21 / 30
対決!殺魚事件③
しおりを挟む
「放課後残っていたクラスメイトは3人だけ、だけど他のクラスのやつが犯人の可能性もある。俺はこれから他のクラスに聞き込みいってくるぜ」
ケイジくんはまだ授業時間なのに教室を出て行ってしまった。刑事が夢のケイジくんだ忍び足で教室を出て他のクラスにひっそりと入ることも簡単にできちゃうはずだ。
「とりあえず玉止くんと笛口さんに話を聞いてみようよ」
僕はスケットくんと一緒に玉止くんの席へ。
「ゴクッゴクッ……どうした2人とも」
ちょうど水筒で飲み物を飲んでいた玉止くんは、野球クラブの打野くんと同じくらい運動神経がよい。
身長も高くて足も長い、こないだの椅子取りゲームでもベスト8に残っていた強者だ。
「昨日の放課後何をしてたか話聞きたくて」
「昨日はサッカークラブの練習を見学してたよ。ほら俺ゴールキーパーなのに右手がこれだからさ」
玉止くんの右手は包帯がぐるぐる巻きになっていた。見てるだけでも痛そうだ。
話を聞くと最近ゴールキーパー練習中に突き指をしたみたいで、重たいものを持たないようにと病院の先生から言われているみたいだ。
「サッカークラブに行った後って教室に戻ったりしなかった?」
「あー。水筒を忘れちゃってさ16時30分頃に教室に戻ったよ」
玉止くんは記憶を思い出すように顔を右上に向けて腕を組んでいる。
「その教室で誰かに会わなかった?」
「教室には誰もいなかったな。忘れ物を取ってから、担持先生から水槽を満杯にしといてって言われたから水槽に水いれたよ」
玉止くんの言葉を聞いて水槽の方を見てみる。
今は確かに満杯に水が入っている。満杯に入れすぎたから周りに水がこぼれていたのか。
担持先生のお願いしたことが本当なら、飼馬くんは水換えをしていないことになるのか?
これは確認する必要がある。もし飼馬くんが水換えをしていないなら水槽の水は汚れたままでメダちゃんが元気が無くなったのもうなずける。
「時間よ巻きもどれ!タイムリープ!ゴー!」
僕はタイムメガネで昨日の16時9分にタイムリープした。
飼馬くんの話によると16時10分に水換えが終わったから1分前だったらちょうど水換えをしている途中のはずだ。
僕はそーっと教室の外から中を覗いてみる。水槽の前でバケツとポンプを持って水換えをしている飼馬くんの姿が見えた。飼馬くんは慣れた手つきで水換えをしている。
「よかった。飼馬くんはちゃんと水換えをしていたんだ」
ちょうど水換えを終わった様子で急いで片付けをしている。
塾の時間が近づいてきている飼馬くんは教室の前にある時計をちらちら見ている。
慌ててバケツとポンプを掃除用のロッカーへ入れるとランドセルを片側の肩に背負って走って教室から出て行った。
僕は誰もいなくなった教室に入って水槽を確認する。
「水が8割くらいまでしか入っていない」
飼馬くんはちゃんと水換えをしていたけど、水を満杯にしていなかった。
だからそれを見つけた担持先生は忘れ物をしてタイミングよく戻ってきた玉止くんに水を入れるのをお願いしたんだ。
水槽の中のメダちゃんは元気に泳いでいる。水槽の水も透明で綺麗だ。
その様子を眺めているとタイムメガネが3分間の終わりを知らせて、僕はオリジナルタイムに戻ってきた。
僕はスケットくんはケイジくんと同じように忍び足で教室を出た。職員室で担持先生に話を聞きに行くためだ。
「おー時巻に助友、どうした?まだ自習の時間中だろ?」
担持先生に言われて思い出した。まだ1時間目の授業中だったんだ。
「えーっと分からない問題がありまして……」
僕が苦しまぎれとっさにそう言うとスケットくんもうんうんと何度もうなずいた。
「なるほどな!それで教科書かノートは持ってきたのか?」
担持先生は座ったまま僕たちの表情を観察するようにまじまじ見つめる。
ごまかそうと思ったけど教科書やノートなんて持ってきてない。どうしたものか。
「ごめんなさい!実はメダちゃんの元気が無くなっていて、それを調べるために担持先生に話を聞きにきました」
僕は素直に謝って頭を下げた。
「そういうことか。授業中抜け出すのはよくないが、メダちゃんの元気がないのは俺も心配だ。なんでも聞いてくれ」
担持先生の真剣な表情に少し笑みがあらわれた。
僕とスケットくんはお互いの顔を見あってホッとため息をはいた。
「担持先生、昨日なんですけど放課後、教室に戻りましたか?」
「ああ戻ったよ。放課後残ってる生徒がいないかどうか確認しに」
