12 / 312
第1章
第12話
しおりを挟む
スキルブック自体を実際に手にしたのは、これが初めてのことだが、世間ではそれなりに出回っていて、使用する方法も知識としては備わっている。
時折、珍しいスキルがニュースになることもあったし、それなりに高額なスキルブックを芸能人などが購入する(または、させられる)番組なども何度か見たことがある。
今までに発見されたスキルブックの中には、天文学的な価格で取り引きされたものも有るという。
オレにしても、入手したスキルブックについて、売却という2文字が、頭に浮かばなかった訳ではないが、これから先の世の中……果たして金銭に今と同等の価値が担保されるという保証は有るのか甚だ疑問である。
そもそもありふれたスキルなら、売却するよりは、更なるスキルブックを得やすくするために、自己の強化に使われるのが一般的だ。
とにもかくにも、何のスキルか確かめてから考えた方が良いだろう。
えーと……たしか…………あ、そうか。
背表紙の文字を見ながら
『照会』だとか『解析』
そんな感じの単語を念じれば良いんだったかな?
案ずるより産むが易し……ここは実際にやってみるに限る。
母国語で念じれば良いらしいのだが、ちょっとだけひねって……
『アナライズ』
照会とか、英語で何て言うんだったか忘れちゃったよ、もう。
どう考えても初見の文字のハズなのに、念じた後のオレには、背表紙の文字は【解析者】と読める。
【解析者】?
そんなスキルは見たことも聞いたこともない。
もしかするとこれは、かなりのレアスキルなのだろうか?
もちろん、単にオレが知らないだけということも有り得るが……オレには解析者というワードが何とも有用そうな響きに思える。
このスキルを習得したいなら……えーと、確か普通に読むようにして本を開けば良いんだったかな。
抗いがたい誘惑に駆られて、オレは本を開き、人生初のスキル習得をしてみることにした。
【解析者】
『解析によるスキル習得を自動実行する。スキル熟練度の向上率の上昇、および技能適性の拡大や能力成長にも寄与するが、本質的には、各スキルの要諦の解析と、解析に成功した場合のスキル自動習得が、その主要能力。なお常時発動状態となる。そのスキル能力自体も成長していくスキルである』
適当に開いたページ。
そこにはやはり見たことの無い文字が並んでいたのだが、不思議なことにスキルの説明文として読める。
どうにも難解な言い回しで書いてあるのだが、まるで砂山が水を吸い込むかのように、説明の意味が……スキルの使い方が理解出来てしまう。
これは……チート能力キタコレみたいなことだろうか?
オレは、思った以上に有用に思えるスキル習得を、誰に相談することもなく、サクっと決めてしまったことに、今さらながら冷たい汗をかいたのだった。
時折、珍しいスキルがニュースになることもあったし、それなりに高額なスキルブックを芸能人などが購入する(または、させられる)番組なども何度か見たことがある。
今までに発見されたスキルブックの中には、天文学的な価格で取り引きされたものも有るという。
オレにしても、入手したスキルブックについて、売却という2文字が、頭に浮かばなかった訳ではないが、これから先の世の中……果たして金銭に今と同等の価値が担保されるという保証は有るのか甚だ疑問である。
そもそもありふれたスキルなら、売却するよりは、更なるスキルブックを得やすくするために、自己の強化に使われるのが一般的だ。
とにもかくにも、何のスキルか確かめてから考えた方が良いだろう。
えーと……たしか…………あ、そうか。
背表紙の文字を見ながら
『照会』だとか『解析』
そんな感じの単語を念じれば良いんだったかな?
案ずるより産むが易し……ここは実際にやってみるに限る。
母国語で念じれば良いらしいのだが、ちょっとだけひねって……
『アナライズ』
照会とか、英語で何て言うんだったか忘れちゃったよ、もう。
どう考えても初見の文字のハズなのに、念じた後のオレには、背表紙の文字は【解析者】と読める。
【解析者】?
そんなスキルは見たことも聞いたこともない。
もしかするとこれは、かなりのレアスキルなのだろうか?
もちろん、単にオレが知らないだけということも有り得るが……オレには解析者というワードが何とも有用そうな響きに思える。
このスキルを習得したいなら……えーと、確か普通に読むようにして本を開けば良いんだったかな。
抗いがたい誘惑に駆られて、オレは本を開き、人生初のスキル習得をしてみることにした。
【解析者】
『解析によるスキル習得を自動実行する。スキル熟練度の向上率の上昇、および技能適性の拡大や能力成長にも寄与するが、本質的には、各スキルの要諦の解析と、解析に成功した場合のスキル自動習得が、その主要能力。なお常時発動状態となる。そのスキル能力自体も成長していくスキルである』
適当に開いたページ。
そこにはやはり見たことの無い文字が並んでいたのだが、不思議なことにスキルの説明文として読める。
どうにも難解な言い回しで書いてあるのだが、まるで砂山が水を吸い込むかのように、説明の意味が……スキルの使い方が理解出来てしまう。
これは……チート能力キタコレみたいなことだろうか?
オレは、思った以上に有用に思えるスキル習得を、誰に相談することもなく、サクっと決めてしまったことに、今さらながら冷たい汗をかいたのだった。
1
お気に入りに追加
510
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜
墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。
主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。
異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……?
召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。
明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる