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捕虜
しおりを挟む「離して! 離して下さい! 乱暴にしないで!」
捕虜を捕まえ、戦闘があった場所から離れる
追加の部隊が来ると思っていたのだけど、来る気配は全く無く、とりあえずはここから離れようということになった。
かれこれもう4時間は歩き続けているが、竜翼機の乗組員をひとまず休ませたい、応急処置はもう施してはあるが、魔法と違い回復薬にはそれほど効果はない、かなり痛むらしく脂汗が噴き出している、彼にはソルセリーが付き添い、捕虜にした女はベルフが対応している
「痛い! 強く引っ張らないで、私が何をしたって言うんですか!?」
特に何もしてない、捕虜になっただけ。
俺が作った泥入りの落とし穴に落ち、薄茶色の色に染まったマシェルモビアの女性兵士、頭には魔法を制限する鎖と、手には手枷、足には歩幅を減少させる物が付いている。
彼女はさっきからとても五月蠅い、こっちは追手を警戒しつつ目立たないように行動しているのに‥‥多分彼女は不安になっているのだろう、これから自分がどんな目に合うのかを‥‥‥‥
「分かったわ! これから貴方たちは私の体を弄ぶつもりでいるんですね!? わ、私には心に決めた人がいるんです、いくら私が豊満な胸を持ってるからって、そんなひどいことをするのはやめて下さい!」
豊満‥‥
彼女の胸をよく見てみる、特に気にもしていなかったが、まぁ、確かに大きい方に入るとは思う、でも俺が初等部に居た時のおっぱい先生よりはかなり小さい、まずはおっぱい先生を超えてから『豊満』を名乗ってもらいたい。しかも先生は形もかなり良かった。
「ヒッ!」
俺が胸を凝視すると胸を庇うように両腕で隠す、後ろではソルセリーがギロリと俺を睨んでいる気がする、なんだかんだでこのソルセリーがは気性が荒いみたいで余り関わり合いたくない。
ベルフにも聞いておこうか
「ベルフ、この女どう思う? 襲いたいと思うか?」
「いっ!? と、ちょっと!」
いきなり話を振られてオロオロするが
「お、俺は結婚してるし、妻一筋なんだ、この女を襲う事なんかは無い!」
きっぱりと言い切った
ベルフは妻帯者でしたか、そうですか
「だそうだ、よかったな」
ベルフが「おいおい」と小声で呟く
「あ、貴方はどうなんですか!? どうせ後で誰も見ていない所で私を襲う気でしょ!」
俺が疑われているのか、心外だな。
俺はこの世界の『三大美女』を知っている、世界一美しいミラと世界一可愛いネクター、そして俺の女神マシェル、この三人に比べたら目の前の薄茶色の女なんかそこら辺の石ころと同じ、無機物を襲うとかまず無いです、そんなの変態じゃないですか。
しかし彼女が不安になっているならそれを解消しないと、いつまでたっても五月蠅いままだし、とりあえず襲う気は微塵も無いと言わないと。
‥‥ただこういう女性は真実を言っても「嘘! 信じられない!」とか、言い出すに決まっている、だから襲わないという根拠を示さない信じてもらえない、そして少し落ち着いてもらわないと‥‥
「いいかい? 男だって誰これ構わず盛ったりすることは無いんだ、そこにいる人は怪我をしてそれどころじゃないし、君の隣にいるベルフだって嫁さんの方が大事で君に興味を持てない、俺も君よりも可愛い女性を知っていて、俺はその女性を狙っているんだ。
悪いけど君はその女性に到底及ばない、あと君は胸に自信があるみたいだけど、君よりも胸の豊かな女性を知っている、大きいにも関わらず形もしっかりしていて、何度も触ろうかと躊躇したことがある。
その胸に比べると‥‥君の胸は普通よりは大きいかもしれないけど、大事なのは大きさよりも感度だと思うんだ、その次に形だね、君は胸当ての上からでも分かるくらい、いささか垂れ気味なんじゃないか?‥‥それと男にだって選択する権利ってのがあると思うんだけど‥‥」
「‥‥そのくらいで止めてやってくれないか」
襲うことはないということを信じてもらうために、理由を述べていたところ、べフルに不意に遮られてしまった、そこで俺は気づいたのだけども‥‥
「うっ‥‥ぐすっ‥‥ぐすっ」
「最っ低‥‥」
彼女はすすり泣いていた。
ソルセリーにも非難され、男性陣は俺以外沈痛な面持ちでいる
言い過ぎたか!
