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第1章

第24話

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 その後も妻と一緒にダンジョン内を隈無く探索していくが……

「そんなにはモンスター居ないね~」

 ズバァ!

 ザシュ!

 スパァン!!

 いや、確かにまばらに出てくるから対処はしやすいのだろうけど、妻の順応力には驚くばかりだ。
 先ほどから、オレはすっかりドロップアイテムを拾う係と化していた。
 ゴブリンすらも躊躇無く渡り合いトドメすら刺す様は圧巻の一言。
 腕力向上剤の影響も勿論あるのだろうし、小さな頃から鍛え上げた薙刀の技が十全に活かされていて、ジャイアントフライや、ゴブリン、ジャイアントリーチ、ジャイアントピルバグ、このあたりはまるで問題にしていないように見える。

 カササササササ……

 向こうの曲がり角から厄介なヤツが姿を現した。
 ジャイアントセンチピードだ。
 コイツを単独で相手どるのは、さすがにまだ早いので、コイツと戦う場合は前衛を交代し、オレが前に出る。
 オレが防御と牽制に終始し、ムカデがバランスを崩したタイミングで……声を掛ける暇すら無く妻がスッと前進し、横薙ぎにムカデの頭を切り飛ばす。
 最初こそタイミングに苦労していたが、既に安定感さえ感じさせる動きだ。
 すぐに光に包まれたジャイアントセンチピードは、ポーションの瓶を遺して消え去った。
 お、ようやく出た。

「スタミナポーションだな。亜衣、飲むか?」

「……ん~、まだ良いや。ヒデちゃん、とりあえず持っといて」

 少しだけ悩む素振りは見せたが、実際そこまで疲れているようにも見えない。
 頷いてポーションストッカーに瓶を仕舞い、探索を続けていく。
 残るは東側の探索のみだ。
 モンスターがあまり居ないのもあって、ここまで僅かに1時間ちょい。
 ほぼ散歩状態とは言え、かなり順調なペースだ。
 ただ、東側はアレの住み処だ。
 ジャイアントピルバグや、ジャイアントセンチピードの甲殻は問題にしていなかった妻の薙刀だが、ジャイアントビートルには少し分が悪いように思える。

 ◆

 しばらく東側を探索していたが、やはりジャイアントビートルは妻にとっての鬼門になった。
 単純に図体がデカくなった分だけ厚くなった、カブトムシの甲殻が硬いのだ。
 先ほどまであれほど元気だった妻が見る影もなく、疲弊している。

「あとちょっとなんだけどなぁ~」

 それでも僅かずつではあるが、手応えを感じさせる斬擊を繰り出すことに成功した妻は、本当の意味では落ち込んでいないようだ。
 ……とは言うものの、このまま妻を連れてギガントビートルの待ち構えるボス部屋に挑戦するほど無謀ではない。
 今回はいったん探索終了だ。
 さほど目ぼしい戦利品も無いが、とりあえずダン協の窓口で査定をして貰って、魔石は大半を換金、ポーション類は全て持ち帰る。

 疲れ果てた妻を、無事に実家へと送り届けたオレは、再びダンジョンに来ていた。
 まだ時刻は15時前。

 自己の鍛練のためにも、まだ家でのんびりするわけにはいかない。
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