【R18+BL】SUN

hosimure

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まあここまでなら、どこかにありそうなちょっと変わった住人の話になる。

しかしその住人の作品は、とても変わっていた。

一言で言うなら、『子供には絶対に見せられない』作品ばかり作っていたからだ。

人間の裸をモデルにした石像ならば、美術館にもある。

けれどその住人の場合、人間の交わった姿で石像を作ったりする。

他にもグロテスクな絵も書いたりしているので、一部のマニアからは大ウケしているらしいが、大半の一般人からはドン引きされていた。

「…まっ、オレも最初見た時はビックリしたもんな」

何の前触れもなく見せられた時は、流石に心臓が嫌な音を立てた。

冷めた性格をしているとはいえ、やっぱり感受性は子供なんだな、と改めて思った。

「自己分析能力が高過ぎるのも、厄介だよな」

肩を竦めたオレの目の前には、ウワサの洋館がある。

大きな門の前で、ため息をついた。

「はあ…」

そう言えば誰かが言ってたな。

ため息は幸せが逃げるんだって。

でもすでに諦めているオレは、門を押し開けた。

門の向こうには華やかな庭が広がる。

色とりどりの季節の花々が咲き誇り、甘く良い香りがしてくる。

白い道を歩いていくと、洋館の飴色の扉の前に立つ。

「美園、来たぞ」

声をかけてすぐに、扉は開かれた。

「―いらっしゃい、柚季」

出てきたのは男のオレから見ても、綺麗な男だった。

年齢は多分二十代後半ぐらい、男とは思えないほどの色気があった。 

長い間、邸にこもっているせいか、肌は雪のように白い。

なのに薄い唇は、まるで口紅を塗ったかのように赤く艶めいていた。

芸術家は変わった人間が多いというけれど、美園はまさに『変わった人間』の部類に入ると思う。

「今日は来るのが少し遅かったね」

「ああ…。少し教室に残ってたんだ。友達を今日こそ作ろうと思って」

そう言いながらオレはリビングに入り、ランドセルをソファーに置く。

「その様子だと、失敗だったみたいだな」

「うっせ」

ジロッと美園を睨み、ソファーに座った。

「…アイスティー」

「はいはい」

美園はクスッと笑うと、リビングを出て行った。

キッチンでアイスティーを作る為に。

一人残されたオレは、改めて部屋を見回した。


この部屋は来客を通すこともあるので、部屋の内装はまともだ。

…もっとも、どこの貴族の部屋だ?と思うぐらい、芸術品に溢れているが。

調度品も飾られている食器なども、全てが有名ブランドの物。

芸術品だってそうだ。

置いてある芸術品の1つが、ウチの親父の三か月分の月給になると教えられた時は、息が一瞬止まった。

最初は流石に緊張していたが、今では慣れたもの。

ふかふかして肌触りの良いソファーに、ゴロンと横になれる。

「う~ん…。相変わらず眠たくなるほど良いソファーだ」

祖父母の家は和風だ。

畳とかキライじゃないけど、気持ち良い物には弱いのが子供というもの。

思わずウトウトしていると、美園が戻ってきた。

「柚季、持ってきたよ」

「…あ~」

半ボケの顔を向けると、美園は苦笑した。

そして持ってきた銀のトレーをガラスのテーブルの上に置くと、しゃがみ込み、オレの頭を撫でた。

「眠いなら、ベッドに移動する?」

「いや、そこまでじゃない」

友達の作り方を考えていたせいで、ちょっと頭が疲れていた。

眼を擦りながら上半身を起こすと、美園がどこか不満そうな顔をしていることに気付く。 
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