変化ん偉才

「良かったじゃないか。これで君の好きなハンバーグが楽に食べれる。」

「冗談じゃねえ… 何が起きちまってんだこれは…」

「筋力が上がれば力は増すだろう?」

「そうじゃねぇ!感覚から何から何までだ!俺の腕が、俺の腕じゃねえ…何だこれは?!」

自分でぶっ壊した目の前のコンクリート壁、バラバラに散ったそれらを見て、自分の右腕に視線を戻す。
見つめた先の右腕からは異様な気配が伝わる。近づくものは必ず断ち切る、そんな狂気を発しているかのような。
昨日見た時とは違う、というよりもこれまでみたこともないような形態へ俺の右腕は変容していた。

「君が言った変身というやつだよ。言っていたじゃないか。違う自分に変わりたい、って。」

「全然意味が違げぇ!」

「面白い位変身しているじゃないか。右腕はなんだ、でっかいハサミみたいだし。足はなんだ、ヒレついてるし。飛べそうだな、なんか愛嬌があるぞ。」

「化物になってきてるって事じゃねぇか!ふざけやがって…」

「見た目じゃねえ、大事なのは中身だ!じゃないのか?」

「これがニュアンスの違いってやつか!怪しいやつがやる事の定番だな!」

「怪しいってなら大正解じゃないか。私は妖怪なんだから。怪しくあってなんぼの存在だろう?」

「揚げ足取りの上手いやつだ。」

「君今足無くなってるじゃないか。まあ兎に角だ、定型文句で言わせてもらうよ。」

「あぁ?」

『変化をやろう、力を与えよう。対価に種の繁栄の為、そなたの身を我らによこせ。』

「つまり?」

「君妖怪になって私の仲間になってちょうだいよ。」
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