異世界陸軍活動記

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 私はロメ渓谷の底で立っていた

 橋の建設の為調査に来ていたが、偶然にも部下の一人が穴に落ち、その穴の先から渓谷の反対側に橋が架かっていた事が判明。
 二人の部下と共に橋の調査をしたが、運が悪いというか敵兵と出くわしてしまう

 最終的に私は敵兵の1人と戦う事になり、最初優位に戦いを進めていた。相手の兵士は弱く、戦いが不得意な私でも勝つ事が出来たであろう相手であった。 
 しかし、気づくと足元が消え浮遊感が体を掛ける

 そして軽い衝撃が体を襲った

 そんなに痛いとも思わなかった。だからこうして無事に生きていられたのだろうか?‥‥

 
 

 ふと足元に何かがあると気づき、そこに横たわっている物に目をやる

 私は自分の体を見下ろしていた。
 私はここに居るのに体は地面にある。潰れた果物のように‥‥


 

『ああ、そうか‥‥私は死んだのか』

 目の前にある自分の死体を見て、自分が既に生きていないという事を認識する

『ついてないなぁ』

 こんなことになるならもっと部下を連れ橋を渡るべきだった。橋は使用している形跡が無かった為、調査だけなら大丈夫だと油断してしまった

『悔しいなぁ』

 もし時間を巻き戻す事が出来たなら、同じ失敗をしないだろう、もっと部下を連れて行ったと思う。
 いや‥‥それ以前に、無理を言っても軍には戻らなかっただろう、そうすれば今頃も家族と一緒に過ごせていただろう。
 可愛い我が子のお世話をしながら家事をこなし、愛する夫が帰ってくるのを待っていることが出来ただろう。
 ‥‥時間が戻れば‥‥生きていれば‥‥こうなる事が分かっていれば

『うっ‥‥ううっ‥‥女神マシェルよ、女神サーナよ、お願いします‥‥どうか、どうか最後にもう一度、家族に会わせてください、お願いします‥‥』

 魂だけの存在になってしまったトルリの瞳から涙があふれる

『家族に会ってもう一度、夫に抱きしめられたい、もう一度我が子を抱きしめたい‥‥お願いします‥‥女神よ!』

 女神に願ってもどうしようもない事位分かっていた。しかし願わざろうえなかった。
 トルリの願いは女神には届かなかったが、その悲しき思いからかトルリの既に動かなくなった死体の瞳からもいつしか涙が溢れ出していた

『お願い‥‥します‥‥』

 後悔と悲しみに暮れるトルリは、自分の死体の横にいつの間にか誰かが立っている事に気づく

『えっ‥‥ハヤト?』

 私は幻覚でも見ているのだろうか? その人物は敵でもありながらも共闘もし、家族づきあいも合ったウエタケ・ハヤトだった。もう3年近く会っていない。
 そのかつての戦友がトルリの死体を見下ろしていた
 
「軍は辞めるって言ってたのに、どうしてここに居るんだよ、トルリ‥‥」 

 ハヤトの顔には、トルリがそれまで見た事の無い悲しみの表情が浮かんでいた。怒った顔や嬉しそうな顔、意地悪されたり馬鹿にされたり‥‥。色々な表情を見せてくれたハヤトだが、トルリに対し悲しみの表情を向けたのは初めてだった

『貴方こそハルツールにはもう戻らないって言ってたでしょ? どうしてここにいるの‥‥』

 ハヤトは暫く悲しみの表情でトルリを見ていたが、おもむろに自分の首に手を掛け何かを外した

「本当は誰にも触らせたくないんだけど、色々とお前には世話になったし、マイナもお前の事は気に入っていたからな、特別だよ?。魂の抜けた亡骸に効果があるかは分からないけど」

 ハヤトは自分の首からネックレスを外し、トルリの胸の上に置いた━━するとネックレスが淡く光り出し、その光が優しくトルリの体を包む。
 光は体の欠損した場所で強く輝き━━

『え‥‥?』

 トルリの体を再生してゆく。
 千切れた足が、破裂した内臓が、砕けた頭が、破損した部位を捨て、また新しく生まれ変わる。
 トルリも回復魔法が使えるが、この再生速度は明らかに異常と考える。例え世界で一番の回復魔法の使い手でも異常、女神の軌跡と言うだろう。
 それほどに目の前の光景は非現実的だった

