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[完]それはハッピーエンド?
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一頻りキスをした後、今更ながらの長年の蓄積した盛大な告白と行為に恥ずかしくなった俺は、唇が離れた瞬間アルとも距離を開けた。
「…なんで逃げるの?」
「いや、なんつうか…今更だけど色々恥ずかしくなって…」
「今更ならいいじゃないか」
そう言ってアルは距離を詰めてきて、また俺にキスした。
もう酸欠で苦しい。
だって今までは思い出作り程度にしか思ってなかったのに、まさかこのまま主人公とくっつくどころか契りまで交す事になるなんて…誰が予想した!?
いっそ助けてと思ってしまうけど、あまりにも愛おしそうに見てくるから…、嗚呼俺は一生この人のこの瞳に勝てないんだろうなと敗北宣言。
とはいえ、流石に何となくだけどこのままだとやばい気がする。
俺はアルにそろそろ出よう?と伝えると渋々といった感じで離れてくれた。
…拗ねたアル見れる機会なんてそうないんじゃないかな。
今此処にスマホがあったら連写してたわ。危ない危ない。
「さ、行こう?アル」
そう言って立ち上がった俺はアルを立たせようと手を伸ばす。
その手を使って立ち上がってくれたのはいいけど…、どうしてそのまま繋ぐことになってるんだろ?
え、その為に手掴んだの?
恥ずかしさが頭の周りをうろうろするけれど、まあいっかとそのまま倉庫の扉を開けた。
「お、やっと出てきた」
「うわぁ!?びっくりした!…え、ユーリ?」
扉を開けたすぐ隣辺りに、ユーリが腕を組んで壁に寄り掛って居た。
びっくりしたのはそれはユーリだけでなく、セシルもレオ兄も居た事である。
「なんで皆…、というか、レオ兄はユウ君どうしたの!?」
「他の先生に今回の事を話して預かってもらってるよ。それより殿下、二人きりだったからってうちのリオと如何わしい事してませんよね?」
「レオ兄は黙って!!」
「安心してください。それは式を挙げた後にとっておきますので」
「頼むからアルも黙って…!」
二人のよく分からない火花散らすような視線での戦いから目を逸らす。
誰かこの状況を救ってくれる訳もなく、寧ろ他の二人は楽しそうに見ていた。
「…見てないで助けてよ二人とも」
「ちょっと能力値だけでも勝てる気しねえわ。でもそっか、まだなんだなー…」
「僕にもまだ勝算はあるかもってことでしょうか?」
「ユーリのその意味深な目は何。そしてセシル、一応あの二人に勝とうとするのは止めておいた方がいい。最悪死ぬ」
……なんでこうなった。
誰も助けてくれない事を悟りつつ明後日の方向を見つめるしかなくなった俺だったが、二人の戦いが終わ…いや休戦したのか、俺に突然詰め寄ってきた。
「リオ!お前の事なら知らない事はない、お兄ちゃんの方がいいよな!?」
「え、なに待ってレオ兄どういう事…」
「リオ、私なら君を幸せに出来る事、知ってるでしょ?私個人として、君を選びたいんだ。気持ちはここに居る誰よりも負けてないよ」
「眩しい笑顔向けてるけど、言ってること結局二人まだいがみ合ってるね?」
たじろぐ俺の元にゆっくりと近付いてくる影二つ。
「でーも、俺達は昔から一緒に居たもんな?選ぶならお前の事なんでも知ってる俺なら適任って事でもあるだろ?」
「待ってくださいよ!それなら僕だって!時間なんて関係ありません、これから僕と作って行けばいいんですから!」
なんでそこの二人まで争ってんの。
にじりにじりと四人が詰め寄ってくる。
後ろは壁で、もう後はない。
早く決めろと言わんばかりの空気を割くように…。
「ち、ちょっと、みんな、…ッだからぁ…俺は主人公じゃないんだってばー!!!」
はてなを浮かべてる人達と笑うアル。
そんな事は気にせず、俺は今までの鬱憤を晴らすかのように、叫んだのだった。
「まぁ、リオは私にとっては主人公なんだけれどね?」
「!?」
そうアルに囁かれたのは、また後の話。
ーfineー
嗚呼、やっと私のものになってくれた。
最初にあの場面に遭遇した時は驚いた。
誰だって、突然あの何も無かった廊下から人が現れたんだから驚くものだろう?
リオの記憶は…半分本当で半分嘘。
話していて、言葉の端々に聞いた事のない言葉を並べられた事も多々あった。
不思議な子ではあったが、最初はどうせ周りと一緒で私の肩書きに媚びを売ってきていると思って、鬱陶しかった。
でもリオはめげなかった。
言うなれば、くれたのは無償の愛。
私はこの存在が愛しくなって、愛称で呼ばせてみた。
その時のリオの顔は…今ほどではないけれど、私を楽しくさせるのには十分だった。
そう、付き合ってなんていなかった。私からしたらそれは恋人ごっこ。
身内以外から向けられる無償の愛は格別だった。
そして、リオが本当になったあの日、私はカマをかけた。
そして同時に私の中に気持ちが芽生える。
この子が欲しい、と。
ああ愛しい子。やっと落ちてきてくれたね。
私はこの事を一生誰にも話すつもりは無い。
私の中で育て、この子を死んでも愛する糧にする。
「好きだよ、リオ」
一生離さないよ、私の可愛いリオ
「…なんで逃げるの?」
「いや、なんつうか…今更だけど色々恥ずかしくなって…」
「今更ならいいじゃないか」
そう言ってアルは距離を詰めてきて、また俺にキスした。
もう酸欠で苦しい。
だって今までは思い出作り程度にしか思ってなかったのに、まさかこのまま主人公とくっつくどころか契りまで交す事になるなんて…誰が予想した!?
いっそ助けてと思ってしまうけど、あまりにも愛おしそうに見てくるから…、嗚呼俺は一生この人のこの瞳に勝てないんだろうなと敗北宣言。
とはいえ、流石に何となくだけどこのままだとやばい気がする。
俺はアルにそろそろ出よう?と伝えると渋々といった感じで離れてくれた。
…拗ねたアル見れる機会なんてそうないんじゃないかな。
今此処にスマホがあったら連写してたわ。危ない危ない。
「さ、行こう?アル」
そう言って立ち上がった俺はアルを立たせようと手を伸ばす。
その手を使って立ち上がってくれたのはいいけど…、どうしてそのまま繋ぐことになってるんだろ?
え、その為に手掴んだの?
恥ずかしさが頭の周りをうろうろするけれど、まあいっかとそのまま倉庫の扉を開けた。
「お、やっと出てきた」
「うわぁ!?びっくりした!…え、ユーリ?」
扉を開けたすぐ隣辺りに、ユーリが腕を組んで壁に寄り掛って居た。
びっくりしたのはそれはユーリだけでなく、セシルもレオ兄も居た事である。
「なんで皆…、というか、レオ兄はユウ君どうしたの!?」
「他の先生に今回の事を話して預かってもらってるよ。それより殿下、二人きりだったからってうちのリオと如何わしい事してませんよね?」
「レオ兄は黙って!!」
「安心してください。それは式を挙げた後にとっておきますので」
「頼むからアルも黙って…!」
二人のよく分からない火花散らすような視線での戦いから目を逸らす。
誰かこの状況を救ってくれる訳もなく、寧ろ他の二人は楽しそうに見ていた。
「…見てないで助けてよ二人とも」
「ちょっと能力値だけでも勝てる気しねえわ。でもそっか、まだなんだなー…」
「僕にもまだ勝算はあるかもってことでしょうか?」
「ユーリのその意味深な目は何。そしてセシル、一応あの二人に勝とうとするのは止めておいた方がいい。最悪死ぬ」
……なんでこうなった。
誰も助けてくれない事を悟りつつ明後日の方向を見つめるしかなくなった俺だったが、二人の戦いが終わ…いや休戦したのか、俺に突然詰め寄ってきた。
「リオ!お前の事なら知らない事はない、お兄ちゃんの方がいいよな!?」
「え、なに待ってレオ兄どういう事…」
「リオ、私なら君を幸せに出来る事、知ってるでしょ?私個人として、君を選びたいんだ。気持ちはここに居る誰よりも負けてないよ」
「眩しい笑顔向けてるけど、言ってること結局二人まだいがみ合ってるね?」
たじろぐ俺の元にゆっくりと近付いてくる影二つ。
「でーも、俺達は昔から一緒に居たもんな?選ぶならお前の事なんでも知ってる俺なら適任って事でもあるだろ?」
「待ってくださいよ!それなら僕だって!時間なんて関係ありません、これから僕と作って行けばいいんですから!」
なんでそこの二人まで争ってんの。
にじりにじりと四人が詰め寄ってくる。
後ろは壁で、もう後はない。
早く決めろと言わんばかりの空気を割くように…。
「ち、ちょっと、みんな、…ッだからぁ…俺は主人公じゃないんだってばー!!!」
はてなを浮かべてる人達と笑うアル。
そんな事は気にせず、俺は今までの鬱憤を晴らすかのように、叫んだのだった。
「まぁ、リオは私にとっては主人公なんだけれどね?」
「!?」
そうアルに囁かれたのは、また後の話。
ーfineー
嗚呼、やっと私のものになってくれた。
最初にあの場面に遭遇した時は驚いた。
誰だって、突然あの何も無かった廊下から人が現れたんだから驚くものだろう?
リオの記憶は…半分本当で半分嘘。
話していて、言葉の端々に聞いた事のない言葉を並べられた事も多々あった。
不思議な子ではあったが、最初はどうせ周りと一緒で私の肩書きに媚びを売ってきていると思って、鬱陶しかった。
でもリオはめげなかった。
言うなれば、くれたのは無償の愛。
私はこの存在が愛しくなって、愛称で呼ばせてみた。
その時のリオの顔は…今ほどではないけれど、私を楽しくさせるのには十分だった。
そう、付き合ってなんていなかった。私からしたらそれは恋人ごっこ。
身内以外から向けられる無償の愛は格別だった。
そして、リオが本当になったあの日、私はカマをかけた。
そして同時に私の中に気持ちが芽生える。
この子が欲しい、と。
ああ愛しい子。やっと落ちてきてくれたね。
私はこの事を一生誰にも話すつもりは無い。
私の中で育て、この子を死んでも愛する糧にする。
「好きだよ、リオ」
一生離さないよ、私の可愛いリオ
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