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第4章
第218話
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まずはいわゆる猟銃タイプの無属性砲。
これを造っている時に柏木さんが閃いた案が、問題の爆弾発言の内容なのだが、今はおいておく。
こちらは二階堂さんの実銃がモデルになっている。
二階堂さんの持っている猟銃はボルトアクションタイプの物なのだが、そういった機構は無属性砲では機能していない。
単に狙いを付けて引き金を引くだけだ。
そういえば拳銃タイプの物についても、弾を入れる必要が無いのにリボルバーが付いていたのだし、それと同じことかもしれないな。
こちらは拳銃タイプの物より取り回しが悪い分、理論上の威力については数段上らしい。
消費魔力も僅かに多いが、威力の割りには消費が少ないのだという。
どうやら銃身のミスリルや、銃把や銃床の神使樹といった素材の特性によるものらしいが、詳しいことは説明を省かれてしまった。
接近戦が苦手で【弓術】などの投射武器系スキルを持っていない人には、かなり有効な品だろう。
問題は魔力だろうが、これについてはスクロール(魔)で補ってもらうか、戦闘を繰り返しながら高めていってもらうしか無い。
さて……問題の柏木さんの発明についてだが、これは既に無属性砲とすら言えないだろう。
実際に見せてもらったのは、長剣タイプだった。
実は柏木さんは普通の武器に、無属性砲の応用で無属性魔力波の射出機能を付与してしまったのだ。
理論上、全ての形状の武器に付与することが可能だという話なのだが、もちろんブーメランやチャクラムのようにそれ自体を投げて使う武器だったり、矢やボルトに付与したりしても無駄になってしまうだろう。
それだったら拳銃タイプや猟銃タイプの物を使えば良いだけの話だ。
新規作製の武器がベースなら、拳銃タイプの無属性砲や猟銃タイプの無属性砲と生産コストや、作製所要時間は変わらないらしい。
槍や矛なら穂先から、剣や刀なら先端から魔力波を発射可能なのだという。
斧や鞭などの変わり種は、実際に造ってみるまで分からないらしいが……オレの知る限りでは、そういった武器を使う人に心当たりは無い。
役割的に重複する弓やボウガンについては、今のところ試行錯誤の段階らしい。
弓弦自体に、何かしら特殊な素材が必要なのかもしれないという話だった。
柏木さんが、わざわざオレを招いた理由は、なにも新しい発明を自慢するためでは無い。
本題はオレの得物の話だ。
つまり、今オレがメインウェポンとして使っている槍を柏木さんに預けて、この無属性魔力波の射出機能を付与するかどうかの意思確認。
この改造によって武器自体の性能が落ちたり、耐久性が低下したりするわけでは無いらしいのだが、問題は作業時間が実際にどれだけ掛かるのかが不明瞭な点だという。
確かにサブの槍しか無い状態でダンジョン探索に赴くのには不安が有るが、オレにはまだ魔法も有れば投擲武器の数々も有るし、それこそ無属性砲にはかなりの手応えを感じている。
ここは思い切って柏木さんに任せることにした。
柏木さんは新しくオリハルコンの槍を造っても良いと言ってくれたが、そちらもそれなりの時間が掛かるだろうし、どうせなら手に馴染んだ槍を強化していく方向性でいきたい。
それに実は、槍の重量がまた物足りなくなって来たところだったので、この機会に更に重たくして貰うのも良いだろう。
しかしこれって……柏木さんは、いわゆる魔槍や魔剣と呼ばれそうな物を、今後は自在に作れるようになったということなのでは無いだろうか?
そう考えると、どうしても気になってしまって仕方がない。
前に見てから、さほど時間は経っていないのだが、柏木さんのスキル熟練度を見せて貰うことにした。
【鍛冶】も【神々の鍛冶師】も【匠の心得】も熟練度がカンストしてしまっている。
【匠の心得】については、そろそろスキルレベルが上がりそうだったので気に掛けていたのだが、その他の【鍛冶】と【神々の鍛冶師】に関しては、まだまだ先の話だと思っていたため、これには酷く驚かされてしまった。
柏木さんにそのことを告げると、さすがに驚いた表情を見せてくれたが、それでいてどこか納得しているようにも見受けられる。
手応えみたいなものが有ったのかもしれない。
これは単なる推察だが【鍛冶】にしても【神々の鍛冶師】にしても、立て続けに魔力を帯びた武器を造ることにより、一般的な武具作製とは桁の違うスキル熟練度の上昇が起きたのではないだろうか?
