19 / 21
第一章
常葉達のイクサ前
しおりを挟む
間もなく日が沈もうかという時間、私は森の高い木の枝に座っていた。
別に遊んでいる訳ではなく、ビル並の高さのあるこの木の、この高さまで来てやっと遠目に森へと攻め込もうとする軍勢が見張れるからだ。幸い、ここには見張り台としての足場がきちんとあるし、万が一落ちても下には蔦を編み上げて作ったセーフティネットがあり、私自身の魔法や咲夜が試しも兼ねて作った魔法の道具も合わせればこの高さから落ちても怪我する心配はない。精々、相当どんくさいか運が悪ければ足を挫く、といった程度だろう。
普段は私はここにはいないけれど、今日に限っては見張りを引き受けています。なぜなら……。
「様子はどう?」
「あっ、常葉さん」
常葉さんが何時の間にか傍へと来ていました。手にしているのは湯気と匂いから紅茶でしょうか?
……紅茶もコーヒーもココアも、そして砂糖も常葉兄さん準備しちゃったんですよね。確かに全部植物原料ですけど、加工まで出来ちゃうとは……。さすがに塩だけはどうにもならなかったみたいですけどね。
でも、確かアイスプラントっていう塩を隔離する構造を持つ為に、海水でも育つ植物もあったような。
「はい、どうぞ。この時間帯は冷えるからね」
「ありがとうございます」
そんな事を考えているとカップを手渡されました。
確かに。
時間帯もですが、高い樹木の上というのは……ある程度は木の葉で遮られるといっても風が地上より強めな事もあって冷えます。言われて、自分で思っていたより体が冷えている事に気づいて、少し体を震わせて紅茶に口をつけました。温かいお茶が体にじんわりと染み通ります。
「動きはないか」
そう言って敵陣をどこかほっとした様子で見る常葉兄さん……。ここまでは順調、ティグレさんやカノンさん、そして常葉兄さんの立てた予想通りに動いてる……けど。
「あの、常盤さん」
敢えて、こちらの名前ではなく、本当の名前で呼びます。
ちょっと驚いた顔で私を見る常葉……いえ、常盤さん。ぐっと力を入れて話を続けます。折角、他の人に邪魔される事ない状況なんだもの。
「えっと、偶には名前を呼ばないと忘れちゃいそうで……」
「そっか、じゃあ僕も摩莉夜ちゃんて呼ぼうか」
常盤さんの笑顔にこくりと頷いた。
なんだかじんわりと心があったかくなる気がした。だから、思い切って聞いてみた。
「怖く、ないんですか?」
ああ、馬鹿な質問をしてる。
この後、常盤さん達は相手に夜襲を仕掛ける。その為の仕込みも十分にしてきた。私が見張りをしているのもその為。本来、見張りをしていたエルフの人達は今晩の夜襲に備えて、休息や仮眠を取り、食事を取らないといけない。
他のエルフの人達も料理を準備したり、私同様見張りを引き受けたりで忙しい。
少数と多数では夜の闇の混乱は少数に有利に働くそうだけど……。
「そうだね……正直に言えば、怖くない」
でも、返って来た答えは予想外の言葉でした。
え。
てっきり怖い、そう返って来ると思っていた。
だって……。
「僕たちは本当の殺し合いの、戦いの場になんて出た事はない、そう言いたいんだろう?」
黙って頷いた。
そう、私達は元の世界ではしょせんは学生で、私達の国は世界で見ても平和な国だった。
戦場なんてものは遠い向こうの世界の話で、現実に身近で起きるのは精々喧嘩ぐらい。VRMMOの発展で戦いは体験出来るようになっても、あれは結局の所ゲーム。敵を倒しても、本物を倒したような生々しい感触はないし、血もエフェクトとして一瞬出現するだけで残ったりしない。ダメージを受けてもHPのバーが減るだけで傷は残らず、敵を倒した後は死体すら残らず、自動的にドロップ品がその場に残るか、或いはアイテムボックスに入るかする。
これで本当の意味で戦いを実感しろというのは無理がある。
あくまでゲーム。それを私はこの世界に来て初めて行った狩りで知る事になった。斬りつければ血が飛び散り、怪我は骨が折れたり、肉が裂けるといった形で残る。ポーションを飲めばHPが回復!で済んだりするような事ではない。命を失った肉体が横たわり、それを解体して初めて肉となり、素材となる。
そんな事を考えていた私に常盤さんは敵陣へと視線を向けたまま口を開いた。
「これは僕とカノン、ティグレさんで話し合って感じた事なんだけど多分、僕らにはゲームでの経験が「本来ならこういう経験を積んでいたはず、」という想定の状態で、貼り付けられてるんだと思う」
だから、僕らは長年部下を用いて統治の経験のある君主であり、幾度も戦場に出た歴戦の将軍という訳だ。だから戦場に出るという事にもそこまで恐怖を感じない。
一方、摩莉夜ちゃん達は『ワールドネイション』で戦場を体験していないから、これが初めての戦場、って事になる。だから戦場というもの自体に対して恐怖を感じている。
そう言われて、呆気に取られて思わず常盤さんの顔を見た。何、それ?