「あっ! いや、君の胸の事は俺の個人的な感想であって、全部の男がそんな風に思っている訳ではないからね! ちょっとぐらい形が崩れていたって‥‥」
「うぁぁぁぁぁあん!」
泣かせてしまった‥‥
昔、兄さんが
「女は自分の胸の事を気にしているからな、絶対に悪く言ったりしたら駄目だぞ、女が自分の胸の事で悩んでいたら、『でも俺は君の胸は好きだよ』とか言っておくんだぞ」
あの時の兄さんの言ったことは正しかったよ、ありがとう兄さん勉強になる
「あ! で、でも君の胸は好きだよ」
「いやあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
・・・・・・
・・・・・・
「所で君のいた部隊は殆どが新兵のようだったけど?」
「多分他の人も戦闘経験のない人達だと思います」
思いっきり騒いだら逆に冷静になったようで、俺達の質問にも答えてくれるようになった。
ナイス俺の頭脳プレイ
「多分?」
「‥‥私は卒業してからすぐあそこに配属になりましたけど、他の人は学校を卒業してからしばらくして軍に入ったりとか‥‥、ここに来る前に急遽編成されたので、顔と名前が一致しない人ばかりで‥‥」
なるほど、だからか
「君たちはどんな任務を受けたのか聞いていいかい?」
「い、言いませんよ! 私だって軍人なんです、重要な任務の事なんか言えるはずないじゃないですか!」
重要ねぇ‥‥
「言っておくけれど、こちら側の行動が君たちの国に筒抜けになっているのはもう知っているから、軍の上の人達も把握している、今回あそこで襲われるってことも、この作戦が書かれた紙に書いてある」
そこまでは詳しく書かれていない司令書を、ひらひらと振る
「えっ!」
「君たちの任務は、自国の竜翼機と連携して、我が国の輸送機の破壊」
「‥‥っ」
彼女の体が少し反応する
「その次に、ここにいる破壊の一族の殺害」
実際は「漏れているかもしれないよ」程度なんだけど
「‥‥そこまで分かっているんですね」
「マシェルモビアの軍人の中に、ウチのスパイが結構いるからね」
嘘です、知りません。ただ今の彼女の返答で破壊の一族がいることを知っていたことになる
「ええ、サコナ・ソルセリーの殺害が私たちの任務です」
意外とあっさりとゲロってくれた、流石はドジっ子、名前まで把握していることで、今回のハルツール軍にはサコナ・ソルセリーがあの場所にいた事を、マシェルモビアは完全に知っていたってことになる、つまりこちらの任務の内容が駄々洩れ状態、ただ、よく分からないのが一つ
「破壊の一族がいるのを分かっていて、何で君たちの様な急いで寄せ集めた部隊に命令が下ったの?」
「分かりません、時間が無いので急遽といわれましたけど‥‥」
時間がないからか、なら仕方ないのかな?
「それは少しおかしいな」
ベルフが口を挟む、色々経験豊富らしい彼が疑問に思ったことだから、何かあるのかな?
