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一章 目覚めた死神姫
episode20 犯人探し
しおりを挟む今回は少なめです
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
それから白雪は、大人しくしていなさいと言うノヴァの言うことに従って、大人しくベッドの上で退屈していた。
「ひまです…」
「そう言ってると思って、やって来たよー」
ボソリと漏らした声に、部屋には誰もいないのに反応する声がした。白雪が扉のほうを見ると、そこにはレオンとノヴァとエルドという英雄達が揃って立っている。
「もしかして、対抗戦の件についてですか?」
「そうそう。僕と白雪ちゃんは事件の当事者だからね。関わる資格はあると思うんだ」
そう言いながらレオンが部屋に入ってくると、それに続いて2人も部屋に入ってきて、近くにあった一人用のソファーやイスに座る。
「ああ、そうだ、白ちゃん今回のことについて謝っておきたいことがあるんだよ」
ノヴァが、ソファーから立上りながら白雪にそう言う。
当の本人はこてんと首をかしげている。
「謝っておきたいこと…??」
「レオンの魔道具のこと。付けたのが私だったから、魔力を多く消費して、白雪ちゃんが怪我をすることになってしまった。本当にごめんね…」
「え!いえ、ノヴァのせいではないですよ!そりゃあ、他の教師の方が付けたら、レオンでも外せちゃうかもしれないですし…。ノヴァが付けることになったのは、仕方ないことですよ!」
心底申し訳なさそうな顔で頭を下げるノヴァに、慌てて顔の前で両手を振って否定する。
今回の対抗戦で、レオンが出ることになった時、魔道具を誰がつけるかで教師達で話し合いになっていた。その時、丁度白雪を見に来たノヴァが一番確かだということで頼まれたのだった。
「ありがとう…。そう言って貰えるといくらか楽になる」
「それは良かったです。それより、早く敵を捕まえましょう!」
真剣な顔つきで言う白雪に、その場にいた3人同時に同じく真剣な表情で頷く。
「さっき、エルドと一緒に生命の目録を受け取りに来た者の人相を確認してきたんだけど、受け取りに来たのは1人。髪と目とともに茶色の男だそうだ。右目の下にほくろがあって、身長は低め。声も中性的。」
エルドと工房で調べてきたレオンは、髪にメモした敵の情報を読みあげていく。
「私も一応街で聞き込みをしたけど、それらしき男の目撃情報は得てないよ」
(いえ、茶髪で目の下にほくろ…。)
「っ!受付!受付の女の人!わ、私たちSクラスに生命の目録を渡した…」
四日前の対抗戦の日のとこを思い出していた白雪がばっと顔を上げて言う。
「!…なるほど。女装、もしくは男装して情報を錯乱させた可能性がある」
「直ちに探すよう兵達に伝えよう」
ノヴァが顎に手を当てて唸ると、その言葉を聞いた瞬間レオンはそう言って部屋を出ていった。
「俺も工房のヤツらに協力させるぜ」
「助かる」
廊下を歩きながら相談している2人の声に、自分も探したいのにと、不満そうな顔で扉を見続ける白雪に、ノヴァは厳しい目を向ける。
「危ない相手かもしれないから、白ちゃんは絶対絶対安静にしといてね?」
にこりと有無を言わせない笑みを白雪に向けて、スタスタとノヴァも扉から出て行ってしまった。
「茶髪に茶色の目で、目の下にほくろのある…男」
男か女かは分からないと言っていたレオンとは違って、白雪の言葉は確信を持っているような響きだった。
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