異世界陸軍活動記

ニボシサービス

文字の大きさ
上 下
22 / 260

任務変更

しおりを挟む
 ジョリ  ジョリ

 2か月の学校生活を終え、またカナル隊と合流し共に2か月の任務に当たることとなった

「で? お前何やってんの」

「見て分かりません? 毛を剃っているだけですよ」


 今回、急遽任務の変更があり、本来ならば前回と同じ大陸東部後方になるはずだったが、今回はカナル隊が通常時受け持っていた大陸中央に変更された。

 理由としては、敵国マシェルモビアに余り動きがなく、休める時に兵を休ませようということで、一時的に穴の空いたこの場所をカナル隊が受け持つことになったからだ。


「みりゃー分かるよ、何で召喚獣の髪の毛を剃ってるんだよ!」

「こっちの方が似合うから?」

 ブライが何やらわめいているが、なんて事はない、ノーム達の髪の毛と眉毛と髭を剃っているだけだ。

 体は子供だが顔はおっさん、しかも結構厳つい顔、学校にいる時ノーム達の装備を作ったのだが、その装備の内、兜がヘルメットの様になった。
 そしてどことなく自衛隊風に、それを今いるキャンプ地で着せてみたが気づいてしまった。

 駅の黒板に、XYZと書き込むと来てくれる都市の狩人の友達、陸坊主に似ていると、それで何となく1号の毛を剃ってみたが結構いけてると感じ、今2号が終わり3号に取り掛かっている最中だ。


「この容姿だと、ノームってよりは軍曹だな、お前たち名前変えてみるか?」

 ノーム3体は手と首をイヤイヤと横に振った

「何だ、嫌なのか? いいと思ったんだけどな、残念だよ君たちには失望した」

 すると突然許しを請うような動きで、俺にすがるノーム3体、顔の表情が全く変わらないので、自分の召喚獣でも正直不気味だ。


「‥‥お前の召喚獣はどれもアレだけど、お前も大概だな」

 アレって?

「そういえばさー、お前と合流する前さ、一週間の休暇を急に貰ったからさー」

 ‥‥知ってる、ミラから聞いた

「ハヤトも連れて、隊の皆で飲みに行こうってなってな、本部の学校のとこまでお前の事迎えに行ったんだよ」

「へ‥‥へぇー」

「そしたらお前いなかったじゃん、どこ行ってたんだ?」

「ちょっとだけ用事があって‥‥」

「一週間、休学届出してたみたいだけど、一週間も何してたんだ?」

「こ、今回の任務の準備とか‥‥あっ、ほら! ノームの武器とか色々‥‥」

「ふーん‥‥てか、ミラも実家に帰るとか言ってよ、せっかくの飲み会がお通夜みたいだったよ」

 丸々一週間ミラの部屋に入り浸っていたけど、実家には帰ってなかったよ。

「ニーアが居たんならそれは無いんじゃ?」

「そーいやぁそーだな、アイツ酒入るとウッセーからな! いや? いつでもウッセーな」

「誰が世界一イイ女だって?」
 丁度噂をしていたイイ女が、半目でこちらを見ていた

「イイ女? お前の事じゃ無いな━━」
 
 パーン!   

「いっってぇえええ!!」
 おでこを思いっきりはたかれたブライがひっくり返る

「夜のイカガワシイお店のお姉さんにしか相手にしてもらえない、あんたには言われたくわ無いわね」

「何だよ急に! 行きたいから行ってるだけなんだよ、お前だって行ったらあの良さが分かるはずだぞ!」

「あ、あたしが行ってどうすんのさ! 女用のお店なんてないし!」

 いや、あったよ? バールと一緒にあの辺回ってた時、それっぽいのあったし

 
 視界の端にノームの姿が映ったのか、ニーアはチラリとノームを見たあとすぐに二度見をする。

「うわ! なに、気持ちわる !アンタ何してんの!?」

「見て分かりません? 毛を剃っているだけですよ」

「そんなの見ればわかるよ! 何で召喚獣のを剃ってんのよ!」

「こっちの方が似合うから?」

 さっきの自分と同じやり取りにブライは何故か満足気だ、だろ~? と小声で頷いている。

「そんなことしてさー召喚獣にダメージ入るんじゃないの?」

「そこまで考えてはいなかったね、というか、もう剃り終わったから、今更どうしようもないよ」
 完成した3号の頭に迷彩のヘルメットを被せ顎紐を結ぶ。
 
「これを肩から掛けるんだ」
 そう言ってライフルの形に近い「銃」をノーム3体に渡す、魔法よりも火力も命中率も劣る銃だが、全く効果がないというわけではない、主力武器が刀剣、それにプラスして魔法がこのせかいでの最も効果のある攻撃方法とはいえ、それに劣る銃だってそこそこは改良はされていた。
 ノームには敵を牽制してもらうことを考えていたので、彼らの武器は銃にした。

