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第2章:商会の始まり

第22話:目玉商品を求めて

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 数日後、ミナミ商会の開店準備は順調に進んでいた。商品も揃い、カティアが毎日のように店の掃除や整理整頓をしてくれているおかげで、店内はすっかり形になっていた。

 だが、まだ何かが足りない――もっと人目を引く商品が必要だ。

「さて、次は店の目玉商品だな……カティア、今の品揃えじゃ、やっぱり大きな顧客層には届かない気がする。もっと個性的なものを扱わないと」

 カティアは頷きながら、いくつかの商品の在庫を確認していた。

「確かに、品質は良いですが、他店との差別化が難しいですね……タケル様、例えば現代からの知識を生かして、新しい商品を生み出すのはいかがでしょうか?」

 彼女の言葉に俺はふと考えた。今まで等価交換で得てきた商品は、あくまでこの世界の基準に合わせたものだった。

 しかし、現代の日本では当たり前の便利なアイテムを異世界で売り出すことで、商売の流れを大きく変えることができるのではないか?

「そうだな……例えば、現代の使い捨ての日用品とか、衛生用品なんかはどうだろう。特に石鹸や清潔用品に力を入れるのはいいかもしれない」

 カティアは少し驚いたような顔をして、それから笑顔で答えた。

「それは素晴らしい考えです!衛生用品は貴族や富裕層に特に好まれると思います。この世界では、まだ十分に普及していませんし、独占的に取り扱えば高値で売れるでしょう」

 俺は考えをまとめつつ、等価交換で現代の石鹸や高品質なタオル、清潔に使える簡易な洗浄具などを調達するプランを思いついた。

「よし、これでいこう。まずは石鹸を大量に仕入れて、ミナミ商会の目玉商品として打ち出す。これで店の知名度を上げていくんだ」

「わかりました、タケル様。では、宣伝と商品の手配については私が進めさせていただきます」

 カティアはすでに動き出していた。彼女がいれば、店の運営も滞りなく進むことが保証されている。俺は彼女に感謝しつつ、自分自身も次の行動に移ることにした。

「さて、俺も一仕事しないとな……商業ギルドへの定期納品もあるし、次の商材を探すために市場に行ってみるか」

 ルナは、いつものように俺の横で静かに歩いていた。彼女は戦闘でも商売でも俺を守ってくれるパートナーだ。魔獣としての力も日増しに成長し、今や俺の心強い仲間である。

「ルナ、行くぞ。今日は市場で新しい商材を見つけるんだ」

 ルナが軽く吠え、尻尾を振りながら俺の横に歩み寄る。俺たちは新しい挑戦に向けて、再び市場へと足を運ぶことにした。

 市場を歩き回る中、俺の目にふと高級感のあるガラス食器が飛び込んできた。陽光を反射して美しく輝くその食器類は、一目で特別なものであることがわかる。

 ガラスで作られた精巧なグラスやデキャンタ、装飾の入った豪華な皿が見事に陳列されている。どれも見るからに高価そうで、富裕層をターゲットにした商品にぴったりだ。

「これは……」

 俺は近づいて値札を確認する。グラス一つで1,500クラウン、装飾が施された大きな皿は2,500クラウンといったところか。やはり、異世界でもこれほどの高級感を持つ品にはそれなりの価格がついている。

 俺の手持ちの金額では手が出ないほどのものも多いが、実際に富裕層向けの商品として売るなら申し分ない。

「これは目玉商品になるかもしれないな……」

 俺は一度、心の中で等価交換のスキルを思い出す。現代の世界では、このレベルのガラス製品はもっと手頃な価格で手に入れることができる。

 例えば、現代で5,000円ほどのグラスを等価交換で仕入れたとしても、この世界では1,500クラウン(約150,000円)の価値を持つ商品に変わるのだ。

「等価交換でこれを仕入れれば、かなりの利益になるな……」

 俺は商材としての価値を見極めながら、その場で店主と少し話をし、価格の相場やこの地域での売れ行きについて聞き出した。

 どうやら、このガラス食器は限られた職人しか製作できず、供給も少ないため、高額になっているらしい。

「なるほど……希少性が高いわけか。これなら等価交換で仕入れたガラス製品を使えば、十分に競争力を持つ」

 店主と少し話をしてから、俺は自分の計画に自信を深めた。現代の高品質なガラス製品を仕入れ、この異世界で富裕層に売り出す。これをミナミ商会の目玉商品にすれば、大きな利益が見込めるはずだ。

「よし、これで決まりだ。現代の世界から仕入れて、この世界で売り出せば、十分な価値が生まれる」

 俺はその場で購入することはせず、一旦店を後にした。今後の商売にどう活かすかは慎重に計画しなければならないからだ。カティアと相談し、商会の主力商品としてどう扱うかを決めるべきだろう。

「ルナ、これで次の商売の流れも見えたな。まずはこのガラス食器だ」

 ルナも俺の決意を感じ取ったのか、静かに頷くように吠えた。
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