異世界陸軍活動記

ニボシサービス

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お礼は高級チョコレートで

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 一昨日はひどい目に遭いました

 塩漬けしていた魚を焼き、それを食べたところ見事に毒に当たった。
 食べて10分くらいで手足のしびれ・眩暈・嘔吐が訪れ、そのまま意識を失ってしまった。気が付いたら医療施設にいた。
 魚の毒はかなり苦しむ事になると海軍の兵士に一度言われた事があるが、苦しむどころではなく死にかけた

 なんでも、口から泡を吹いて倒れているところを、たまたま遊びに来たコトンが発見し、急いでご近所のレキタス家の奥さんを呼び『癒し』魔法を掛けて貰ったが、レキタスの奥さんは自分は対処できないと判断し、専門の医療機関に送る事を決断。
 専用の車両が到着するまで懸命に『癒し』魔法を掛け続け、何とか到着まで間に合わせることが出来た。
 そのまま丸一日眠り続けた俺は翌日の夕方ようやく目を覚まし、ずっとベッドの側にいたコトンとデュラ子に良かった良かったと抱きつきオイオイと泣かれた。
 倒れている俺を発見してくれたコトンとデュラ子、それにレキタスの奥さんには感謝しかない。3人にはオヤス食品が出している高級チョコレートをお礼に渡そうと思っている。
 オヤス食品の商品を買うのは少々癪だが、いや、かなり癪だがそれが一番喜びそうだからだ。だがデュラ子は文句を言いそうなので、チョコではなく服でもプレゼントしようと思う、コトンの召喚獣になってからはまともに服を買えないと言っていたし、とりあえず明日にでも買いに行こうか? 今日はもう遅いし、体調も完全という訳ではないし

 さて家に帰って来たが、まず最初にする事は━━

「冷蔵庫の中の悪魔を退治する事じゃー!」

 バン! と勢いよく冷蔵庫の扉を開け、びっしりと詰まっている悪魔の塩漬けが入ったタッパを取り出し、中の悪魔を一枚一枚手づかみで

「こんな物はなー! こんな物はなー!」

 ごみ袋に叩きつけるように入れていった。
 俺の実家は農家では無いが、食べ物を大事にするという事を両親からちゃんと躾けられている。だがこの手に持つ魚は食べ物ではない、人の命を刈り取る悪魔である。
 もう一度言う、これは食べ物ではない

 タッパの中に入っている最後の一枚をゴミ袋に叩きつけ入れ終わったが、冷蔵庫の中にはまだ悪魔入りのタッパがぎっしりと詰まっている。
 怒りに任せ一枚一枚取り出していたが、一パック入れ終わったら何となく怒りも収まったようで、冷静になれた。
 流石に残りのタッパも同じようにゴミ袋に入れるのは、病み上がりの体という事もあり疲れるので、次からはタッパごと袋に入れる。
 面倒くさいと言うのもある

 冷蔵庫に入っていたタッパタッパ全てを処分し、全て空になりすっきりとした冷蔵庫の周りでは、最初に怒り任せに叩きつけていたせいで周りに塩が飛び散り、液体っぽいのも飛び散っていた。
 悪魔の処理は完了したが、余計な後始末が出来てしまい鬱な気持ちになる。
 人間怒りに任せると余計な事をしてしまう

 飛び散った塩や液体の掃除をし終わると、自分が汗だくである事に気付いた。掃除でかいた汗ではなく、「こんな物はなー!」と叫んでいた時点でかいてしまった汗だろう。
 それを馴れた感じで『洗浄』魔法を意識せずに発動させたが‥‥

「あっ‥‥そうか」

 魔法は発動しなかった。
 それも当然で、女神サーナにより全ての魔法を封じられたからだ

 『洗浄』魔法は俺が最も使用していた魔法である。
 少しでも汗をかいてしまったら、ほぼ無意識で魔法を発動させていた。だから俺が汚れていることなどほとんどない、それは自分の隊員達に対しても同じである。
 当初、『洗浄』魔法が使用できるのは隊の中では俺だけであり、最初他の皆もサッパリしてた方がストレスが少ないだろうと考え、しょっちゅう体に触れ『洗浄』をかけていた。おかげで我が隊の隊員達はどの部隊よりも清潔だった。
 魔法を使用するには相手の体に触れなければならないが、俺が魔法を使用している事を最初知らなかった現リクレク隊の隊長であるオーバは、あまりにもボディタッチが多い事に不安を抱いていたらしい(性的な意味で)。
 そして俺が体に触れる意味を知ったオーバは
「自分はそんなに臭いますか?」
 と不安げに聞いて来ていた

 その時に、いつの間にか考えることなく、無意識に仲間にも『洗浄』魔法を掛けている事に気付いた。それは自分に対してでもあり、呼吸をするのと同じくらい『洗浄』魔法に頼っていたことになる。
 だが、その魔法が封じられた今、自分をキレイに保つことが難しくなってしまった。
 そもそも、冷蔵庫周りの掃除の際に『洗浄』魔法を使えば良かったのに使わなかったのは、頭の中で『使用出来なくなった』というのが分かっていたからかもしれない


 一体どうすれば‥‥

 このまま汗だくのままこれからも過ごさねばならぬのか? と絶望するが━━

「普通にシャワーすればいいのか」
 
 当たり前のことに気付く、シャワー浴びたらいいじゃない

「そうね、家に風呂場があるのを忘れてたよ」

 風呂場の脱衣場でぽぽぽーんと真っ裸になり、浴室へ‥‥そしてシャワーのお湯を出そうとするが━━隣に浴槽がある事に気づく

「風呂‥‥」

 上武隼は浴槽につかった事が無い、正確に言うと物心ついたころから浴槽に入ったことが無い。それは心臓に抱えている謎の病気のせいで、体が温まり過ぎると苦しくなるから、だからずっとシャワーでしか体の汚れを落としたことが無かった。
 だが今はどうだろうか? ちょっと運動しただけで痛みを起こす心臓はもう無い、健康そのものだ。
 なら、浴槽に入っても問題ないのではないだろうか?

「‥‥よし、風呂に入ろうか」

 昔から風呂には興味があった。よく旅番組とかで温泉があると見ていたし、タオルを頭にのせて「あ゛あ゛━━っ」てのも言ってみたい。
 別にエッチな気持ちで見てたわけではなく、ただ単に自分が出来ないのでお湯につかるという事に興味があった。
 そして俺の姉の洋子も風呂に入ると一時間から一時間半ぐらい出てこなかった。
 毎回『気持ちよかったー』と言って出て来るので、お湯につかるのは気持ちのいい物なのだろうとは理解していた。
 人生初のお湯につかれる事に、若干興奮しながら風呂場にある操作パネルを調べる

「これがお湯を張るボタンかな? こっちは温度? 何度がいいの? 最初の設定されてる温度が普通なのかな? じゃこの状態でお湯を張れば━━」

 ポチッと押すと、勢いよくお湯が出て来る。本当にこれで合ってるかな? と操作パネルを確認しながらお湯が溜まるまで全裸で待機していた

 ・・・・

 ・・

 多分これは全裸になる前に、あらかじめお湯を張っておくものなのだろう。
 結構時間が掛かる事を知り、今度からは服を着たままお湯を張ろうとと浴槽の横でしゃがみながらそう思った

 さて、浴槽がお湯で満ち、「入浴~!」と行きたいところだが、まずは体の汚れを落とさなくてはならない、それ位は俺でも知ってる。
 という訳でこちらも久方ぶりのシャワーを浴びる。『洗浄』魔法を契約する前に浴びたのが最後だから‥‥こちらもかれこれ20年程前になる。シャワーの蛇口をひねると━━

