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epilogue
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酸素吸入器のマスクを当てられながら、彼女は笑っていた。彼は皺だらけのその右手を恭しくとった。皺の中にあっても変わらない白十字を、自身の頬に当てて彼も笑みを返す。
『――なあ、いつだったか受け取った、青い封筒を覚えているか? もしも覚えているなら、お前の最期の瞬間に執行してくれ。そうすれば、俺はお前と共に逝けるだろ』
冷たい手を当てている部分から、彼はさらさらと金の発行体を生んで、徐々に砂になって行く。彼女の眦から雫が零れ、彼女の手もまた音もなく白いベッドの上に落ちた。――金色の砂の上に。
――ヴィンセント・シルバ、妻・リリィ=アンジェと共にここに眠る。
ペール・ラシェーズ墓地に新たに建てられた墓碑にはそう刻まれていた。
end
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2020/10/30
お気に入り登録者数50超え、ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o)))
2020/11/08
舞台装置は壊れました。の続編に当たる『不確定要素は壊れました。』を公開したので、そちらも宜しくお願いします。
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とても穏やかな作品でした。
文章は破たんもなくしっかりしていますが、逆に盛り上がりに欠けるかなと思いました。
キャラクターの心情など、もっと濃く描いて欲しかったです。
これからも頑張ってください。