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第三章
act.28 僕が若葉から初恋の話を振られて困った話
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「ねえ綾兄、綾兄の初恋っていつだったの?」
助手席に座る若葉の言葉に、僕は何と答えていいかわからなかった。
車の中に微妙な空気が漂う。
どうしてこんな雰囲気になったのか、それはBGMで流していたFMラジオが悪かったのだと思う。『初恋』に関する楽曲特集なんてものを企画した千葉のベイエフエムが悪い。いや、でも村下孝蔵の『初恋』をラジオに合わせて楽しげにハミングしていた僕も悪かったのかもしれない。
とにかく村下孝蔵の『初恋』を歌い終えた僕の方を向いて若葉が聞いてきたのだ。僕の初恋はいつだったのかと……。
△
僕が免許を取ったのはゴールデンウイーク明けのことだった。そこから運転に慣れるために僕は数日おきに自動車に乗るようにしていた。何車線もある都心部を走る自信もないので、行き先は手賀沼や印旛沼のあたりの田舎道を選んだ。
そして慣れること数週間。助手席から声を掛けられても普通に話ができるくらいになってはいたのだけれど。
△
「えっと、なに? 若葉」
「だから、綾兄の初恋っていつだったの?」
今日は若葉が隣に座っていた。
これまでも何度か若葉を助手席に乗せて、車にも若葉マークを貼り付けて走ったことはあったけれど、こんな質問をされたのは初めてだった。ちくしょう、ベイエフエムめ、余計な選曲をしてくれたものだ。
「ああ、初恋ね……」
「そう、初恋の話」
赤信号で停まって隣を見ると、小首を傾げて若葉がこちらを向いている。
その顔を見て僕の胸はチクリと傷んだ。
△
僕の初恋はまだカズが生きていた小六の時だった。相手はクラスメイトの女の子で、ありきたりで普通かなと自分でも思う。――ただ、その相手の女の子がカズのことを好きだったことを除けばだけど。
『神村くんは和真くんと仲いいよね、ちょっとお願いがあるんだけど……』
その相手の女の子から切り出された言葉で、僕の淡い初恋は消えていった。それは夏休みが始まる少し前のことだった。
その女の子から頼まれたのはプリクラ。
今でこそプリクラの需要も減ってきているけれど、七年前の当時はまだ何かというとプリクラを貼っていた。
カズのプリクラが欲しい、できれば一緒にプリクラを撮りたいからカズに取り次いで欲しい、その子からの頼まれ事とはそんなことだった。
まあそれもよくある話といえば、よくある話なのだろうけれど、その女の子からの頼まれたことを果たせないまま、カズは夏休みに逝ってしまった。
そんなこんなで、僕は自分の初恋のことを思い出すたびに後悔でちょっと胸が痛む。もしプリクラの件を叶えてあげられていたとしたら、もう少し悔いも少なかったのだろうか。
しかし当時の僕がプリクラの件をカズに言い出しにくかったのには理由があった。それは、僕がカズの初恋の相手を知っていたから……、その相手は……。
△
「綾兄、信号青になったよ」
昔を思い出していた僕を若葉の声が引き戻す。
「あ、ああ。悪い悪い、ちょっと考え事してた」
僕はブレーキを離してアクセルを踏む。夕方の田舎道をゆっくりと車は進みだした。時間はもうすぐ六時、この辺で折り返したほうが良さそうだ。
「で、綾兄、初恋の話は?」
「そうだったな、初恋な……」
僕はさっき思い出していたことを若葉に言おうかと迷った。
迷った理由は二つ。ひとつはどうしてもカズのことに触れること、そしてもうひとつは正直に言うと若葉の機嫌が悪くなるような気がすること。
考えてみれば、若葉に「初恋はいつ?」と聞かれて正直に言って何が悪いのかとは思う。「小六のときの同級生だよ」、「へえ、そうなんだ」で終われば済む話。ところが「小六のときの同級生だよ」、「えっ? わたしじゃ無いの!? ムキー!!」となる展開の可能性も考えられる。そうなるととてもめんどくさい。
でもどう考えても僕の初恋の相手が若葉というのが、だいたい無茶な話だ。初恋なんてみんな思春期の初めにするもので、小学校の終わりか中学校の初め頃が普通だ。僕がその時の若葉といえば小二とか小三、そんなガキンチョに初恋をする男子のほうがヤバイ存在なのではないだろうか?
