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千崎愛葉②
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「魂を食べる..?」
目の前の女子、千崎と言ったか、これが厨二病ってやつなのか。意味不明なことを言う娘である、というのが千崎愛葉の第一印象だった。
「私は厨二病ではありませんよ。」
「心を読めるのか!?」
「そういう顔をしてますよ、君。」
顔にもろにリアクションが出てしまったようだ。
「魂を食べると言っても、ホラー映画みたいに人を殺したりとかいったものではありません。魂から溢れる感情を食べてるんです。」
「感情を食べる?」
これまで耳にしたことのない概念に、義一は眉間に皺を寄せる。疑問を解消してあげようと、愛葉は話を続ける。
「喜びだったり、楽しさだったり。君達が心で湧かせてる感情を形にして私達魂喰人は食べてるんです。例えば君が今持ってるその水晶、それはあの里中って人の"愛情"を食べようと私が形にしたものです。」
愛葉に指差された水晶に義一は驚愕の眼差しを向ける。
「これ食べ物なのか?! それに"愛情"って?」
「歪んだ愛情でしたけどね。昨晩私あの人に襲われまして。また魅了してしまったみたいです。ほら、私可愛いので。」
性懲りも無くあの男は外で罪を重ねていたようだ。やはり里中は以前と変わらないゲス野郎なのか。
「里中は以前にも女生徒に手を出したことがあってな。それで、千崎は大丈夫だったのか?」
「え。心配、してくれてるんですか?」
「そりゃ当然だろう? 女性なのだし。」
「..わ、私は大丈夫でした。」
「そっか。なら良かった。」
「それにもうあの人は女生徒に手を出すことは無いと思いますよ。彼の"歪んだ愛情"は私が頂いてしまったので。」
「どういうこと?」
「魂喰人に感情を食べられると、その感情は持ち主から無くなってしまうんです。以前あった、"女子を全て自分のものにしたい"って感情はもうあの人には湧き起こりません。」
「そういうことか。」
里中の違和感を起こした犯人は千崎愛葉だったのか。感情を食べるという彼女の話を半信半疑に聞いていたが、今日の里中の変貌ぶりを見ると、信じざるを得ないだろう。今の里中が、不快感を抜いた彼の姿と言われれば納得もいく。しかしこの綺麗な結晶が里中の性欲とはなんとも皮肉だ。これを食べたと言う彼女の胃は大丈夫なのだろうか。非常に心配だ。
「それで、千崎。君はこれをどうするつもりなんだ。」
「どうって。食べるんですよ。」
「そうじゃなくて。例えばこれ、賞味期限とか消費期限とかってあったりするのか?」
水晶を指差し、義一は尋ねる。これが食べ物だと言うのだ、気になる点を挙げたらキリがない。
「そういったものは無いですけど。どうしてそんな質問を?」
今度は千崎が眉間に皺を寄せていく。味や質以前に、先程から気になっていた疑問を義一はぶつける。
「味とかの心配がないなら、どうしてそんなに水晶の回収を急いでいるんだ?」
千崎の顔が少し強張る。返答に詰まる彼女。やはりこの水晶には食べれる以外にも何か秘密があるのだろう。
「それは...」
「俺らみたいなのを呼んじまうからさ。」
言いかけた愛葉を遮り、義一達の背中越しに男が答える。黒服の男数人を引き連れ、同じく黒服に身を包んだその男は、只ならぬ異様な雰囲気を身に纏っていた。長い髪をかきあげ、男は鋭い眼光を義一達へ向ける。まるで獲物を見つけた狩人のような眼光であった。
狙われているのだと直感が言っていたので、思わず義一は尋ねた。
「誰だ、アンタ。」
「俺は坂上。コイツらはまぁ俺の部下なんだが、今日はメシを奢ってやろうと思ってな。」
「アナタは..」
「お前が千崎愛葉か。まぁ良い。そんな訳で俺ら腹減ってんだ。だから.. 、お前らの魂喰わせろ。」
