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12話
しおりを挟む「何か行けなかったですか?」
僕はその空気に耐えられなくなり聞いてみると
「全然。そんなじゃなくてね、」
…
少ししてからお母さんは口を開いた
「うちはね、老舗の和食屋でね。
だから、後継ぎ 問題とかあったりしてね。
ウチは、一人っ子だから小さい頃から悟は後継ぎだって言われて来てて…
いつしか、悟も大きくなるにつれて、お父さんともぶつかるようになって(俺は後を継がない)って悟が言ったの。
そしたら、お父さんもまた頑固だから出て行け。って言ってそのまま、20歳の時に出て行ったきりお父さんとは会話もしてないし…ずっとこんな状態なの。」
「じゃ、後継ぎ…は」
「今はね、もう弟子達がいるからその子達に継がせると思うけど、お父さんは多分まだ諦めてないと思うんだよね」
「そうなんですね」
「うん。だからね、あの子が人様に料理するなんて思ってなかったからビックリしちゃって、」
そんな事あったんだ。って思って 卵焼きの事を思い出して ハッとなった
「あの、もしかして…」
「うん」
「この前、現場にお弁当送って下さいませんでしたか?」
「いつだろう?」
「ここ最近なんでけど、うちの社長が最近通ってる和食屋さんがあってそこが美味しいから今度特別にお弁当作ってもらうって言ってて、この前食べたんですよ。お弁当。」
「もしかして、高杉社長さん? 」
「はい、うちの社長です」
「あぁ、実はねあの2人幼馴染なのよ」
「え?! そうなんですか!」
「そうなの。だから、最初に高杉さんが成功した時はお父さんすごく喜んでたわ。あいつ成功したから、お父さんも頑張るって!。 今でも、すごく仲良いのよ。 だから、いつもならお弁当なんてうちやってないからね? 絶対作らないのに作ってたから…そういう事だったのね」
「本当に本当に美味しいかったです。ありがとうございました。とお伝え下さい」
「分かりました。」とお母さんは笑っていた
僕は、そんなお母さんに声をかけた
「あの、良かったら悟さんの作った卵焼き食べてみませんか?」
「え…」
「本当に、現場で食べたお弁当と悟さんの味同じなんです」
と言って僕はキッチンへ行きお箸とお皿を持ちお母さんが座ってくれたテーブルの前に用意した
「じゃ1つだけ。 いただきます」
と言ってお母さんは一口食べると涙を流していた
俺は、慌てて「大丈夫ですか?」とティッシュを取りにいき渡すと「ありがとう」と言って涙を拭いていた
「初めて覚えた料理が卵焼きだったの。」
「そうだったんですね」
「……ありがとうね。食べさせてくれて。」
「いえ。僕は何も…」
お母さんは食べ終え洗い物だけするから蓮君は食べててと言われ俺は座ってもう一度「いただきます。」と手を合わせ食事を始めた
少ししてお母さんは洗い物が終わり
「今日はもう帰るね」
「もう帰られるんですか?」
「うん。蓮くんのお陰で部屋が片付いてるし何もする事ないから。」
「そんな事ないですよ」
すると、お母さんは僕の手を掴み
「これから、悟の事よろしくね。また、店にも遊びに来てね。」と言われ…
僕は、困惑しながらも「あ、はい」と返事をし、お母さんを見送った
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