星飾りの騎士SS

旭ガ丘ひつじ

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アレッタ・チークキッス

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幼いアレッタは、今日も笑顔いっぱいでクレイドのお家へ遊びにやって来ました。

アレッタ「こんにちは!」

クレイド「やあ、こんにちは」

アレッタ「さあ、行こう!」ぐいー

クレイド「ちょっと待って!窓からは無茶だよ」

アレッタ「そうかしら。裸足だと気持ちいいよ」

クレイド「え!裸足で来たの!?砂利とか痛くなかった!?」

アレッタ「痛いよ」

クレイド「え?」

アレッタ「ん?」くびかしげ

別の日。

アレッタ「ブランコ押すよ!」

クレイド「うん!」

アレッタ「んーしょ!」

ふわ……ぴた。

クレイド「代わろう。僕が押すよ」

アレッタ「私が押すの!」

クレイド「わかったよ」

アレッタ「んーやあ!」

ふわ……ぴた。

アレッタ「もう!」ぺちん!

クレイド「あいた!僕に八つ当たりしないでよ」

アレッタ「知らない」ぷい

別の日。

アレッタ「お母さんのごはん美味しいね!」もむもむ

クレイド「うん!」

アレッタ「はい。これ食べて元気になってね」ちょこん

クレイド「嫌いなんだろう」

アレッタ「違うよ」

クレイド「分かるよ。前に面白い顔して食べてたからさ」

アレッタ「そうかしら」きょとん

クレイド「きちんと食べなよ。僕みたいに病気になるぞ」

アレッタ「それは嫌」

クレイド「じゃあ、頑張って」

アレッタ「ううん!頑張らない!」

クレイド「ええ……」

少し大きくなって。

アレッタ「本を持ってきたよ!」とたた

クレイド「ありがとう。一緒に読もう」

アレッタ「うん!」よいしょ

クレイド「ちょっと待った!どうして窓から入ろうとするんだい」

アレッタ「だめ?」

クレイド「そりゃダメだよ。それに君、女の子なんだからさ、そのスカートが」あせあせ

アレッタ「じゃあ、玄関から入るね」

クレイド「それが普通だよ」

別の日。

アレッタ「絵を描きましょう」

クレイド「よーし!かっこいいドラゴンを描くぞ!」

かきかき。

アレッタ「できた!」

クレイド「それは綺麗な鳥だね」

アレッタ「魚よ」

クレイド「ごめん」

かきかき。

クレイド「見て!」

アレッタ「まあ、金ぴかのトカゲさんね」

クレイド「ドラゴンだってば」

アレッタ「見て」

クレイド「綺麗な……魚だね!」

アレッタ「鳥よ」

クレイド「ごめん」

別の日。

アレッタ「というお話はどうかしら」

クレイド「いいや、ここはドラゴンの出番だ」

アレッタ「ドラゴンばっかり!最初から最後までいるじゃない!」

クレイド「かっこいいから当然さ!」

アレッタ「だめ!面白くない!」

クレイド「アレッタこそ、どこ行っても花畑しかないじゃないか」

アレッタ「綺麗な景色だからいいのよ」

クレイド「むう……」

アレッタ「ふん……」

クレイド「最初から考えようか」

アレッタ「うん。ドラゴンは最後ね」

クレイド「君は意地っ張りだなあ」

アレッタ「お楽しみは最後だからこそいいのよ」

クレイド「それは……たしかに」

アレッタ「でしょう?」

クレイド「じゃあ、最初から物語を考えよう」

アレッタ「そうしましょう!」

また大きくなって。

アレッタ「ルディア、あーん」

ルディア「んふふ!」もむもむ

アレッタ「か、可愛い……!」きゅん!

クレイド「えへへ。だろう」でれでれ

ルディア「まーんまー」

アレッタ「はい、あーん」

ルディア「た」ぺち

クレイド「あーあ……大丈夫かい」

アレッタ「可愛い……!」べとべと

クレイド「顔を拭いたほうがいいと思うよ。ほら」タオルどうぞ

アレッタ「ありがとう」ふきふき

ルディア「んーまー」

アレッタ「はい、あーん」

ルディア「た」ぺち

アレッタ「ねえどうして……?」べとべと

クレイド「さあ……」

別の日。

アレッタ「ルディアも一緒にお絵かきしましょうね」

ルディア「!」しゅばばば!

クレイド「ああ!僕のシバルバードラゴンが!」がーん!

アレッタ「うふふ!」くすくす

クレイド「ルディア、いいかい。君のスケッチブックに絵を描くんだよ、こうしてね」まーる

ルディア「まーう」ぐーい

クレイド「そう。上手だね」なでなで

ルディア「まう!」ぐーーー

クレイド「ああー!」ががーん!