「いくら時間が無くても、あらかじめ決められた班や隊の割り当てがあるはずだ、それに、あの拠点にはどれほどの兵がいるか分から‥‥、ゴホン! あれだけの兵がいるのにあの場所に出てきたのが分隊二つだけってのはな」
「そう言われましても私には‥‥」
組織がガタガタでなのかな? それとも待ち伏せ用に取っておいてるのかな。
「ねぇ、あなた」
さっきからずっと不機嫌な顔をしていたソルセリーが口を開いた
「グースって知っているかしら?」
知ってます
「はい‥‥マシェルでも有名ですから」
ちょっとだけ照れるな‥‥
「ここにいるんだけど」
「え‥‥」
顔が恐怖の色に染まり、体を抱きしめるように縮こまる
「ど、どこですか‥‥」
ソルセリーの指が俺の方を指し「そこ」
「‥‥ち、違うじゃないですか! 脅かさないでください! グースは仮面で顔を隠してるって聞いてますし、もしそうだったら今頃気絶しています」
ぷんぷんと怒っている女兵士、ソルセリーは俺の方を見て顎をしゃくる様に合図をして来たので、とりあえず仮面を『収納』から出して顔に掛けてみる
「‥‥え!‥‥い! いやぁぁぁぁあ あ あ‥‥あーあれ??‥‥コホン‥‥‥‥」
悲鳴を途中で止めた
「う、嘘です! 嘘つかないでください! からかっているんですか!? 騙されませんから!」
顔を真っ赤にして抗議するけど、途中まで騙されてるからね
「嘘じゃないよ俺がグースだよ」
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「こんな召喚獣って見たことあるかい?」
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「詳しく! 詳しく聞かせてくれ!」
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・・・・・
・・・・・
女神マシェルの話から天使ネクターの話へ移る、ネクターとは何度も食事を一緒にした仲(2回)、ネクターとはキスもした(無理やり)、俺の女だから手を出さないようにと(予定無し)、4人に念を押す
「天使ネクターが貴方と会ったというのは知ってはいたけど‥‥」
「手とか出せるわけないだろう‥‥恐れ多い」
「天使ネクターはどんな方何ですか!?」
「そうだね、一言でいえば、『世界一可愛い』かな?」
女神マシェルと天使ネクターのことを根掘り葉掘り聞いてくるが、俺は聞かれてないことまでベラベラ話した
だって楽しいし
その後も色々話をしていたのだけど、マシェルの女兵士が急に
「あっ! 女神マシェルの事で話が飛びましたけど、さっき威圧が無くなったっていいましたね!」
「そうだね」
「あー、それでか、変だなーと思ったんだよな」と、ベルフが呟く。多分初めて会った時のことを思い出しているんだろう、その時は逃げることで精一杯でそこまで気が回らなかったんだと思う、彼は最初俺を見た時に「竜騎士」と言っていたが、同時にグースだということは知っていた。なのに威圧を感じなかった。不思議には思っていたけど今ので納得したのだろう。
「ならもうグースの威圧に怯えることも無いってことでいいんですね!?」
「あっ‥‥」
ベルフが小さな声をだす
「もしかしてあの時の映像の姿になること自体、もう出来ないんじゃないんですか!?」
「あの時だけだね、あの姿になったのは」
「だったら私の国はもう貴方に怯えることも‥‥」
ジャキン!
と後ろで音がした、振り返るとソルセリーが槍を構え今にも飛び掛かるような姿勢を取っている。
「貴方はベラベラと喋り過ぎなのよ! おかげでこの子を殺さなければならなくなったわ」
「君は知ってはいけない事を知ってしまったようだ。君からは大体の情報も得ることが出来たし、このまま本国に帰還出来たら捕虜の交換で、マシェルモビアに返そうと思っていたんだが‥‥悪く思わないでくれ」
「あ‥‥あぁ‥‥」
ゆっくりと『収納』から出てくる刀を見て、女兵士は自分の言動が踏み込み過ぎたことを後悔した
重い空気の中
「二人ともちょっと落ち着きなよ、ほら、ベルフも刀を下げて、捕虜にした者を殺したら罰則があっただろ?」