柏木さんのスキルレベルが上がったことで、思っているよりも早く愛用の槍が戻って来ることが期待出来そうだ。
今後は順次、兄や妻などの得物についても同様の改造を加えたり、希望によっては新規作製してくれるという。
右京君や沙奈良ちゃんが同席していたのは、これを改めて説明する必要を無くすためだったらしいが、それにしては兄達を同席させていないのが不可解だ。
兄達に関しては、順番に面談しながら要望を聞いていくことになるらしい。
一応オレは、柏木さんの奥さんや、右京君達の命の恩人ということになっているので、こうして何かにつけて優先してくれているのだが、もしかしたら各種のスキルレベルを上げて欲しくて真っ先に呼ばれたのかもしれないなぁ。
あとは……順番はそちらで話し合って決めておいてくれ、っていうところだろうか。
いずれにせよ、柏木さんのスキルが成長することで、オレ達の生存率はどんどんと上がっていくのは間違いない。
ダンジョン攻略の合間に、武具素材やスクロール(魔)などを集めるため、また観音像のダンジョンに行くのも良いだろう。
あとは……沙奈良ちゃんのアレだよなぁ。
オレのスキル熟練度解析は決して万能では無い。
それは、妻の【挑戦者】のスキルレベルや熟練度が見られなかったことでハッキリしたことだ。
モザイクとも少し違うのだが、まるで文字化けしたように表示されてしまい、上手く読み取ることが出来なかった。
前に沙奈良ちゃんのスキル熟練度を見た際にも同じように表示されているスキルが有ったのだが、その時は努めて気にしないことにしていたのだ。
ダンジョンにしても、スキルにしても、元々こちらの世界に無かったものだし、そもそもオレの【解析者】にだって、いまだに明らかになっていない部分が多い。
見られなかったからと言って、その理由を突き詰めて考えるのは時間の無駄というものだろう。
……まぁ、ずっと気になってはいたのだが。
オレの【解析者】や、妻の【挑戦者】と同様のスキルを沙奈良ちゃんが保有しているのは、恐らく間違いない。
ただ、オレ達のスキルのように爆発的に成長が早くなる類いの物では無いのも明らかで、つまり毛色が違うスキルのような気もしている。
では何なのかと言われると……それが分からないんだよなぁ。
こればかりは沙奈良ちゃん本人が言ってくれるまで待つしか無いだろう。
沙奈良ちゃんの謎スキルの文字化けは、前に見た時より更に酷くなっていた。
恐らくは【啓蒙促成】に依らないスキルレベルアップを経験している筈だ。
沙奈良ちゃんがたまに発する、妙に確信めいた言動。
アレは多分、その謎のスキルに裏打ちされたものなのだろう。
だとすれば……実は沙奈良ちゃんが生き残りの鍵を握っている可能性すら有り得る。
あくまでオレの直感に過ぎないのだが、何故かそう思えてならなかった。
これを造っている時に柏木さんが閃いた案が、問題の爆弾発言の内容なのだが、今はおいておく。
こちらは二階堂さんの実銃がモデルになっている。
二階堂さんの持っている猟銃はボルトアクションタイプの物なのだが、そういった機構は無属性砲では機能していない。
単に狙いを付けて引き金を引くだけだ。
そういえば拳銃タイプの物についても、弾を入れる必要が無いのにリボルバーが付いていたのだし、それと同じことかもしれないな。
こちらは拳銃タイプの物より取り回しが悪い分、理論上の威力については数段上らしい。
消費魔力も僅かに多いが、威力の割りには消費が少ないのだという。
どうやら銃身のミスリルや、銃把や銃床の神使樹といった素材の特性によるものらしいが、詳しいことは説明を省かれてしまった。
接近戦が苦手で【弓術】などの投射武器系スキルを持っていない人には、かなり有効な品だろう。
問題は魔力だろうが、これについてはスクロール(魔)で補ってもらうか、戦闘を繰り返しながら高めていってもらうしか無い。
さて……問題の柏木さんの発明についてだが、これは既に無属性砲とすら言えないだろう。
実際に見せてもらったのは、長剣タイプだった。
実は柏木さんは普通の武器に、無属性砲の応用で無属性魔力波の射出機能を付与してしまったのだ。
理論上、全ての形状の武器に付与することが可能だという話なのだが、もちろんブーメランやチャクラムのようにそれ自体を投げて使う武器だったり、矢やボルトに付与したりしても無駄になってしまうだろう。
それだったら拳銃タイプや猟銃タイプの物を使えば良いだけの話だ。
新規作製の武器がベースなら、拳銃タイプの無属性砲や猟銃タイプの無属性砲と生産コストや、作製所要時間は変わらないらしい。
槍や矛なら穂先から、剣や刀なら先端から魔力波を発射可能なのだという。
斧や鞭などの変わり種は、実際に造ってみるまで分からないらしいが……オレの知る限りでは、そういった武器を使う人に心当たりは無い。
役割的に重複する弓やボウガンについては、今のところ試行錯誤の段階らしい。
弓弦自体に、何かしら特殊な素材が必要なのかもしれないという話だった。
柏木さんが、わざわざオレを招いた理由は、なにも新しい発明を自慢するためでは無い。
本題はオレの得物の話だ。
つまり、今オレがメインウェポンとして使っている槍を柏木さんに預けて、この無属性魔力波の射出機能を付与するかどうかの意思確認。
この改造によって武器自体の性能が落ちたり、耐久性が低下したりするわけでは無いらしいのだが、問題は作業時間が実際にどれだけ掛かるのかが不明瞭な点だという。
確かにサブの槍しか無い状態でダンジョン探索に赴くのには不安が有るが、オレにはまだ魔法も有れば投擲武器の数々も有るし、それこそ無属性砲にはかなりの手応えを感じている。
ここは思い切って柏木さんに任せることにした。
柏木さんは新しくオリハルコンの槍を造っても良いと言ってくれたが、そちらもそれなりの時間が掛かるだろうし、どうせなら手に馴染んだ槍を強化していく方向性でいきたい。
それに実は、槍の重量がまた物足りなくなって来たところだったので、この機会に更に重たくして貰うのも良いだろう。
しかしこれって……柏木さんは、いわゆる魔槍や魔剣と呼ばれそうな物を、今後は自在に作れるようになったということなのでは無いだろうか?
そう考えると、どうしても気になってしまって仕方がない。
前に見てから、さほど時間は経っていないのだが、柏木さんのスキル熟練度を見せて貰うことにした。
【鍛冶】も【神々の鍛冶師】も【匠の心得】も熟練度がカンストしてしまっている。
【匠の心得】については、そろそろスキルレベルが上がりそうだったので気に掛けていたのだが、その他の【鍛冶】と【神々の鍛冶師】に関しては、まだまだ先の話だと思っていたため、これには酷く驚かされてしまった。
柏木さんにそのことを告げると、さすがに驚いた表情を見せてくれたが、それでいてどこか納得しているようにも見受けられる。
手応えみたいなものが有ったのかもしれない。
これは単なる推察だが【鍛冶】にしても【神々の鍛冶師】にしても、立て続けに魔力を帯びた武器を造ることにより、一般的な武具作製とは桁の違うスキル熟練度の上昇が起きたのではないだろうか?
柏木さんのスキルレベルが上がったことで、思っているよりも早く愛用の槍が戻って来ることが期待出来そうだ。
今後は順次、兄や妻などの得物についても同様の改造を加えたり、希望によっては新規作製してくれるという。
右京君や沙奈良ちゃんが同席していたのは、これを改めて説明する必要を無くすためだったらしいが、それにしては兄達を同席させていないのが不可解だ。
兄達に関しては、順番に面談しながら要望を聞いていくことになるらしい。
一応オレは、柏木さんの奥さんや、右京君達の命の恩人ということになっているので、こうして何かにつけて優先してくれているのだが、もしかしたら各種のスキルレベルを上げて欲しくて真っ先に呼ばれたのかもしれないなぁ。
あとは……順番はそちらで話し合って決めておいてくれ、っていうところだろうか。
いずれにせよ、柏木さんのスキルが成長することで、オレ達の生存率はどんどんと上がっていくのは間違いない。
ダンジョン攻略の合間に、武具素材やスクロール(魔)などを集めるため、また観音像のダンジョンに行くのも良いだろう。
あとは……沙奈良ちゃんのアレだよなぁ。
オレのスキル熟練度解析は決して万能では無い。
それは、妻の【挑戦者】のスキルレベルや熟練度が見られなかったことでハッキリしたことだ。
モザイクとも少し違うのだが、まるで文字化けしたように表示されてしまい、上手く読み取ることが出来なかった。
前に沙奈良ちゃんのスキル熟練度を見た際にも同じように表示されているスキルが有ったのだが、その時は努めて気にしないことにしていたのだ。
ダンジョンにしても、スキルにしても、元々こちらの世界に無かったものだし、そもそもオレの【解析者】にだって、いまだに明らかになっていない部分が多い。
見られなかったからと言って、その理由を突き詰めて考えるのは時間の無駄というものだろう。
……まぁ、ずっと気になってはいたのだが。
オレの【解析者】や、妻の【挑戦者】と同様のスキルを沙奈良ちゃんが保有しているのは、恐らく間違いない。
ただ、オレ達のスキルのように爆発的に成長が早くなる類いの物では無いのも明らかで、つまり毛色が違うスキルのような気もしている。
では何なのかと言われると……それが分からないんだよなぁ。
こればかりは沙奈良ちゃん本人が言ってくれるまで待つしか無いだろう。
沙奈良ちゃんの謎スキルの文字化けは、前に見た時より更に酷くなっていた。
恐らくは【啓蒙促成】に依らないスキルレベルアップを経験している筈だ。
沙奈良ちゃんがたまに発する、妙に確信めいた言動。
アレは多分、その謎のスキルに裏打ちされたものなのだろう。
だとすれば……実は沙奈良ちゃんが生き残りの鍵を握っている可能性すら有り得る。
あくまでオレの直感に過ぎないのだが、何故かそう思えてならなかった。
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