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対決!殺魚事件⑤
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「そう!メダちゃんが元気を無くしたのは水槽の水が汚れていたから。次に容疑者だが3人いる。ペット係の飼馬くん、そして水曜にクラブ活動をしていたサッカークラブの玉止くんと、音楽クラブの笛口さん、3人共前に出てきてください」
ケイジくんの言葉を聞いて3人は黒板の前にやってきた。
「ここまではいいかな時巻探偵?」
「僕たちが帰る前、メダちゃんはまだ元気に泳いでいたから、事件は放課後に起こった。だとすると放課後残っていた、この3人が犯人候補なのは間違いないよ」
ケイジくんと僕の意見が合ったことでクラスメイトは拍手を送る。
「大事なのは動機。なぜ犯人は水槽の水を汚したのか。この中で動機があるのは1人だけだ」
「飼馬くんはこのクラスで一番メダちゃんを可愛がっていた。玉止くんはサッカーに熱中している。とすると……犯人は魚嫌いの笛口さん、きみだ!」
ケイジくんはズバリそう言い放った。自信満々なケイジは僕の方を見て笑顔を見せた。
「私やってないよ!」
笛口さんは無実をうったえた。いつもは静かな笛口さんがこんなに大きな声をあげるのを初めて聞いた。
クラスメイトみんなの視線が笛口さんに集まった。
「時巻探偵の推理はどうなんだ?」
「ケイジくんの推理は惜しいけど、事件の真相は違う!」
「な、なんだとっ!」
驚きを隠せないケイジくん、容疑者の3人、そしてクラスメイトに僕の導き出した推理を披露する。
「事件の真相はこうだ。最初のきっかけはペット係の飼馬くんがした水槽の水換えだ。飼馬くんは16時30分から塾があったから急いで水換えをした。結果、水槽の水は8割しか入っていなかった」
「そんな……僕が……」
飼馬くんは驚いたような顔をして顔を下に向けた。
「このバケツとポンプの中に残ったままの水が証拠だ」
スケットくんは水の残ったバケツを揺らして見せた。タプタプという水が揺れ動く音が教室に響く。
「急いで帰った飼馬くんに変わって教室に戻ってきたのは笛口さん。16時25分、ケイジくんの言う通りリコーダーを取りに来た笛口さんはある人と出会ってしまう」
「ある人って?」
第一発見者の小春ちゃんは興味津々で聞いてくる。
「それは担持先生だ。水槽の水が満杯になってないことに気がついた担持先生だったけど、16時30分から会議があったから、水を足すのを魚嫌いの笛口さんに頼んでしまう」
「担持先生は職員室へ戻っていった。そして残った笛口さんは魚嫌いだから水槽に水を足すことは出来ず、忘れ物を取りに来た玉止くんに担持先生からのお願いということで水を足すのを頼んだ」
「そんなはずない!俺は玉止くんにも事情聴取をした!教室には誰もいなかったって言っていた」
ケイジくんは大声でそう叫んだ。
「その通り。教室では。笛口さんと玉止くんは廊下で会ったんだ。そうだよね笛口さん?」
「うん。時巻くんの言う通り。廊下に出たところで玉止くんに会って水を足すのをお願いしたんだよ」
「だけどまた新しい問題がでてくる。水を足すには水槽を持っていくか、バケツに水を入れて持っていくかのどちらかしかない」
「水槽の水を足すにはその方法しかないよ」
飼馬くんはうんうんと頷いた。
「玉止くんにはそれが出来なかった。なぜなら怪我をしているからだ!」
「この通り!」
玉止くんは包帯が巻かれた右手をみんなに見せる。クラスメイトのおーという声が響き渡る。
「そこで玉止くんは考えただろう。どうしたら良いか。そこで思いついたのは水筒だ。水槽の周りには水たまりがあった。そしてその水たまりには虫島くんの飼っているアリがたくさんいた」
「アリは砂糖が好きだからね」
