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99%密室暴行事件①
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よく晴れた日の放課後。太陽がアスファルトを反射してとてもまぶしい。
こんな日はアイスを食べるに限る。
学校帰りの僕とスケットくんは近くの駄菓子屋さんによって、1本60円のボリボリくんっというアイスを買った。
太陽に照らされて溶けそうになるアイスをボリボリと食べながら2人で歩いているとスケットくんが話しかけてきた。
「モドルくん~最近事件もなくて平和だよね~」
「確かにね。平和なのは良いことだけどね……あれなんかパトカーの音が聞こえない?」
どんどん近づいてくるパトカーの音は通学路の先にあるアパートの前で停まった。
アパートの敷地の入口にはメイロコーポと書かれている。
僕とスケットくんは事件の匂いを感じてメイロコーポまで走って行った。
アパートの前に停まったパトカーから出てきたのはスーツを着た2人の刑事。
「日暮(ひぐらし)警部補。これは事件の匂いがしますね」
若い女性の刑事が帽子と夕陽色のトレンチコートを着た男の刑事に言った。
「有栖(ありす)刑事。事件だから私たちきたんでしょ」
日暮警部補はやれやれとため息を吐いた。
「確かにその通りですね!さあいきましょう」
日暮警部補と有栖刑事はそのまま3階建てのアパートの3階まで登って行くとドアチャイムを押した。
「やっぱ事件だね」
スケットくんは少し嬉しそうにそう言うと足音を立てないように階段を登り始めた。
やめた方がよいと思いつつも僕もスケットくんの後ろに続く。
「はーい。あ、やっときてくれた」
部屋から出てきたのは若いお兄さん。バンドマンみたいな服を着ている。
お兄さんのほっぺたが赤く膨らんで腫れている。誰かに殴られたのかとても痛そうだ。
「うわぁ……痛そう」
スケットくんは思わずつぶやいた。
「きみたちここで何をしているんだ!?」
日暮警部補は犯人を見るような鋭い目を僕とスケットくんに向けてくる。
僕は思わず顔をそらした。スケットくんも同じように顔をそらしたみたいで、お互い顔を見合う形になった。
「あっ!この特徴的なメガネ……この子、犬井警部が言ってた少年探偵とその助手じゃないですか?」
「犬井警部の息子さんが推理バトルで負けてしまったという!確か時巻くんと助友くんだったね」
日暮警部補はあごに手をやってなにか考え始めた。
「よし。きみたちもここにいなさい」
「え、いいんですか?」
僕は驚いた。絶対帰らされると思ったからだ。
「私たちと協力して事件を解決に導いてくれ」
「日暮警部補!わかりました!」
僕とスケットくんはそう言って日暮警部補に敬礼をした。
日暮警部補も敬礼すると隣にいた有栖刑事も遅れて敬礼をする。
これも殺魚未遂事件でケイジくんに勝利したおかげだ。
「とりあえずなんでもいいんで犯人見つけてくださいよ。とりあえず中へどうぞ」
ほっぺたの腫れたお兄さんに案内されて部屋の中に入った。
お兄さんの名前は加藤騒太(かとうそうた)。
加藤さんは今から30分くらい前の17時頃に部屋で昼寝をしていたところ何者かが部屋に入ってきてギターを取られそうになった。
ギターは何とか守ったがそのときに顔を殴られたという。少しの間気を失っていて目が覚めたら犯人は逃げて行った後だったそうだ。運のいいことにケガは大ケガではなさそうだ。
「犯人の顔は見ましたか?」
有栖刑事は黒い手帳にメモを取りながら加藤さんにたずねた。いかにも本物の刑事ぽい。
「それが寝起きで目がしょぼしょぼしていたから顔は分からなくて」
加藤さんは頭をポリポリとかきながら記憶を思い出しながら話している。
「これは暴行事件ですね。犯人がどこから侵入したのか」
「それは玄関だと思います。そこしか入口ないですし」
加藤さんはそう言うが部屋にはもうひとつ入口があるはずだ。
「窓から入ってきた可能性もあるはずです!」
僕はクラスで発言するように手を上げてそう言った。
すると日暮警部補は駆け足で窓の方へと向かった。
僕とスケットくんも後をおって部屋の奥へ入っていく。
加藤さんの部屋はワンルームでダンボールがたくさん置いてあった。
他には布団や机があって、あとは音楽にかかわるものしか置いていない。
加藤さんが守り通したギターもしっかり部屋に置いてある。ギターを見るのは初めてだけど見るからに高そうだ。
こんな日はアイスを食べるに限る。
学校帰りの僕とスケットくんは近くの駄菓子屋さんによって、1本60円のボリボリくんっというアイスを買った。
太陽に照らされて溶けそうになるアイスをボリボリと食べながら2人で歩いているとスケットくんが話しかけてきた。
「モドルくん~最近事件もなくて平和だよね~」
「確かにね。平和なのは良いことだけどね……あれなんかパトカーの音が聞こえない?」
どんどん近づいてくるパトカーの音は通学路の先にあるアパートの前で停まった。
アパートの敷地の入口にはメイロコーポと書かれている。
僕とスケットくんは事件の匂いを感じてメイロコーポまで走って行った。
アパートの前に停まったパトカーから出てきたのはスーツを着た2人の刑事。
「日暮(ひぐらし)警部補。これは事件の匂いがしますね」
若い女性の刑事が帽子と夕陽色のトレンチコートを着た男の刑事に言った。
「有栖(ありす)刑事。事件だから私たちきたんでしょ」
日暮警部補はやれやれとため息を吐いた。
「確かにその通りですね!さあいきましょう」
日暮警部補と有栖刑事はそのまま3階建てのアパートの3階まで登って行くとドアチャイムを押した。
「やっぱ事件だね」
スケットくんは少し嬉しそうにそう言うと足音を立てないように階段を登り始めた。
やめた方がよいと思いつつも僕もスケットくんの後ろに続く。
「はーい。あ、やっときてくれた」
部屋から出てきたのは若いお兄さん。バンドマンみたいな服を着ている。
お兄さんのほっぺたが赤く膨らんで腫れている。誰かに殴られたのかとても痛そうだ。
「うわぁ……痛そう」
スケットくんは思わずつぶやいた。
「きみたちここで何をしているんだ!?」
日暮警部補は犯人を見るような鋭い目を僕とスケットくんに向けてくる。
僕は思わず顔をそらした。スケットくんも同じように顔をそらしたみたいで、お互い顔を見合う形になった。
「あっ!この特徴的なメガネ……この子、犬井警部が言ってた少年探偵とその助手じゃないですか?」
「犬井警部の息子さんが推理バトルで負けてしまったという!確か時巻くんと助友くんだったね」
日暮警部補はあごに手をやってなにか考え始めた。
「よし。きみたちもここにいなさい」
「え、いいんですか?」
僕は驚いた。絶対帰らされると思ったからだ。
「私たちと協力して事件を解決に導いてくれ」
「日暮警部補!わかりました!」
僕とスケットくんはそう言って日暮警部補に敬礼をした。
日暮警部補も敬礼すると隣にいた有栖刑事も遅れて敬礼をする。
これも殺魚未遂事件でケイジくんに勝利したおかげだ。
「とりあえずなんでもいいんで犯人見つけてくださいよ。とりあえず中へどうぞ」
ほっぺたの腫れたお兄さんに案内されて部屋の中に入った。
お兄さんの名前は加藤騒太(かとうそうた)。
加藤さんは今から30分くらい前の17時頃に部屋で昼寝をしていたところ何者かが部屋に入ってきてギターを取られそうになった。
ギターは何とか守ったがそのときに顔を殴られたという。少しの間気を失っていて目が覚めたら犯人は逃げて行った後だったそうだ。運のいいことにケガは大ケガではなさそうだ。
「犯人の顔は見ましたか?」
有栖刑事は黒い手帳にメモを取りながら加藤さんにたずねた。いかにも本物の刑事ぽい。
「それが寝起きで目がしょぼしょぼしていたから顔は分からなくて」
加藤さんは頭をポリポリとかきながら記憶を思い出しながら話している。
「これは暴行事件ですね。犯人がどこから侵入したのか」
「それは玄関だと思います。そこしか入口ないですし」
加藤さんはそう言うが部屋にはもうひとつ入口があるはずだ。
「窓から入ってきた可能性もあるはずです!」
僕はクラスで発言するように手を上げてそう言った。
すると日暮警部補は駆け足で窓の方へと向かった。
僕とスケットくんも後をおって部屋の奥へ入っていく。
加藤さんの部屋はワンルームでダンボールがたくさん置いてあった。
他には布団や机があって、あとは音楽にかかわるものしか置いていない。
加藤さんが守り通したギターもしっかり部屋に置いてある。ギターを見るのは初めてだけど見るからに高そうだ。
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