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『『 かんぱーい 』』
陸と海斗は子供用のシャンメリー。
残りの三人はビール。
声をかけずに外に出たことで怒られてしょぼんとしていた海斗と忍も一口飲んでにっこり笑った。
「美人がビールってのもなかなか」
「陸、言い方」
「忍さんビールで良かった?ワインとかの方が良かった?」
「いえ、ビールで大丈夫です」
「そう?いっぱい食べてね」
「はい。いただきます」
ミニトマトのカプレーゼ、ローストチキンにサンドイッチ。
温野菜サラダにほうれん草とサーモンのキッシュ、ミネストローネ。
ぶり大根に中華サラダ、豆もやしのピリ辛。
お茶碗にはホカホカのご飯。
「なんというか、まさに盆とクリスマスが一緒にきたという感じだな」
「しのぶちゃん、ミネストローネのうえのおほしさまはぼくがつくったんだよ」
「大根しみしみでうまー」
「しのぶちゃん、キッシュ食べる?切り分けようか?」
「食べたかったら自分で食べるから一穂はかまうな」
「しのぶちゃん、ぼくのサンドイッチたべる?」
「うん」
「えぇぇええー!しのぶちゃん!」
「一穂うるせえ」
「金ちゃん、近所迷惑」
「ここ、近所いねぇだろーが」
思い思いに喋って飲んで食べる。
テーブルに所狭しと並べられた料理がどんどん減っていく。
クリスマスケーキは生チョコでサンタと苺が沢山乗っていた。
海斗は切り分けたケーキにサンタを乗せてもらって満足気に笑う。
それを見て大人達も笑う。
海斗へのプレゼントはnisiyamaで買った大きなクリスマスブーツ。
「くつしたのかわりにこれおいてねる!」
と海斗は喜んだ。
「きんちゃんは?」
「さっき食ったケーキ」
「・・・ふうん」
「なんで、ガッカリしてんだよ」
海斗を抱き上げこちょこちょとくすぐる一穂。
きゃあきゃあとはしゃぐ海斗。
聖なる夜はそっと更けていき、はしゃぎ疲れた海斗は眠ってしまった。
「忍さん、今日はありがとう」
「僕の方こそ楽しかったです」
良かった、と言いながら陸は忍の前にマグカップを置いた。
ふわりと香るコーヒーの香り。
「片付けはあの二人に任せちゃっていいから」
肩を竦めて湯呑みをふうふうと冷ます。
微かにほうじ茶の香りがする。
「忍さんは、だいぶ金ちゃんと仲良くなったね」
「あ、そう、ですね」
マグカップを両手で包み陸の視線から逃れるように俯く。
それを見た陸はふふふと笑って同じように俯いた。
お互いの飲み物を啜る音だけ。
「どうして金ちゃんなんですか?」
「あぁ、遠山の金さん知らない?昔の時代劇で『この桜吹雪を忘れたとは言わせねぇぜ』ってやつ」
「聞いたことあるような・・・」
「僕、おばあちゃん子だったから」
クスクスと陸は笑って思い出すようにつと目を細めた。
「中学で初めて会った時に名前聞いて、金さんじゃんって」
「長い付き合いなんですね」
「僕とは中学からで、あの二人は小学校からの付き合いだよ」
口止めされてる訳じゃないから話すけど、と陸は湯呑みを置いた。
「あの二人はね、βから産まれたαなんだ。先祖返りっていうのかな?何代も前のαの血。αだからか、体も大きくて丈夫で地頭も良かったから。みんなと同じ勉強しててもやっぱりどこか違うんだよね。それで高校からは県外の名門校ってやつに進学したの。それなりの家柄の子が多かったって」
一息にそこまで話した陸は、湯呑みに手を伸ばしゴクリとお茶を飲んだ。
陸と海斗は子供用のシャンメリー。
残りの三人はビール。
声をかけずに外に出たことで怒られてしょぼんとしていた海斗と忍も一口飲んでにっこり笑った。
「美人がビールってのもなかなか」
「陸、言い方」
「忍さんビールで良かった?ワインとかの方が良かった?」
「いえ、ビールで大丈夫です」
「そう?いっぱい食べてね」
「はい。いただきます」
ミニトマトのカプレーゼ、ローストチキンにサンドイッチ。
温野菜サラダにほうれん草とサーモンのキッシュ、ミネストローネ。
ぶり大根に中華サラダ、豆もやしのピリ辛。
お茶碗にはホカホカのご飯。
「なんというか、まさに盆とクリスマスが一緒にきたという感じだな」
「しのぶちゃん、ミネストローネのうえのおほしさまはぼくがつくったんだよ」
「大根しみしみでうまー」
「しのぶちゃん、キッシュ食べる?切り分けようか?」
「食べたかったら自分で食べるから一穂はかまうな」
「しのぶちゃん、ぼくのサンドイッチたべる?」
「うん」
「えぇぇええー!しのぶちゃん!」
「一穂うるせえ」
「金ちゃん、近所迷惑」
「ここ、近所いねぇだろーが」
思い思いに喋って飲んで食べる。
テーブルに所狭しと並べられた料理がどんどん減っていく。
クリスマスケーキは生チョコでサンタと苺が沢山乗っていた。
海斗は切り分けたケーキにサンタを乗せてもらって満足気に笑う。
それを見て大人達も笑う。
海斗へのプレゼントはnisiyamaで買った大きなクリスマスブーツ。
「くつしたのかわりにこれおいてねる!」
と海斗は喜んだ。
「きんちゃんは?」
「さっき食ったケーキ」
「・・・ふうん」
「なんで、ガッカリしてんだよ」
海斗を抱き上げこちょこちょとくすぐる一穂。
きゃあきゃあとはしゃぐ海斗。
聖なる夜はそっと更けていき、はしゃぎ疲れた海斗は眠ってしまった。
「忍さん、今日はありがとう」
「僕の方こそ楽しかったです」
良かった、と言いながら陸は忍の前にマグカップを置いた。
ふわりと香るコーヒーの香り。
「片付けはあの二人に任せちゃっていいから」
肩を竦めて湯呑みをふうふうと冷ます。
微かにほうじ茶の香りがする。
「忍さんは、だいぶ金ちゃんと仲良くなったね」
「あ、そう、ですね」
マグカップを両手で包み陸の視線から逃れるように俯く。
それを見た陸はふふふと笑って同じように俯いた。
お互いの飲み物を啜る音だけ。
「どうして金ちゃんなんですか?」
「あぁ、遠山の金さん知らない?昔の時代劇で『この桜吹雪を忘れたとは言わせねぇぜ』ってやつ」
「聞いたことあるような・・・」
「僕、おばあちゃん子だったから」
クスクスと陸は笑って思い出すようにつと目を細めた。
「中学で初めて会った時に名前聞いて、金さんじゃんって」
「長い付き合いなんですね」
「僕とは中学からで、あの二人は小学校からの付き合いだよ」
口止めされてる訳じゃないから話すけど、と陸は湯呑みを置いた。
「あの二人はね、βから産まれたαなんだ。先祖返りっていうのかな?何代も前のαの血。αだからか、体も大きくて丈夫で地頭も良かったから。みんなと同じ勉強しててもやっぱりどこか違うんだよね。それで高校からは県外の名門校ってやつに進学したの。それなりの家柄の子が多かったって」
一息にそこまで話した陸は、湯呑みに手を伸ばしゴクリとお茶を飲んだ。
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