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甘いお菓子を恵んでくだされ

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闇光「君達の活躍はよく知っていますぞ。本部でも有名ですからな」

イチゴ「照れるのう」

ミルク「きっと悪目立ちってやつだよ」

闇光「そんなことありません。君達は期待の星です」

ミルク「いいじゃん」

ココア「ええ。これからも期待に応えてみせましょう」

闇光「頼りにしておりますぞ」

蓬「あんこうさん。お前のこともよく知ってるぜ。組織で有名だったからな」

闇光「おふふ。それは怖いですな」

蓬「お喋りなオタクがめちゃくちゃナンパしまくってるって噂が広まってたぜ」

ミルク「本当に凄い人なの?」

ココア「このお方は、たった独りで黒魔術師と交渉することを専門としている方です。それでナンバーワンと呼ばれています」

闇光「僕は元ガチガチの引きこもりでした。そんな僕だからこそ説得出来る、と教会で懺悔している時に救いの手を差し伸べてくれまして。やれ仕方ないと、ちょっくら世界を救ってやろうかなと、僕は動くことに決めたのです」

イチゴ「かっけえ」

ミルク「いまいち納得できない。嘘っぽい」

闇光「おふふ。子供は素直で厳しいですな」

蓬「お前は俺のこともナンパするつもりか?」

闇光「僕の目的は子供達を助けることでした。しかし、その任務が終わった今ならナンパしちゃってもいいですぞ」

蓬「ゾッとする奴だ」

ミルク「あんこうさん。助けに来てくれてありがとうございます」

闇光「いえいえ」

ココア「しかし、到着が速かったですね」

闇光「君達が写真を送ってくれたからです。工場内の写真が届いた時はそりゃもう大騒ぎで。そこで、余裕ある私が一先ず君達を迅速に救助することにしたのです。もうすぐ本部から救援が来るでしょう」

ミルク「良かった。助けが来るんだ」

ココア「安心ですね」

闇光「ところで蓬さん。君は組織を裏切ったように見えますが」

蓬「ああ、裏切った。退屈しのぎにナンパしてくれていいぜ」

闇光「ではなぜ、裏切ったのでしょ」

蓬「バカバカしくなったから。それだけだ」

闇光「だいたい皆そのようなことを仰います。怖い、辛い、もう嫌だ、バカバカしい、飽きた、等」

蓬「そんなもんだろう。ダークヒーローみたいな格好いい言い訳なんて現実にねえよ」

闇光「蓬さん。君が黒魔術師になった理由は?」

蓬「無駄話だけはやめとけ。時間がないんだ」

闇光「分かっています。だからこそ、こちらを優先して聞いておきたいのです」

蓬「間抜けな奴だな。俺が黒魔術師になったのは人生に嫌気がさしたからだ。そうだな。大人ってのが特に嫌いになったんだろう」

ミルク「大人なのに?」

蓬「そう。子供の前でわざわざ、あれこれ言わねえけど。とにかく生きるのに疲れて、ふらっと旅でもしたくなったんだ」

イチゴ「分かる。人はみな、生きる意味を探しとる旅人じゃ言うておった」

蓬「どこの誰がそんなこと言ってた」

ココア「どうせネオン街の人でしょう。マミーでしたっけ」

イチゴ「そうじゃ」

蓬「普段どんな教育受けてんだこいつ」

イチゴ「んー。ホストの教育かのう」

蓬「ヤバイぞこいつ」

闇光「子供は何でも吸収するスポンジですからな」

蓬「こいつもヤベえ感じがする」

闇光「よもぎさん。君は今まで、道を外れ茨を進むことになっても、善く働こうと汗を流してひたすら努力してきたことでしょ。都合良く掌を返す大人への怒り、権力に左右される世界への嘆き、闘争本能に屈する人類への哀れみ、その苦悩と休むことなく闘い続けているのでしょ。しかし、どこでも休んでいいのです。いつでも助けを求めていいのです。君の人生の終わりが悲しく辛いものではなく、笑えるハッピーエンドであることを、僕は勝手ながら心より願っております。己の過去を省みて償う良心があるのならば、僕が教会を代表して、君の努力を認め罪を赦しましょ」

蓬「ふ、ヤベえ奴だったぜ」

闇光「僕らは君を心より歓迎しますぞ」

蓬「そりゃどうも」

ココア「あんこうさんの交渉。とても勉強になりました」

蓬「どこがだ!人ってのは理屈でどうこうなる生き物じゃねえんだぞ!」

ココア「なるほど。それも勉強になります」

蓬「こいつも安物スポンジガールだったか。残りの二人はガールズトークしてるし、とことん自由で愉快な集まりだな」

イチゴ「あ!わしらのユーエフオーが焼けちょる!」

蓬「奴らの仕業だろう。誰が爆破させるか、あっち向いてホイ大会で決めようと盛り上がってたからな」

ミルク「なにそれムカつく」

闇光「最後に、君達の計画について話してもらいましょ」

蓬「記憶が消えはじめてるから、どこまで言えるか分からないぜ。特に組織については真っ先に消されてもう覚えちゃいない」

イチゴ「そりゃズルいのう」

蓬「頭の中のチップがそうさせるんだ」

ココア「頭の中のチップ」

蓬「これがファミリーの使ってるチップとは全くの別物で、とんだ粗悪品だ」

ココア「ほっ……そうですか」

蓬「さっきのエスカルボムについて話しておこう」

闇光「聞かせてください」

蓬「エスカルボムは頑丈な殻の中にエネルギーを圧縮して詰めた小型爆弾を持っている。工場の爆発があの程度で済んだのは殻の中で起爆させたからだ」

ココア「本当は、もっと爆発するということですか」

蓬「殻の外なら、この島は更地になってたろうぜ」

闇光「エスカルボムの起爆を止めるにはどうすればいいのでしょ」

蓬「アンデットにされた軟体動物を殺しても起爆するから、それだけは気を付けろ。冷凍して砕くのがいい。それで爆弾を取り出して解除するんだ」

闇光「伝えておきます」

蓬「あと、殻には魔法が効かないと覚えておけ」

闇光「分かりました」

蓬「あー駄目だ。意識が遠くなってきた」

闇光「お疲れ様です。そして、ありがとうございました。君は、とても善い働きをしてくれましたぞ」

蓬「組織のこと、何も話せなくて悪いな」

闇光「いえいえ」

蓬「頼みがある。記憶がなくなった俺は、もしかしたらまた半グレに戻るかも知れない。それでも、どうにか説得して仲間にしてくれないか」

闇光「人類みなファミリーです。約束しましょ」

蓬「ありがとうな。悪いけど、そろそろ眠らせてもらうぜ。そこのウンコに俺を運ばせてくれ」

ミルク「ブラウニーだよ」

蓬「ブラウニー。俺をよろしく頼む」

ブラ「ぷひゅ」

ミルク「寝ちゃった」

イチゴ「雪も降っとるし寒くないかの」

ココア「ブラウニーは温かいので平気です」

ミルク「よもぎさん、本当はいい人かもね」

イチゴ「言うたろう。ええ人じゃ。ちと、グレちまっただけじゃ」

闇光「誰の心にだって光と闇があります。そのバランスは危ういほど不安定です。しかし、愛を交わすことで光は輝きを増して」

ココア「何か聞こえませんか?」

ミルク「あれ見て!ユーエフオーだよ!」

闇光「眼鏡が濡れてよく見えませんな。どこどこ」

ミルク「あそこだよ、ほら!」
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