異世界でエルフに転生したら狙われている件

13.半獣

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「エルフのおにぃちゃん、ちょっと、いい…？
…にぃちゃんがね、ずぅっとお部屋にこもったまま出てこないの。」



…シークさんの灰を埋めた後、僕はレオンさんと一緒に、またオルトの実を三つ買ってきて、リヒト達の家へ向かった。

そして、家の前で寂しそうにしていたハルカちゃんとカオルちゃんが、その場に来た僕に抱き着いて、事情を教えてくれたのである。



「リヒト、入りますよ？」

二人に教えてもらったリヒトの部屋の扉を軽くノックしてみるが、返事がない。

僕は結局返事を待たずに部屋に入ると、隅っこに体育座りをしながらうずくまっているリヒトがいた。

引きこもりのようなそれは、チラリと僕の顔を見たがすぐに俯き、顔を背けてしまった。

「リヒト」

ゆっくりとリヒトに歩み寄って、小さな体に手を伸ばす――が、触れる寸前で手をはたかれ「ダメだッ」と、リヒトは焦ったように声を荒げた。

「………オレ、半獣なんだ…！！体は人間なのに、獣のような耳と尾が生える…」

言いながら震え出す体を、抵抗されるとはわかっていても抱き寄せる。

リヒトの体は、頭には犬っぽい茶色の耳が生え、同じく茶色い尻尾も生えていた。

「リヒト、俺もアルも、お前を気味悪がったりなんかしない。だから、大丈夫。」

「どうしてそう言い切れるんだよッ、あんたなんて、ただの人間だろ！？」

そんなリヒトを、レオンさんは優しく笑って、首を横に振った。

そして、「よく見てろよ？」と僕たちに言うと、ぴょこッ、ぽんっ、と効果音が付きそうな感じで、レオンさんにリヒトとそっくりの、耳と尻尾が生えていた。

「なっ………！？」


「俺も狼の半獣だ。普段は人間として耳も尻尾も出ないよう制御しているが、何かのきっかけで隠せなくなることもある。」

レオンさんは驚く僕等を見て、ピクピク、と耳を動かしながら端正な顔の頬を緩めて「怖がることなんてないから、とりあえず落ち着け。」と、リヒトの頭を撫でた。