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第4章
第174話
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改めて思うが、オレの得たスキルは規格外だ。
【解析者】
同じ固有スキルと呼ばれるものの中でも、恐らくは隔絶した性能を有しているスキルなのだろう。
驚異的な発展性と、無限にも思えるほどの可能性。
スキル取得当初は成長を促進するスキルで、特異なのはスキルブックを介さないスキル習得とスキルレベルの上昇ぐらい(それでも規格外)だと思っていたが……【解析者】自体のレベルが上がってからは、それこそ段違いの性能を有するようになっていく。
派生スキル……特に【存在強奪】を得てからは、それまでが何だったのかと思わざるを得ないほどの伸び率だった。
そして今も……昨日は劣勢に次ぐ劣勢を何とか凌いで、長時間の戦闘の末ようやく撃破したバンパイアが、全く同じ個体では無いとは言え、あっという間に白い光に変わって消えていく。
時間にして30分未満。
圧勝だ。
『スキル【剣術】のレベルが上がりました』
『スキル【闇魔法】のレベルが上がりました』
『スキル【眷属強化】のレベルが上がりました』
再び倒した吸血鬼から得た力もまた、オレの糧となって能力を上昇させていく。
今度は気絶するほどの衝撃は無かった。
次回の戦闘は恐らく5分と掛かるまい。
バンパイアが落とした宝箱からアイテムを回収し、普通のダンジョン探索とは真逆に、ダンジョンを進行していく。
まだあまりモンスターもリポップしておらず、そもそも今のオレの障害になりそうなモンスターもいない。
まるで無人の野を行くような探索行だった。
どれぐらいの速度で第8層と第7層のモンスターが補充されるのかを、一応は見ておく必要が有ったからこんなことをしているわけだが、少しばかり退屈な作業なのは間違いない。
まぁ、スクロール(魔)だったり、魔法の発動体の杖や指輪、各種ドーピングアイテムなど、持ち帰って損の無いアイテムはそれなりに手に入ったことだし、全く無駄な時間というわけでは無いだろう。
これらのアイテムは兄や妻はもちろん、父や柏木兄妹、これからはマチルダの強化にも使っていくことになる。
オレが1人で出来ることには、必ず限界というものが有るだろうし……。
◆
今やモンスターがあまり障害にならないとは言っても、かなりの広さの有る階層を隈無く回るのには、やはりそれなりの時間を要した。
マチルダの使っていた居室の中にも、食料などの今の情勢下では価値が有る物が残っている。
今朝、マチルダから頼まれた通り、箱の中身は見ないようにして、箱ごと『空間庫』に収納していく。
ここに来ると、あの時マチルダから提供された硬く味気の無かったパンを思い出す。
……あ!
もしかしてパンか?
ダンジョンの中の食べ物を食べたから、ダンジョン側の存在として、ダンジョンに認定された可能性は無いだろうか?
世界各地に伝わる神話だとか、小説、映画などの創作物の中では、割りとありふれた話だ。
……いや、恐らく無いな。
それだとポーションを飲んだり、モンスターのドロップした食材アイテムを食べただけでも同様のことが起きてしまうわけで、今までに攻略されたダンジョンの守護者が皆、人間の探索者ばかりになってしまう。
……あれ?
そういえば、そのあたりどうなってるんだ?
直近だと、福島県の郡山市でも全12層のダンジョンが踏破されたというニュースを見た気がする。
その後、そのダンジョンが無くなったっていう話は聞かないし、今までも世界中で踏破されたダンジョンがある筈だが、それらも別に消滅したわけではない筈だ。
初心者御用達の低層ダンジョンなんて、それこそ何回も踏破されているらしいし……。
だとすると、踏破と守護者の打倒がイコールでは無い?
不思議に思ったオレは、マチルダの暮らしていた部屋に残されていた椅子に腰掛け、守護者のマニュアルである『本』を、隅々まで読んでみた。
昨夜と今朝も一応ザッと目を通したので、全く関係の無さそうな項目は流し読みにしているが、それでも見落としていた情報を幾つか発見していく。
そして最後の方でようやく該当する部分を見つけた。
うーん、目次が欲しいところだな。
まぁ、それは今は良いとして……。
守護者っていうヤツらは基本的に、普段はダンジョンのラスボスをやっていないらしい。
別に身代わりっていうわけじゃないんだろうが、守護者が倒されるとダンジョンが崩壊するので、守護者の劣化コピーを最終階層のボスとして配置し、守護者自身は自室に篭ってダンジョン運営をするのが、普通なのだそうだ。
守護者の報酬は、余剰魔素を自分の力に変えていくことの権利。
守護者になってすぐの腐れバンパイアや、そもそもマニュアルの内容をきちんと把握していなかったらしいマチルダだからこそ、こんなイレギュラーが立て続けに起きたのだろう。
運が良いのか、悪いのか……こればかりは判断に悩む。
まぁ……スタンピードの脅威から、楽にこの地域を守れるのだから、運が良いのかもしれないなぁ。
第6層も一応はチェックしてみようかとも思っていたが、第7層のモーザ・ドゥーやファハンあたりもまだリポップしていなかったし、行くだけ時間の無駄かもしれない。
兄達の援護の必要は恐らく無いだろうし、既に救出も終わっている頃だろうが、こちらの調査や調整の結果を伝える必要は有る。
温泉付きの別荘地の快適さは捨てがたいが、やっぱり元の家に戻りたいという人は居るだろう。
そう判断したオレは、いつものように【転移魔法】を発動しようとしたのだが、その行き先候補に信じられないところが選択可能になっているのを思いがけず発見し、しばらく悩むことになってしまった。