「熱っ!」

 思った以上に熱いお湯が出て来て、思わずシャワーの届かない端の方に逃げてしまった。それでもちょっとずつ熱さに馴れていき、まずは頭から洗う事にする。

 髪を濡らして━━

 で、気づいた

「シャンプーが‥‥」

 そもそもが『洗浄』ありきの生活であった為、シャンプーどころかそれ以外の洗剤すら無い事に今更ながら気づく。
 しかも体を洗うタオルさえ無い

「あーどうしよう」
 
 既にびしょ濡れの体で悩むが、まあ仕方ないとシャワーだけで頭を洗う、体はタオルの代わりに手で洗おう。
 セクシーな女性が自身の体を洗うように、自分も同じようにして洗うという状況に何だかドキドキしてしまう━━━しないが

 そして大体キレイになった体で、いざ浴槽へ‥‥でもシャワーを浴びてスッキリしたら浴槽とかどうでも良くなったが、せっかくお湯を貯めたので、お湯の張った浴槽へ「ドボン」足を突っ込み

「熱っっっっ!!!!」

 突っ込んだ足を瞬時に抜いた

「あっ、あつ、あっつぅ! ちょ! えっ!? 火傷した!?」

 異常なほどの熱さでビックリしてしまった

「何これ? いいの? この熱さで! えっ、ええっ」

 操作パネルを確認し温度を確かめる、設定温度があるという事は、人が入っても大丈夫な温度なのだろう。でもこの温度は流石に‥‥。
 取りあえず保温の機能があるのでお風呂の装置の電源を落とし、これ以上温度を保たないようにした

「壊れてんのかこれ、水で薄めるかな」

 そう思ったが、お湯の中にちょっとだけ手を突っ込んでみると、先程感じたような熱さは無かった。ほんの少し熱かったが、大丈夫な温度であった

「これはもしかして」

 再度チャレンジ。
 片足を突っ込むとまた物凄い熱さが足を襲うが、我慢していると直ぐにその熱さに馴れて来た。そしてもう片方の足も投入、最初だけ熱いが徐々に慣れてくる。
 更に膝を折り下半身、そして時間を掛けゆっくりと首まで浸かり

「あ゛あ゛あ゛~~~っ゛!」

 この時、人生で初めて「あ゛」の使い処が分かった気がする。なるほど、これは旅番組で「あ゛ー」と声が漏れるのも納得する。
 それほどの気持ちよさだった

「あ゛~本当に気持ちいいわ゛ぁぁ」

 首までお湯につかり、口を開けたまま天井を見つめる

「バスタオル用意するの忘れた‥‥」

 何もかも久しぶりなので、バスタオルも忘れたし、着替えを用意するのも忘れていたが、お湯の気持ちよさで『もういいや』という気分にさせてくれる。
 用意してなかったのはどうしようもない、お風呂上りの事はお風呂上りの自分に任せよう、今はこの気持ちよさをゆっくりと堪能しようか‥‥

 お風呂で寝てしまうという話を聞くが、なるほどそれも頷ける。こんなに気持ちよかったら寝てしまうのも分かる気がする。
 その気持ちよさに身を委ね、ぼーっとしていると何だか眠くなり━━






 ━━苦しくて目が覚めた

 口から空気が漏れ出し、大量のお湯が逆に入ってくる。もがくが手足に力が入らず、暴れれば暴れる程肺の中がお湯で満たされてゆき

 意識が

 飛ぶ






 ◆◇

「主よ、今日は旧主と一緒に寝る事にする」

「‥‥は?」
 私の召喚獣であるデュラ子が急に変な事を言いだした
「何を言っているのデュラ子‥‥ハヤトと一緒に寝るって」

「ふむ、主は知らぬかもしれんが、旧主の召喚獣だった私は夜になると旧主の布団で一緒に寝ていたのだ」

「は!? へ?」

「竜騎士隊ではなく、ハヤト隊の者だったら皆知っていたが、召喚主が変わってからはそうもいかなくなってしまったからな。だから今夜は久方ぶりに一緒に旧主と寝ようと思う」

「えっ!? ちょっ!」
 デュラ子とハヤトが一緒に寝てた? 嘘‥‥ハヤトは自分の召喚獣と行為を?

「何やら旧主はおかしな想像をしている様子だが、私はそもそも女ではないから旧主が思っているような破廉恥な行為は出来ないぞ? 性欲を持て余しているのは可哀そうだとは思うが、思い込みも程々にな」

「だっ! 誰が持て余してるのよ! そんな事無いから!」

 確かにデュラ子は女ではない、見た目女の体付きをしているが生殖器なども無いし、言わば衣料品店にあるマネキンのような体をしている。つまり男女の行為をしようとしてもそれは無理になる

「ほう‥‥」
 持て余しては無いと言う私を、デュラ子ジッと私の目を見つめる

「な、何よ!」


「主よ‥‥私は主の召喚獣だぞ? 主は召喚者なのに召喚獣の事を知らぬらしい‥‥ならば一度召喚獣がどのような者なのか知って置く必要があるな。
 召喚獣とは召喚主の魂の中に存在し、常に共にある。召喚主が楽しいと思えばそれは伝わり、悲しいと思えばそれも伝わる。性的に欲情━━」

「止めて! 言わないで! 私の心を感じないで!」
 本当にそれ以上は言わないで! お願いだから!

「主が旧主に対して常に興奮状態にあるのはよく分かる」

「わぁぁぁぁぁぁ!」
 本当にお願いだから!

「しかしながら、結婚しようとか言いつつも、かわい子ぶって性欲を前面に出せないヘタレな部分も全て分かっているし━━」

「止めて‥‥本当に止めて‥‥夕食はデュラ子の好きな物を作るから」
 パナンにシロップを掛けて、手料理って言い張るのは止めるから

「旧主に意図的に胸を押し当てるのが限界なのも、それで自分の性欲を発散させているのも━━」

「ああああああ!!!!」
 私は『収納』から銃を取り出し、デュラ子に向けて発砲した

 だがすかさずデュラ子は自身の盾を取り出し銃弾を盾で防ぎ、呆れたような顔をする
「‥‥泣く程の事でもないだろう」

「泣いてないから‥‥」
 そう言いながらも私は涙を拭く

「言うが、旧主は私の体は程よく冷たく、抱いて寝るのには丁度良いとの事だ。部隊の隊長ともなれば色々と心労もあるだろう、寝る事も出来ない日もあるだろう。
 だが少しでもその体を休めるために私の体を抱いて寝ていた。
 大体3分から3分半で眠りについていたのだ、だから主のように破廉恥な‥‥もう泣くのは止めたらどうだ? 私もからかい過ぎたが」

「泣いてない‥‥」

「そうか、ならいいのだ」

 デュラ子は私が泣いているのにもかかわらず、悪びれた態度も見せず話を続けた

「実はな主よ、一緒に寝るというのは建前で旧主の様子がどうやらおかしくてな、何も無ければいいのだが、万が一の為に側に居たいのだよ」

「様子がおかしいって具体的に何よ」

「具体的には‥‥今は確証が持てぬ故言えぬが‥‥元主であった者に対する勘だな」

「勘‥‥?」

 デュラ子は元ハヤトの召喚獣であり、大陸深部を抜けて撤退する際に私に譲渡された形になる。しかしそれも完全な譲渡という訳ではなく、召喚主である私と一定の距離を離れると消えてしまうような関係になっている。
 完全ではないために、それがハヤトとの繋がりがまだあるということなのだろうか?

「主も共に来るがいい、今旧主はまだ本調子ではなく弱っているから強く出れば肉体関係を持てるかもしれぬぞ」

「なっ!」

「主がヘタレなければの話だが」

「くっ!」

 大陸深部では命を救われ、長い時間を共にしパートナーともいえる召喚獣のデュラ子だが‥‥最近返品したいという気持ちも多少出て来た


 ・・・

 ・・

「結局ついてくるのだな」
 表情なくデュラ子が私に言ってくる

「ついて来いって言ったのはデュラ子でしょ、ハヤトの様子がおかしいって聞いたし心配だから」

「その心配の中に下心はどのくらい占めているのだろうな」

「‥‥」
 確かに、あわよくば関係を持てればいいと思っている。ハヤトがその気になってくれれば、いつでも大丈夫なのだけれど、ハヤトは大人の男性なので私がいくら胸を押し当てたり抱きついたりしても、襲ってきたりはしない。
 理性が強いのかそれとも、私に興味がないのか‥‥それが不安で私から迫る事が出来ない。拒否されたらどうしよう‥‥それが怖くて昼にはハヤトの家にいるが、夜になると自分の家に帰って1人で眠っている

 私がハヤトに対して『結婚』を口にするのも、ハヤトが女性に人気があるのが分かっていたので、ハヤトに他の女が寄り付かないための牽制の意味もあった。
 それに竜騎士隊の前のハヤト隊だった頃、同じ部隊だったサコナ・ソルセリー。
 彼女がハヤトに心を寄せているのは、他の部隊にも知れていたし私も分かっていた。だから最初にハヤト隊に所属し紹介された時、サコナ・ソルセリーに先手を打つために「お嫁さんにしてくれるって言ったでしょ?」と聞いた。
 後々気づいたのが少し重かったか? と反省しているがやってしまったものは仕方がない。
 でもその時はライバルが多かったのでそうしたが、今はライバルと呼べる女性がハヤトの近くにいない、だから今がチャンスなのだ

「夜にハヤトの家に来るなんて、なんだかドキドキする」

「なんだヘタレたのか? いつもの主だな」

「だっ誰が!」

「まあ、そういった事に及んだなら私は大人しく魔法陣に戻っているから思う存分励むがいい、出来たらの話だがな、ははは」

「クッ‥‥!」
 
 全く反論できなかった。夜にハヤトの家に尋ねる事になったものの、既にしり込みしている私がいる

「ほら主よヘタレているのは分かるが早く鍵を開けぬか」

「わ、分かってるわよ! ‥‥でも勝手に鍵を開けて入ってもいいのかな?」

「何を言っている、朝は堂々と鍵を開けて勝手に入っているくせに」

「でも‥‥夜に勝手に‥‥」

 中々決心の付かない私に苛立ちを覚えたのか、デュラ子は何も言わず私の手から鍵を奪い、勝手に開けた

「あっ」

 ドアを開けたデュラ子はそのまま家に入って行く
「旧主よすまぬな、心配で夜にも関わらず来てしまった」
 そのままずかずかと上がっていく

「ちょっ、待ってよ」
 私もデュラ子の後を追う

「旧主よー! どこにいる旧主!」

「デュラ子夜に迷惑だって」

 大声で呼ぶデュラ子を注意するがデュラ子はそれを無視し部屋中を探す

「寝室にもいないか、ならばトイレか?」

 そう言って何の躊躇いも無くデュラ子はトイレのドアを開けた

「ちょっ!」
 止めるのも間に合わずドアが開かれ

「居ないか? なら後は風呂場しか無いが」

「まってちょとデュラ子」

 そのままデュラ子は風呂場に行き
「灯りが付いているな、ここか? 旧主よ! すまぬが入るぞ」

「あっあっちょっ!」
 止めようとしたが、風呂場にいるのならハヤトは今‥‥

 私は止める振りをして風呂場を覗き━━

「旧主よ!!」
「ハヤト!!」

 浴槽に沈んでいるハヤトを発見した

「主よ! 旧主を引き上げるのだ!」

「わ、分かった! ━━ッ! ハヤトが裸に!」
 浴槽には全裸姿のハヤトが━━

「風呂に入っているなら当たり前だろう! もうよい! 私が引き上げる! 主はレキタス殿の奥方を呼んで来い!」

「う、うん!」

 一昨日と同じように、私はレキタス家に向かい走り出した
 
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