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Ⅱ Proficiency
2-7 神輿
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見渡す限りの人、人、人。
普段から人通りの多い国の中心部、ジェニア通りは、しかし常のそれですら全く比較にならない人の群れに埋め尽くされていた。
数キロに及ぶ車両通行規制によって、広い車道を溢れんばかりの人が行き来し、代わりに歩道であった道路の両端に立ち並ぶ露店の数々が人々の賑わいを更に高める。
「この様子では、なるほど随分と浮かれているようだな」
皮肉気な言葉とは裏腹に、気分の良さそうな声。
白装束に純白の髪の魔術師は、虹色の目で街並みを見下ろしながら呟いた。
「それだけ、アルバトロス卿の名が力を持っているという事でもあります」
一歩後ろに並ぶ赤髪にスーツ姿の女が、作り物の笑みを浮かべて返事を返す。
二人の背後、数歩ほど離れた位置には三人の体格のいい黒服の男達が背後を守るようにして控え、更にそれを囲むように、開けた空間の四隅に戦闘用の装束を身に纏った男達がそれぞれの方角を向いて立っていた。
「祭り事は好むところではあるが、こうしてそれを高所から眺めているだけというのは些かもどかしく感じないでもないな」
「申し訳ありませんが、そればかりはご勘弁頂くより他にないかと。奉り立てられる対象である貴方様がおられなくては、そもそもこの祭りが成り立ちません」
「それは充分に承知している。ただの戯言だ」
アルバトロスとアンナ、お互いに取り繕った口調で言葉を交わす二人は、七人もの追加の護衛を携え、空中を移動する輿の中から祭りの様子を眺めていた。
「だが、それを考慮しても、ここで愛想を振り撒いているのには飽いた。予定の通りであれば、もう幾許もなく少憩となる手筈だったと記憶しているが」
「はい、御顔見せは次に見える第三鉄橋を越えたところで終了となります。それより後に控える記念式典まではしばし時間に余裕がございますので、ゆっくりとご休憩を取って頂けるかと」
「そうか、それは何よりだ」
一礼したアンナが顔を上げ、そこで会話は途切れる。
そのまましばらくの間、無言で眼下の民衆達からのまばらな視線、そして時折の歓声を受け続けるも、やがてその視界から人の姿が完全に消えていく。
ほどなくして、軽い浮遊感がアルバトロスの体を襲った。輿が降下しているのだと気付いた時には、微かな振動と共に視界が地上からのそれへと戻っていた。
「――お疲れ様です。目的地に到着致しました」
アンナの労いの声と同時に、四方から小さい安堵の吐息。
「それでは、私共はここで配置に戻らせて頂きます」
アルバトロスの右方に位置していた壮年の男の一歩後ろへと三人の魔術師が並び、彼らを代表するように男が深く一礼する。
「大義であった。また機会があれば顔を合わせる事もあろう」
軽く首を向けて返すと、ゆっくりと頭を上げた四人が踵を返して立ち去る。
「では、我々もここで」
「うむ、式典まで充分に休息を取っているといい」
続いて黒服の男達もその場から去っていき、後には二人だけが残された。
「――わかってはいたが、退屈だな」
「だよねー。他に護衛もいるから、気楽におしゃべりするわけにもいかないし」
疲れを帯びた低い声と、同じくうんざりしたような間延びした声。
周りに人目がなくなった事を確認した二人は、どちらからともなくその場に腰を下ろす。
「別に会話をするくらい、問題にはならないだろう」
「それはそうだけど、口調とか話す内容とか気をつけるのめんどくさいし。まったく、敬語とか考えた奴って本当迷惑だよね。あっ、アルバの知り合いだったりする?」
「残念ながら、敬語の概念は俺の生まれるよりも前から存在していたな」
「うーん、人間の業って深いなぁ……まぁ、いいや。じゃあ、ちょっと行こっか」
「もう移動するのか。しばらくは時間が空くのだから、まだ休んでいてもいいと思うが」
腕の床への反動で立ち上がったアンナを、座ったままのアルバトロスが見上げる。
「違うってば。アルバもお祭り好きだって言ったし、せっかくだから行こうって事」
