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名探偵のおじいちゃん②
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「こっちにも鯛が入ってる!」
おじいさんのクーラーボックスにも鯛が入っている。
狭いクーラーボックスをゆっくりと鯛が泳いでいる。
「謎は解けたぞ!モドルはどうじゃ?」
おじいちゃんは自信満々だ。僕は考える。いままでおじいちゃんが色々な事件を解くのを見てきた。僕にだって解けるはずだ。
千さんの両隣にいる中学生もおじいさんもどちらも近いから盗むことはできるはず。
2人のクーラーボックスにはどっちにも鯛が入っている。
千さんは鯛を釣ったばっかだったから元気だったはずだ。そんな鯛を盗もうとしたら鯛が暴れて千さんにバレてしまうはずだ。
ということはきっとクーラーボックスを交換したんだ!
「分かったよ!犯人はおじいさんだ」
「お!なんでじゃ?」
「鯛を手で盗もうとしたら暴れちゃう。いくら千さんが釣りに集中しててもそんなことしたら気づくけどクーラーボックスを入れ替えるだけなら気づかないはず!」
「おう、さすがじゃ!」
「中学生のクーラーボックスは青い線が入ってたけど、千さんとおじいさんのクーラーボックスは真っ白だった。ということは同じクーラーボックスを使ってるおじいさんが犯人だ」
「ぶっぶー!ハズレじゃ!」
おじいちゃんは胸の前でバッテンを作った。
「え、なんで?」
僕にはなんでか全くわからない。
「千さんは鯛を釣ったばっかで、鯛は元気だったはずじゃ。思い出してみい、おじいさんの鯛はどうじゃった?」
たしかおじいさんのクーラーボックスに入っていた鯛はゆっくり泳いでいた。
「そうじゃろ。だからおじいさんは犯人じゃないんじゃよ」
「でも……」
中学生のクーラーボックスの鯛は元気に泳ぎ回っていたけど、クーラーボックスには青色の線が入っていたはず。
「おじいちゃんがトリックを崩してみせよう」
おじいちゃんはそう言うと千さんのところへ戻っていった。そして千さんの隣にいる中学生とおじいさんを見回す。
「犯人はあなただ!」
指をピンと正面に向けてズバリ言い放った。指をさされた中学生はビックリして口をポカンと開けている。
「きみは千さんとクーラーボックスを入れ替えたんじゃな!」
「僕のクーラーボックスはおばあさんのクーラーボックスと別のだから、おばあさんが気がつくはずですよ!」
中学生の言う通りだ。おばあさんは真っ白のクーラーボックスで中学生は白色のクーラーボックスに青色の線が入っている。
「これを使ったんじゃろ」
おじいちゃんは中学生が持ってきていたキャンバスの隣にあったペンケースを手に持った。
そしてペンケースの中から青色の油性ペンを取り出して中学生に見せつけた。
「ごめんなさい!」
中学生は頭を下げて千さんに謝った。そして入れ替えたクーラーボックスを千さんのところへ返した。
「なんでこんなことしたの?」
千さんは中学生の肩をトントンと叩いて尋ねた。
「弟が鯛が大好物でプレゼントしてあげたくて……」
中学生の言葉を聞いて千さんは自分のクーラーボックスを中学生に手渡した。
「持っていってあげなさい」
千さんの優しい声が中学生に届いた。中学生は顔を上げると涙目でクーラーボックスを受け取った。
事件は名探偵のおじいちゃんの名推理で無事に解決した。
「おじいちゃん!さすがだよ!」
僕はおじいちゃんに駆け寄った。
おじいさんのクーラーボックスにも鯛が入っている。
狭いクーラーボックスをゆっくりと鯛が泳いでいる。
「謎は解けたぞ!モドルはどうじゃ?」
おじいちゃんは自信満々だ。僕は考える。いままでおじいちゃんが色々な事件を解くのを見てきた。僕にだって解けるはずだ。
千さんの両隣にいる中学生もおじいさんもどちらも近いから盗むことはできるはず。
2人のクーラーボックスにはどっちにも鯛が入っている。
千さんは鯛を釣ったばっかだったから元気だったはずだ。そんな鯛を盗もうとしたら鯛が暴れて千さんにバレてしまうはずだ。
ということはきっとクーラーボックスを交換したんだ!
「分かったよ!犯人はおじいさんだ」
「お!なんでじゃ?」
「鯛を手で盗もうとしたら暴れちゃう。いくら千さんが釣りに集中しててもそんなことしたら気づくけどクーラーボックスを入れ替えるだけなら気づかないはず!」
「おう、さすがじゃ!」
「中学生のクーラーボックスは青い線が入ってたけど、千さんとおじいさんのクーラーボックスは真っ白だった。ということは同じクーラーボックスを使ってるおじいさんが犯人だ」
「ぶっぶー!ハズレじゃ!」
おじいちゃんは胸の前でバッテンを作った。
「え、なんで?」
僕にはなんでか全くわからない。
「千さんは鯛を釣ったばっかで、鯛は元気だったはずじゃ。思い出してみい、おじいさんの鯛はどうじゃった?」
たしかおじいさんのクーラーボックスに入っていた鯛はゆっくり泳いでいた。
「そうじゃろ。だからおじいさんは犯人じゃないんじゃよ」
「でも……」
中学生のクーラーボックスの鯛は元気に泳ぎ回っていたけど、クーラーボックスには青色の線が入っていたはず。
「おじいちゃんがトリックを崩してみせよう」
おじいちゃんはそう言うと千さんのところへ戻っていった。そして千さんの隣にいる中学生とおじいさんを見回す。
「犯人はあなただ!」
指をピンと正面に向けてズバリ言い放った。指をさされた中学生はビックリして口をポカンと開けている。
「きみは千さんとクーラーボックスを入れ替えたんじゃな!」
「僕のクーラーボックスはおばあさんのクーラーボックスと別のだから、おばあさんが気がつくはずですよ!」
中学生の言う通りだ。おばあさんは真っ白のクーラーボックスで中学生は白色のクーラーボックスに青色の線が入っている。
「これを使ったんじゃろ」
おじいちゃんは中学生が持ってきていたキャンバスの隣にあったペンケースを手に持った。
そしてペンケースの中から青色の油性ペンを取り出して中学生に見せつけた。
「ごめんなさい!」
中学生は頭を下げて千さんに謝った。そして入れ替えたクーラーボックスを千さんのところへ返した。
「なんでこんなことしたの?」
千さんは中学生の肩をトントンと叩いて尋ねた。
「弟が鯛が大好物でプレゼントしてあげたくて……」
中学生の言葉を聞いて千さんは自分のクーラーボックスを中学生に手渡した。
「持っていってあげなさい」
千さんの優しい声が中学生に届いた。中学生は顔を上げると涙目でクーラーボックスを受け取った。
事件は名探偵のおじいちゃんの名推理で無事に解決した。
「おじいちゃん!さすがだよ!」
僕はおじいちゃんに駆け寄った。
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