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第31話 事情(ハープ視点)
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「ハープ。フィーネの根を取ってちょうだい」
「はい! ただいま!」
ビオラ様に干からびた根を渡します。
元々素人だった私は初めてみた時は、こんなものを薬に使うのかと驚いたものです。
今ではこれがどれだけ凄い根なのか、ちゃんと分かってますけどね。
根と一言で言っても、ビオラ様が作る薬に応じて使われるものは様々で、最初の頃は私も苦労しました。
どれがどの根だか見ても分からないんですもの。
実際何度も間違えたのですが、ビオラ様は怒るどころか、どのような部分を見て判断すれば良いのか優しく教えてくれるんです。
『いい? フィーネの根は真っ直ぐ太い根の周りに細いヒゲのようなものがまばらに付いているのよ。似たようなこっちは、同じく太い根を持つけど、曲がりくねっているでしょう? それにヒゲも先端に集まってるの』
『本当ですねぇ。これなら間違えなさそうです!』
『ふふふ。じゃあ、こっちは戻して、改めてフィーネの根を持ってきてくれる?』
『はい! かしこまりました!』
昔のことを思い出してると、ビオラ様が不思議そうな顔で私を見つめているのに気が付きました。
変な顔でもしてたでしょうか。
「どうされました?」
「ううん。なんだか楽しそうな顔をしてるな、と思って。何か良いことでもあった?」
「あ、いえ。昔のことを少し思い出していたんです。持ってくるものをよく間違えたなと」
「うふふ。そんなに間違えてたかしら? 私はハープがいてくれるので大助かりよ?」
「そう言っていただけると光栄です。火傷を負われたみなさんの傷痕の調子も良さそうですし。もう少しで戻れますかね?」
「そうね……もう少しだけ……かかるかしら」
少しだけ歯切れ悪くビオラ様は答えました。
あまり嘘がお上手じゃないですね。
私がここへ案内された時、王都で大火事があって、その際に火傷を負った方々の治療薬を作るのだと聞かされました。
その時は疑いの気持ちなど持ちませんでしたが、すぐにおかしいと気付きました。
実際に治療を受けた方々の火傷の痕の時期がそれぞれ全然違うのですもの。
それに、一人の女性は火事とは関係のない火傷の痕を見せていましたし。
きっとビオラ様は何か事情をご存知なのでしょう。
でももちろん聞きません。
主が話せないことを侍女である私が聞くことなどあってはいけませんから。
でも、事情を話せないのにも関わらず、私を必要としてくださったことは、とても誇らしく、そして光栄に思います。
少しでもビオラ様のお役に立てるよう、頑張りますよ!
「そういえば、あの男性の膝も完治されたみたいで良かったですね。ビオラ様の治療のおかげですよ」
「本当に良かったわ。痛みに耐えながら歩くのってきっと辛いもの。疲れが溜まると再発する可能性があるかもしれないから、気を付けてくれると良いのだけれど」
「疲れは健康の敵ですからね。ビオラ様も、あまり根を詰めずに、休む時はきちんとお休みになってくださいね」
「あらやだ。やぶ蛇だったかしら? でも、薬作りの時は大目に見てちょうだい」
「ダメですよ。ビオラ様が身体壊されたら、誰もそれを治す薬なんか作れないんですからね」
「その時はハープにきっと頼むわ。貴女なら良い薬を作ってくれるでしょうね」
「看病は侍女の仕事ですが、薬作りは薬師の仕事ですから!」
私の言葉にビオラ様は顔をほころばせました。
きっと、口でこんなことを言っても、もし本当にビオラ様が倒れたら、持ってる限りの知識で薬作りをしてしまうことを分かってらっしゃるんでしょうね。
「ところで、ハープ。前にオルガン様に相談してみると言ったことがあったでしょう?」
「ええ。たくさんの人たちにビオラ様の望むままに薬を分け与える方法ですね。何か良い案が得られましたか?」
「それがね。やっぱり変なのよ。とても曖昧な書き方をなさるの。良い案がある。そのうち分かるから、楽しみにしていて。ですって」
「なんでしょう。良い案がある。についてはどんな案なのか教えていただきたいですし。楽しみにしていて。に至っては意味が分かりかねますね」
「でしょう? でも、もうすぐオルガン様と会えるみたいだから。その時に直接聞いてみるわ」
「まぁ! オルガン様に会いに外出できるんですか? それともオルガン様がこちらへ?」
「こちらにいらっしゃる用事があるみたい。そのついでにお会いできる予定よ。楽しみだわぁ」
「ええ、ええ! ではその日は特別おめかししましょうね。しばらく見ていなかったビオラ様の美貌を再度オルガン様の目に焼き付けさせなくては!」
「うふふ。ハープったら、大げさね」
同じ王都にいらっしゃるオルガン様とはここに来てから一度もお会いできていません。
これも事情というものなのでしょう。
それでも、近々お会いできるということは、喜ばしい限りです。
手紙のやり取りはされていたみたいで、オルガン様からのお返事が来るたびにまるで少女のようにお喜びになっているビオラ様を見るのも嬉しいものですが。
