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里中教諭
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授業の終わりを告げる鐘の音が校内に鳴り響く。お昼時で空腹なこともあって、教室内の殆どの生徒がやっと授業終わったかという顔をしている。皆が机を囲って弁当を食べようと動くなか、小太郎は机に伏したままだった。
「小太郎、飯の時間だ。」
伏した小太郎の頭に、風呂敷で包まれた弁当をボンと置く義一。
「ああ、義一。もうお昼?」
「飯時だ。」
「凄いよく寝れたよ。天気が良いからかな。」
「いや、お前雨でも雪でも寝てるだろ。」
小太郎の机を囲って、2人は弁当を開く。
「おにぎり3つにお味噌汁とお茶。やっぱ昼飯はこれじゃないとな。」
「いつもそれで飽きないの?」
「健康極めたメニューだから良いんだよ。小太郎こそ、いつもコンビニのパンばかりじゃないか。」
「寝起きにはこれくらいが最適なんだよね。けど、さっきの時間は本当に眠かったよ。」
「里中もやるせないな。」
里中とは、先刻彼らが受けていた生物の授業を担当する教師である。授業の内容が生徒達の興味を惹かないのか、はたまた里中教諭のど真面目な性格が関係しているのか、授業中大半の生徒は夢の中に落ちている。
「そういえば義一、今日の里中いつもと何か違わなかった?」
「違う? 」
「違和感というか。いや、相変わらず眠くなるような授業してたんだけど。」
「いつも通り淡々とした感じの授業だったが…」
正直な所、義一は里中教諭があまり好きではなかった。彼に限らず、多くの生徒がそうであった。真偽の程を皆が知る所ではないが、里中には"女生徒に手を出した"という噂があった。里中には、普段から本音を上手く表現することが出来ないという一面があり、それ故に誤解を招くことも少なくなかった。それもあってか、多感な時期の高校生にとって里中は良くない意味で話題の中心となっており、いつからか真偽も確かめずに、"里中は女子に手を出した"という噂が流れていた。しかし、小太郎含め殆どの生徒が知らない中、この噂の真相を知る者達も少なからず居る。義一もその1人であった。
「小太郎、飯の時間だ。」
伏した小太郎の頭に、風呂敷で包まれた弁当をボンと置く義一。
「ああ、義一。もうお昼?」
「飯時だ。」
「凄いよく寝れたよ。天気が良いからかな。」
「いや、お前雨でも雪でも寝てるだろ。」
小太郎の机を囲って、2人は弁当を開く。
「おにぎり3つにお味噌汁とお茶。やっぱ昼飯はこれじゃないとな。」
「いつもそれで飽きないの?」
「健康極めたメニューだから良いんだよ。小太郎こそ、いつもコンビニのパンばかりじゃないか。」
「寝起きにはこれくらいが最適なんだよね。けど、さっきの時間は本当に眠かったよ。」
「里中もやるせないな。」
里中とは、先刻彼らが受けていた生物の授業を担当する教師である。授業の内容が生徒達の興味を惹かないのか、はたまた里中教諭のど真面目な性格が関係しているのか、授業中大半の生徒は夢の中に落ちている。
「そういえば義一、今日の里中いつもと何か違わなかった?」
「違う? 」
「違和感というか。いや、相変わらず眠くなるような授業してたんだけど。」
「いつも通り淡々とした感じの授業だったが…」
正直な所、義一は里中教諭があまり好きではなかった。彼に限らず、多くの生徒がそうであった。真偽の程を皆が知る所ではないが、里中には"女生徒に手を出した"という噂があった。里中には、普段から本音を上手く表現することが出来ないという一面があり、それ故に誤解を招くことも少なくなかった。それもあってか、多感な時期の高校生にとって里中は良くない意味で話題の中心となっており、いつからか真偽も確かめずに、"里中は女子に手を出した"という噂が流れていた。しかし、小太郎含め殆どの生徒が知らない中、この噂の真相を知る者達も少なからず居る。義一もその1人であった。
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