朱夏の日光に栄える森

琴里 美海

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第参拾八話

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 目を覚まして私は暫く起き上がる事もせずにぼうっとしていた。何だかんだ結構長い期間眠っていたらしく、体が重たかった。
 さて、いい加減に起き上がろうと思い、少しずつ起き上がると、体を動かして伸びをした。

「はぁ、色葉ちゃんは如何してるかな。」

 立ち上がって部屋から出ると、今まで館の中で見た事が無い妖怪達が目の前を走り抜けていった。

「えっと。」

 今のは山童やまわろと化け猫、それに枕返しだったかな。と言うか今まで館に居なかった妖怪達が、何で館の中に居るんだろう。と言うか色葉ちゃんは今館の何処に居るんだろう。此処広いからなぁ。
 取り敢えず色葉ちゃんを探そう、ちょっとお腹空いた。

「色葉ちゃん、色葉ちゃーん。」

 色葉ちゃんを呼びながら廊下を歩いていると、足下を何かがすり抜けて、少し転びそうになった。

「………すねこすりか。」

 確か体を人の足に擦り付けてくる、それ以外に特に害がある訳じゃない妖怪だったね。似た様な妖怪で、そのまま転ばせてくるすねっころがしって言うのも居るらしいけど、この館にもいるのかな。
 また廊下を歩いて行くと、目の前にいろんな道具達が現れた。少し掛けたお椀や、かんざし、下駄もいる。この子達は付喪神つくもがみかな。

「お前、開かずの部屋の客人だな!!」
「え、えー。」

 何か変な名前付けられてる。

「色葉が何時も話してた奴。」
「名前何だっけ。」
「恵風だよ。」

 廊下の奥から色葉ちゃんの声が聞こえてくると、全員廊下の先に立っていた色葉ちゃんを見た。

「久しぶり!!」
「久しぶり、なんだね。えっと、私どのくらい寝てた?」
「うーんと、ざっと百三十年!!!」

 あ、ごめん、まさかそんなに寝てると思わなかったよ。と言うか確か私寝る前に扉が開かないように結界張ってたから、そりゃそんな名前付けられるよね。

「と言うか色葉ちゃん、この子達は?それに他にも妖怪達が増えてるけど。」
「何か寂しかったから沢山招き入れちゃった!」
「あ、そうなんだ。」
「挨拶してくる?」
「うん、そうするよ。」

 私は今館に居る妖怪達全員に挨拶をする事にした。何か、本当に全く知らない間に、凄まじい数の妖怪が館で暮らすようになっていた。
 全員に挨拶が終わってから、私は久方ぶりにお風呂に入って、それから出掛ける事にした。
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