 だがトルリはこう考える

『ハヤトはハヤト自身が特殊な存在だったし、こんな事も出来るのだろう。あのペンダントが特殊な魔道具かもしれないし』

 あっという間に破損個所は修復され元の体にへと戻った

「死体でも治るのか‥‥良かったなトルリ、これでキレイな体のまま家に帰れるぞ」
 ハヤトは『収納』から棺桶を取り出した

『そうね、ありがとう‥‥ハヤト』

 夫なら同じ元兵士という事もあり理解してくれるだろうが、私の壊れた体を子供には見せたくなかった。でもこれで━━

 棺桶に収める為、破損した防具をトルリの体から外していたハヤトだが、その時一滴の水滴がハヤトの目からこぼれた

『私が死んだことを悲しんでくれているの? ごめんね。本当は生きたまま、また貴方達夫婦と会いたかった。また‥‥友達として‥‥一緒に』

 トルリは再び涙を流した。最初ハヤトとマイナを見つけた時は驚いたが、ホントに短い時間だったが一緒に居た時間は楽しかった。夫もハヤトと仲が良くなり、トルリもマイナと親友のような関係になった。
 でももうあの時のような時間が訪れる事は無い

 その事がトルリの心を揺さぶる

 破損した防具を取り除いたハヤトは、トルリの体に『洗浄』魔法を掛ける。土汚れや付着した血痕などが奇麗に取り除かれ、本当に死んでいるのだろうか‥‥と思うほどに綺麗になった。
 ハヤトはトルリの体を抱きかかえ、大切な物をしまうかのようにトルリの体を棺桶の中に入れた。そしてトルリの両手をお腹の上に乗せると、ハヤトは棺桶の蓋を手に取る



 ああ‥‥この蓋が閉まった時、私の人生は全て終わってしまうのだろう‥‥

 そう考えていたトルリだったが、ふと蓋を閉めようとしていたハヤトの手が止まる

『‥‥どうしたの?』

 ハヤトはおもむろに手を伸ばし



 むにゅっ



『‥‥‥‥は?』


 トルリの胸を揉んだ

 むにゅっむにゅっむにゅっむにゅっ

『は!? は!? はぁぁあっつ!!!』

 魂になったトルリが真ん前で見ているとも知らず、ハヤトは無表情のまま一心不乱に胸を揉みしだいた

 むにゅっむにゅっむにゅっむにゅっ!

『イヤっ!! 何をしてるの! 止めて! いや! ちょっと! いやあああ!』 

 ハヤトの手は止まらない

 むにゅっむにゅっむにゅっむにゅっ! むむむむむむむにゅぅぅぅぅっ!

 強弱に加え捻りも加えてきた

『止めて止めて! 触らないででえぇぇ! いややややややややややややああああああああ!!!』

 トルリは意味のない事だと分かりつつも、ハヤトの顔を思いっきり引っぱたいた



 パチン!

 音と共に手のひらに痛みを受ける

「「は?」」

 叩いたトルリも、叩かれたハヤトも一瞬あっけに取られ、トルリは叩いた手の平を見て、ハヤトは叩かれた頬を抑える。
 トルリは今の状況を理解する為に今度は反対の手でハヤトの頬を叩いた

 パチン!

 痛い、手が痛い。そして自分は今棺桶の中に入っている。これはもしかして生き返っ━━いや、それどころじゃない! それよりも重要な事がある!

「何で私の胸を揉んでるんですかあ!!」

「えっ、お、おおおおおお前なんで生きてるの?」

「こっちが聞いてるんです! なんで揉んだんですか!? おかしいでしょ!」

「いやいやいやいや、お前死んでたよね? 何で生きてるんだよ!? おかしいだろ!」

「死んだ人の胸を触る人がどこにいるんですか!」

「お前生きてんじゃん!」

「生きてたら胸を揉むんですか!? 死んででも揉むんですよね! 夫も子供もいる身の女の胸をああも揉んで揉んで捻ってっ! んーっ! 常識が無い、常識が無さすぎます! 変態じゃないですか!」

