星河輝く外の空

琴里 美海

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第弐拾八話

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 この人は、如何して私の名前を知っているの?あれ、違う?そもそも私はこの人を知っている気がする。

「星河!!」

 その人は怒鳴る様に私の名前を呼ぶと、お母さんが私の事を強く抱き締めた。

「貴方は一体誰!!?私の娘に何の用なの!!?」
「お母さん…………」

 お母さんはその人を睨むと、暫くの間沈黙が続いた。
 男の人は怒りの形相から、少し悲しげな顔をして、私の顔を見詰めてきた。

「星河、それは君のお母さんじゃないよ。」

 そんな一言が、男の人の口から放たれた。

「な、に……言って…………」

 この人は何を言っているの。だって、如何見たって私のお母さんなのに、それなのに意味の分からない事を言わないで。

「違うよ、星河。よく考えて、思い出して。君のお母さんは病気で、家からだってろくに出られないんでしょ?」

 そう言われて頭が痛んだ。
 あれ?そうだ、お母さんは病気で、寝室の布団から出るのだって、何時も大変そうだった。
 男の人は一歩だけ私に近付いた。

「君のお母さんは、如何して病気になったの?」

 如何してってそれは、村に蔓延する瘴気に中てられて、それで病気になってしまった。それで、村を何とかする為に、私は村の外に出たんだ。

「君のお母さんは此処に居ない。ずっと村に居るんだ。」

 そうだ、私は、私一人が村から出たんだ。

 彩雲に連れられて。

「さ、いうん…………」

 そうだ、私は一体何をやっている。目の前に居るのは彩雲だ。短い時間だとしても、彩雲が誰か分からなかった。
 そして今私を抱き締めているのは、お母さんな訳が無いんだ。
 突如私を抱き締める力が異常に強くなり、腕が体に食い込んで来た。

「ぁあ!!!」

 骨が軋む様な音が聞こえた。

 殺される。

 そう思った直後、凄まじい雷の音が聞こえ、私の体は一瞬宙に浮いた。そして気が付いた時には、彩雲の腕の中に居た。
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