「何を言ってるの! 全部貴方が悪いんじゃない、これはもう貴方だけの事じゃ無いのよ! グースとその威圧はハルツールに取って武器であり、マシェルモビアの兵にとっては恐怖なの! だから彼女のような者達だけで部隊を組ませて、様子を見るために捨て駒にしたのよ、私の事は知っているけど、貴方の事は知らされてなかったのはそのためよ!」
「えっ‥‥」
なぜ自分達だったのか? 今ようやく理解し言葉が出ない女兵士と
なるほどなー
と、感心する俺がいる、ただ、バレるのは時間の問題だったし、その代わりのアレがあるし
俺は女兵士の方を見て
「ごめん‥‥」
と謝罪の言葉を言う、それで女兵士は自分の命がここで終わることを察したかのごとく、目から輝きが失われていく
「先に謝らせてもらうよ、戦争とはいえ君の国の兵士たちを殺してしまったことを、それと君はここで死んだりしないから安心して」
「え‥‥」
「貴方はこの期に及んで、何を言ってるの! この子を生かしておいたら‥‥」
俺は手でその次に続く言葉を制し
「あの時の姿にはあれ以来なってないし、威圧は無くなってしまったけど、基本俺はグラースオルグなんだ‥‥、それで天使ネクターに聞いたことなんだけど、俺が殺した人はね、もう生まれ変わることが出来なくなるんだ」
俺以外の人達は、一瞬何を言っているのか分からないような顔をする
「グラースオルグは全てを喰らう物、喰われた者は体どころか魂まで喰われ、輪廻の輪から外される、だから俺に殺された君の国の兵士は生まれ変わりは無い」
この世界の人々は、死んだら生まれ変われると信じている、死=来世であり、兵士などは死ぬ間際「次の人生は‥‥」と、来世に思いを馳せる、そうすることで死ぬ恐怖を押さえるという、だからこの世界の人々は死をあまり恐れない、宗教上の真実、誰もが知っている常識。
だがもし、来世が無いとしたら‥‥人は死を恐れるだろう
「そして、俺の力の一部として魂が使われることになる、こんな風に‥‥」
ボウッ!
彼女の目の前に火柱が立ち昇る、それは段々と形を変え、頭の様な物が現れる、続けて手・足と人の形を作っていく、そこから顔が作られ目・鼻・口とパーツが浮かび上がる
「あ、あ‥‥」
それは彼女が先ほどまで隊を組んでいた一人の男性の顔へと変貌していく、俺が最初にランスで貫いた兵士の顔へと‥‥
女兵士は恐怖でカチカチと歯を鳴らし、声すら出せない
男性の姿になった炎の口がゆっくりと開かれ「ヒュー ヒュー」と風が漏れるような音、そしてその口から掠れた声で‥‥
『‥‥タ ス ケテ』
人の顔を持った炎は、助けを求めるように右手を彼女に伸ばし‥‥
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!」
女兵士は叫び声を上げ、気を失った
・・・・・・
・・・・・・
俺は嘘は言ってない、俺が殺したら生まれ変わることは出来ないし、頭に石が当たって死んでも生まれ変わることは出来ない、そして死後の魂は消滅し魔力になり大気中に漂う、一応証拠に大気中の魔力を使って人型の炎を作って見せた、
懐かしい‥‥久々にファイヤーマンを作ってしまった。
モデルは最初にランスで貫いた男性兵士、コレを作ると学校内で村八分状態だった時のことを思いだしてしまうが、同時に欧米ズの事を思い出してしまう、元気でやっているだろうか‥‥。
ファイヤーマンの声はクジュの村に駐留していた時に、クリオとマロンを驚かせるため土で作った人形に声帯を作り、『風』魔法で中から空気を送り、声が出ているように見せて遊んでいた、初めて土人形を見た時の二人のリアクションが今でも忘れられない。
今回のファイヤーマンは『火』『土』『風』と三つの魔法を使った、高度な技で自信作だ
「な、なぁ‥‥さっき言ったことって‥‥」
未だに動揺しているベルフが聞いてくる、ソルセリーも数歩俺から離れ右手で心臓を押さえるような仕草をしている
「全部本当のことだよ」
嘘偽り無し、真顔で答える
「そうか‥‥」
気持ち、少しだけ俺から離れていったベルフとソルセリ―
さて、この女兵士はどうするかと思い女兵士に視線を移すと、泥まみれの全身薄茶色の彼女だが、股の所だけキレイになっていた。
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