 一気にまくしたてた私に、ハヤトは『やれやれ』といった感じでため息をつき

「‥‥まあ、なんにせよトルリが無事でよかったよ」
 清々しい程の笑顔でほほ笑んだ

「何笑ってんですか! 今までのやり取りを無かったことにしようとしてませんか!? 無理やり仕切り直しとかさせませんよ!」

 チッ! と嫌そうな顔をするハヤト、その態度に更に怒りが増す

「まあ、落ち着けよ」
 
 私が怒りと自身が生き返ったという動揺で心が揺れる中、ハヤトは既に平常心に戻っており、その口調も態度もいつものふてぶてしい態度のハヤトだった。
 この人は心臓に毛でも生えているのだろうか? よくこの状況で自分を取り戻すことが出来る

「お前の胸を無断で許可なく触ったのは悪かったと思っている、でもな? あの行為は俺のいた世界では医療行為なんだよ、胸を触る事で血液を動かし細胞を活性化させ蘇生させるんだ。そのおかげで、ほら! トルリは生き返ったわけだから」

 そんな言い訳が通用するはずがない
「嘘っ! 今さっき『お前死んでたよね、何で生きてるんだよ、おかしいだろ』って言ってたでしょ! それに相手が男だったらどうするんです!? 同じように胸を揉むんですか!?」

 ハヤトの目が少しだけ上を向く、明らかに何かを考えている様子。そして次に出てきた言葉は

「あのなトルリ、お前達が上にあった橋で戦ってたのは聞いている。‥‥周りを見てみ? 橋そのものが落ちてくる位だから相当の激しい戦いだったんだろう。それに戦いで戦死した勇敢な他の兵士の死体もある。その中で胸を揉んだとか揉まないとかさ、今はそういう話で争うべきではないと思うんだ」

「その勇敢な兵士の死体がある場所で、平然と痴態を振舞うハヤトの方が頭おかしいでしょう!」

 明らかに話をそらそうとするハヤトに、私は頭がおかしくなりそうなほど沸騰してしまう。もう頭から中身が零れ落ちそうだ。
 だがハヤトは私の指摘に少し納得したのか

「確かに」

 と力強く頷いた。そしてこう続ける

「本音を言ってしまうとな、そこにオッパイがあったからだよ。これが理由だ」

 何が本音を言ってしまうとなだろうか? 何を言っているんだろうかこの男は

「な、何を言ってるんですか? オ、オッパイがあればどんな状況でも触るって言いたいんですか?」

「ああ! 男なら誰でもそうする!」

「‥‥ほ、本当に何を言ってるんです? 胸があったらそれが死体でも関係なしですか?」

「生きてるじゃん」

 何故か会話が最初に戻ってしまった気がする、ハヤトは続けて、まるで私に説教でもするような口調で話を続ける

「あのねトルリ、男ってのは最初に胸を見るんだ。その次に顔ね、この二段階の手順を踏んでこの人は女なんだと認識するんだ。
 つまり、人を識別するのに胸とはそれ位大事な物なんだよ。大事なものだから見たいし触れたい、これは男として当たり前なんだよ? どんな男でもそう、お前の旦那もそう、世界中の男がそうなんだ。
 本当にこれはどうしようもない事だから、男に生まれた者の宿命なんだ」

 仕方ない事なんだと悲しそうな顔で訴える

「ハヤトみたいな変質者と私の夫を一緒にしないで! 夫はそんな人じゃない!」

「おっとぉ‥‥そんな事を言うのかい? じゃあ一つ聞くけど、女の人は男の視線に鋭いと聞くけど、トルリもそれはあるのかな?」

「ありますよ! 今現在でも変質者の目が私の胸に集中してます!」
 
 だからさっきから私は胸を抑えている

「なるほど‥‥確かに俺は見ている」

 その言葉に私は強く胸を抑えた

「でもね、他の軍の同僚からもそれは同じだろう? 見られていると感じる事はあるだろう」

「ありますよ!」

「だったら初めてトルリが旦那と会った時はどうだっただろうか? その目は‥‥一度も、胸に行かなかったか?」

「‥‥‥見てませんよ」

「女神に誓えるかな?」

「‥‥‥」

「トルリはそれを知ってて、二人だけで会う時、胸を強調した服とか、胸元が空いた服とか着たりしてたよね?」

「‥‥着てませんよ」

「女神に誓えるかな?」

「‥‥‥」

 全部合ってて何も言えなかった

「な? 男ってそんなもんだよ。胸があれば見ちゃうし触りたくもなる、そんなバカな生き物なんだ。だから全部仕方ないんだよ、わかるでしょ?」

「ええ‥‥まあそうですね‥‥すみません私が取り乱してしま━━いやいや! 待って! おかしい! それとこれは違いますよ騙されませんから! 話をそらさないで! 問題はハヤトが私の胸を触った事でしょうが!!!」

 危うく本題からずらされる所だった。そう! 胸を触られた事が重要だった

「おっと、そうだったね。実はさ、あの胸を揉む行為は蘇生の為の儀式であって━━」

「内容が戻ってる! 話が進まない!」

 中々解決しない問題に、このまま時間だけが過ぎていくのかと思われたが

「旦那様ここは私にお任せください」

 ヌッ! といきなり人影が現れた。
 私は突然の人影に驚き「ひっ!」と声を上げてしまう。
 その人影はハヤトがマシェルモビアに来た際、2度見た事のある召喚獣だった。異形の姿の召喚獣で、ハヤトの執事的位置の存在であると知っている。
 通常召喚獣とは魔法陣が展開されてから、その中から姿を現す。しかしそのラグナという召喚獣は魔法陣の展開が一切なく、何もない所からいきなり姿を現した。
 通常ではあり得ない事である、しかも何故か召喚主であるハヤトすらその登場に肩を震わせた

「お互いに話が噛み合わないようですが、人は糖分、つまり砂糖が不足すると思考能力が失われるとこの前本で読みました。なのでトルリ様にはコレを‥‥」

 ラグナが私に差し出して来たのは、小さな包み紙にくるまれた物だった

「‥‥これは?」

「高級チョコレートでございます」

「チョコレート!!」

 言うが早いか、私の手はチョコレートに伸びていた。そして包み紙を剥がすと、そこにはもう見る事の無いと思っていた黒く光る硬い物が見えていた

「こ、これ食べても?」

「どうぞ」
 ラグナはニッコリと笑━━━っているような感じがする表情で促す、人の顔では無いので実際笑っているかは分からない

 私は少し震える手で口に運ぶ

 ああ、もう食べる事が出来ないと思っていたチョコレート。ハヤトに3箱貰ったが結局私1人で食べてしまったチョコレート。
 しかも節約しようと思っていたのに、結局一週間で全て食べてしまい後悔したあの日。あの時程、自分の意志の弱さを悲しんだ日は無いだろう。
 家族に分けるのを拒むほど恋焦がれたチョコレートが今私の手に‥‥

「ねえラグナ、何でお前があれ持ってるの?」

「コトン様とデュラ子お嬢様の意識が反れた隙に、こんな事もあるだろうと思い少しばかり私の方で確保しておりました」

「ふーん」

 そんな二人の会話を耳にしながらチョコレートを口にした。一口サイズのチョコレートは、口に入れて数秒で溶け始め、その甘さ、前回貰ったチョコレートが比較にならない程の上品な甘さが一気に口の中に広がった。それは口だけではなく、顔全体に広がるようなとろける美味しさだった

「えっ‥‥白目向いてるけど、大丈夫なの?」

 ハヤトが少し引いたように声を掛けてくるが私には届かない。その代わり
「んっ‥‥」
 あまりにもの美味しさに声が零れ、プルプルと体が震える


 幸せ‥‥

 前回のチョコレートはこの世で一番美味しい食べ物だと思った。だが今食べたチョコレートは、それ以上の快楽をもたらす物だった。
 しかし、その幸せもつかの間。
 あっという間に口の中から溶けて消えてしまった

「あっ‥‥」

 指の隙間から零れ落ちてゆく砂のように、私の幸せは溶けて消えていく。ラグナがさっき言った
 『砂糖が不足すると思考能力が失われる』
 と言うのはどうやら本当だったらしく、胸を揉まれた怒りも少しばかり収まった気がする。もう一個ぐらい貰ったらその怒りも完全に収まるかもしれない。
 そんな私にラグナは

「もう一つどうですか?」
 と進めて来た



 ・・・・・

 ・・・


 結局その後もう一個、全部で3個貰った

「今年で4歳なんですけど、親の言う事を無視するようになってきて、直ぐに怒ったり泣いたりするんですよね。手がかかる次期らしいですけど」

 チョコレートを食べた事で、胸を揉まれたことなど些細な事に思えてくる。そんな些細な事に何を私は怒っていたのだろう、今思うと不思議である

「へえー、イヤイヤ期だっけ?」

「それは2歳位の時ですね、今は軽い反抗期みたいな時期です」

 怒りも収まり、久々の再会という事もあり双方の近況の話へとなった

「それだと旦那が大変なんじゃないの? そんな時にここに来てるんでしょ? 軍を辞めるとかの話はどうなってるんだよ」

「それが結局認められなくて‥‥、しかも軍に戻ったら戻ったでオーガを勝手に使った事で今度は責任を取れとか言い出されて、何とか責任を負わずに済んだんですけど、その代わりに個々の調査に行けと言われまして。
 まあ私にとっては戦場に出るよりはこっちの方が良かったんですが、結局はこうなりましたけど」

「オーガって何?」

「ハヤトが倒したんですよね? あの大きいオーガですよ」

「‥‥!! お前かぁ! アレを差し向けたのは!」

「ッ! ちょっと大きい声を出さないで下さいよ、仕方なかったんですよ」

「ていうか、アレを倒すのにどれだけ苦労したか分かってるの!?」

「だから仕方なかったんですって、あれしか方法が無かったんです。オーガを送った場所にたまたまハヤトが居ただけですから。
 というかこっちも言わせてもらいますけど、何でハルツールに戻ったんですか? もう戻らないって言ってたじゃないですか? マイナと深部でずっと暮らすって。
 最後に家に来てからはどうしたんですか? あっ、マイナは元気ですか? ハヤトの子供が欲しいって言ってましたけども、もう生まれてたりします?」

 今度お土産にスライムを持って来てくれる約束だったが、あれ以来二人は来なかった。実を言うとちょっとだけスライムに期待していた私がいた。
 その事を聞くとハヤトの表情は暗いものになり

「マイナは‥‥死んだよ」

「えっ‥‥死んだ?」

「ヴァンギエル族に殺された」

 唐突に考えてもいなかった事実を伝えられる

「ヴァンギエル族って、ハヤトは深部に住んでいたんじゃ?」

「そうだよ」

「じゃあ何故ヴァンギエル族が?」

「居たんだよ、奴らが。ヴァンギエル族ってのは何故か魔物に襲われないらしい、魔物の方が怯えて近づかないんだと。ハルツールで見るような頭でっかちのヴァンギエル族よりも、更に頭のデカい奴らで、多分あれが‥‥ヴァンギエル族の原種、みたいな感じになるのかな?。
 そいつらにマイナが殺されて、お腹の中に居た子供も一緒に殺された」

 ハヤトは淡々と答えた

「そんな‥‥マイナが‥‥」
 マイナとはたった二日しか合って無いが、最初はイラッときたものの、どことなく昔から知っていたようなそれでいて、親友のような感じに思え直ぐに打ち解けた。私の子供と遊んでくれて、自分も子供が欲しいと言っていたマイナ

「その‥‥すみません、知らなくて‥‥」

「別に謝る必要は一切無いよ、仕方ない事だから」

「それで‥‥そのヴァンギエル族たちは‥‥?」

「今はもういない」

 『今は』の言葉にトルリは全てを理解する

「でもって帰る場所が無くなったからハルツールに戻って来た訳、そしたら盛大にお祝いされてさ、軍にいるのはもうやめようと思ってたんだけど、辞めるに辞められないって感じかな? トルリと一緒だよ」

「そうですか。マイナの事は残念でしたが、ハヤトが無事でよかったですよ。あの日から音信不通で一体どうしたのかって夫と心配してましたから」

 それは私の本当の気持ちだった

「悪いね何も言わなくて、伝えようにも伝えられなくなった事情があってね。でも俺もホッとしてるよ、上から見たら潰れてるトルリがいたからさ。
 まさか生き返るとは思って無かったけど、まあ、何にせよ生きててくれてよかったよ、戦友がいなくなっていくのは寂しいからね、ってのが俺の本心だよ」

「ハヤト‥‥」

 今でも私の事を『戦友』と言ってくれることを嬉しく思う

「さてとっ、何となく霧が出てきた気がしたし、ここって年中霧で覆われてるらしいから今のうちに遺体の回収をしようか? トルリって棺桶持ってる?」

 ハヤトは兵士達の遺体を回収しようと提案する、棺桶は『収納』に入れることの出来ない人の死体を、その棺桶に入れる事で『収納』に入れることの出来る特殊な道具でもある。でも私は調査の為に来ていただけで、戦闘が無いと思っていたので用意はしていない。
 そもそも私は棺桶を一度も持って来たことが無い

「いえ、私は持ってないです」

「となると、俺も一つしかないから、マシェルモビアの兵士には悪いけどタグの回収だけになるね、ハルツールは‥‥一番階級の高い兵士の遺体だけ入れて後の二人はタグだけになるかなー」

 ハヤトが悩んでいると

「旦那様、私は人数分の棺桶を持っているので大丈夫です」
 召喚獣のラグナが申し出る

「えっ? 何でお前が持ってるの?」

「料理道具の保管に丁度いいのと、日の光を嫌う様な野菜もありますので、その貯蔵にいいと思いまして、軍の方にお願いして頂いておりました。中にある物を取り出せば人数分は確保できます」

「お、おう、じゃあ出してくれる?」

「はい、ただいま」

 ラグナはスッと姿を消す

「‥‥いやだなぁ‥‥棺桶から取り出した調理器具で料理を作ってたのか」
 ハヤトはボソッと呟いた



 ・・・・・

 ・・・

「それじゃあ回収しようか」

 私は2つの棺桶を受け取り、味方兵士の前に行くが━━

 うわぁ‥‥

 正直、触りたくない。そもそもこれはどこまで拾ったらいいのだろうか? 色々と飛び散っているが、この肉片一つ一つ回収しなければならないのだろうか? こういう事があるから私は棺桶を持ちたくないのである。
 本当に生き物の死体とか、気持ち悪いから触りたくない

「こっちは終わったけど‥‥何で手も付けてないの?」

「いえ、その‥‥」

「‥‥もしかしてだけどさ、ただ単に触りたくないとかじゃないよね?」

 ハヤトの鋭い指摘に、さっと目を反らす

 そんな私にハヤトは真顔となり、ゆっくりとした低い声で、今まで見た事の無い程真面目な口調で話しかけてくる

「あのねトルリ、トルリが偉い役職なのは知っているよ、それでねこの二人はさっきの橋の上の戦闘でトルリを守る為に戦ったんじゃないのかい?」

 その通りです

「そんな二人に対して、流石にそれは無いんじゃないのかな? もちろん戦ったのは勝つためだったと思うけど、トルリを後ろに下げ庇ってなかったかい?」

 本当にその通りです

「そんな二人に対してそれはあんまりなんじゃないかな?」

「はい‥‥」

 ぐうの音も出ない事実に私も観念し、味方兵士の死体を棺桶に入れる

 掴んだ瞬間、力なくぐにゃりと曲がる体や、ぐちゃッとする感覚に思わず声が漏れる

「うぅ~ぅぅぅぅ」
「ふぇぇぇ‥‥」

 この作業が二人分もあると考えるだけで既に吐きそうになる。
 そんな私をハヤトは呆れながら見ていた

「後で『洗浄』掛けてあげるから‥‥」

「おねがいしますぅぅぅ」


 ・・・・

 ・・

「へぇぇぇぇ‥‥」
 『洗浄』魔法でキレイになったものの、肉の感触がまだ手に残っており、それだけで吐きそう

「ラグナ棺桶しまってくれる?」

「はい‥‥すみません旦那様」

「どうした?」

「どうやら私の『収納』には入らないみたいで」

「どうして、棺桶は入ったんだろ?」

「私の『収納』は衣食住に関係ある物以外は無理ですから、棺桶は収納家具の一つとして入っていたので大丈夫でしたが」

「そうか、じゃあそのまま運ぶか━━あっ、そうだ」
 ハヤトは何か思い出したように両手の平をぱんと叩く

「トルリさぁ、捕虜って事になるけどいいかな?」

 なるほど結果的にそうなる
「構いません」

「それにしてもアレだね、トルリってよく捕虜になるよね? そんな趣味とかあるの?」

「無いですよ、失礼な」

「でももう3回目だよ」

 確かに私は捕虜になり過ぎだと思う、1回目は戦闘が終わった場所に行き掴まり、2回目は返り討ちに合い掴まり、今回で3回目になる。しかも捕まえたのは全部ハヤトである、そのハヤトは━━

