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第4章
第177話
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『スキル【眷属強化】を再構築しますか?』
……え?
…………じゃあ、はい。
『意思確認を完了。スキル【眷属強化】を解析します……保有者の現状との不適応を確認しました……解析中……解析中……解析中……解析が完了しました……スキル再構築を試行します……再構築中……再構築中……再構築中……再構築が完了しました。スキル【眷属強化】が失われました。スキル【指揮】が失われました。スキル【ロード】を付与します』
か……【解析者】さん、そんなことも出来たのか。
【ロード】とは……人によって、違う連想をするかもしれないが、この場合は『領主』という意味を持つスキルのようだ。
ゲームのように時間を逆行してやり直せたり、道という意味では無いらしい。
スキルレベルは1に戻ってしまっているが、スキルレベルによって影響力を増していくスキルのようだ。
『配下』として設定した者をオレの成長に合わせて強化すると同時に、成長率を引き上げるスキルであり、今のところ効果を及ぼせる人数は7人まで。
『配下』というのは、どことなく引っ掛かるものを感じる言葉だが、その有効性はかなりのものだろう。
こうなると誰を設定するべきか悩むなぁ。
兄、妻、父、マチルダまでは決まり。
柏木兄妹を入れると既に6人だ。
あと1人……となると【鍛冶】スキルの伸びを期待して柏木さんかな?
家族や目上の人を『配下』として扱うのは良心が咎めるが、本人に面と向かって言わない限りは失礼には当たらないだろうし、オレが調子に乗って偉そうにしなければ良いだけの話かもしれない。
残念なことに、本人に直接相対しなければ設定が出来ないらしいが、それはまぁ仕方ないところだ。
遠隔から、いきなり強化されたり、配下設定を打ち切って弱体化されたりしたら、当人達も戸惑ってしまうだろう。
今日の間引き作業を各チームが終えたら、打診することにしようか。
柏木さんには武器や防具の件でも話が有るし、ちょうど良かったかもしれない。
◆
守護者としての居室に入り、マニュアルを『空間庫』から取り出して、意識を集中する。
守護者の権能として行使可能なのは魔素の配分だけではない。
例えば、ダンジョン攻略にあたっている者の有無を知り、その現在地を知ることも可能だ。
今は……当然かもしれないが、兄1人だけみたいだな。
しかも事前に考えていたよりも、かなり攻略ペースが早い。
既に第6層も半ば過ぎまで到達している。
相性的に、フォートレスロブスターには苦戦するかもしれないと思っていたのだが、どうやらオレの取り越し苦労だったようだ。
第6層の階層ボスである劣化人狼は、これは逆の意味で相性的に兄の敵では無いだろうし、もう合流予定地点で待っておくべきだろう。
そう判断したオレは各種の設定を再確認した後【転移魔法】で、マチルダの暮らしていた部屋へと飛んだ。
のんびりとマニュアルを読みながら待つことしばし……部屋のドアがノックされた。
兄だ。
予想通り、劣化人狼は兄の【短転移】で瞬殺されたのだろう。
あれを初見で対応するのは、いかに反射神経に優れたワーウルフと言えど、まず無理な話だ。
兄を部屋に迎え入れ、ダンジョンの感想を聞いてみたが……
「この階層は美味いな。ウェポンスクロールが山ほど落ちる」
……実に兄らしい答えが返ってきた。
モンスターが強いかどうかとかは、どうやら二の次のようだ。
その後も詳しく話を聞いていくが、ミミックやドアイミテーターあたりに驚いたぐらいの話しか出てこない。
フォートレスロブスターとミラークラブの組み合わせすら、思っていた以上に楽勝だったようだ。
わざと弱い魔法でミラークラブを誘き寄せるところまではオレと同じ戦い方だが、反射された魔法を【短転移】で躱しつつミラークラブの目の前に飛び、そのまま一刀両断したという。
あとはワールウインドでバレットバーナクルの排除を【短転移】と組み合わせて極めて短時間で完了し、ウインドライトエッジの連発で一気に要塞エビ討伐……という流れだったようだ。
……オレが思っていた以上に、この兄はチートだった。
◆
その後、再度の間引き作業を行う前にオレと兄はいったん自宅に戻ったが、ド田舎ダンジョンの深層を担当している妻達は、探索を続行しているようだ。
妻達も戻って来ていたなら、まとめて話を出来たのだが、こればかりは仕方ない。
難易度は控えめらしいが広さはかなりのものらしいし、深層のモンスターは手付かずなのだから数も多そうだ。
【転移魔法】が有るわけでも無いし、行って戻って来るだけでも大変だろう。
兄には、新しく得たスキルの概要を話して、スキルの影響下におく承諾を得る。
早速、兄を『配下』として設定したところ、ゴッソリと魔力が抜けていく感覚に襲われた。
体感的には総魔力の10分の1ぐらいは消費しただろうか?
