83 / 147
悪意のレイド
久しぶりの逢瀬
しおりを挟む
付き合い始めてから初めて、長い日数をカナリアに会わない日が続く。これが、またしばらく続くというのだから、ジャッジはかなり滅入っていた。
重症だ、と自分でも思う。現実世界で会ってしまったら、しばらく離したくなくなるのも目に見えているため、自重しているに過ぎない。
「ジャッジさんっ」
嬉しそうなカナリアの声が聞こえてきた。とうとう幻聴まで聞こえてきたか。そう思うと虚しくなってくる。
「ジャッジさん? どうしたんですか?」
ふわりと目の前に広がる幻覚。そこには先日町で買った服を着たカナリアが立っている。
「俺もやばいかも」
「ジャッジさん!?」
慌てたように聞こえる、カナリアの声。
「なんか、幻聴に幻まで見てる。……早く盆休みなんて終わればいい」
「どうしたんですか? ジャッジさん。幻聴とか幻とか」
そう言ってカナリアの姿をした幻はジャッジの頬に手をあてた。
「幻……じゃない?」
「ほえ?」
不思議そうにこてんと首を傾げるカナリア。思わずジャッジは抱きしめた。
「ジャ……ジャッジさんっ!! 痛いです」
「あぁよかった。本物のカナリアだ」
セーフガードがあるため、キスは出来ない。その分カナリアを抱きしめて実感しようと思った。
「で、どうしてこうなったか説明してくださいっ!」
まだ抱きしめ足りなかったが、じたばたともがくため一度カナリアを離すと、ぷうッと膨れてカナリアが説明を求めた。
説明をすれば、カナリアは耳まで(勿論ウサミミも)真っ赤にして、恥ずかしくなっていた。それも可愛いと思うし、先程の膨れた顔も可愛かった。
ジャスティスとかが見ていたら、どん引きしただろう。そして己の鼻のしたが伸びまくっているのも、見当がつく。
「で、どうしてカナリアはログインできたんだ?」
そう訊ねれば、凄く不服そうな顔で説明をしてきた。
無理矢理従兄に車に乗せられたこと、そして到着した部屋にいたのはレイだったこと、そしてレイの持つヘッドギアを借りて今はログインしていること。
これを聞いただけで、ジャッジは愕然とした。
ディッチから聞いた話が頭をよぎる。もし、従兄が、カナリアがこのゲームをやっていると親に言ってしまえば、二度とこのゲームが出来なくなる可能性すら秘めているのだ。
「……カナリア」
「今日、一日一緒にいてもらっていいですか?」
おそらく、カナリアもその不安があるのだろう。ジャッジは微笑んで、カナリアを抱きしめた。
それから間もなく、ギルド本部に呼び出しがかかった。
重症だ、と自分でも思う。現実世界で会ってしまったら、しばらく離したくなくなるのも目に見えているため、自重しているに過ぎない。
「ジャッジさんっ」
嬉しそうなカナリアの声が聞こえてきた。とうとう幻聴まで聞こえてきたか。そう思うと虚しくなってくる。
「ジャッジさん? どうしたんですか?」
ふわりと目の前に広がる幻覚。そこには先日町で買った服を着たカナリアが立っている。
「俺もやばいかも」
「ジャッジさん!?」
慌てたように聞こえる、カナリアの声。
「なんか、幻聴に幻まで見てる。……早く盆休みなんて終わればいい」
「どうしたんですか? ジャッジさん。幻聴とか幻とか」
そう言ってカナリアの姿をした幻はジャッジの頬に手をあてた。
「幻……じゃない?」
「ほえ?」
不思議そうにこてんと首を傾げるカナリア。思わずジャッジは抱きしめた。
「ジャ……ジャッジさんっ!! 痛いです」
「あぁよかった。本物のカナリアだ」
セーフガードがあるため、キスは出来ない。その分カナリアを抱きしめて実感しようと思った。
「で、どうしてこうなったか説明してくださいっ!」
まだ抱きしめ足りなかったが、じたばたともがくため一度カナリアを離すと、ぷうッと膨れてカナリアが説明を求めた。
説明をすれば、カナリアは耳まで(勿論ウサミミも)真っ赤にして、恥ずかしくなっていた。それも可愛いと思うし、先程の膨れた顔も可愛かった。
ジャスティスとかが見ていたら、どん引きしただろう。そして己の鼻のしたが伸びまくっているのも、見当がつく。
「で、どうしてカナリアはログインできたんだ?」
そう訊ねれば、凄く不服そうな顔で説明をしてきた。
無理矢理従兄に車に乗せられたこと、そして到着した部屋にいたのはレイだったこと、そしてレイの持つヘッドギアを借りて今はログインしていること。
これを聞いただけで、ジャッジは愕然とした。
ディッチから聞いた話が頭をよぎる。もし、従兄が、カナリアがこのゲームをやっていると親に言ってしまえば、二度とこのゲームが出来なくなる可能性すら秘めているのだ。
「……カナリア」
「今日、一日一緒にいてもらっていいですか?」
おそらく、カナリアもその不安があるのだろう。ジャッジは微笑んで、カナリアを抱きしめた。
それから間もなく、ギルド本部に呼び出しがかかった。
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
婚約破棄……そちらの方が新しい聖女……ですか。ところで殿下、その方は聖女検定をお持ちで?
Ryo-k
ファンタジー
「アイリス・フローリア! 貴様との婚約を破棄する!」
私の婚約者のレオナルド・シュワルツ王太子殿下から、突然婚約破棄されてしまいました。
さらには隣の男爵令嬢が新しい聖女……ですか。
ところでその男爵令嬢……聖女検定はお持ちで?
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる