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ダブルデート
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「俺は構わないけど、誠と沙織ちゃんは?」
「沙織さん、どうする?」
「いいわよ」
沙織は、初めから想定していたかのように、あっさりと答えた。
「決まりね。先にどちらにするかだけど――」
沙織が突然、挙手をする。
「私と誠さんは後が良いです」
楓は驚いた表情を見せるも、すぐに表情を戻した。
「私は大丈夫よ。御二人さんは?」
「石田、大丈夫だよな?」
「おう、大丈夫」
「それじゃ、最初は私と誠君。石田君と、沙織ちゃんね。ここに居ても良いけど、離れるなら、一時間後、ここに戻ってきて」
「分かった」
沙織は石田に近づくと、右腕を握った。
「少し、散歩しましょ」
二人だけの時間をわざと作るかのように沙織はそう言って、腕をグイッと引っ張る。
「あ、あぁ……」
石田は驚いた表情を浮かべながら、返事をした。
沙織は石田の腕を離さないまま歩き出す。
石田は沙織に合わせて、照れ臭そうに自分の髪を触りながら、歩き出した。
誠は自分と伯父さん以外で、親しげに男性と肩を並べて歩く沙織の姿をみるのは、初めての事だった。
だからだろうか。
誠は沙織を石田に取られたかのような複雑な表情を浮かべ、二人を見送っている。
楓はそんな誠を黙ったまま見つめ、一生懸命に誠の気持ちを探ろうとしているかのようだった。
少しして、これ以上、見ていられなくなったようで、楓は誠に近づき、右腕を掴む。
誠は集中していて驚いたのか、ビクッと体を震わせた。
「そんな心配しなくても大丈夫よ。それとも私とじゃ、不満?」
「あ、すみません。そんなつもりじゃ」
誠の慌てた様子をみて、楓はクスッと笑う。
「私達は、何をしようか?」
「椅子も片付けてしまったから、俺達も散歩をしましょうか?」
「うん、賛成」
二人は川沿いを、肩を並べて歩きだす。
川のせせらぎが聞こえ、穏やかな時間が流れる。
「水がキラキラと光っていて、綺麗ね」
楓が川を眺めながら、呟いた。
「そうですね」
心ここにあらずといった感じで、誠も川の方をボーっと眺める。
二人はそのまま、黙って歩き続けた。
「――ねぇ、せっかくだから聞きい事があるんだけど」
「何ですか?」
「誠君の顔の好みは? 可愛い子が好き? それとも綺麗な子?」
「え、行き成りですか。そうですね――どちらかというと可愛い方ですね」
誠は照れ臭そうに微笑む。
「へぇ……じゃあ、性格は積極的な方が良い? それとも、消極的な方がいい?」
楓は自分の方に心を向けさせようと、目を輝かせ、グイグイと攻め始める。
まるで、あなた色に染まるから教えて欲しい。
そんな心が入り混じっているかのようにも感じる。
「それは難しい質問ですね。うーん……何て言ったら良いのか、分かりませんが、気持ちを伝えてくれる方が嬉しいです」
「そう……じゃあ、次の質問ね。誠君は、年上の女性でも大丈夫な人?」
おそらくそれは自分の事を指していて、楓にとって一番知りたいところ。
楓はそれが滲み出るぐらいに、真剣な眼差しで誠を見つめた。
誠は誰かを思い浮かべるかのように躊躇いもせずに、直ぐに口を開く。
「大丈夫です」
「――分かった、最後の質問。ちょっと止まってくれる?」
「はい」
誠は歩くのをやめ、楓と向き合う。
「どうしたんですか?」
楓は誠の両手を手に取ると、上目遣いで見つめる。
「じゃあ、私なんてどうですか?」
誠の伝えて欲しいという想いに感化されてか、楓は自然と、自分の想いを口にした。
※※※
石田と沙織は川沿いをしばらく歩くと、コンクリートの階段を見つけて座っていた。
石田は一番下に、沙織は二段上に座り、ボーっと川の方を見つめている。
「一時間も何をすればいいんだろ?」
「そうね」
沙織は誘ったのは良いが、それから先は何も考えていないようだった。
飽きた石田は落ち着かない様子で、小石を拾っては、ポイッと下に投げている。
「ねぇ、石田君。ちょっと質問して良いかな?」
石田は石を投げるのをやめ、上を向く。
「あぁ、いいよ」
「男の人って、やっぱり若い子の方が好きなの?」
「それって、沙織ちゃんは年下に好きな子がいるって事?」
「う、うん。まぁ、そんな感じ」
沙織はうつむき、照れ臭そうに答える。
「年下の方が好きとは、よく聞くけど、そんなの人それぞれじゃね」
「そうだよね……私、年上としか付き合ったことないから、良く分からなくなっちゃって」
「そうなんだ……大丈夫、俺が好きな人は年上だよ。女性が年下を好きになっても、おかしいなんて思わない」
沙織は石田に勇気をもらったかのように、明るく微笑む。
「ありがとう」
「どう致しまして」