「……俺としてはそれでも構わないが、魔術師四人がかりで輿を飛ばせてまで空を移動させておいて、わざわざ人だかりの中に戻すような真似をしていいのか?」
懐疑と呆れの視線は、明るい声で笑い飛ばされる。
「だいじょぶだいじょぶ、その格好じゃなきゃ誰もアルバに気付かないって。着替えは持ってきてあるし、髪とかはすぐ戻せるでしょ?」
「お前がそう言うなら、別にいいだろう」
指を鳴らす音と同時に、白の魔術師は黒の少年への変貌を終えていた。
「うーん、やっぱり素の方がかわいいなぁ。なんでだと思う?」
「知るか。とりあえず、着替えとやらを寄こせ」
「はいはーい……って、だからいきなり脱がないでってば! 着替えはこの箱の中にあるから、着替え終わったら声掛けてよ」
ローブの裾に手を掛けていたアルバトロスに弾けるような勢いで背を向け、アンナは足元の木の箱を踵で蹴って背後へ送る。
「お前はその背広のままで祭りに繰り出すつもりか? 少し目立つ気もするが」
箱の中、様々な道具の詰められた端で小さく折り畳まれていた一式の洋服を取り出しながら、アルバトロスが問う。
「おっ、気になる? 私の服が気になる?」
「まったく気にならないわけではないが、考えればそれほど問題でもないのか」
「仕方ないなー、あんまり人には見せないんだけど、特別だからね」
アルバトロスの返事を半ば無視するように、アンナが自慢気な口調と共に大袈裟に指を鳴らす。と、響いた音に従うように、熱と光、赤い炎が細身の体を包み、そしてすぐに掻き消えていく。
炎の消えた後、その下には、黒の背広でも焼け焦げた肌でもなく、フリルのついた白いワンピースが顔を覗かせていた。
一変した衣装を見せびらかすように、裾を掴んで一回転と更に半回転。
「どうよ、どうよ……って、だから服着てってば!」
その終点、アルバトロスを向いて止まったアンナは、しかし目の前の白い肌を目にすると同時、黄色い声をあげて飛び退いた。
「だから、今まさに着ている最中だろう」
「じゃあ急いで! なんでそんなにゆっくり着替えてるの!?」
「むしろ、なぜそこまで着替えを急かされなくてはならないのか。体が見たいなら、俺としては別に構わないんだが」
「み、見たくないから!」
目を細めたアルバトロスの視線の先、アンナの顔を覆っていた指の隙間が埋まる。
「――終わったぞ、もう顔を出してもいい」
それから少しの時間をかけて衣服を身に纏い、呆れ混じりの声を投げる。
「それ、嘘じゃないよね? ……あぁ、良かった、ちゃんと服着てる」
「当たり前だろう、俺に肌を見せる趣味はない。特に嫌ではないだけだ」
「だから、それが駄目なんだってば。アルバには恥じらいが足りないよ、恥じらいが」
不本意といった表情のアルバトロスには、アンナからの苦笑が帰って来る。
「そちらの方も、印象とは少し違うが悪くない」
「えっ、そうかな? アルバが素直に褒めてくれるなんて珍しいね。いや、嬉しいけど」
「珍しいと言われても困る。ただ、どうだ、と聞かれたから答えただけだ」
照れたように頭を掻いていたアンナが、そこでいきなり顔を上げる。
「あーっ、そうそう、そうだった。褒めてくれたのはいいけど、私が言ってたのはどっちかって言うと見た目じゃなくて、性能の方なんだよね」
再度の指鳴りに合わせて、アンナの服がまたも変化する。先刻までの黒の背広、白のタンクトップにジーンズ、アルバのそれに似た豪奢なローブ、とさながら単独のファッションショーを繰り広げたアンナは、最終的に元のワンピース姿で大きく胸を張った。
「ね、すごいでしょ? これ、アルバみたいにそう見せてるだけじゃなくって、服の材質からまるっきり別の材質に変えられるの。一応、最高級の魔術礼装で、元は戦闘用の機能なんだけど」
「なるほど、たしかに面白くはある。戦闘以外の魔術も発達しているという事か」
「ね、いいでしょ、ちょっと自慢したかったんだよねー」
検分するような視線に気付いているのか否か、アンナは浮かれたように小さく跳ねながらアルバトロスに近づいていき、その腕を取った。
「よし、じゃあ早速行こっか。時間はあるって言っても、式場までの距離とか考えたら二時間くらいしか遊べないし」
