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6 *アラン王子視点
しおりを挟む僕はこのシュタイン王国の第一王子アランだ。僕には生まれつき厄介な能力がある。それは人の心が聞こえてしまう能力。この能力のせいで、大人達の汚い権力争いや社交界特有の表面上美しくても内面は悪口陰口の女達が嫌いになった。
父上や母上は婚期が遅れた息子を心配し、近々花嫁を選ぶ為のパーティを開くらしい。毎日運ばれてくる令嬢達の肖像画や手紙にストレスも溜まり、どうしたものか部屋の窓にいた小鳥に愚痴を言っていた。そしてふと、
「…今夜仮面舞踏会でも行って気晴らししようかな」
そう呟いたのだった。
仕事を終え、仮面舞踏会のダンスホールへと向かうと、見たこともないくらいツヤツヤとした質の良さそうな金髪の少女が立ち往生していた。
((そうだ…招待状がないのに入れるわけがないんだわ…。))
少女からそんな声が聞こえた。この少女は招待状なしで護衛もなしでどうやってここまで入って来たのか。警備もいるから簡単に入れるはずがない。私は興味が湧きその少女を助ける事にした。
少女からはその後も不思議な事ばかり心の声から聞こえてきたので鑑定士を呼び仮面をお互いに外す事にした。僕が王子と分かればボロを出すだろうと考えたのだ。
しかし、推測は外れるばかりか少女から目が離せなくなってしまった。
仮面を解いた少女は僕よりも薄く淡い色のブルーアイ、肌は陶器の様に白く透き通っていて、頬は桃色に染まっている。美しく象られた顔には艶々と美しい金髪がウェーブを打ち蜂蜜のような甘い香りがする。
人形の様に愛らしい少女に見つめられるが王子と気付かれる様子はなかった。
((っ?!なんて美しい方なの!))
少女から聞こえた声に不覚にも照れてしまった。心臓はバクバクと鳴り、生まれて初めて一目惚れをしたらしい。
「……君は…名はなんという?」
「エラと申します。」
エラ…。僕はこの少女、エラを一生愛すと心に誓い、虐げてきた継母達を地獄に落とすと決意したのであった。
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