目の前の女子、千崎と言ったか、これが厨二病ってやつなのか。意味不明なことを言う娘である、というのが千崎愛葉の第一印象だった。
「私は厨二病ではありませんよ。」
「心を読めるのか!?」
「そういう顔をしてますよ、君。」
顔にもろにリアクションが出てしまったようだ。
「魂を食べると言っても、ホラー映画みたいに人を殺したりとかいったものではありません。魂から溢れる感情を食べてるんです。」
「感情を食べる?」
これまで耳にしたことのない概念に、義一は眉間に皺を寄せる。疑問を解消してあげようと、愛葉は話を続ける。
「喜びだったり、楽しさだったり。君達が心で湧かせてる感情を形にして私達魂喰人は食べてるんです。例えば君が今持ってるその水晶、それはあの里中って人の"愛情"を食べようと私が形にしたものです。」
愛葉に指差された水晶に義一は驚愕の眼差しを向ける。
「これ食べ物なのか?! それに"愛情"って?」
「歪んだ愛情でしたけどね。昨晩私あの人に襲われまして。また魅了してしまったみたいです。ほら、私可愛いので。」
性懲りも無くあの男は外で罪を重ねていたようだ。やはり里中は以前と変わらないゲス野郎なのか。
「里中は以前にも女生徒に手を出したことがあってな。それで、千崎は大丈夫だったのか?」
「え。心配、してくれてるんですか?」
「そりゃ当然だろう? 女性なのだし。」
「..わ、私は大丈夫でした。」
「そっか。なら良かった。」
「それにもうあの人は女生徒に手を出すことは無いと思いますよ。彼の"歪んだ愛情"は私が頂いてしまったので。」
「どういうこと?」
「魂喰人に感情を食べられると、その感情は持ち主から無くなってしまうんです。以前あった、"女子を全て自分のものにしたい"って感情はもうあの人には湧き起こりません。」
「そういうことか。」
里中の違和感を起こした犯人は千崎愛葉だったのか。感情を食べるという彼女の話を半信半疑に聞いていたが、今日の里中の変貌ぶりを見ると、信じざるを得ないだろう。今の里中が、不快感を抜いた彼の姿と言われれば納得もいく。しかしこの綺麗な結晶が里中の性欲とはなんとも皮肉だ。これを食べたと言う彼女の胃は大丈夫なのだろうか。非常に心配だ。
「それで、千崎。君はこれをどうするつもりなんだ。」
「どうって。食べるんですよ。」
「そうじゃなくて。例えばこれ、賞味期限とか消費期限とかってあったりするのか?」
水晶を指差し、義一は尋ねる。これが食べ物だと言うのだ、気になる点を挙げたらキリがない。
「そういったものは無いですけど。どうしてそんな質問を?」
今度は千崎が眉間に皺を寄せていく。味や質以前に、先程から気になっていた疑問を義一はぶつける。
「味とかの心配がないなら、どうしてそんなに水晶の回収を急いでいるんだ?」
千崎の顔が少し強張る。返答に詰まる彼女。やはりこの水晶には食べれる以外にも何か秘密があるのだろう。
「それは...」
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言いかけた愛葉を遮り、義一達の背中越しに男が答える。黒服の男数人を引き連れ、同じく黒服に身を包んだその男は、只ならぬ異様な雰囲気を身に纏っていた。長い髪をかきあげ、男は鋭い眼光を義一達へ向ける。まるで獲物を見つけた狩人のような眼光であった。
狙われているのだと直感が言っていたので、思わず義一は尋ねた。
「誰だ、アンタ。」
「俺は坂上。コイツらはまぁ俺の部下なんだが、今日はメシを奢ってやろうと思ってな。」
「アナタは..」
「お前が千崎愛葉か。まぁ良い。そんな訳で俺ら腹減ってんだ。だから.. 、お前らの魂喰わせろ。」
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