けれど同じ質問を若葉にしたときのことを考えてみると話は複雑になる。「わたしの初恋は綾兄だけど、それがなにか? で、綾兄は?」と言われそうな気がする。そうなるともう僕に退路は無い、完全に詰みだ。
正直に言うしかないか、と僕が諦めかけた時だった。
「じゃあわたしの初恋を言おうか? 実は相手が綾兄じゃない、って言ったら凹む?」
いたずらっぽい声で若葉が僕に声を掛けてきたのだ。運転中なので横をジロジロ見るわけにはいかないけれど、たぶん若葉はニヤニヤと笑っていると想像できる。
それにしても若葉が言ったその内容だ。初恋の相手が僕じゃない、そう言われて凹むかどうか……、ちょっとだけ凹むかもしれない。
「えっ? ああ……、いやまあ……」
僕があやふやな答えを模索していると、助手席の若葉がプッと吹き出して派手に笑いだした。
「ウソウソ! 好きになったのは綾兄が最初! まあ、カッコいいなと思った男子はいたけどね。へえ、そうなんだ、綾兄も凹むんだ。ああ良かった、綾兄が凹んでくれて自信がついたよ。で、綾兄の初恋はいつ? あ、わたしに遠慮しなくていいよ、だって綾兄の初恋の相手がわたしだったらちょっと気持ち悪いでしょ?」
「おまえなあ……、よくもからかってくれたな」
そのあと僕は正直に初恋の思い出を若葉に話した。不思議なもので七年間誰にも話さなかったことを若葉に打ち明けると、少し肩の荷が下りた気がする。
「結局、プリクラは撮れなかったし、カズに取り次ぐことも出来なかったし、俺の初恋の思い出なんていいこと無しだよ」
「ふ~ん、そうなんだ。わたしの初恋の思い出は綾兄といっぱいあるけどね、綾兄の初恋はお兄ちゃんに蹴散らされちゃったのか」
「蹴散らされちゃった、って言うなよ。まあ実際そうだけどさ」
夕闇が迫る田舎道。オートにしていたライトが点いて、いつしかベイエフエムも次の番組に変わっていた。『初恋』とは全然関係のない洋楽がカーステレオから流れ始める。
「ねえ綾兄。お兄ちゃんも……初恋してたのかなあ」
窓に頬を寄せて外を眺めていた若葉がポツリと言った。
「カズが? そうだよなあ」
さっきの話の時、僕はカズの初恋の話だけは避けて若葉に話した。それなのに何かを感づいたのだろうか、若葉がカズの初恋について聞いてくる。
「まあ、女の子には人気もあったし、初恋くらいしてたんじゃないか?」
そう言った瞬間、若葉が僕の方をジトッとした目で見た。
「綾兄、知ってるんでしょ! 言ってよ、お兄ちゃんの初恋の話!」
若葉の勘がいいのか、僕のカモフラージュが拙いのか。とにかく僕はカズとの約束を守るために話題を変える。なにしろカズの初恋の相手は、今の若葉が知っている人物なのだから。
「ああ、若葉。もう薄暗くなったから、運転に集中しないと危ないから、話しかけるの中止な」
「もう! 綾兄! 知ってるんでしょ、ケチ!」
――カズ、大丈夫だからな。いくら若葉に言われても約束は守るからな。
△
『なあ綾彦、絶対に誰にも言うなよ。オレさあ、広坂のこと好きかもしれない』
公園のベンチでガリガリ君を食べながら唐突にカズが言う。
『え? 広坂が? なんで』
僕には意外だった。僕たちのクラスで広坂結依はそれほど目立った存在ではなかったのだ。
『だってアイツ、オレより算数できるからさ』
『ああ、そうか、広坂もカズと同じくらい算数得意だもんなあ』
『だから広坂のこと気になってるんだけど、アイツ……、結構性格いいし、笑ったとことか可愛いし』
真面目な顔でそう言ったあと、カズは急に照れ笑いを見せる。
『綾彦、絶対に誰にもいうなよ! 本当に絶対に言うなよ!』
『言わない、言わない。言うわけないだろ』
『じゃあ綾彦も好きな女子の名前言ってくれよ、お互いにバラさない約束で!』
食べかけのガリガリ君を僕の方に向けて、カズはニヤリと笑ったのだった。
< 僕が若葉から初恋の話を振られて困った話 おわり >
助手席に座る若葉の言葉に、僕は何と答えていいかわからなかった。
車の中に微妙な空気が漂う。
どうしてこんな雰囲気になったのか、それはBGMで流していたFMラジオが悪かったのだと思う。『初恋』に関する楽曲特集なんてものを企画した千葉のベイエフエムが悪い。いや、でも村下孝蔵の『初恋』をラジオに合わせて楽しげにハミングしていた僕も悪かったのかもしれない。
とにかく村下孝蔵の『初恋』を歌い終えた僕の方を向いて若葉が聞いてきたのだ。僕の初恋はいつだったのかと……。
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僕が免許を取ったのはゴールデンウイーク明けのことだった。そこから運転に慣れるために僕は数日おきに自動車に乗るようにしていた。何車線もある都心部を走る自信もないので、行き先は手賀沼や印旛沼のあたりの田舎道を選んだ。
そして慣れること数週間。助手席から声を掛けられても普通に話ができるくらいになってはいたのだけれど。
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「えっと、なに? 若葉」
「だから、綾兄の初恋っていつだったの?」
今日は若葉が隣に座っていた。
これまでも何度か若葉を助手席に乗せて、車にも若葉マークを貼り付けて走ったことはあったけれど、こんな質問をされたのは初めてだった。ちくしょう、ベイエフエムめ、余計な選曲をしてくれたものだ。
「ああ、初恋ね……」
「そう、初恋の話」
赤信号で停まって隣を見ると、小首を傾げて若葉がこちらを向いている。
その顔を見て僕の胸はチクリと傷んだ。
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僕の初恋はまだカズが生きていた小六の時だった。相手はクラスメイトの女の子で、ありきたりで普通かなと自分でも思う。――ただ、その相手の女の子がカズのことを好きだったことを除けばだけど。
『神村くんは和真くんと仲いいよね、ちょっとお願いがあるんだけど……』
その相手の女の子から切り出された言葉で、僕の淡い初恋は消えていった。それは夏休みが始まる少し前のことだった。
その女の子から頼まれたのはプリクラ。
今でこそプリクラの需要も減ってきているけれど、七年前の当時はまだ何かというとプリクラを貼っていた。
カズのプリクラが欲しい、できれば一緒にプリクラを撮りたいからカズに取り次いで欲しい、その子からの頼まれ事とはそんなことだった。
まあそれもよくある話といえば、よくある話なのだろうけれど、その女の子からの頼まれたことを果たせないまま、カズは夏休みに逝ってしまった。
そんなこんなで、僕は自分の初恋のことを思い出すたびに後悔でちょっと胸が痛む。もしプリクラの件を叶えてあげられていたとしたら、もう少し悔いも少なかったのだろうか。
しかし当時の僕がプリクラの件をカズに言い出しにくかったのには理由があった。それは、僕がカズの初恋の相手を知っていたから……、その相手は……。
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「綾兄、信号青になったよ」
昔を思い出していた僕を若葉の声が引き戻す。
「あ、ああ。悪い悪い、ちょっと考え事してた」
僕はブレーキを離してアクセルを踏む。夕方の田舎道をゆっくりと車は進みだした。時間はもうすぐ六時、この辺で折り返したほうが良さそうだ。
「で、綾兄、初恋の話は?」
「そうだったな、初恋な……」
僕はさっき思い出していたことを若葉に言おうかと迷った。
迷った理由は二つ。ひとつはどうしてもカズのことに触れること、そしてもうひとつは正直に言うと若葉の機嫌が悪くなるような気がすること。
考えてみれば、若葉に「初恋はいつ?」と聞かれて正直に言って何が悪いのかとは思う。「小六のときの同級生だよ」、「へえ、そうなんだ」で終われば済む話。ところが「小六のときの同級生だよ」、「えっ? わたしじゃ無いの!? ムキー!!」となる展開の可能性も考えられる。そうなるととてもめんどくさい。
でもどう考えても僕の初恋の相手が若葉というのが、だいたい無茶な話だ。初恋なんてみんな思春期の初めにするもので、小学校の終わりか中学校の初め頃が普通だ。僕がその時の若葉といえば小二とか小三、そんなガキンチョに初恋をする男子のほうがヤバイ存在なのではないだろうか?
けれど同じ質問を若葉にしたときのことを考えてみると話は複雑になる。「わたしの初恋は綾兄だけど、それがなにか? で、綾兄は?」と言われそうな気がする。そうなるともう僕に退路は無い、完全に詰みだ。
正直に言うしかないか、と僕が諦めかけた時だった。
「じゃあわたしの初恋を言おうか? 実は相手が綾兄じゃない、って言ったら凹む?」
いたずらっぽい声で若葉が僕に声を掛けてきたのだ。運転中なので横をジロジロ見るわけにはいかないけれど、たぶん若葉はニヤニヤと笑っていると想像できる。
それにしても若葉が言ったその内容だ。初恋の相手が僕じゃない、そう言われて凹むかどうか……、ちょっとだけ凹むかもしれない。
「えっ? ああ……、いやまあ……」
僕があやふやな答えを模索していると、助手席の若葉がプッと吹き出して派手に笑いだした。
「ウソウソ! 好きになったのは綾兄が最初! まあ、カッコいいなと思った男子はいたけどね。へえ、そうなんだ、綾兄も凹むんだ。ああ良かった、綾兄が凹んでくれて自信がついたよ。で、綾兄の初恋はいつ? あ、わたしに遠慮しなくていいよ、だって綾兄の初恋の相手がわたしだったらちょっと気持ち悪いでしょ?」
「おまえなあ……、よくもからかってくれたな」
そのあと僕は正直に初恋の思い出を若葉に話した。不思議なもので七年間誰にも話さなかったことを若葉に打ち明けると、少し肩の荷が下りた気がする。
「結局、プリクラは撮れなかったし、カズに取り次ぐことも出来なかったし、俺の初恋の思い出なんていいこと無しだよ」
「ふ~ん、そうなんだ。わたしの初恋の思い出は綾兄といっぱいあるけどね、綾兄の初恋はお兄ちゃんに蹴散らされちゃったのか」
「蹴散らされちゃった、って言うなよ。まあ実際そうだけどさ」
夕闇が迫る田舎道。オートにしていたライトが点いて、いつしかベイエフエムも次の番組に変わっていた。『初恋』とは全然関係のない洋楽がカーステレオから流れ始める。
「ねえ綾兄。お兄ちゃんも……初恋してたのかなあ」
窓に頬を寄せて外を眺めていた若葉がポツリと言った。
「カズが? そうだよなあ」
さっきの話の時、僕はカズの初恋の話だけは避けて若葉に話した。それなのに何かを感づいたのだろうか、若葉がカズの初恋について聞いてくる。
「まあ、女の子には人気もあったし、初恋くらいしてたんじゃないか?」
そう言った瞬間、若葉が僕の方をジトッとした目で見た。
「綾兄、知ってるんでしょ! 言ってよ、お兄ちゃんの初恋の話!」
若葉の勘がいいのか、僕のカモフラージュが拙いのか。とにかく僕はカズとの約束を守るために話題を変える。なにしろカズの初恋の相手は、今の若葉が知っている人物なのだから。
「ああ、若葉。もう薄暗くなったから、運転に集中しないと危ないから、話しかけるの中止な」
「もう! 綾兄! 知ってるんでしょ、ケチ!」
――カズ、大丈夫だからな。いくら若葉に言われても約束は守るからな。
△
『なあ綾彦、絶対に誰にも言うなよ。オレさあ、広坂のこと好きかもしれない』
公園のベンチでガリガリ君を食べながら唐突にカズが言う。
『え? 広坂が? なんで』
僕には意外だった。僕たちのクラスで広坂結依はそれほど目立った存在ではなかったのだ。
『だってアイツ、オレより算数できるからさ』
『ああ、そうか、広坂もカズと同じくらい算数得意だもんなあ』
『だから広坂のこと気になってるんだけど、アイツ……、結構性格いいし、笑ったとことか可愛いし』
真面目な顔でそう言ったあと、カズは急に照れ笑いを見せる。
『綾彦、絶対に誰にもいうなよ! 本当に絶対に言うなよ!』
『言わない、言わない。言うわけないだろ』
『じゃあ綾彦も好きな女子の名前言ってくれよ、お互いにバラさない約束で!』
食べかけのガリガリ君を僕の方に向けて、カズはニヤリと笑ったのだった。
< 僕が若葉から初恋の話を振られて困った話 おわり >
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