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第弐拾弐話
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「え、え?」
駄目だ、全く状況把握と言うか整理が出来ない。私は何で此処に居るんだ。何で朱夏が目の前に居るんだろう。
「…………遂に自分の中に朱夏を作り出すまでになったのかな。」
「んな訳あるか馬鹿。」
「痛い!!!」
ほぼ無表情で朱夏は私の脛を蹴ってきた。
「あのな、まず言わせてもらうけどお前が神様だろうと何だろうと、勝手にあたしの幸せを決めるな。」
私に向かって指差しながら朱夏はそう言った。
「にしてもあれだな、お前あの時で心の中が止まったままなんだな。背格好だってあの時と同じだし。」
そう言って私の頭を撫でてきた。
私は唯驚いたままで、朱夏は楽しそうに笑っている。
「あ、挨拶忘れてたな、久しぶりだな恵………………」
朱夏が言い終わる前に、私は朱夏を抱き締めていた。
駄目だ、涙が溢れて止まらない。言いたい事が沢山あったのに、声が上手く出せない。そんな私の背中を、朱夏は優しく撫でてくれた。
「うっ、ぁ…………朱夏ぁ……………うぐっ…………」
「長い間会わない内に、随分と涙脆くなったな恵風。」
「ごめん…………ごめんね……………」
「謝るなって、兎に角久しぶりに会ったんだ。」
朱夏は私の肩を掴んで、そっと離した。
「前みたいに家の中で話ししようぜ!!」
あの頃と全く同じ笑顔で、私の手を引いて家へ向かって走り出した。あまりの彼女の変わらなさに、自然と涙は止まり、気が付いたら私もあの時と同じ様に苦笑いを浮かべていた。
家の中は私が知っている朱夏の家のままだった。
朱夏は先に座ると、自分の前の床を叩いた。
「ほら早く座れって!!」
「そんなに急かさないでよ。」
私は朱夏の前に座ると、朱夏は楽しそうに笑っていた。
「いやぁ、久しぶりだなこの感じ!!」
「そうだね。」
「んじゃ、色々と話をしようか。まず最初は、思い出話だな!」
楽しそうな笑顔で朱夏は昔の事を話し始めた。それはもう、私が知っている事ばかりの、私との思い出の話だった。
どんな思い出も彼女は笑顔で話している。そんな朱夏を見ていたら、気付かない内に涙が出て来ていた。
駄目だ、全く状況把握と言うか整理が出来ない。私は何で此処に居るんだ。何で朱夏が目の前に居るんだろう。
「…………遂に自分の中に朱夏を作り出すまでになったのかな。」
「んな訳あるか馬鹿。」
「痛い!!!」
ほぼ無表情で朱夏は私の脛を蹴ってきた。
「あのな、まず言わせてもらうけどお前が神様だろうと何だろうと、勝手にあたしの幸せを決めるな。」
私に向かって指差しながら朱夏はそう言った。
「にしてもあれだな、お前あの時で心の中が止まったままなんだな。背格好だってあの時と同じだし。」
そう言って私の頭を撫でてきた。
私は唯驚いたままで、朱夏は楽しそうに笑っている。
「あ、挨拶忘れてたな、久しぶりだな恵………………」
朱夏が言い終わる前に、私は朱夏を抱き締めていた。
駄目だ、涙が溢れて止まらない。言いたい事が沢山あったのに、声が上手く出せない。そんな私の背中を、朱夏は優しく撫でてくれた。
「うっ、ぁ…………朱夏ぁ……………うぐっ…………」
「長い間会わない内に、随分と涙脆くなったな恵風。」
「ごめん…………ごめんね……………」
「謝るなって、兎に角久しぶりに会ったんだ。」
朱夏は私の肩を掴んで、そっと離した。
「前みたいに家の中で話ししようぜ!!」
あの頃と全く同じ笑顔で、私の手を引いて家へ向かって走り出した。あまりの彼女の変わらなさに、自然と涙は止まり、気が付いたら私もあの時と同じ様に苦笑いを浮かべていた。
家の中は私が知っている朱夏の家のままだった。
朱夏は先に座ると、自分の前の床を叩いた。
「ほら早く座れって!!」
「そんなに急かさないでよ。」
私は朱夏の前に座ると、朱夏は楽しそうに笑っていた。
「いやぁ、久しぶりだなこの感じ!!」
「そうだね。」
「んじゃ、色々と話をしようか。まず最初は、思い出話だな!」
楽しそうな笑顔で朱夏は昔の事を話し始めた。それはもう、私が知っている事ばかりの、私との思い出の話だった。
どんな思い出も彼女は笑顔で話している。そんな朱夏を見ていたら、気付かない内に涙が出て来ていた。
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