「あ、あれ? 無いか?」

 何かを探しているようだったので、多分これの事では無いかと思いハヤトに自分の持っている物を渡した

「これですか?」

「あ? ああ、そう、これこれ‥‥ん?」

「鍵はこれですから」
 
 鍵も一緒に渡す、ハヤトに手渡したのは魔法を制限する為の捕虜に使う腕輪だった

「‥‥7?」
 ハヤトは暫くその腕輪を見て
「これってさ、トルリが最初に捕虜にした時に付けた腕輪だよね?」

「よく分かりましたね、そうですよ」

「最後の番号が7だったから覚えて、ていうか何で持ってるの?」

「いえ、何となく」

「‥‥」

 ハヤトは暫く沈黙し

「もしかしてさ、これ旦那とのプレイに使ったり━━」

「してません!!!」
 本当の事を指摘され思わず話を遮り、声を荒げ否定してしまった

「お、おお、そう‥‥」
 何となく察したようなハヤトは、それ以上追及してくることは無かった
「人それぞれ性癖とかあるからね」
 最後に言われたが

 ハヤトは私に腕輪をはめると、棺桶の一つ一つに付与魔法を施す。付与された棺桶はフワリと浮いた

「何をしたんです?」

「『重力』と『追尾』だよ、俺の後を付いてくるから」

「へぇー」

 ハヤトの言った通り5個の棺桶はその後を並んでついて動いた。最初にハルツールの兵士の棺桶が3つ並び、その後マシェルモビア兵の棺桶が2つついて行くように。
 そのままハヤトは崖を垂直に歩いて登り始めると、今度は棺桶もハヤトと一緒に上り始めた。
 私を置いて

「ちょっと待ってください、私を置いてかないで!」
 こんな所に腕輪をされたままおいて行かれたら私は死んでしまう

「別においてかないよ、ほら、最後の棺桶の上に登ってよ」

「えっ? か、棺桶の上にですか?」

「ほら早く」

「で、でも死んだ人が入っている棺桶の上に乗るだなんてそんな罰当たりな」

「トルリがそんな事を気にするとは思って無かったよ、でも霧もかなり深くなってきたし今更だからそんなの。早く乗ってくれ」

 確かに急激に霧が深くなってきている。自分が立っている場所は腰のあたりまで濃い霧が満ちており、上の方にいるハヤトの姿も見えずらくなっている

「わ、分かりましたよ」
 仕方なく味方の死体が入った棺桶の上に乗る

 どうか呪われませんように‥‥

「じゃあいくよー」
 ハヤトはゆっくりと崖を歩いて登って行った


 ・・・・

 ・・・

 その後、私はハヤトの戻って来た召喚獣に乗り、ハルツールのペリドットまで連れていかれる事になる。本来ならショショウの町まで連れていかれる所だが、私を谷底に落とした兵士がショショウにいるらしいという事なので、ハヤトは私に気を使いペリドットに向かった。
 その後は前回捕虜になった時と同じで別の場所に連れてゆかれ、そこで尋問などを受けるだろう。今回私は前回の一般兵士とは違い、軍団を率いるほどの地位についているが、産休の為、軍を暫く抜けていたのであまり機密情報などは持っていない。
 軍に戻った瞬間、ブレドリアの指揮を情報が殆ど無いまま指揮を取らされ、かと思いきや責任を取れと言われたり橋の建設の調査などやらされている為、ハルツールが欲しい情報などほとんどないだろう。
 あったとしても喋る訳にはいかないけれど‥‥

 ハルツールの捕虜になった私はこの一連の戦いが終わった後、解放される事となる。
 そして私は軍を正式に退役し、軍人としての生活は終わりを迎え、家族と共に幸せな生活を迎える事になる







 ◆◇◆◇



 橋が崩壊した場所で戦っていたタクティアを見つけ、その後トルリ・シルベを捕虜とし、敵味方の遺体を回収したその後‥‥


 

 トンプソン砲撃作戦は結果として成功した

 トンプソンに入ったマシェルモビア兵は大打撃を受け、再度攻撃に転じたリクレク隊を先頭にしたハルツール軍によって食滅。
 そして別動隊によるロメの奪還作戦も見事に成功、都市ロメの完全奪還に至る