やはりご本人とお会いできる方が嬉しいでしょう。
二人がお会いできる日が私も待ち遠しいです。
「はい! ただいま!」
ビオラ様に干からびた根を渡します。
元々素人だった私は初めてみた時は、こんなものを薬に使うのかと驚いたものです。
今ではこれがどれだけ凄い根なのか、ちゃんと分かってますけどね。
根と一言で言っても、ビオラ様が作る薬に応じて使われるものは様々で、最初の頃は私も苦労しました。
どれがどの根だか見ても分からないんですもの。
実際何度も間違えたのですが、ビオラ様は怒るどころか、どのような部分を見て判断すれば良いのか優しく教えてくれるんです。
『いい? フィーネの根は真っ直ぐ太い根の周りに細いヒゲのようなものがまばらに付いているのよ。似たようなこっちは、同じく太い根を持つけど、曲がりくねっているでしょう? それにヒゲも先端に集まってるの』
『本当ですねぇ。これなら間違えなさそうです!』
『ふふふ。じゃあ、こっちは戻して、改めてフィーネの根を持ってきてくれる?』
『はい! かしこまりました!』
昔のことを思い出してると、ビオラ様が不思議そうな顔で私を見つめているのに気が付きました。
変な顔でもしてたでしょうか。
「どうされました?」
「ううん。なんだか楽しそうな顔をしてるな、と思って。何か良いことでもあった?」
「あ、いえ。昔のことを少し思い出していたんです。持ってくるものをよく間違えたなと」
「うふふ。そんなに間違えてたかしら? 私はハープがいてくれるので大助かりよ?」
「そう言っていただけると光栄です。火傷を負われたみなさんの傷痕の調子も良さそうですし。もう少しで戻れますかね?」
「そうね……もう少しだけ……かかるかしら」
少しだけ歯切れ悪くビオラ様は答えました。
あまり嘘がお上手じゃないですね。
私がここへ案内された時、王都で大火事があって、その際に火傷を負った方々の治療薬を作るのだと聞かされました。
その時は疑いの気持ちなど持ちませんでしたが、すぐにおかしいと気付きました。
実際に治療を受けた方々の火傷の痕の時期がそれぞれ全然違うのですもの。
それに、一人の女性は火事とは関係のない火傷の痕を見せていましたし。
きっとビオラ様は何か事情をご存知なのでしょう。
でももちろん聞きません。
主が話せないことを侍女である私が聞くことなどあってはいけませんから。
でも、事情を話せないのにも関わらず、私を必要としてくださったことは、とても誇らしく、そして光栄に思います。
少しでもビオラ様のお役に立てるよう、頑張りますよ!
「そういえば、あの男性の膝も完治されたみたいで良かったですね。ビオラ様の治療のおかげですよ」
「本当に良かったわ。痛みに耐えながら歩くのってきっと辛いもの。疲れが溜まると再発する可能性があるかもしれないから、気を付けてくれると良いのだけれど」
「疲れは健康の敵ですからね。ビオラ様も、あまり根を詰めずに、休む時はきちんとお休みになってくださいね」
「あらやだ。やぶ蛇だったかしら? でも、薬作りの時は大目に見てちょうだい」
「ダメですよ。ビオラ様が身体壊されたら、誰もそれを治す薬なんか作れないんですからね」
「その時はハープにきっと頼むわ。貴女なら良い薬を作ってくれるでしょうね」
「看病は侍女の仕事ですが、薬作りは薬師の仕事ですから!」
私の言葉にビオラ様は顔をほころばせました。
きっと、口でこんなことを言っても、もし本当にビオラ様が倒れたら、持ってる限りの知識で薬作りをしてしまうことを分かってらっしゃるんでしょうね。
「ところで、ハープ。前にオルガン様に相談してみると言ったことがあったでしょう?」
「ええ。たくさんの人たちにビオラ様の望むままに薬を分け与える方法ですね。何か良い案が得られましたか?」
「それがね。やっぱり変なのよ。とても曖昧な書き方をなさるの。良い案がある。そのうち分かるから、楽しみにしていて。ですって」
「なんでしょう。良い案がある。についてはどんな案なのか教えていただきたいですし。楽しみにしていて。に至っては意味が分かりかねますね」
「でしょう? でも、もうすぐオルガン様と会えるみたいだから。その時に直接聞いてみるわ」
「まぁ! オルガン様に会いに外出できるんですか? それともオルガン様がこちらへ?」
「こちらにいらっしゃる用事があるみたい。そのついでにお会いできる予定よ。楽しみだわぁ」
「ええ、ええ! ではその日は特別おめかししましょうね。しばらく見ていなかったビオラ様の美貌を再度オルガン様の目に焼き付けさせなくては!」
「うふふ。ハープったら、大げさね」
同じ王都にいらっしゃるオルガン様とはここに来てから一度もお会いできていません。
これも事情というものなのでしょう。
それでも、近々お会いできるということは、喜ばしい限りです。
手紙のやり取りはされていたみたいで、オルガン様からのお返事が来るたびにまるで少女のようにお喜びになっているビオラ様を見るのも嬉しいものですが。
やはりご本人とお会いできる方が嬉しいでしょう。
二人がお会いできる日が私も待ち遠しいです。
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