいな女がちやほやされない国なんて、どうかしてるわ!?こんな国に来るんじゃなかった…いっその事、こんな国など滅んでしまえ─!」
すると、それを聞いた第二王子と、部屋に入って来た第一王子、王が驚きの顔で義妹を見た。
「い、今、何と言った…?」
「お、王様!今のは、その…。」
「父上!こいつは確かに、国が滅べと言った!俺の妃になったというのに、何て女だ!」
「だ、だってあなたが、私の容姿を馬鹿にするから…。わ、私はね…あなたよりもこの第一王子の妃になりたいわ!醜い何て嘘じゃない!どうしてこうなるのよ~!」
「生憎だが…容姿だけで人を判断する女は好かない。彼女とは一晩中、色々な話をしたが…彼女と過ごす時間はとても楽しく幸せだった。高飛車で傲慢な君とは…とてもそんな時間は過ごせそうにないな。」
「そ、そんな…。」
あっさり第一王子に振られてしまった義妹は、その場にガクリと崩れ落ちた。
「お前の様な娘は、第二王子の妃に在らず。この国を悪く言うお前を反逆者とみなし、この場で捕らえる!」
「王様!さっきのはつい勢いで…ちょっとお姉様、見てないで助けてよ!?」
「お断りです。あなたの人を見下した態度は、いつか身の破滅を呼ぶと思ってました…。私を不快にさせるならまだしも、国相手では…同情する事も庇う事も出来ませんよ。」
※※※
そして義妹は王の命で捕らえられ、すぐに牢へと入れられた。
彼女は、罰として暫く幽閉され…その後は国外追放…自国へと送り返される事となった。
国に戻った彼女は、あの国がいかに酷い国で、自分は無実…被害者なのだと周りの者に訴えたそうだけど…元々美醜で人を見下していた彼女だったからちっとも同情されず、むしろいい気味だと笑い者になってしまったらしい。
そのせいでいい縁に恵まれず、再婚する事も叶わず…しかも実家からも見放され、一人寂しく暮らしているそうだ。
互いに王子のお相手に選ばれた時は、まさかこんな事になるとは思ってなかったわ。
嫁ぎ先があの国でなかったら、絶対に起こらなかった逆転劇でしょうね─。
15
お気に入りに追加
16
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
夫達の裏切りに復讐心で一杯だった私は、死の間際に本当の願いを見つけ幸せになれました。
Nao*
恋愛
家庭を顧みず、外泊も増えた夫ダリス。
それを寂しく思う私だったが、庭師のサムとその息子のシャルに癒される日々を送って居た。
そして私達は、三人であるバラの苗を庭に植える。
しかしその後…夫と親友のエリザによって、私は酷い裏切りを受ける事に─。
命の危機が迫る中、私の心は二人への復讐心で一杯になるが…駆けつけたシャルとサムを前に、本当の願いを見つけて─?
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)
「不吉な子」と罵られたので娘を連れて家を出ましたが、どうやら「幸運を呼ぶ子」だったようです。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
マリッサの額にはうっすらと痣がある。
その痣のせいで姑に嫌われ、生まれた娘にも同じ痣があったことで「気味が悪い!不吉な子に違いない」と言われてしまう。
自分のことは我慢できるが娘を傷つけるのは許せない。そう思ったマリッサは離婚して家を出て、新たな出会いを得て幸せになるが……
山に捨てられた令嬢! 私のスキルは結界なのに、王都がどうなっても、もう知りません!
甘い秋空
恋愛
婚約を破棄されて、山に捨てられました! 私のスキルは結界なので、私を王都の外に出せば、王都は結界が無くなりますよ? もう、どうなっても知りませんから! え? 助けに来たのは・・・
呪われた私が愛されないのは、仕方がないと諦めてた…でもあなたのその裏切りは駄目です。
coco
恋愛
呪われた娘だと言われるようになった私。
だから、婚約者であるあなたに愛されないのは仕方がないと諦めてた。
でも…その裏切りは駄目よ、とても許せないわ─。
私の家事に何でも文句を言う夫に内緒で、母に家事をしてもらったら…。
ほったげな
恋愛
家事に関して何でも文句を言う夫・アンドリュー。我慢の限界になった私は、アンドリューに内緒で母に手伝ってもらった。母がした家事についてアンドリューは…?!
婚約者に「愛することはない」と言われたその日にたまたま出会った隣国の皇帝から溺愛されることになります。~捨てる王あれば拾う王ありですわ。
松ノ木るな
恋愛
純真無垢な心の侯爵令嬢レヴィーナは、国の次期王であるフィリベールと固い絆で結ばれる未来を夢みていた。しかし王太子はそのような意思を持つ彼女を生意気と見なして疎み、気まぐれに婚約破棄を言い渡す。
伴侶と寄り添う心穏やかな人生を諦めた彼女は悲観し、井戸に身を投げたのだった。
あの世だと思って辿りついた先は、小さな貴族の家の、こじんまりとした食堂。そこには呑めもしないのに酒を舐め、身分社会に恨み節を唱える美しい青年がいた。
どこの家の出の、どの立場とも知らぬふたりが、一目で恋に落ちたなら。
たまたま出会って離れていてもその存在を支えとする、そんなふたりが再会して結ばれる初恋ストーリーです。
【完結】え?今になって婚約破棄ですか?私は構いませんが大丈夫ですか?
ゆうぎり
恋愛
カリンは幼少期からの婚約者オリバーに学園で婚約破棄されました。
卒業3か月前の事です。
卒業後すぐの結婚予定で、既に招待状も出し終わり済みです。
もちろんその場で受け入れましたよ。一向に構いません。
カリンはずっと婚約解消を願っていましたから。
でも大丈夫ですか?
婚約破棄したのなら既に他人。迷惑だけはかけないで下さいね。
※ゆるゆる設定です
※軽い感じで読み流して下さい
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる