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両想い
10 三位一体
しおりを挟む一度も倒れることなくマオウルフの体力を半分まで減らすことに成功した
奴はプレイヤーの動きを予測して行動する曲者
近接戦闘でガンガン攻めて素早く倒してしまうことが望ましい
それでも息子であり兄でもある誠清は魔法で戦うことを選んだ
Bランクのマジックグローブ、コスモスプライト
両手の平を向かい合わせることでプラズマエネルギーを膨らませて、自分のタイミングでそれを投げて戦う武器になる
多少の追尾機能は備わっているが、奴の回避行動は速いので、確実に当てるためにも中距離以内を維持しなくてはならない
くるか、、、!
マオウルフが大剣を地面に突き立てて、惑星のエネルギーを剣に集める
誠清はあえてバーストブレイクを選ばない
目覚めよ内なる雷
雷鳴は生命を轟かせ、稲妻は肉体を駆けよ
そして万物の理を我が手に生み出せ
呪文は口で詠っても、心の中で唱えてもどちらでもよい
魔法のスキルや必殺技のほとんどが詠唱によって発動する
スキルより必殺技が長いものが多く、また小難しく、その大人のこだわりを嫌う子供も多い
短縮機能もあるんだけどね
超新星!プラズマストライカー!!
敵の必殺技に合わせて必殺技を撃つ
巨大プラズマボールが可憐な花々を容赦なく焦がして加速する
対して、マオウルフの必殺技は過去にミミゴンを討ち滅ぼした究極の一撃
刃に多彩な鉱石を纏わせ、そこに魔力を込めて幾倍にも威力を高め、圧倒的な質量で叩き斬る超輝石の刃
誠清の脳天目掛けてゆっくりと振り下ろされるそれを巨大プラズマボールは難なく弾いて、そのまま直進
マオウルフに直撃すると目に優しい輝きで瞬いて爆ぜた
七色の電流が高くどこまでも、まるで暴れ狂う八岐大蛇のように迸った
クソ、まだ倒れないか
やっぱ前より難易度上がってんな
マオウルフが最後の力を振り絞って斬りかかる
誠清にとって、かわすことは容易い
刃は彼の真横を過ぎた
その隙に敵の腹へプラズマボールを直接ぶつける
これで終わりだー!!
マオウルフの内からヒビが広がって派手に砕け散った、その頃
綾羽、覚えてるか?
昔、公園に行った時にミミズを見つけたお前は、わんわん泣いてな
たかがミミズなのに近付くのを怖がって
ブランコに乗れないーて大泣きだ!
はっはっはっ!
「言ってる場合じゃねー!」
親父がわざわざ娘の近くに来て思い出を振り返るので、親父を追ってミミゴンが伸びてくる
それは娘を一秒でキレさせるのに十分だった
お父ちゃんがこっち来たら、あいつもこっち来るでしょ!
はっはっはっ!
悪い悪い、そんなに怒んなや
もう!早く向こう!!行って!!!
はーい分かりました
娘であり妹でもある綾羽は新しいペットを連れて来た
ヤキエス—カルゴン222とレプリコ
ザコネコツキは二体まで召喚できる
ザコと呼ばれるが侮るなかれ
うまく活用すれば中ボスもボスだって越える能力を発揮する
ヤキエス—カルゴン222は、中二女子級サイズの殻を背負うカタツムリをデザインにした、近未来的な三輪自動車のネコツキ
お尻からホースが尾のように伸びて放水攻撃を行う
運転席の白い窓には子猫の様な影が薄く透けて見える、、、
一方でレプリコは猫ぽい形したまるまる萌黄色コットンのネコツキになる
サイズは小二女子級と可愛い
ふわふわと宙を漂い、ねこしっぽで巻いたまち針でチクチク攻撃する
りんごあめは、ここから攻撃
おふとんは、お父ちゃんを手伝ってあげて
その指示に従ってヤキエスは固定砲台となり放水攻撃で敵の行動を阻害
レプリコは、細やかに動いて敵の目を引き撹乱する
ネコツキも味方になりゃ頼もしいもんだ
俺もこいつらと子供達に負けないよう頑張らないとな、、、!
親父は気を引き締めると、舞うように剣を振り、息子のアドバイスを受けて冷気の斬撃で攻める
踊る花弁と白いモヤが幻想的な景色を描く
冷気ならミミゴンの動きを微かでも制限できるので、チームプレイなら炎の斬撃によるダメージの蓄積よりも都合がいい
ミミゴンはウネウネと地面を這いずって突進したり、ヘビみたいに炎の舌をチロチロ伸ばして攻撃してくる
しかし、親父は臨機応変に対処してみせる
軽やかに宙返りして魅せた
お父ちゃん凄い!
凄いだろう?気分は最高だ
着地後、全力疾走
そのスピードにミミゴンの攻撃は追いつけない
ここでバーストチャンスが巡ってくる
バーストに失敗すれば砂の渦に捕われ、しばらくまともに動けなくなる
親父はそんな事は知らない
いや知る必要もなかった
時よ逆巻け
逆転の息吹
恥ずかしいので心の中で詠唱する
親父がクラー剣を胸の前に掲げると、頭上で巨大な時計を模した魔法陣が逆転、すると吹雪が吹き荒れた
アイスエイジ!
これは叫んでしまった
剣の切っ先を敵に向けると八角形の雪の結晶が降り注ぐ
それは鋭い威力をもって敵を斬り裂く回避不能の必中攻撃
また、合わせて綾羽が必殺技を命じた
ヤキエスはビーム、レプリコは巨大化してチクチク
三位一体の攻撃にミミゴンも堪らずダウン
炎の斬撃に切り替えて追い討ちをかける
娘はネコツキを退いて見守る
ミミゴンが鎌首をもたげた
最後の反撃が鬼気迫る
トドメだ!
息子が叫んだ
クラー剣は二回目の必殺技を短い時間で撃つことが出来る優れもの
刃が虹色に輝いて親父に最後の勇気をくれる
時よ逆巻け
逆転の衝撃
親父が詠唱してクラー剣を胸の前に掲げると、先程と同じく時が逆転
そして
ジャイアントインパクト!
叫びに応えて煮えたぎる小惑星が降ってきた
その衝撃は凄まじく回避不能
目に優しい真っ白な閃光と生温い突風が三人をすり抜けた
「やったか!?」
親父、それ良くない台詞だぜ
何で?
ほーら
倒せてない
引導は息子が渡してやった
親父が嬉々として勝利を分かち合おうと振り返ると、愛する娘の姿は魔法のように消えていた
あれ?綾羽は?
テレビ観るからって帰った
あいつの好きな韓国のアイドルグループが出るんだよ
薄情になったな
文句は本人に言って
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