虫島くんはニシシと笑ってアリがたくさん入っているビンを見せる。
「そう玉止くんは水筒に入っていたスポーツドリンクを水槽の中に入れたんだ。スポーツドリンクには砂糖がたくさん入っている。もちろん砂糖以外にも色んな成分がね」
「時巻くんの言う通りだよ。俺もメダカが汚れた水が嫌いなことは知ってた。でもスポーツドリンクなら大丈夫だろって思っちゃったんだ。栄養たくさん入ってるし」
「じゃあ、そのスポーツドリンクが原因でメダちゃんは……」
「その通り!この事件には動機がない!動機のない事件だったんだ!犯人は1人じゃない。飼馬くんの焦り、笛口さんの恐怖、玉止くんの勘違いが今回の殺魚未遂事件を引き起こしたんだ!」
「そうだったのか……笛口さん本当にごめん」
ケイジくんは落ち込み笛口さんに頭を下げた。
「ううん。みんな私こそごめんなさい。私がちゃんと水を足していれば」
「いや、僕がちゃんと水換えを終わらせていれば」
「いやいや俺がスポーツドリンクなんか入れなければ」
3人が3人共落ち込んで顔を下に向ける。その時、教室のドアが勢いよく開いた。
「みんな!ごめん!俺が水を足してやってれば」
ドアの向こうで話を聞いていた担持先生が教室に入ってきた。
「4人目の犯人がいたね」
スケットくんがそう言って笑うと、クラスメイトみんなも笑顔になった。
それからみんなでメダちゃんの水槽の水を綺麗な水に入れ替えた。すると今朝まで元気のなかったメダちゃんは、すぐに元気になって水槽の中を泳ぎ出したんだ。
「時巻探偵……俺の完敗だ。さすがの推理力だよ」
ケイジくんは僕の前に手を出してきた。僕はその手を握って握手した。今度は手を叩かれることはなかった。
「ケイジくんもさすがだったよ」
「お父さんにも時巻探偵のこと話しておくよ。俺のライバルができたってな。今度は負けないぞ」
ケイジくんはそう言うと握手した手を強く握った。
僕がタイムメガネでタイムリープできるってことはケイジくんには言えないな、そんなことを思ったりした。
こうして事件は幕を閉じた。
探偵、時巻モドルの事件簿に記録しよう。
『殺魚未遂事件と動機なき4人の犯人』
ケイジくんの言葉を聞いて3人は黒板の前にやってきた。
「ここまではいいかな時巻探偵?」
「僕たちが帰る前、メダちゃんはまだ元気に泳いでいたから、事件は放課後に起こった。だとすると放課後残っていた、この3人が犯人候補なのは間違いないよ」
ケイジくんと僕の意見が合ったことでクラスメイトは拍手を送る。
「大事なのは動機。なぜ犯人は水槽の水を汚したのか。この中で動機があるのは1人だけだ」
「飼馬くんはこのクラスで一番メダちゃんを可愛がっていた。玉止くんはサッカーに熱中している。とすると……犯人は魚嫌いの笛口さん、きみだ!」
ケイジくんはズバリそう言い放った。自信満々なケイジは僕の方を見て笑顔を見せた。
「私やってないよ!」
笛口さんは無実をうったえた。いつもは静かな笛口さんがこんなに大きな声をあげるのを初めて聞いた。
クラスメイトみんなの視線が笛口さんに集まった。
「時巻探偵の推理はどうなんだ?」
「ケイジくんの推理は惜しいけど、事件の真相は違う!」
「な、なんだとっ!」
驚きを隠せないケイジくん、容疑者の3人、そしてクラスメイトに僕の導き出した推理を披露する。
「事件の真相はこうだ。最初のきっかけはペット係の飼馬くんがした水槽の水換えだ。飼馬くんは16時30分から塾があったから急いで水換えをした。結果、水槽の水は8割しか入っていなかった」
「そんな……僕が……」
飼馬くんは驚いたような顔をして顔を下に向けた。
「このバケツとポンプの中に残ったままの水が証拠だ」
スケットくんは水の残ったバケツを揺らして見せた。タプタプという水が揺れ動く音が教室に響く。
「急いで帰った飼馬くんに変わって教室に戻ってきたのは笛口さん。16時25分、ケイジくんの言う通りリコーダーを取りに来た笛口さんはある人と出会ってしまう」
「ある人って?」
第一発見者の小春ちゃんは興味津々で聞いてくる。
「それは担持先生だ。水槽の水が満杯になってないことに気がついた担持先生だったけど、16時30分から会議があったから、水を足すのを魚嫌いの笛口さんに頼んでしまう」
「担持先生は職員室へ戻っていった。そして残った笛口さんは魚嫌いだから水槽に水を足すことは出来ず、忘れ物を取りに来た玉止くんに担持先生からのお願いということで水を足すのを頼んだ」
「そんなはずない!俺は玉止くんにも事情聴取をした!教室には誰もいなかったって言っていた」
ケイジくんは大声でそう叫んだ。
「その通り。教室では。笛口さんと玉止くんは廊下で会ったんだ。そうだよね笛口さん?」
「うん。時巻くんの言う通り。廊下に出たところで玉止くんに会って水を足すのをお願いしたんだよ」
「だけどまた新しい問題がでてくる。水を足すには水槽を持っていくか、バケツに水を入れて持っていくかのどちらかしかない」
「水槽の水を足すにはその方法しかないよ」
飼馬くんはうんうんと頷いた。
「玉止くんにはそれが出来なかった。なぜなら怪我をしているからだ!」
「この通り!」
玉止くんは包帯が巻かれた右手をみんなに見せる。クラスメイトのおーという声が響き渡る。
「そこで玉止くんは考えただろう。どうしたら良いか。そこで思いついたのは水筒だ。水槽の周りには水たまりがあった。そしてその水たまりには虫島くんの飼っているアリがたくさんいた」
「アリは砂糖が好きだからね」
虫島くんはニシシと笑ってアリがたくさん入っているビンを見せる。
「そう玉止くんは水筒に入っていたスポーツドリンクを水槽の中に入れたんだ。スポーツドリンクには砂糖がたくさん入っている。もちろん砂糖以外にも色んな成分がね」
「時巻くんの言う通りだよ。俺もメダカが汚れた水が嫌いなことは知ってた。でもスポーツドリンクなら大丈夫だろって思っちゃったんだ。栄養たくさん入ってるし」
「じゃあ、そのスポーツドリンクが原因でメダちゃんは……」
「その通り!この事件には動機がない!動機のない事件だったんだ!犯人は1人じゃない。飼馬くんの焦り、笛口さんの恐怖、玉止くんの勘違いが今回の殺魚未遂事件を引き起こしたんだ!」
「そうだったのか……笛口さん本当にごめん」
ケイジくんは落ち込み笛口さんに頭を下げた。
「ううん。みんな私こそごめんなさい。私がちゃんと水を足していれば」
「いや、僕がちゃんと水換えを終わらせていれば」
「いやいや俺がスポーツドリンクなんか入れなければ」
3人が3人共落ち込んで顔を下に向ける。その時、教室のドアが勢いよく開いた。
「みんな!ごめん!俺が水を足してやってれば」
ドアの向こうで話を聞いていた担持先生が教室に入ってきた。
「4人目の犯人がいたね」
スケットくんがそう言って笑うと、クラスメイトみんなも笑顔になった。
それからみんなでメダちゃんの水槽の水を綺麗な水に入れ替えた。すると今朝まで元気のなかったメダちゃんは、すぐに元気になって水槽の中を泳ぎ出したんだ。
「時巻探偵……俺の完敗だ。さすがの推理力だよ」
ケイジくんは僕の前に手を出してきた。僕はその手を握って握手した。今度は手を叩かれることはなかった。
「ケイジくんもさすがだったよ」
「お父さんにも時巻探偵のこと話しておくよ。俺のライバルができたってな。今度は負けないぞ」
ケイジくんはそう言うと握手した手を強く握った。
僕がタイムメガネでタイムリープできるってことはケイジくんには言えないな、そんなことを思ったりした。
こうして事件は幕を閉じた。
探偵、時巻モドルの事件簿に記録しよう。
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