「よし! 終わり、 さて、君たちにこれから任務を言い渡す」
 ノーム達は横一列に並び背筋を伸ばしている

「倉庫用のテントに向かい、パナン用のシロップを入手せよ!」
 ビシィ!!  と見事な敬礼をする3体、敬礼なんて教えた覚えがないんだけどな‥‥。

 「シロップ下さい」と書いた紙を一号に手渡す、ちなみに倉庫を管理する人には、俺の召喚獣が取りに来ますからと言ってサインはもうしてある。

 一号は俺から預かった紙を懐に乱雑にしまい込んだ、「クシャ」と音がして紙屑同然になってしまった

 もうちょっと丁寧に扱えよ


 駆け足のポーズを取り1号を先頭に縦一列に並ぶ、そしてそのまま地面に伏せ、匍匐前進ほふくぜんしんをはじめた。

 あ~あ、せっかく着せたのに服が汚れちゃうよ、帰ってきたら『洗浄』掛けてあげなきゃ、やんちゃな子供を持つお母さんの心境だよ。

 先頭を進んでいた1号がピタリと止まり、ハンドサインで「マテ」と後続に合図する、そのまま口の前に人差し指を当てから、お口にチャックのジェスチャーをした、というかお前ら元から喋れないだろ。

「ハヤト、あいつ等合図とか使ってるぞ、何の合図だ?マテと喋るな、でいいのか?」

「ええ、合ってます」

 そのまま1号は人差し指を隠し、そのあと小指を立て2号3後に見せたあと、そのままその小指をみぞおち辺りから、大きく弧を描く様に、お腹の前に持っていきそのままお腹の下に手を戻す、

「妻が、妊娠したそうです」

「「おいっ!!」」

 召喚獣モルフトは、自由奔放な性格だと言われているが、姿を変えノームになり「顔」を持った今、それは無いと俺は断言できる、時折チラチラとこちらを見て反応を伺っている、明らかに受けを狙っているのだ。

 まぁ、それはいいから早く行けよ。

 3分ぐらいで終わるはずだった「初めてのお使い」は、最終的には10分もかかった。最後は「俺に構わず先に行け」を披露しだした、3号が倒れ、そして2号が倒れ、どこから手に入れたのか木の棒を杖代わりにし、よれよれになった1号がもう限界だと言わんばかりに、震えながらシロップを俺に渡した瞬間倒れ、帰還を命じて無いにもかかわらず、勝手に光の粒となって消えていった。

 手渡されたシロップの瓶はほぼ空の状態だった、俺たちが見ているにも関わらず3体で譲りながら飲んでいたから、多分彼らの中では灼熱の砂漠という設定らしい、水筒に入った水を3体で分け合いながら、みたいな。

 俺は保存食用のパナンを収納から取り出し、シロップの入った瓶を保存食の上で逆さにする、瓶の中では雫がス~っと下に落ちてきたが、そこから垂れてこない、ちょっとだけ振ってみると、雫はパナンの上ではなくそのまま地面に落ちた。

 
「ぎゃははははっははははhh フゴッ!!」
 女とは思えない笑い方をするニーア

「・・・・ヒぃ‥‥ぃ・・・・ヒぃ・・・・ぃ・・」
 ブライは今、息も出来ない状態だ、苦しそう、たまに「フシュルー!」とか鳴き声がする



 パサリ

 簡易司令部のテントが開き、そこからカナル隊長が出てきた

「オリバーを呼んできてくれ、任務が急遽変更になった」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。 牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子 信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。 初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった *** 異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います

幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。

みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ! そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。 「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」 そう言って俺は彼女達と別れた。 しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

勇者の帰りを待つだけだった私は居ても居なくても同じですか? ~負けヒロインの筈なのに歪んだ執着をされています~

砂礫レキ
ファンタジー
勇者ライルが魔王を倒してから3年。 彼の幼馴染である村娘アデリーンは28歳にして5歳年下の彼に粗雑に扱われながら依存されていた。 まるで母親代わりのようだと自己嫌悪に陥りながらも昔した結婚の約束を忘れられなかったアデリーン。 しかしライルは彼女の心を嘲笑うかのようにアデリーンよりも若く美しい村娘リンナと密会するのだった。 そのことで現実を受け入れ村を出ようとしたアデリーン。 そんな彼女に病んだ勇者の依存と悪女の屈折した執着、勇者の命を狙う魔物の策略が次々と襲い掛かってきて……?

大好きな母と縁を切りました。

むう子
ファンタジー
7歳までは家族円満愛情たっぷりの幸せな家庭で育ったナーシャ。 領地争いで父が戦死。 それを聞いたお母様は寝込み支えてくれたカルノス・シャンドラに親子共々心を開き再婚。 けれど妹が生まれて義父からの虐待を受けることに。 毎日母を想い部屋に閉じこもるナーシャに2年後の政略結婚が決定した。 けれどこの婚約はとても酷いものだった。 そんな時、ナーシャの生まれる前に亡くなった父方のおばあさまと契約していた精霊と出会う。 そこで今までずっと近くに居てくれたメイドの裏切りを知り……

【完結】徒花の王妃

つくも茄子
ファンタジー
その日、王妃は王都を去った。 何故か勝手についてきた宰相と共に。今は亡き、王国の最後の王女。そして今また滅びゆく国の最後の王妃となった彼女の胸の内は誰にも分からない。亡命した先で名前と身分を変えたテレジア王女。テレサとなった彼女を知る数少ない宰相。国のために生きた王妃の物語が今始まる。 「婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?」の王妃の物語。単体で読めます。

処理中です...