「誠さんの友達が、あなたで良かったです」
「そりゃ、どうも」
二人は仲良く笑った。
「沙織さん、どうする?」
「いいわよ」
沙織は、初めから想定していたかのように、あっさりと答えた。
「決まりね。先にどちらにするかだけど――」
沙織が突然、挙手をする。
「私と誠さんは後が良いです」
楓は驚いた表情を見せるも、すぐに表情を戻した。
「私は大丈夫よ。御二人さんは?」
「石田、大丈夫だよな?」
「おう、大丈夫」
「それじゃ、最初は私と誠君。石田君と、沙織ちゃんね。ここに居ても良いけど、離れるなら、一時間後、ここに戻ってきて」
「分かった」
沙織は石田に近づくと、右腕を握った。
「少し、散歩しましょ」
二人だけの時間をわざと作るかのように沙織はそう言って、腕をグイッと引っ張る。
「あ、あぁ……」
石田は驚いた表情を浮かべながら、返事をした。
沙織は石田の腕を離さないまま歩き出す。
石田は沙織に合わせて、照れ臭そうに自分の髪を触りながら、歩き出した。
誠は自分と伯父さん以外で、親しげに男性と肩を並べて歩く沙織の姿をみるのは、初めての事だった。
だからだろうか。
誠は沙織を石田に取られたかのような複雑な表情を浮かべ、二人を見送っている。
楓はそんな誠を黙ったまま見つめ、一生懸命に誠の気持ちを探ろうとしているかのようだった。
少しして、これ以上、見ていられなくなったようで、楓は誠に近づき、右腕を掴む。
誠は集中していて驚いたのか、ビクッと体を震わせた。
「そんな心配しなくても大丈夫よ。それとも私とじゃ、不満?」
「あ、すみません。そんなつもりじゃ」
誠の慌てた様子をみて、楓はクスッと笑う。
「私達は、何をしようか?」
「椅子も片付けてしまったから、俺達も散歩をしましょうか?」
「うん、賛成」
二人は川沿いを、肩を並べて歩きだす。
川のせせらぎが聞こえ、穏やかな時間が流れる。
「水がキラキラと光っていて、綺麗ね」
楓が川を眺めながら、呟いた。
「そうですね」
心ここにあらずといった感じで、誠も川の方をボーっと眺める。
二人はそのまま、黙って歩き続けた。
「――ねぇ、せっかくだから聞きい事があるんだけど」
「何ですか?」
「誠君の顔の好みは? 可愛い子が好き? それとも綺麗な子?」
「え、行き成りですか。そうですね――どちらかというと可愛い方ですね」
誠は照れ臭そうに微笑む。
「へぇ……じゃあ、性格は積極的な方が良い? それとも、消極的な方がいい?」
楓は自分の方に心を向けさせようと、目を輝かせ、グイグイと攻め始める。
まるで、あなた色に染まるから教えて欲しい。
そんな心が入り混じっているかのようにも感じる。
「それは難しい質問ですね。うーん……何て言ったら良いのか、分かりませんが、気持ちを伝えてくれる方が嬉しいです」
「そう……じゃあ、次の質問ね。誠君は、年上の女性でも大丈夫な人?」
おそらくそれは自分の事を指していて、楓にとって一番知りたいところ。
楓はそれが滲み出るぐらいに、真剣な眼差しで誠を見つめた。
誠は誰かを思い浮かべるかのように躊躇いもせずに、直ぐに口を開く。
「大丈夫です」
「――分かった、最後の質問。ちょっと止まってくれる?」
「はい」
誠は歩くのをやめ、楓と向き合う。
「どうしたんですか?」
楓は誠の両手を手に取ると、上目遣いで見つめる。
「じゃあ、私なんてどうですか?」
誠の伝えて欲しいという想いに感化されてか、楓は自然と、自分の想いを口にした。
※※※
石田と沙織は川沿いをしばらく歩くと、コンクリートの階段を見つけて座っていた。
石田は一番下に、沙織は二段上に座り、ボーっと川の方を見つめている。
「一時間も何をすればいいんだろ?」
「そうね」
沙織は誘ったのは良いが、それから先は何も考えていないようだった。
飽きた石田は落ち着かない様子で、小石を拾っては、ポイッと下に投げている。
「ねぇ、石田君。ちょっと質問して良いかな?」
石田は石を投げるのをやめ、上を向く。
「あぁ、いいよ」
「男の人って、やっぱり若い子の方が好きなの?」
「それって、沙織ちゃんは年下に好きな子がいるって事?」
「う、うん。まぁ、そんな感じ」
沙織はうつむき、照れ臭そうに答える。
「年下の方が好きとは、よく聞くけど、そんなの人それぞれじゃね」
「そうだよね……私、年上としか付き合ったことないから、良く分からなくなっちゃって」
「そうなんだ……大丈夫、俺が好きな人は年上だよ。女性が年下を好きになっても、おかしいなんて思わない」
沙織は石田に勇気をもらったかのように、明るく微笑む。
「ありがとう」
「どう致しまして」
「誠さんの友達が、あなたで良かったです」
「そりゃ、どうも」
二人は仲良く笑った。
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