アレッタ「あはは!もうだめ!」けらけら

クレイド「さよならシバルバードラゴン……」ずーん…

アレッタ「はあ……たくさん笑った」

ルディア「てい」びりりっ

アレッタ「…………」真顔

別の日。

アレッタ「ほら、こっちよ。頑張って歩いておいで」

クレイド「僕はまだ歩けるよ」ふらふら

アレッタ「ルディアに言っているのよ」じとー

ルディア「たう!」ぴた

クレイド「可愛い……!」きゅん

アレッタ「お兄ちゃんとお散歩したいって」

クレイド「よし、手を繋いでお散歩しよう」

アレッタ「心配……」

クレイド「平気さ」

アレッタ「無理しないでね」

クレイド「いいリハビリになるよ」

ルディア「とぅとぅ、た」ととと

クレイド「待って!置いてかないで!」

アレッタ「ゴール!」ぎゅ

クレイド「たくさん歩けるようになったなあ」しみじみ

アレッタ「クレイドもはやくおいで」ほら

クレイド「うん……」どきどき

アレッタ「あ!オムツ換えなきゃ!」

クレイド「え!?ちょ!」

アレッタ「急がなきゃ」たたた!

クレイド「置いてかないでくれー」ぱたり

ルディアが大きくなって。

ルディア「きょーうはー!アレッタおねえちゃんとー!おっかいものー!」るんるん

アレッタ「私から離れちゃダメよ。それと、坂道は危ないから足元に気を付けてね」

ルディア「はーい」

アレッタ「あ」こけっ

ルディア「アレッタお姉ちゃん!」

アレッタ「きゃあー!」ころころ

ルディア「アレッタお姉ちゃーん!」

アレッタ「いやー……!」ころころ…

ルディア「アレッタお姉ちゃん……」くすん

別の日。

ルディア「また本読むの」ひょこ

アレッタ「今日はあなたも楽しめる絵本を持ってきたよ」

ルディア「やった!」

クレイド「楽しみだね」

ルディア「うん!」うきうき

アレッタ「モッタイナイオバケのアベンジャーズ」すっ

ルディア「え?」

アレッタ「モッタイナイオバケは勿体無いことをする子供を決して許しません」

ルディア「…………」ぷるぷる

アレッタ「もし食べ物を粗末にするとこうなります」

ルディア「ふぇ……」びくっ

アレッタ「復讐に来たぞおー!!」

ルディア「ふえぇぇぇん!」号泣

クレイド「どうしてこれを選んだんだい」

アレッタ「教育になるかと思ったの」

クレイド「残念ながらならないと思うよ」

アレッタ「そうかしら」

ルディア「こ、わ、い、よお!」べしべし!

アレッタ「ごめんね。もう読まないから許して」あいたた

別の日。

ルディア「バナナマフィン美味しい!」

アレッタ「良かった」ほっ

クレイド「ごちそうさま」

アレッタ「おいしくなかった?」

クレイド「ううん。もうお腹いっぱいで」

アレッタ「そう」

ルディア「おかわり!」

アレッタ「たくさん食べてね」

クレイド「それにしても、三十個なんてたくさん焼いたね」

アレッタ「あなたが五つ食べたでしょう。私が四つで、ルディアが食べ終わったら、残りはあなたのお父さんとお母さんね」

クレイド「うん。ありがとう」

アレッタ「私はあなたの健康を考えてたくさん焼いたのよ」

クレイド「そうなの?」

アレッタ「そうよ。体にいいの」

クレイド「君は僕のためにいつも良くしてくれるね」

アレッタ「もちろんよ。これからもたくさん焼くからね」

一週間後。

クレイド「ごめんアレッタ。一週間はキツいよ」

アレッタ「あら、そう」

クレイド「他のも食べたいな」

ルディア「美味しいのにワガママだなあ。いけないよ」

アレッタ「ねえ」

ルディア「うん!」

バナナマフィンはとりあえず、一月は途切れることなく届いた。
その数年後。

ルディア「お兄ちゃん、全然動けなくなっちゃった」

アレッタ「そうね。バナナマフィンももう食べられなくなっちゃった」

クレイド「二人とも心配かけてごめんね」

ルディア「声、聞こえてる?」

クレイド「もう少し大きな声でお願いしていいかな」

アレッタ「聞こえますかー!元気ですかー!」耳元で

クレイド「よく聞こえました。僕は元気です」きーん

ルディア「そうだ、お兄ちゃん。今日は学校で絵を描いたんだ」ほら

クレイド「もっと近くで見せて貰えるかい」

ルディア「これなら見える?」

クレイド「うん。僕とアレッタだね」

ルディア「仲良しさんだから!」

クレイド「嬉しいな。上手に描けてるよ」

ルディア「えへへ!そうでしょうそうでしょう!」

クレイド「アレッタ。僕の代わりにルディアの頭を撫でてやってくれるかい」

アレッタ「あなたがしてあげて。私が手を貸すから」すっ

クレイド「助かるよ」なでなで

ルディア「わーい!お兄ちゃんに撫でてもらえた!」

アレッタ「良かったね、ルディア」

ルディア「うん!」

それからクレイドが亡くなって。
すっかり元気をなくしたアレッタのもとへ、ルディアが突然に訪れる。

ルディア「元気を出して!アレッタお姉ちゃん!」ばーん!

アレッタ「ルディア……!」

ルディア「凄いやせ……大丈夫!?」びっくり

アレッタ「ルディアー!」むぎゅー

ルディア「よしよし」なでなで

アレッタ「ごめんね。こんな大変なときに」ぽろぽろ

ルディア「ねえ、いい天気だしさ。お散歩しない?」

アレッタ「うん。そうしましょう」ぐすっ

そして。

アレッタ「あ」こけっ

ルディア「アレッタお姉ちゃーん!」がーん!

この小さなドジをきっかけに、彼女はまた笑顔と元気を取り戻したのでした。
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