 元々ブレドリアで赤い柱による攻撃により、マシェルモビアは兵力を大幅に落としていた。それもありロメの奪還は成功した

 ハヤト隊としては俺はマイナのペンダントで傷が回復している為、結果無傷であるが、他3名はレンダルが重傷で全治一か月、ケンタ君とコトンは1・2週間もすれば完治するとの事

 3人共負傷したので、俺はトルリをペリドットまで届けた後、トンプソンに引き返し残りのマシェルモビア兵と戦った。
 戦ったとは言っても、既に敗走状態にある兵士を倒すだけだったし、ほとんどはリクレク隊が相手をしたので戦闘という程の戦闘はしなかった
 
 その後はロメからブレドリアに続く場所に敵兵が残っていないかの確認、敗走兵の排除に参加する事になる。
 マシェルモビアには簡易移転門もある為、もしそれを持っている兵士が潜んでいた場合、ハルツール軍は内から大打撃を受ける可能性もあるからだ




 そして、今日も他の小隊に俺だけ加わり一区画の索敵をしていた。
 その小隊は俺に対して皆親切であり、俺の6万人のマシェルモビア兵と戦った話が聞きたいと言ってきた

「━━その時俺は『これ以上お前たちの好きなようにはさせん! わが命潰えるとも味方部隊の為お前達をここで足止めする!』と言ってバッタバッタと迫りくる敵兵を切り払いなぎ倒し━━」

 言ってもいないセリフを付けたし、百の事を千にして話した。
 その度に
「おお~!」とか
「すげぇー!」とか言ってくるので、俺もどんどん調子に乗り話を盛る、特盛レベルだ

「━━『女神から賜った『雷』魔法を喰らえ!』と言って最大級の『雷』魔法を━━」

 先ほどまで俺が喋るたびに歓声を上げていた小隊だが、一斉にシン‥‥と静まる

 背中には何度か受けた事のある違和感が伝わる、その違和感を受けたのは人生で2度目。一度目は『火』魔法を奪われ、二度目は属性魔法の全てを奪われた

 もう奪われるものか!

 持っていた十字の槍の『蜻蛉切』を、振り向きざまに違和感に向けて突き出した。蜻蛉切は違和感に当たらず直前で見えない壁に当たったかのように停止していた

「サァーナアァァ!!」

 違和感の正体は女神サーナであり、先程まで歓声を上げていた小隊は全て意識を失い地面に伏せていた

「お前にはもう何も取らせない!」

 『身体強化』

 力を強化し蜻蛉切を何度も何度もサーナに叩きつける、
「ああああぁぁぁぁ!」

 だが、サーナに傷が付く事は無い、何かの結界があるかのように一撃もその体には当たらなかった。俺が懸命に槍を振るっている時、女神サーナはその行為に悲しい顔をするだけだった

「全部吹き飛べ! 『放出』!」
 サーナの顔に向け魔法を叩き込むが、放った直後魔法が反転する

「うぶっ!!」
 
 逆に吹き飛ばされたのは魔法を使った俺自身だった。
 高く宙を舞い数十メートル後ろに吹き飛ばされ、木に背中から激しく衝突する。防具には『硬化』と『耐壁』が付与されていたため負傷はしなかったが、それでも強い衝撃を背中に受ける。その際に蜻蛉切を落としてしまった

「くっそ! ━━ッ!」
 
 木に衝突し顔を上げるとそこには既にサーナが立っていた。そして悲しい表情のまま

「私は、貴方の味方です」

 と言い、その右手を伸ばすそして俺の頬を触ろうとし━━

「触るなぁ!」
 『収納』から短刀を取り出しサーナに向け突き刺す‥‥が

 ビリッとした痺れる感覚が体を襲う

 ああっ‥‥また『威圧』をっ

 女神サーナは俺に対し威圧を使う、だが前回強い痛みを感じたが、今回は前回よりも痛みは感じなかった。
 だが痺れにより体が一切動かすことが出来なかった

 サーナの手がゆっくりと伸びてくる

 触るな触るな触るな触るな触るな触るなぁぁ!!

 声にならぬ声を出し抵抗しようとするが、非情にもサーナの手は俺の頬を触れ、俺の中に大きい喪失感が襲う

 またやりやがった! このクソ悪魔!


 サーナは俺から何かを奪った後
「あなたの好きなようにしなさい、私はいつも見守っています‥‥愛しい愛しい私の━━」

 その姿は霞のように消えていった

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