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「オリフェオ殿下、こちらが私の姉ですわ」
フィオナが顔を上げるとそこに居たのは、妹のミラベルとオリフェオだった。彼はこの国の第二王子であり、確か弟のヨハンと同じ歳だった筈だが……名前と存在しか知らない。社交の場にも出なく、学年も違うフィオナは彼とは面識はなく顔を合わせるのはこれが初めてだ。
「ふ~ん。この娘が噂の醜女なのか」
上から下まで舐め回す様に見られる。周囲から、一層注目されひそひそとされているのが分かった。
「おい、その仮面を外せ」
まさかの事態に、フィオナの全身は強ばり、嫌な汗が身体中を流れていく。
「ほら、お姉様。オリフェオ殿下が、ご所望なのよ。さっさとその仮面外したら」
こんな場所で外すなど出来る筈がない。もしこの顔をこんなに大勢の前に晒せば、学院にすら通えなくなるだろう。もう自室から一歩も外に出る事すら出来なくなる……。嫌だと拒否したい。だが相手は第二王子だ。そんな事赦される訳がない。
身体が震えてくる。もうダメだ。逃げ出したい。やっぱり、ダンスパーティーなんて来なければ……良かった。
「っ……」
痺れを切らしたであろうオリフェオの手が仮面に伸ばされるのが見え、フィオナはギュッと目を閉じた。
「あらあら、この国の殿方は随分と破廉恥さんなのですねぇ」
その時、のんびりとした愛らしい声と笑い声が聞こえた、と思ったら次の瞬間にはヴィレームの腕の中にいた。
「ヴィレー……」
彼を見上げると、見た事もないくらい怖い顔をしてオリフェオとミラベルに鋭い視線を向けていた。思わず口を閉じる。
「誰だ、お前達は」
不機嫌そうにオリフェオが言うと、先程の女性はにっこりと微笑む。
「本日、留学してまいりました、シャルロットと申しますわ」
暗めの金髪のふわふわのウェーブの髪が印象的で、お人形の様に整った顔立ち、翠色の瞳のシャルロットの後ろには、彼女の連れと思われる男性が一人立っている。青い艶のある髪と黒い瞳、見るからに美青年だ。突然現れた美男美女に、広間も騒つく。
「貴方が、この国の王子様ですの?」
「あぁ、そうだ。第二王子のオリフェオだ。覚えておけ」
偉そうに踏ん反り返るオリフェオを、彼女は上から下まで吟味する様に見遣る。暫くして「はぁ……」と大袈裟にため息を吐いた。
「もっと素敵な王子様を想像しておりましたのに、何だか普通過ぎてつまりませんわぁ」
物凄く失礼な事を言い出すシャルロットに、後ろの美青年が噴き出した。
「フッ、シャルロット。流石にそれは失礼過ぎるだろう」
「あら、そうなのぉ?でもねぇ、ブレソール。本当の事ですもの。私嘘は嫌いなの」
怖いもの知らずと言うか、これは所謂天然と言うやつなのだろうか。オリフェオの隣にいるあのミラベルさえ唖然としている。留学生と話していたが、一体何者なのだろうか……。もしかして、ヴィレームと関わりがあるのか。
「フィオナ、もう行こう」
ヴィレームはそう言ってフィオナを連れて広間を出て行こうとする。その後ろからシャルロット達もついて来た。無論オリフェオが納得する訳はなく、呼び止められる。
「おい!ふざけるなっ。この私を莫迦にしたまま帰るなど赦される筈がないだろう⁉︎こんな事をしてどうなるか分かっているのか‼︎」
「あらあら、どうなるんですの?私達は貴方のお父上から留学の許可を頂き、この学院に来たんです。そんなにご不満でしたら、お父上に仰ってみたら如何です?まあ、無駄だとは思いますけど」
それだけ言い捨て、シャルロットやフィオナ達は広間を後にした。
フィオナが顔を上げるとそこに居たのは、妹のミラベルとオリフェオだった。彼はこの国の第二王子であり、確か弟のヨハンと同じ歳だった筈だが……名前と存在しか知らない。社交の場にも出なく、学年も違うフィオナは彼とは面識はなく顔を合わせるのはこれが初めてだ。
「ふ~ん。この娘が噂の醜女なのか」
上から下まで舐め回す様に見られる。周囲から、一層注目されひそひそとされているのが分かった。
「おい、その仮面を外せ」
まさかの事態に、フィオナの全身は強ばり、嫌な汗が身体中を流れていく。
「ほら、お姉様。オリフェオ殿下が、ご所望なのよ。さっさとその仮面外したら」
こんな場所で外すなど出来る筈がない。もしこの顔をこんなに大勢の前に晒せば、学院にすら通えなくなるだろう。もう自室から一歩も外に出る事すら出来なくなる……。嫌だと拒否したい。だが相手は第二王子だ。そんな事赦される訳がない。
身体が震えてくる。もうダメだ。逃げ出したい。やっぱり、ダンスパーティーなんて来なければ……良かった。
「っ……」
痺れを切らしたであろうオリフェオの手が仮面に伸ばされるのが見え、フィオナはギュッと目を閉じた。
「あらあら、この国の殿方は随分と破廉恥さんなのですねぇ」
その時、のんびりとした愛らしい声と笑い声が聞こえた、と思ったら次の瞬間にはヴィレームの腕の中にいた。
「ヴィレー……」
彼を見上げると、見た事もないくらい怖い顔をしてオリフェオとミラベルに鋭い視線を向けていた。思わず口を閉じる。
「誰だ、お前達は」
不機嫌そうにオリフェオが言うと、先程の女性はにっこりと微笑む。
「本日、留学してまいりました、シャルロットと申しますわ」
暗めの金髪のふわふわのウェーブの髪が印象的で、お人形の様に整った顔立ち、翠色の瞳のシャルロットの後ろには、彼女の連れと思われる男性が一人立っている。青い艶のある髪と黒い瞳、見るからに美青年だ。突然現れた美男美女に、広間も騒つく。
「貴方が、この国の王子様ですの?」
「あぁ、そうだ。第二王子のオリフェオだ。覚えておけ」
偉そうに踏ん反り返るオリフェオを、彼女は上から下まで吟味する様に見遣る。暫くして「はぁ……」と大袈裟にため息を吐いた。
「もっと素敵な王子様を想像しておりましたのに、何だか普通過ぎてつまりませんわぁ」
物凄く失礼な事を言い出すシャルロットに、後ろの美青年が噴き出した。
「フッ、シャルロット。流石にそれは失礼過ぎるだろう」
「あら、そうなのぉ?でもねぇ、ブレソール。本当の事ですもの。私嘘は嫌いなの」
怖いもの知らずと言うか、これは所謂天然と言うやつなのだろうか。オリフェオの隣にいるあのミラベルさえ唖然としている。留学生と話していたが、一体何者なのだろうか……。もしかして、ヴィレームと関わりがあるのか。
「フィオナ、もう行こう」
ヴィレームはそう言ってフィオナを連れて広間を出て行こうとする。その後ろからシャルロット達もついて来た。無論オリフェオが納得する訳はなく、呼び止められる。
「おい!ふざけるなっ。この私を莫迦にしたまま帰るなど赦される筈がないだろう⁉︎こんな事をしてどうなるか分かっているのか‼︎」
「あらあら、どうなるんですの?私達は貴方のお父上から留学の許可を頂き、この学院に来たんです。そんなにご不満でしたら、お父上に仰ってみたら如何です?まあ、無駄だとは思いますけど」
それだけ言い捨て、シャルロットやフィオナ達は広間を後にした。
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