【解析者】
同じ固有スキルと呼ばれるものの中でも、恐らくは隔絶した性能を有しているスキルなのだろう。
驚異的な発展性と、無限にも思えるほどの可能性。
スキル取得当初は成長を促進するスキルで、特異なのはスキルブックを介さないスキル習得とスキルレベルの上昇ぐらい(それでも規格外)だと思っていたが……【解析者】自体のレベルが上がってからは、それこそ段違いの性能を有するようになっていく。
派生スキル……特に【存在強奪】を得てからは、それまでが何だったのかと思わざるを得ないほどの伸び率だった。
そして今も……昨日は劣勢に次ぐ劣勢を何とか凌いで、長時間の戦闘の末ようやく撃破したバンパイアが、全く同じ個体では無いとは言え、あっという間に白い光に変わって消えていく。
時間にして30分未満。
圧勝だ。
『スキル【剣術】のレベルが上がりました』
『スキル【闇魔法】のレベルが上がりました』
『スキル【眷属強化】のレベルが上がりました』
再び倒した吸血鬼から得た力もまた、オレの糧となって能力を上昇させていく。
今度は気絶するほどの衝撃は無かった。
次回の戦闘は恐らく5分と掛かるまい。
バンパイアが落とした宝箱からアイテムを回収し、普通のダンジョン探索とは真逆に、ダンジョンを進行していく。
まだあまりモンスターもリポップしておらず、そもそも今のオレの障害になりそうなモンスターもいない。
まるで無人の野を行くような探索行だった。
どれぐらいの速度で第8層と第7層のモンスターが補充されるのかを、一応は見ておく必要が有ったからこんなことをしているわけだが、少しばかり退屈な作業なのは間違いない。
まぁ、スクロール(魔)だったり、魔法の発動体の杖や指輪、各種ドーピングアイテムなど、持ち帰って損の無いアイテムはそれなりに手に入ったことだし、全く無駄な時間というわけでは無いだろう。
これらのアイテムは兄や妻はもちろん、父や柏木兄妹、これからはマチルダの強化にも使っていくことになる。
オレが1人で出来ることには、必ず限界というものが有るだろうし……。
◆
今やモンスターがあまり障害にならないとは言っても、かなりの広さの有る階層を隈無く回るのには、やはりそれなりの時間を要した。
マチルダの使っていた居室の中にも、食料などの今の情勢下では価値が有る物が残っている。
今朝、マチルダから頼まれた通り、箱の中身は見ないようにして、箱ごと『空間庫』に収納していく。
ここに来ると、あの時マチルダから提供された硬く味気の無かったパンを思い出す。
……あ!
もしかしてパンか?
ダンジョンの中の食べ物を食べたから、ダンジョン側の存在として、ダンジョンに認定された可能性は無いだろうか?
世界各地に伝わる神話だとか、小説、映画などの創作物の中では、割りとありふれた話だ。
……いや、恐らく無いな。
それだとポーションを飲んだり、モンスターのドロップした食材アイテムを食べただけでも同様のことが起きてしまうわけで、今までに攻略されたダンジョンの守護者が皆、人間の探索者ばかりになってしまう。
……あれ?
そういえば、そのあたりどうなってるんだ?
直近だと、福島県の郡山市でも全12層のダンジョンが踏破されたというニュースを見た気がする。
その後、そのダンジョンが無くなったっていう話は聞かないし、今までも世界中で踏破されたダンジョンがある筈だが、それらも別に消滅したわけではない筈だ。
初心者御用達の低層ダンジョンなんて、それこそ何回も踏破されているらしいし……。
だとすると、踏破と守護者の打倒がイコールでは無い?
不思議に思ったオレは、マチルダの暮らしていた部屋に残されていた椅子に腰掛け、守護者のマニュアルである『本』を、隅々まで読んでみた。
昨夜と今朝も一応ザッと目を通したので、全く関係の無さそうな項目は流し読みにしているが、それでも見落としていた情報を幾つか発見していく。
そして最後の方でようやく該当する部分を見つけた。
うーん、目次が欲しいところだな。
まぁ、それは今は良いとして……。
守護者っていうヤツらは基本的に、普段はダンジョンのラスボスをやっていないらしい。
別に身代わりっていうわけじゃないんだろうが、守護者が倒されるとダンジョンが崩壊するので、守護者の劣化コピーを最終階層のボスとして配置し、守護者自身は自室に篭ってダンジョン運営をするのが、普通なのだそうだ。
守護者の報酬は、余剰魔素を自分の力に変えていくことの権利。
守護者になってすぐの腐れバンパイアや、そもそもマニュアルの内容をきちんと把握していなかったらしいマチルダだからこそ、こんなイレギュラーが立て続けに起きたのだろう。
運が良いのか、悪いのか……こればかりは判断に悩む。
まぁ……スタンピードの脅威から、楽にこの地域を守れるのだから、運が良いのかもしれないなぁ。
第6層も一応はチェックしてみようかとも思っていたが、第7層のモーザ・ドゥーやファハンあたりもまだリポップしていなかったし、行くだけ時間の無駄かもしれない。
兄達の援護の必要は恐らく無いだろうし、既に救出も終わっている頃だろうが、こちらの調査や調整の結果を伝える必要は有る。
温泉付きの別荘地の快適さは捨てがたいが、やっぱり元の家に戻りたいという人は居るだろう。
そう判断したオレは、いつものように【転移魔法】を発動しようとしたのだが、その行き先候補に信じられないところが選択可能になっているのを思いがけず発見し、しばらく悩むことになってしまった。
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