腕を振り解こうとしたアルバトロスは、しかしアンナの満面の笑みを目にして一転、なされるがままに腕を引かれて輿の外へと連れ出されていった。
普段から人通りの多い国の中心部、ジェニア通りは、しかし常のそれですら全く比較にならない人の群れに埋め尽くされていた。
数キロに及ぶ車両通行規制によって、広い車道を溢れんばかりの人が行き来し、代わりに歩道であった道路の両端に立ち並ぶ露店の数々が人々の賑わいを更に高める。
「この様子では、なるほど随分と浮かれているようだな」
皮肉気な言葉とは裏腹に、気分の良さそうな声。
白装束に純白の髪の魔術師は、虹色の目で街並みを見下ろしながら呟いた。
「それだけ、アルバトロス卿の名が力を持っているという事でもあります」
一歩後ろに並ぶ赤髪にスーツ姿の女が、作り物の笑みを浮かべて返事を返す。
二人の背後、数歩ほど離れた位置には三人の体格のいい黒服の男達が背後を守るようにして控え、更にそれを囲むように、開けた空間の四隅に戦闘用の装束を身に纏った男達がそれぞれの方角を向いて立っていた。
「祭り事は好むところではあるが、こうしてそれを高所から眺めているだけというのは些かもどかしく感じないでもないな」
「申し訳ありませんが、そればかりはご勘弁頂くより他にないかと。奉り立てられる対象である貴方様がおられなくては、そもそもこの祭りが成り立ちません」
「それは充分に承知している。ただの戯言だ」
アルバトロスとアンナ、お互いに取り繕った口調で言葉を交わす二人は、七人もの追加の護衛を携え、空中を移動する輿の中から祭りの様子を眺めていた。
「だが、それを考慮しても、ここで愛想を振り撒いているのには飽いた。予定の通りであれば、もう幾許もなく少憩となる手筈だったと記憶しているが」
「はい、御顔見せは次に見える第三鉄橋を越えたところで終了となります。それより後に控える記念式典まではしばし時間に余裕がございますので、ゆっくりとご休憩を取って頂けるかと」
「そうか、それは何よりだ」
一礼したアンナが顔を上げ、そこで会話は途切れる。
そのまましばらくの間、無言で眼下の民衆達からのまばらな視線、そして時折の歓声を受け続けるも、やがてその視界から人の姿が完全に消えていく。
ほどなくして、軽い浮遊感がアルバトロスの体を襲った。輿が降下しているのだと気付いた時には、微かな振動と共に視界が地上からのそれへと戻っていた。
「――お疲れ様です。目的地に到着致しました」
アンナの労いの声と同時に、四方から小さい安堵の吐息。
「それでは、私共はここで配置に戻らせて頂きます」
アルバトロスの右方に位置していた壮年の男の一歩後ろへと三人の魔術師が並び、彼らを代表するように男が深く一礼する。
「大義であった。また機会があれば顔を合わせる事もあろう」
軽く首を向けて返すと、ゆっくりと頭を上げた四人が踵を返して立ち去る。
「では、我々もここで」
「うむ、式典まで充分に休息を取っているといい」
続いて黒服の男達もその場から去っていき、後には二人だけが残された。
「――わかってはいたが、退屈だな」
「だよねー。他に護衛もいるから、気楽におしゃべりするわけにもいかないし」
疲れを帯びた低い声と、同じくうんざりしたような間延びした声。
周りに人目がなくなった事を確認した二人は、どちらからともなくその場に腰を下ろす。
「別に会話をするくらい、問題にはならないだろう」
「それはそうだけど、口調とか話す内容とか気をつけるのめんどくさいし。まったく、敬語とか考えた奴って本当迷惑だよね。あっ、アルバの知り合いだったりする?」
「残念ながら、敬語の概念は俺の生まれるよりも前から存在していたな」
「うーん、人間の業って深いなぁ……まぁ、いいや。じゃあ、ちょっと行こっか」
「もう移動するのか。しばらくは時間が空くのだから、まだ休んでいてもいいと思うが」
腕の床への反動で立ち上がったアンナを、座ったままのアルバトロスが見上げる。
「違うってば。アルバもお祭り好きだって言ったし、せっかくだから行こうって事」
「……俺としてはそれでも構わないが、魔術師四人がかりで輿を飛ばせてまで空を移動させておいて、わざわざ人だかりの中に戻すような真似をしていいのか?」
懐疑と呆れの視線は、明るい声で笑い飛ばされる。
「だいじょぶだいじょぶ、その格好じゃなきゃ誰もアルバに気付かないって。着替えは持ってきてあるし、髪とかはすぐ戻せるでしょ?」
「お前がそう言うなら、別にいいだろう」
指を鳴らす音と同時に、白の魔術師は黒の少年への変貌を終えていた。
「うーん、やっぱり素の方がかわいいなぁ。なんでだと思う?」
「知るか。とりあえず、着替えとやらを寄こせ」
「はいはーい……って、だからいきなり脱がないでってば! 着替えはこの箱の中にあるから、着替え終わったら声掛けてよ」
ローブの裾に手を掛けていたアルバトロスに弾けるような勢いで背を向け、アンナは足元の木の箱を踵で蹴って背後へ送る。
「お前はその背広のままで祭りに繰り出すつもりか? 少し目立つ気もするが」
箱の中、様々な道具の詰められた端で小さく折り畳まれていた一式の洋服を取り出しながら、アルバトロスが問う。
「おっ、気になる? 私の服が気になる?」
「まったく気にならないわけではないが、考えればそれほど問題でもないのか」
「仕方ないなー、あんまり人には見せないんだけど、特別だからね」
アルバトロスの返事を半ば無視するように、アンナが自慢気な口調と共に大袈裟に指を鳴らす。と、響いた音に従うように、熱と光、赤い炎が細身の体を包み、そしてすぐに掻き消えていく。
炎の消えた後、その下には、黒の背広でも焼け焦げた肌でもなく、フリルのついた白いワンピースが顔を覗かせていた。
一変した衣装を見せびらかすように、裾を掴んで一回転と更に半回転。
「どうよ、どうよ……って、だから服着てってば!」
その終点、アルバトロスを向いて止まったアンナは、しかし目の前の白い肌を目にすると同時、黄色い声をあげて飛び退いた。
「だから、今まさに着ている最中だろう」
「じゃあ急いで! なんでそんなにゆっくり着替えてるの!?」
「むしろ、なぜそこまで着替えを急かされなくてはならないのか。体が見たいなら、俺としては別に構わないんだが」
「み、見たくないから!」
目を細めたアルバトロスの視線の先、アンナの顔を覆っていた指の隙間が埋まる。
「――終わったぞ、もう顔を出してもいい」
それから少しの時間をかけて衣服を身に纏い、呆れ混じりの声を投げる。
「それ、嘘じゃないよね? ……あぁ、良かった、ちゃんと服着てる」
「当たり前だろう、俺に肌を見せる趣味はない。特に嫌ではないだけだ」
「だから、それが駄目なんだってば。アルバには恥じらいが足りないよ、恥じらいが」
不本意といった表情のアルバトロスには、アンナからの苦笑が帰って来る。
「そちらの方も、印象とは少し違うが悪くない」
「えっ、そうかな? アルバが素直に褒めてくれるなんて珍しいね。いや、嬉しいけど」
「珍しいと言われても困る。ただ、どうだ、と聞かれたから答えただけだ」
照れたように頭を掻いていたアンナが、そこでいきなり顔を上げる。
「あーっ、そうそう、そうだった。褒めてくれたのはいいけど、私が言ってたのはどっちかって言うと見た目じゃなくて、性能の方なんだよね」
再度の指鳴りに合わせて、アンナの服がまたも変化する。先刻までの黒の背広、白のタンクトップにジーンズ、アルバのそれに似た豪奢なローブ、とさながら単独のファッションショーを繰り広げたアンナは、最終的に元のワンピース姿で大きく胸を張った。
「ね、すごいでしょ? これ、アルバみたいにそう見せてるだけじゃなくって、服の材質からまるっきり別の材質に変えられるの。一応、最高級の魔術礼装で、元は戦闘用の機能なんだけど」
「なるほど、たしかに面白くはある。戦闘以外の魔術も発達しているという事か」
「ね、いいでしょ、ちょっと自慢したかったんだよねー」
検分するような視線に気付いているのか否か、アンナは浮かれたように小さく跳ねながらアルバトロスに近づいていき、その腕を取った。
「よし、じゃあ早速行こっか。時間はあるって言っても、式場までの距離とか考えたら二時間くらいしか遊べないし」
腕を振り解こうとしたアルバトロスは、しかしアンナの満面の笑みを目にして一転、なされるがままに腕を引かれて輿の外へと連れ出されていった。
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