「その時、玉止くんに会いました?あと時間は16時30分くらいでしたか?」
ケイジくんはまだ授業時間なのに教室を出て行ってしまった。刑事が夢のケイジくんだ忍び足で教室を出て他のクラスにひっそりと入ることも簡単にできちゃうはずだ。
「とりあえず玉止くんと笛口さんに話を聞いてみようよ」
僕はスケットくんと一緒に玉止くんの席へ。
「ゴクッゴクッ……どうした2人とも」
ちょうど水筒で飲み物を飲んでいた玉止くんは、野球クラブの打野くんと同じくらい運動神経がよい。
身長も高くて足も長い、こないだの椅子取りゲームでもベスト8に残っていた強者だ。
「昨日の放課後何をしてたか話聞きたくて」
「昨日はサッカークラブの練習を見学してたよ。ほら俺ゴールキーパーなのに右手がこれだからさ」
玉止くんの右手は包帯がぐるぐる巻きになっていた。見てるだけでも痛そうだ。
話を聞くと最近ゴールキーパー練習中に突き指をしたみたいで、重たいものを持たないようにと病院の先生から言われているみたいだ。
「サッカークラブに行った後って教室に戻ったりしなかった?」
「あー。水筒を忘れちゃってさ16時30分頃に教室に戻ったよ」
玉止くんは記憶を思い出すように顔を右上に向けて腕を組んでいる。
「その教室で誰かに会わなかった?」
「教室には誰もいなかったな。忘れ物を取ってから、担持先生から水槽を満杯にしといてって言われたから水槽に水いれたよ」
玉止くんの言葉を聞いて水槽の方を見てみる。
今は確かに満杯に水が入っている。満杯に入れすぎたから周りに水がこぼれていたのか。
担持先生のお願いしたことが本当なら、飼馬くんは水換えをしていないことになるのか?
これは確認する必要がある。もし飼馬くんが水換えをしていないなら水槽の水は汚れたままでメダちゃんが元気が無くなったのもうなずける。
「時間よ巻きもどれ!タイムリープ!ゴー!」
僕はタイムメガネで昨日の16時9分にタイムリープした。
飼馬くんの話によると16時10分に水換えが終わったから1分前だったらちょうど水換えをしている途中のはずだ。
僕はそーっと教室の外から中を覗いてみる。水槽の前でバケツとポンプを持って水換えをしている飼馬くんの姿が見えた。飼馬くんは慣れた手つきで水換えをしている。
「よかった。飼馬くんはちゃんと水換えをしていたんだ」
ちょうど水換えを終わった様子で急いで片付けをしている。
塾の時間が近づいてきている飼馬くんは教室の前にある時計をちらちら見ている。
慌ててバケツとポンプを掃除用のロッカーへ入れるとランドセルを片側の肩に背負って走って教室から出て行った。
僕は誰もいなくなった教室に入って水槽を確認する。
「水が8割くらいまでしか入っていない」
飼馬くんはちゃんと水換えをしていたけど、水を満杯にしていなかった。
だからそれを見つけた担持先生は忘れ物をしてタイミングよく戻ってきた玉止くんに水を入れるのをお願いしたんだ。
水槽の中のメダちゃんは元気に泳いでいる。水槽の水も透明で綺麗だ。
その様子を眺めているとタイムメガネが3分間の終わりを知らせて、僕はオリジナルタイムに戻ってきた。
僕はスケットくんはケイジくんと同じように忍び足で教室を出た。職員室で担持先生に話を聞きに行くためだ。
「おー時巻に助友、どうした?まだ自習の時間中だろ?」
担持先生に言われて思い出した。まだ1時間目の授業中だったんだ。
「えーっと分からない問題がありまして……」
僕が苦しまぎれとっさにそう言うとスケットくんもうんうんと何度もうなずいた。
「なるほどな!それで教科書かノートは持ってきたのか?」
担持先生は座ったまま僕たちの表情を観察するようにまじまじ見つめる。
ごまかそうと思ったけど教科書やノートなんて持ってきてない。どうしたものか。
「ごめんなさい!実はメダちゃんの元気が無くなっていて、それを調べるために担持先生に話を聞きにきました」
僕は素直に謝って頭を下げた。
「そういうことか。授業中抜け出すのはよくないが、メダちゃんの元気がないのは俺も心配だ。なんでも聞いてくれ」
担持先生の真剣な表情に少し笑みがあらわれた。
僕とスケットくんはお互いの顔を見あってホッとため息をはいた。
「担持先生、昨日なんですけど放課後、教室に戻りましたか?」
「ああ戻ったよ。放課後残ってる生徒がいないかどうか確認しに」
「その時、玉止くんに会いました?あと時間は16時30分くらいでしたか?」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
コボンとニャンコ
魔界の風リーテ
児童書・童話
吸血コウモリのコボンは、リンゴの森で暮らしていた。
その日常は、木枯らしの秋に倒壊し、冬が厳粛に咲き誇る。
放浪の最中、箱入りニャンコと出会ったのだ。
「お前は、バン。オレが…気まぐれに決めた」
三日月の霞が晴れるとき、黒き羽衣に火が灯る。
そばにはいつも、夜空と暦十二神。
『コボンの愛称以外のなにかを探して……』
眠りの先には、イルカのエクアルが待っていた。
残酷で美しい自然を描いた、物悲しくも心温まる物語。
※縦書き推奨
アルファポリス、ノベルデイズにて掲載
【文章が長く、読みにくいので、修正します】(2/23)
【話を分割。文字数、表現などを整えました】(2/24)
【規定数を超えたので、長編に変更。20話前後で完結予定】(2/25)
【描写を追加、変更。整えました】(2/26)
筆者の体調を破壊()3/
シンクの卵
名前も知らない兵士
児童書・童話
小学五年生で文房具好きの桜井春は、小学生ながら秘密組織を結成している。
メンバーは四人。秘密のアダ名を使うことを義務とする。六年生の閣下、同級生のアンテナ、下級生のキキ、そして桜井春ことパルコだ。
ある日、パルコは死んだ父親から手紙をもらう。
手紙の中には、銀貨一枚と黒いカードが入れられており、カードには暗号が書かれていた。
その暗号は市境にある廃工場の場所を示していた。
とある夜、忍び込むことを計画した四人は、集合場所で出くわしたファーブルもメンバーに入れて、五人で廃工場に侵入する。
廃工場の一番奥の一室に、誰もいないはずなのにランプが灯る「世界を変えるための不必要の部屋」を発見する五人。
そこには古い机と椅子、それに大きな本とインクが入った卵型の瓶があった。
エポックメイキング。
その本に万年筆で署名して、正式な秘密組織を発足させることを思いつくパルコ。
その本は「シンクの卵」と呼ばれ、書いたことが現実になる本だった。
荒川ハツコイ物語~宇宙から来た少女と過ごした小学生最後の夏休み~
釈 余白(しやく)
児童書・童話
今より少し前の時代には、子供らが荒川土手に集まって遊ぶのは当たり前だったらしい。野球をしたり凧揚げをしたり釣りをしたり、時には決闘したり下級生の自転車練習に付き合ったりと様々だ。
そんな話を親から聞かされながら育ったせいなのか、僕らの遊び場はもっぱら荒川土手だった。もちろん小学生最後となる六年生の夏休みもいつもと変わらず、いつものように幼馴染で集まってありきたりの遊びに精を出す毎日である。
そして今日は鯉釣りの予定だ。今まで一度も釣り上げたことのない鯉を小学生のうちに釣り上げるのが僕、田口暦(たぐち こよみ)の目標だった。
今日こそはと強い意気込みで釣りを始めた僕だったが、初めての鯉と出会う前に自分を宇宙人だと言う女子、ミクに出会い一目で恋に落ちてしまった。だが夏休みが終わるころには自分の星へ帰ってしまうと言う。
かくして小学生最後の夏休みは、彼女が帰る前に何でもいいから忘れられないくらいの思い出を作り、特別なものにするという目的が最優先となったのだった。
はたして初めての鯉と初めての恋の両方を成就させることができるのだろうか。
鎌倉西小学校ミステリー倶楽部
澤田慎梧
児童書・童話
【「鎌倉猫ヶ丘小ミステリー倶楽部」に改題して、アルファポリスきずな文庫より好評発売中!】
https://kizuna.alphapolis.co.jp/book/11230
【「第1回きずな児童書大賞」にて、「謎解きユニーク探偵賞」を受賞】
市立「鎌倉西小学校」には不思議な部活がある。その名も「ミステリー倶楽部」。なんでも、「学校の怪談」の正体を、鮮やかに解明してくれるのだとか……。
学校の中で怪奇現象を目撃したら、ぜひとも「ミステリー倶楽部」に相談することをオススメする。
案外、つまらない勘違いが原因かもしれないから。
……本物の「お化け」や「妖怪」が出てくる前に、相談しに行こう。
※本作品は小学校高学年以上を想定しています。作中の漢字には、ふりがなが多く振ってあります。
※本作品はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
※本作品は、三人の主人公を描いた連作短編です。誰を主軸にするかで、ジャンルが少し変化します。
※カクヨムさんにも投稿しています(初出:2020年8月1日)
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録〜討伐も採集もお任せください!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?〜
うさみち
児童書・童話
【見習い錬金術士とうさぎのぬいぐるみたちが描く、スパイス混じりのゆるふわ冒険!情報収集のために、お仕事のご依頼も承ります!】
「……襲われてる! 助けなきゃ!」
錬成アイテムの採集作業中に訪れた、モンスターに襲われている少年との突然の出会い。
人里離れた山陵の中で、慎ましやかに暮らしていた見習い錬金術士ミミリと彼女の家族、機械人形(オートマタ)とうさぎのぬいぐるみ。彼女たちの運命は、少年との出会いで大きく動き出す。
「俺は、ある人たちから頼まれて預かり物を渡すためにここに来たんだ」
少年から渡された物は、いくつかの錬成アイテムと一枚の手紙。
「……この手紙、私宛てなの?」
少年との出会いをキッカケに、ミミリはある人、あるアイテムを探すために冒険を始めることに。
――冒険の舞台は、まだ見ぬ世界へ。
新たな地で、右も左もわからないミミリたちの人探し。その方法は……。
「討伐、採集何でもします!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?」
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録は、今、ここから綴られ始める。
《この小説の見どころ》
①可愛いらしい登場人物
見習い錬金術士のゆるふわ少女×しっかり者だけど寂しがり屋の凄腕美少女剣士の機械人形(オートマタ)×ツンデレ魔法使いのうさぎのぬいぐるみ×コシヌカシの少年⁉︎
②ほのぼのほんわか世界観
可愛いらしいに囲まれ、ゆったり流れる物語。読了後、「ほわっとした気持ち」になってもらいたいをコンセプトに。
③時々スパイスきいてます!
ゆるふわの中に時折現れるスパイシーな展開。そして時々ミステリー。
④魅力ある錬成アイテム
錬金術士の醍醐味!それは錬成アイテムにあり。魅力あるアイテムを活用して冒険していきます。
◾️第3章完結!現在第4章執筆中です。
◾️この小説は小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
◾️作者以外による小説の無断転載を禁止しています。
◾️挿絵はなんでも書いちゃうヨギリ酔客様からご寄贈いただいたものです。
悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~
橘花やよい
児童書・童話
女子中学生・リリイが、入学することになったのは、お嬢さま学校。でもそこは「悪魔」の学校で、「執事として入学してちょうだい」……って、どういうことなの⁉待ち構えるのは、きれいでいじわるな悪魔たち!
友情と魔法と、胸キュンもありの学園ファンタジー。
第2回きずな児童書大賞参加作です。
夢の中で人狼ゲーム~負けたら存在消滅するし勝ってもなんかヤバそうなんですが~
世津路 章
児童書・童話
《蒲帆フウキ》は通信簿にも“オオカミ少年”と書かれるほどウソつきな小学生男子。
友達の《東間ホマレ》・《印路ミア》と一緒に、時々担任のこわーい本間先生に怒られつつも、おもしろおかしく暮らしていた。
ある日、駅前で配られていた不思議なカードをもらったフウキたち。それは、夢の中で行われる《バグストマック・ゲーム》への招待状だった。ルールは人狼ゲームだが、勝者はなんでも願いが叶うと聞き、フウキ・ホマレ・ミアは他の参加者と対決することに。
だが、彼らはまだ知らなかった。
ゲームの敗者は、現実から存在が跡形もなく消滅すること――そして勝者ですら、ゲームに潜む呪いから逃れられないことを。
敗退し、この世から消滅した友達を取り戻すため、フウキはゲームマスターに立ち向かう。
果たしてウソつきオオカミ少年は、勝っても負けても詰んでいる人狼ゲームに勝利することができるのだろうか?
8月中、ほぼ毎日更新予定です。
(※他小説サイトに別タイトルで投稿してます)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる