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「アタシは…何を、間違えたの?」
「…ヒミカは何も間違えていませんよ。そしてボクも。…サガミ先生も、ね」
「人を、殺しても?」
「誰だって狂気は持っています。それをコントロールできるかは、自分自身だけです。そして狂気を持つことは誰も否定できませんし、禁止されてもいませんから」
 確かに…そうだ。
 狂気を持つことは、誰にも否定できないし、禁止されてもいない。
 けれど、サガミ先生の狂気を触発させたのは、間違いなくアタシだった。
 アタシがいなければ、サガミ先生は優しい先生のままだったのに…!
 やり切れなかった。
 キシは立ち上がり、ハシゴの方を向いた。
「カミナ」
「…はい、坊ちゃま」
 ハシゴを上って来たのは…カミナ先生だ。
 …どういうこと?
 どうしてキシは、カミナ先生を呼び捨てに…しかもカミナ先生はキシの事を「坊ちゃま」って…。
「紹介が遅れて申し訳ありません。カミナはボクの付き人なんですよ」
 キシは気まずそうに、カミナ先生を見た。
「付き…人?」
「ええ。ボティーガードの役目もあります。父がわざわざ講師にまでしまして…その、ボクの意思ではなかったのですが…」
「キシ坊ちゃまは悪くありません。なので、どうかお許しを」
 カミナ先生は険しい表情で頭を下げてきた。
 そしてキシはアタシを見て…。
「…カミナには今回の事件のことを任せましょう。うまく終わらせてくれますよ」
 アタシはしばし考えて…首を横に振った。
「大丈夫ですよ。アナタの血族のことや、サガミ先生のことは伏せて…」
「違うのよ、キシ」
 アタシはハッキリ言った。
「この事件、アタシはマカから任せられたの。だから最後まで担当するのは、アタシの役目だから」
 そしてアタシは携帯電話を取り出した。
 ―事件の終幕を、マカに伝える為に。

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