もう少し多い気もするが、取り敢えず間違いないのは全員を1回で『配下』設定しなくて良かったということだ。
兄も何やら驚いている。
力が流れ込んで来ているのが分かるのだろう。
身体能力の伸びまではオレには分からないが、少なくとも何らかの魔法スキルは扱えるぐらいまでには兄の魔力は高まっている筈だ。
【存在強奪】などと同じく【解析者】の派生スキルである【啓蒙促成】……その副産物たる【スキル熟練度解析】で兄のスキル熟練度を見てみることにした。
【刀術】のスキル熟練度がカンストしているため、スキルレベルを引き上げておいたが、その直後に【敏捷強化】もスキル化出来ることが判明。
そして予想通り【風魔法】もスキル化可能だった。
【短転移】は残念ながら熟練度自体が存在しないスキルのため伸ばせないが、オレの予想が間違っていなければ兄の魔力が伸びたことで、より効果を発揮する場面が増えることだろう。
間違いなく増えるのが使用可能回数で、これだけでも恐ろしいほど兄は強くなる。
到達距離が伸びるかどうかは、後ほど兄にテストして貰うしかないが、これも恐らくは伸びている筈だ。
今や総合的にはオレの方が強くなっていると思うのだが、正直なところ実際に兄と戦ったら勝てるイメージが全く湧かない。
それほどにタイムラグ無しで瞬時に飛べる【短転移】は厄介なスキルなのだ。
……つくづく、この兄が味方で良かった。
……え?
…………じゃあ、はい。
『意思確認を完了。スキル【眷属強化】を解析します……保有者の現状との不適応を確認しました……解析中……解析中……解析中……解析が完了しました……スキル再構築を試行します……再構築中……再構築中……再構築中……再構築が完了しました。スキル【眷属強化】が失われました。スキル【指揮】が失われました。スキル【ロード】を付与します』
か……【解析者】さん、そんなことも出来たのか。
【ロード】とは……人によって、違う連想をするかもしれないが、この場合は『領主』という意味を持つスキルのようだ。
ゲームのように時間を逆行してやり直せたり、道という意味では無いらしい。
スキルレベルは1に戻ってしまっているが、スキルレベルによって影響力を増していくスキルのようだ。
『配下』として設定した者をオレの成長に合わせて強化すると同時に、成長率を引き上げるスキルであり、今のところ効果を及ぼせる人数は7人まで。
『配下』というのは、どことなく引っ掛かるものを感じる言葉だが、その有効性はかなりのものだろう。
こうなると誰を設定するべきか悩むなぁ。
兄、妻、父、マチルダまでは決まり。
柏木兄妹を入れると既に6人だ。
あと1人……となると【鍛冶】スキルの伸びを期待して柏木さんかな?
家族や目上の人を『配下』として扱うのは良心が咎めるが、本人に面と向かって言わない限りは失礼には当たらないだろうし、オレが調子に乗って偉そうにしなければ良いだけの話かもしれない。
残念なことに、本人に直接相対しなければ設定が出来ないらしいが、それはまぁ仕方ないところだ。
遠隔から、いきなり強化されたり、配下設定を打ち切って弱体化されたりしたら、当人達も戸惑ってしまうだろう。
今日の間引き作業を各チームが終えたら、打診することにしようか。
柏木さんには武器や防具の件でも話が有るし、ちょうど良かったかもしれない。
◆
守護者としての居室に入り、マニュアルを『空間庫』から取り出して、意識を集中する。
守護者の権能として行使可能なのは魔素の配分だけではない。
例えば、ダンジョン攻略にあたっている者の有無を知り、その現在地を知ることも可能だ。
今は……当然かもしれないが、兄1人だけみたいだな。
しかも事前に考えていたよりも、かなり攻略ペースが早い。
既に第6層も半ば過ぎまで到達している。
相性的に、フォートレスロブスターには苦戦するかもしれないと思っていたのだが、どうやらオレの取り越し苦労だったようだ。
第6層の階層ボスである劣化人狼は、これは逆の意味で相性的に兄の敵では無いだろうし、もう合流予定地点で待っておくべきだろう。
そう判断したオレは各種の設定を再確認した後【転移魔法】で、マチルダの暮らしていた部屋へと飛んだ。
のんびりとマニュアルを読みながら待つことしばし……部屋のドアがノックされた。
兄だ。
予想通り、劣化人狼は兄の【短転移】で瞬殺されたのだろう。
あれを初見で対応するのは、いかに反射神経に優れたワーウルフと言えど、まず無理な話だ。
兄を部屋に迎え入れ、ダンジョンの感想を聞いてみたが……
「この階層は美味いな。ウェポンスクロールが山ほど落ちる」
……実に兄らしい答えが返ってきた。
モンスターが強いかどうかとかは、どうやら二の次のようだ。
その後も詳しく話を聞いていくが、ミミックやドアイミテーターあたりに驚いたぐらいの話しか出てこない。
フォートレスロブスターとミラークラブの組み合わせすら、思っていた以上に楽勝だったようだ。
わざと弱い魔法でミラークラブを誘き寄せるところまではオレと同じ戦い方だが、反射された魔法を【短転移】で躱しつつミラークラブの目の前に飛び、そのまま一刀両断したという。
あとはワールウインドでバレットバーナクルの排除を【短転移】と組み合わせて極めて短時間で完了し、ウインドライトエッジの連発で一気に要塞エビ討伐……という流れだったようだ。
……オレが思っていた以上に、この兄はチートだった。
◆
その後、再度の間引き作業を行う前にオレと兄はいったん自宅に戻ったが、ド田舎ダンジョンの深層を担当している妻達は、探索を続行しているようだ。
妻達も戻って来ていたなら、まとめて話を出来たのだが、こればかりは仕方ない。
難易度は控えめらしいが広さはかなりのものらしいし、深層のモンスターは手付かずなのだから数も多そうだ。
【転移魔法】が有るわけでも無いし、行って戻って来るだけでも大変だろう。
兄には、新しく得たスキルの概要を話して、スキルの影響下におく承諾を得る。
早速、兄を『配下』として設定したところ、ゴッソリと魔力が抜けていく感覚に襲われた。
体感的には総魔力の10分の1ぐらいは消費しただろうか?
もう少し多い気もするが、取り敢えず間違いないのは全員を1回で『配下』設定しなくて良かったということだ。
兄も何やら驚いている。
力が流れ込んで来ているのが分かるのだろう。
身体能力の伸びまではオレには分からないが、少なくとも何らかの魔法スキルは扱えるぐらいまでには兄の魔力は高まっている筈だ。
【存在強奪】などと同じく【解析者】の派生スキルである【啓蒙促成】……その副産物たる【スキル熟練度解析】で兄のスキル熟練度を見てみることにした。
【刀術】のスキル熟練度がカンストしているため、スキルレベルを引き上げておいたが、その直後に【敏捷強化】もスキル化出来ることが判明。
そして予想通り【風魔法】もスキル化可能だった。
【短転移】は残念ながら熟練度自体が存在しないスキルのため伸ばせないが、オレの予想が間違っていなければ兄の魔力が伸びたことで、より効果を発揮する場面が増えることだろう。
間違いなく増えるのが使用可能回数で、これだけでも恐ろしいほど兄は強くなる。
到達距離が伸びるかどうかは、後ほど兄にテストして貰うしかないが、これも恐らくは伸びている筈だ。
今や総合的にはオレの方が強くなっていると思うのだが、正直なところ実際に兄と戦ったら勝てるイメージが全く湧かない。
それほどにタイムラグ無しで瞬時に飛べる【短転移】は厄介なスキルなのだ。
……つくづく、この兄が味方で良かった。
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