「でも、摩莉夜ちゃん達も同じような事は体験してる」
「えっ?」
「ほら、狩りをしてみた時の事だよ。君達は当り前のように獲物を追跡して、狩って、血抜きをして、皮を剥いだ。……そんな経験何時積んだんだい?」
あ……。
そうだ、私達は確かに獣を仕留めた際、特に同行してくれたエルフの狩人さんから言われずともそれが出来た。
私、翡翠、香香、陽菜。
どこで動物の痕跡を発見して追跡するなんて技術を身に着け、仕留める事に躊躇いを持たず、解体する事が出来たんだろう?
言われるまで、それがおかしな事に気づいていなかった。それだけ今の自分にとっては自然な事だったんだ。
……もう一人の自分、そう気づくと何と為しに怖くなった。
「どこかぎこちない所はあったけれど、特に問題なかった、とは同行してくれたエルフの言葉だけど」
きっと貼り付けられたものだから、ぎこちない所があったんだと思う。
……怖い。
常盤さんの言葉にそう思った。
一体この記憶ってどこから?
体が震え出しそうになった時、常盤さんが口を開いた。
「……きっと世界の修正、そう思う事にしてる」
世界の修正……?
「僕らには統治者としての記憶があり、前線に出た記憶がある。……例え、それがゲームの中のものであってもだ。その記憶がおかしくならないよう不足分を埋めた、そんな所じゃないだろうか?」
……世界を渡る時に、記憶と齟齬そごが生じないよう私達の記憶に補整が行われた。そういう事なんでしょうか?
私が考え込んでいる間に常盤さんが立ち上がっていました。……そういえば常盤さんは夜襲の主力の一人でした。長々と話に付き合わせてしまった。
「じゃあ、行ってくる」
「はい。……行ってらっしゃい」
ちゃんと帰って来て下さいね。
そして、おかえりなさい、そう私に言わせてください。
別に遊んでいる訳ではなく、ビル並の高さのあるこの木の、この高さまで来てやっと遠目に森へと攻め込もうとする軍勢が見張れるからだ。幸い、ここには見張り台としての足場がきちんとあるし、万が一落ちても下には蔦を編み上げて作ったセーフティネットがあり、私自身の魔法や咲夜が試しも兼ねて作った魔法の道具も合わせればこの高さから落ちても怪我する心配はない。精々、相当どんくさいか運が悪ければ足を挫く、といった程度だろう。
普段は私はここにはいないけれど、今日に限っては見張りを引き受けています。なぜなら……。
「様子はどう?」
「あっ、常葉さん」
常葉さんが何時の間にか傍へと来ていました。手にしているのは湯気と匂いから紅茶でしょうか?
……紅茶もコーヒーもココアも、そして砂糖も常葉兄さん準備しちゃったんですよね。確かに全部植物原料ですけど、加工まで出来ちゃうとは……。さすがに塩だけはどうにもならなかったみたいですけどね。
でも、確かアイスプラントっていう塩を隔離する構造を持つ為に、海水でも育つ植物もあったような。
「はい、どうぞ。この時間帯は冷えるからね」
「ありがとうございます」
そんな事を考えているとカップを手渡されました。
確かに。
時間帯もですが、高い樹木の上というのは……ある程度は木の葉で遮られるといっても風が地上より強めな事もあって冷えます。言われて、自分で思っていたより体が冷えている事に気づいて、少し体を震わせて紅茶に口をつけました。温かいお茶が体にじんわりと染み通ります。
「動きはないか」
そう言って敵陣をどこかほっとした様子で見る常葉兄さん……。ここまでは順調、ティグレさんやカノンさん、そして常葉兄さんの立てた予想通りに動いてる……けど。
「あの、常盤さん」
敢えて、こちらの名前ではなく、本当の名前で呼びます。
ちょっと驚いた顔で私を見る常葉……いえ、常盤さん。ぐっと力を入れて話を続けます。折角、他の人に邪魔される事ない状況なんだもの。
「えっと、偶には名前を呼ばないと忘れちゃいそうで……」
「そっか、じゃあ僕も摩莉夜ちゃんて呼ぼうか」
常盤さんの笑顔にこくりと頷いた。
なんだかじんわりと心があったかくなる気がした。だから、思い切って聞いてみた。
「怖く、ないんですか?」
ああ、馬鹿な質問をしてる。
この後、常盤さん達は相手に夜襲を仕掛ける。その為の仕込みも十分にしてきた。私が見張りをしているのもその為。本来、見張りをしていたエルフの人達は今晩の夜襲に備えて、休息や仮眠を取り、食事を取らないといけない。
他のエルフの人達も料理を準備したり、私同様見張りを引き受けたりで忙しい。
少数と多数では夜の闇の混乱は少数に有利に働くそうだけど……。
「そうだね……正直に言えば、怖くない」
でも、返って来た答えは予想外の言葉でした。
え。
てっきり怖い、そう返って来ると思っていた。
だって……。
「僕たちは本当の殺し合いの、戦いの場になんて出た事はない、そう言いたいんだろう?」
黙って頷いた。
そう、私達は元の世界ではしょせんは学生で、私達の国は世界で見ても平和な国だった。
戦場なんてものは遠い向こうの世界の話で、現実に身近で起きるのは精々喧嘩ぐらい。VRMMOの発展で戦いは体験出来るようになっても、あれは結局の所ゲーム。敵を倒しても、本物を倒したような生々しい感触はないし、血もエフェクトとして一瞬出現するだけで残ったりしない。ダメージを受けてもHPのバーが減るだけで傷は残らず、敵を倒した後は死体すら残らず、自動的にドロップ品がその場に残るか、或いはアイテムボックスに入るかする。
これで本当の意味で戦いを実感しろというのは無理がある。
あくまでゲーム。それを私はこの世界に来て初めて行った狩りで知る事になった。斬りつければ血が飛び散り、怪我は骨が折れたり、肉が裂けるといった形で残る。ポーションを飲めばHPが回復!で済んだりするような事ではない。命を失った肉体が横たわり、それを解体して初めて肉となり、素材となる。
そんな事を考えていた私に常盤さんは敵陣へと視線を向けたまま口を開いた。
「これは僕とカノン、ティグレさんで話し合って感じた事なんだけど多分、僕らにはゲームでの経験が「本来ならこういう経験を積んでいたはず、」という想定の状態で、貼り付けられてるんだと思う」
だから、僕らは長年部下を用いて統治の経験のある君主であり、幾度も戦場に出た歴戦の将軍という訳だ。だから戦場に出るという事にもそこまで恐怖を感じない。
一方、摩莉夜ちゃん達は『ワールドネイション』で戦場を体験していないから、これが初めての戦場、って事になる。だから戦場というもの自体に対して恐怖を感じている。
そう言われて、呆気に取られて思わず常盤さんの顔を見た。何、それ?
「でも、摩莉夜ちゃん達も同じような事は体験してる」
「えっ?」
「ほら、狩りをしてみた時の事だよ。君達は当り前のように獲物を追跡して、狩って、血抜きをして、皮を剥いだ。……そんな経験何時積んだんだい?」
あ……。
そうだ、私達は確かに獣を仕留めた際、特に同行してくれたエルフの狩人さんから言われずともそれが出来た。
私、翡翠、香香、陽菜。
どこで動物の痕跡を発見して追跡するなんて技術を身に着け、仕留める事に躊躇いを持たず、解体する事が出来たんだろう?
言われるまで、それがおかしな事に気づいていなかった。それだけ今の自分にとっては自然な事だったんだ。
……もう一人の自分、そう気づくと何と為しに怖くなった。
「どこかぎこちない所はあったけれど、特に問題なかった、とは同行してくれたエルフの言葉だけど」
きっと貼り付けられたものだから、ぎこちない所があったんだと思う。
……怖い。
常盤さんの言葉にそう思った。
一体この記憶ってどこから?
体が震え出しそうになった時、常盤さんが口を開いた。
「……きっと世界の修正、そう思う事にしてる」
世界の修正……?
「僕らには統治者としての記憶があり、前線に出た記憶がある。……例え、それがゲームの中のものであってもだ。その記憶がおかしくならないよう不足分を埋めた、そんな所じゃないだろうか?」
……世界を渡る時に、記憶と齟齬そごが生じないよう私達の記憶に補整が行われた。そういう事なんでしょうか?
私が考え込んでいる間に常盤さんが立ち上がっていました。……そういえば常盤さんは夜襲の主力の一人でした。長々と話に付き合わせてしまった。
「じゃあ、行ってくる」
「はい。……行ってらっしゃい」
ちゃんと帰って来て下さいね。
そして、おかえりなさい、そう私に言わせてください。
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
2回目チート人生、まじですか
ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆
ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで!
わっは!!!テンプレ!!!!
じゃない!!!!なんで〝また!?〟
実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。
その時はしっかり魔王退治?
しましたよ!!
でもね
辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!!
ということで2回目のチート人生。
勇者じゃなく自由に生きます?
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
辺境で魔物から国を守っていたが、大丈夫になったので新婚旅行へ出掛けます!
naturalsoft
ファンタジー
王国の西の端にある魔物の森に隣接する領地で、日々魔物から国を守っているグリーンウッド辺境伯爵は、今日も魔物を狩っていた。王国が隣接する国から戦争になっても、王国が内乱になっても魔物を狩っていた。
うん?力を貸せ?無理だ!
ここの兵力を他に貸し出せば、あっという間に国中が魔物に蹂躙されるが良いのか?
いつもの常套句で、のらりくらりと相手の要求を避けるが、とある転機が訪れた。
えっ、ここを守らなくても大丈夫になった?よし、遅くなった新婚旅行でも行くか?はい♪あなた♪
ようやく、魔物退治以外にやる気になったグリーンウッド辺境伯の『家族』の下には、実は『英雄』と呼ばれる傑物達がゴロゴロと居たのだった。
この小説は、新婚旅行と称してあっちこっちを旅しながら、トラブルを解決して行き、大陸中で英雄と呼ばれる事になる一家のお話である!
(けっこうゆるゆる設定です)
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる