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第1章
第17話
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次々と襲い来る虫型モンスター。
ジャイアントピルバグ、ジャイアントリーチ、ジャイアントスパイダー、ジャイアントセンチピード、ジャイアントフライ……要は巨大なダンゴムシ、ヒル、クモ、ムカデ、ハエ……ここまで見事にデカい虫ばっかりだ。
ちょっと精神を意図的にマヒさせておかないとツラい相手が、後から後から連続して押し寄せて来るのだから……だんだんと慣れては来たが、それでもキモいものはキモい。
それが正確に何匹目のモンスターを倒した時なのかは、正直なところ判然としない。
やたらとデカイ虫どもを薙ぎ倒すこと数十体、突如として……
『スキル【槍術】を自力習得しました』
耳慣れない機械の様な音声が頭に響いた。
それに気を取られて、危うくジャイアントセンチピードに巻き付かれる悪夢に見舞われるところで、何とかそれを回避する。
返す刀(鎗だが……)でムカデの頭に風穴を空けてやったのだが、何やら今までの刺突より明らかにシャープな動きが出来たように思う。
それ以前に今まで我流で振るっていた短鎗が、やたらと手に付く感覚をも覚えた。
これが【解析者】というスキルの恩恵なのは、考えるまでもないだろう。
今までにスキルを自力で習得したなどという話は、聞いたことすらないのだから。
すっかり気を良くしたオレは、なかなか減ったように見えない虫達を相手に、目に見えてキレを増した鎗の技で次々に戦果を上げていく。
ドロップアイテムは魔石が殆どだが、低位の回復ポーション、同じく解毒ポーション、スタミナポーションなども、僅かとは言え手に入れることが出来た。
特筆すべきは今まで見たことのない形状の瓶に入ったポーションだ。
これは鑑定して貰う必要がある。
データベース上に載っている物なら、ダン協(ダンジョン探索者協同組合)の簡易鑑定機で割り出せるだろう。
恐らくは俗にドーピング剤と呼ばれる、身体能力強化アイテムだとは思う。
今日の目当ての品のうちの1つだ。
自分で飲んでも良いし、誰かダンジョン未経験の人に飲んで貰ってから、連れてくるのも手だろう。
経過時間を確認すべく、ダンジョン用の高耐久型腕時計を見るが、まだ15時にもなっていない。
だいたい1時間ちょっと戦っていた計算だ。
少なくとも、いったん1層のモンスターを狩り尽くすまでは間引きを続けるべきだろうな。
ダンジョンの入り口から入って左側……西側の探索と間引きは概ね完了。
次の階層へと続く階段のある東側は後回しにして、中央付近の探索に移る。
依然として虫型のモンスターが大多数を占めるが、装備の貧弱な低位ゴブリンも混ざっているのが目につく。
ゴブリンもなぁ……慣れてないとキツい相手なんだよなぁ。
何せ人型だ。
さらに醜悪な外見。
臭くて汚いというオマケ付き。
オレ自身、ゴブリンから少しでも距離を取りたくて得物に鎗を選んだのは、兄や妻にも内緒の話だ。
中央付近の探索にも凡そ1時間。
数えきれない虫型モンスターの他には、ゴブリンが8体。スライムも8体。低位のコボルトが1体。
戦利品は魔石が中心で、ポーションちらほら。
残念ながら、ドーピング剤と思われる薬瓶はドロップせず。
しかし、恐らく何らかのマジックアイテムであろう指輪が手に入った。
いわゆる呪われたアイテムとやらで無ければ、ウチの家族の戦力底上げに有効なものになるだろう。
いよいよ残すは東側の探索のみ。
折よく【槍術】スキルを覚えられたおかげで、暗くなる前に期待以上の戦果を挙げて帰れそうだ。
ジャイアントピルバグ、ジャイアントリーチ、ジャイアントスパイダー、ジャイアントセンチピード、ジャイアントフライ……要は巨大なダンゴムシ、ヒル、クモ、ムカデ、ハエ……ここまで見事にデカい虫ばっかりだ。
ちょっと精神を意図的にマヒさせておかないとツラい相手が、後から後から連続して押し寄せて来るのだから……だんだんと慣れては来たが、それでもキモいものはキモい。
それが正確に何匹目のモンスターを倒した時なのかは、正直なところ判然としない。
やたらとデカイ虫どもを薙ぎ倒すこと数十体、突如として……
『スキル【槍術】を自力習得しました』
耳慣れない機械の様な音声が頭に響いた。
それに気を取られて、危うくジャイアントセンチピードに巻き付かれる悪夢に見舞われるところで、何とかそれを回避する。
返す刀(鎗だが……)でムカデの頭に風穴を空けてやったのだが、何やら今までの刺突より明らかにシャープな動きが出来たように思う。
それ以前に今まで我流で振るっていた短鎗が、やたらと手に付く感覚をも覚えた。
これが【解析者】というスキルの恩恵なのは、考えるまでもないだろう。
今までにスキルを自力で習得したなどという話は、聞いたことすらないのだから。
すっかり気を良くしたオレは、なかなか減ったように見えない虫達を相手に、目に見えてキレを増した鎗の技で次々に戦果を上げていく。
ドロップアイテムは魔石が殆どだが、低位の回復ポーション、同じく解毒ポーション、スタミナポーションなども、僅かとは言え手に入れることが出来た。
特筆すべきは今まで見たことのない形状の瓶に入ったポーションだ。
これは鑑定して貰う必要がある。
データベース上に載っている物なら、ダン協(ダンジョン探索者協同組合)の簡易鑑定機で割り出せるだろう。
恐らくは俗にドーピング剤と呼ばれる、身体能力強化アイテムだとは思う。
今日の目当ての品のうちの1つだ。
自分で飲んでも良いし、誰かダンジョン未経験の人に飲んで貰ってから、連れてくるのも手だろう。
経過時間を確認すべく、ダンジョン用の高耐久型腕時計を見るが、まだ15時にもなっていない。
だいたい1時間ちょっと戦っていた計算だ。
少なくとも、いったん1層のモンスターを狩り尽くすまでは間引きを続けるべきだろうな。
ダンジョンの入り口から入って左側……西側の探索と間引きは概ね完了。
次の階層へと続く階段のある東側は後回しにして、中央付近の探索に移る。
依然として虫型のモンスターが大多数を占めるが、装備の貧弱な低位ゴブリンも混ざっているのが目につく。
ゴブリンもなぁ……慣れてないとキツい相手なんだよなぁ。
何せ人型だ。
さらに醜悪な外見。
臭くて汚いというオマケ付き。
オレ自身、ゴブリンから少しでも距離を取りたくて得物に鎗を選んだのは、兄や妻にも内緒の話だ。
中央付近の探索にも凡そ1時間。
数えきれない虫型モンスターの他には、ゴブリンが8体。スライムも8体。低位のコボルトが1体。
戦利品は魔石が中心で、ポーションちらほら。
残念ながら、ドーピング剤と思われる薬瓶はドロップせず。
しかし、恐らく何らかのマジックアイテムであろう指輪が手に入った。
いわゆる呪われたアイテムとやらで無ければ、ウチの家族の戦力底上げに有効なものになるだろう。
いよいよ残すは東側の探索のみ。
折よく【槍術】スキルを覚えられたおかげで、暗くなる前に期待以上の戦果を挙げて帰れそうだ。
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