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第10話 日光・三猿連続殺人事件
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朝立巡査は困惑していた。
日光東照宮の三猿といえば「見ざる、言わざる、聞かざる」の意を表した目、口、耳を押さえた三匹の猿の像である。
此度の連続殺人はこの三猿に見立てられており、第一の被害者・宝珍宣介はナイフで滅多刺しにされた上、瞼を糸で縫い付けられて殺されていた。
第二の被害者・亀甲万蔵は頭を岩で殴られ、口の中に凶器の岩を詰め込まれて殺されていた。
そして問題の三人目の被害者・鯨井仁美であるが、首を絞められて、何故かウエディングドレスを着せられていたのである。
――これは一体どういうことだ?
「閃いたぞ!」
工口警部が突然大声を上げる。
「ガイシャはウエディングドレスを着ている。ウエディングドレスは晴れの日に着るもの。つまり、聞か猿、きかざる、着飾る! 同音異義語だ!」
「流石は警部、オヤジギャグが板についてますね」
工口は朝立に4の字固めをかける。
「ギブギブ、嘘、ジョーク、さーせんした!!」
「……そんなことより、問題は何故三人目の被害者だけ見立てがダジャレだったのか?」
工口警部は朝立巡査に技をかけたまま、スマホで肉倉エリカを招集するのだった。
🐵 🐵 🐵
「犯人、わかったんだけど」
ギャル探偵・肉倉エリカは現場のホテルの一室に到着するなり、何時もの決め台詞を言い放った。
「エリカちゃん、本当か?」
「まず、鯨井は特殊性癖の持ち主だった」
「……どういうこと?」
「鯨井仁美は犯人に首を絞められることでオルガスムスに達して、潮を吹いたんだ」
「何? 潮吹きだと!?」
エロ警部は鼻息を荒くして興奮している。
「…………それって潮というか、単に失禁しただけでは?」
朝立のツッコミをエリカと工口は完全に無視する。
「恐らく犯人は死体に耳を塞ぐような装飾を施すことで、聞か猿に見立てる算段だった。しかし鯨井が潮を吹いたことによって、見立てのバランスが崩れることになる。これでは聞か猿というより、海〇だ」
「……〇猿に謝れ」
「折角これまで三猿に見立てて殺人を行ってきた犯人に、それは耐えられなかった。そこで苦肉の策として、犯人は自分の着ていたウエディングドレスを死体に着せ替えたんだ」
「それじゃあ犯人は……!?」
「今日、このホテルで結婚式を挙げた新婦の中の誰か。帰りは潮でびしょ濡れになった鯨井の服を着ていた筈だから、調べればすぐに見つかるよ」
こうして事件は一件落着。今回も難事件であった。ふぅ。
「……ですから、失禁ですよね? 潮じゃなくて」
日光東照宮の三猿といえば「見ざる、言わざる、聞かざる」の意を表した目、口、耳を押さえた三匹の猿の像である。
此度の連続殺人はこの三猿に見立てられており、第一の被害者・宝珍宣介はナイフで滅多刺しにされた上、瞼を糸で縫い付けられて殺されていた。
第二の被害者・亀甲万蔵は頭を岩で殴られ、口の中に凶器の岩を詰め込まれて殺されていた。
そして問題の三人目の被害者・鯨井仁美であるが、首を絞められて、何故かウエディングドレスを着せられていたのである。
――これは一体どういうことだ?
「閃いたぞ!」
工口警部が突然大声を上げる。
「ガイシャはウエディングドレスを着ている。ウエディングドレスは晴れの日に着るもの。つまり、聞か猿、きかざる、着飾る! 同音異義語だ!」
「流石は警部、オヤジギャグが板についてますね」
工口は朝立に4の字固めをかける。
「ギブギブ、嘘、ジョーク、さーせんした!!」
「……そんなことより、問題は何故三人目の被害者だけ見立てがダジャレだったのか?」
工口警部は朝立巡査に技をかけたまま、スマホで肉倉エリカを招集するのだった。
🐵 🐵 🐵
「犯人、わかったんだけど」
ギャル探偵・肉倉エリカは現場のホテルの一室に到着するなり、何時もの決め台詞を言い放った。
「エリカちゃん、本当か?」
「まず、鯨井は特殊性癖の持ち主だった」
「……どういうこと?」
「鯨井仁美は犯人に首を絞められることでオルガスムスに達して、潮を吹いたんだ」
「何? 潮吹きだと!?」
エロ警部は鼻息を荒くして興奮している。
「…………それって潮というか、単に失禁しただけでは?」
朝立のツッコミをエリカと工口は完全に無視する。
「恐らく犯人は死体に耳を塞ぐような装飾を施すことで、聞か猿に見立てる算段だった。しかし鯨井が潮を吹いたことによって、見立てのバランスが崩れることになる。これでは聞か猿というより、海〇だ」
「……〇猿に謝れ」
「折角これまで三猿に見立てて殺人を行ってきた犯人に、それは耐えられなかった。そこで苦肉の策として、犯人は自分の着ていたウエディングドレスを死体に着せ替えたんだ」
「それじゃあ犯人は……!?」
「今日、このホテルで結婚式を挙げた新婦の中の誰か。帰りは潮でびしょ濡れになった鯨井の服を着ていた筈だから、調べればすぐに見つかるよ」
こうして事件は一件落着。今回も難事件であった。ふぅ。
「……ですから、失禁ですよね? 潮じゃなくて」
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