恋をしたくない僕とお隣さん

山田

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第36話温泉とお隣さん⑦

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負けられない戦いが始まる。明日何かしてもらえるんだから絶対に勝ちたい。



 僕は今非常に眠たい。だけど勝負事は負けたくない。千乃さんに何かしてもらうのは……まぁ、いいけど絶対に負けたくない。



 勝負が始まった。それはそれは熱い戦いだった。お互い一歩も譲らなかった。そして終わった。本当に僅差だった。



「やったー、勝った―」



 最後両手を高々とあげたのは千乃さんだった。



「くっそ~、負けた」

「じゃあ、どんな約束だった覚えてるかね?」

「負けた人は勝った人の言う事を何でも聞くというのでした」

「そうだね、何お願いし8日な~」

「何でもいいですよ、負けたんですから何でもやってみせますよ」



 私のお願いはこの約束を提案したときから決まっている。



「あ、明日あの公園もう一回行こう」

「え?そんなんでいいんですか?」

「それがいいの」

「ならいいですけど、そんなにあの公園気に入ったんですか?」

「まっ、そんなとこだね」

「分かりました。じゃあ、僕眠いんで寝ますね」

「私も寝る」

「電気消しますよ」



 そうして僕らは眠りについた。



 全然寝れない。目を瞑っているのに、布団に入っているのに全然寝れない。なのに隣で文也くんはぐっすり寝てるのが少し悔しかった。いくら寝れないとはいえ気づいたら寝ていた。



「おはよー」



 まだ寝てるのか、そりゃそうか文也くんはいつも私が起こしてるんだからな。昨日は楽しかったけど疲れたからもう少し寝かせてあげるかな。私は文也くんを部屋に一人残して朝風呂に行くことにした。



 僕は目が覚めた。もう朝か~、千乃さんはどこだろう。部屋中見渡して見るが千乃さんの姿はない。布団から出ると机の上に書き置きがあった。



 文也くんヘ



 おはよう、私は朝風呂に行ってきます。



 千乃





千乃さんは朝風呂に行ったのか、僕も行くか。



 そうして僕がお風呂場の前に来ると千乃さんが出てきた。



「おはようございます」

「おはよー、よく寝れた?」

「はい」

「それは良かった」



 やっぱ悔しい!



「文也くんも朝風呂?」

「はい」

「ゆっくりしてきてね。あ、でも朝食の時間には間に合うようにしてね」

「千乃さんには言われたくないです」



 そう言って僕は朝風呂に入った。そして朝風呂からあがって朝食も食べた。支度を済ませて公園に向かった。

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