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007.お金は大事です。
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イメージ通りの白の石造りで赤煉瓦を構えた宿屋。
イメージ通りの白のエプロンをつけたおばちゃん。
ということはなく、宿屋では美人の若女将然とした女性が対応してくれた。
まだ30代後半くらいだろうと思うけれど、赤色の髪が印象的で揺れるおさげがなんとなく目に留まる。
家族で経営しているらしく、僕らと同い年くらいの兄妹がいるようだ。
が、現在会ったのは受付の女将さんだけ。
とりあえず、今晩の宿の確保だけして街へと出ることにした。
「一人5000コリアかぁ~。こりゃなんとかしないと、すぐお金無くなっちゃうぞ」
「はいなのです! 道具や装備も必要になりますし、お金はダンジョンポイントに変換することもできるので大切なのです!」
「へー、お金を直接ダンジョンポイント……って言いにくいからDPで良いかな? に変えられるの?」
「DPで構わないなのです! 直接変えられるです! レートは1000コリアが1DPになるなのです!」
ということは、今の全財産90000コリアをつぎ込めば90ポイントのDPに変えられるという事。
でも流石にそれは駄目だろう。
ダンジョンでお金を稼げるみたいだけれど、ダンジョンの育成は余剰金でなるべく試していきたい。
そう思っていると、キャルアが不思議そうに顔を覗かせた。
「あ、あの、気になっていたんですけど、ダンジョンダンジョン言ってますよね? それってなんなんですか?」
気にしていなかった、というより忘れていただけだけど、キャルアにはダンジョンの事は一切話していない。
ピュイが喋れる。
それだけで、僕らに目を留め話しかけてきた少女。それがキャルア。
そういう意味では打算がないので、気持ちは楽な気がする。
「ご主人様はダンジョンマスターなのです! 凄いのです! 褒めるのです!」
「あれ? 僕としか話さなかったんじゃなかったの?
嬉しそうに目を細めて言うピュイにそう言うと、ぷいとそっぽを向いた。
「ご主人様、意外といじわるなのです! いじわるなのです! ピュイは御主人様の凄いとこ言いたいなのです!」
拗ねたような口調だが、頭を撫でてやるとすぐに機嫌が直る。
扱いやすいけど可愛いなと思った。
「ダンジョンマスター……ですか。何だかよく分からないですけど、凄そうです。キャルア、凄い人とお知り合いになってしまいました!」
あれ? 一人称は私じゃなかったっけと思いつつ、
「あはは。全然、そんなことないよ。駆け出し中の駆け出し。見習い中の見習い。これから頑張っていこうかなって思ってるんだ」
「そうなのですか? じゃあ、キャルアも一緒に頑張ります!」
心を許してくれたのかな?と考え、再度少し気が楽になった気がした。
イメージ通りの白のエプロンをつけたおばちゃん。
ということはなく、宿屋では美人の若女将然とした女性が対応してくれた。
まだ30代後半くらいだろうと思うけれど、赤色の髪が印象的で揺れるおさげがなんとなく目に留まる。
家族で経営しているらしく、僕らと同い年くらいの兄妹がいるようだ。
が、現在会ったのは受付の女将さんだけ。
とりあえず、今晩の宿の確保だけして街へと出ることにした。
「一人5000コリアかぁ~。こりゃなんとかしないと、すぐお金無くなっちゃうぞ」
「はいなのです! 道具や装備も必要になりますし、お金はダンジョンポイントに変換することもできるので大切なのです!」
「へー、お金を直接ダンジョンポイント……って言いにくいからDPで良いかな? に変えられるの?」
「DPで構わないなのです! 直接変えられるです! レートは1000コリアが1DPになるなのです!」
ということは、今の全財産90000コリアをつぎ込めば90ポイントのDPに変えられるという事。
でも流石にそれは駄目だろう。
ダンジョンでお金を稼げるみたいだけれど、ダンジョンの育成は余剰金でなるべく試していきたい。
そう思っていると、キャルアが不思議そうに顔を覗かせた。
「あ、あの、気になっていたんですけど、ダンジョンダンジョン言ってますよね? それってなんなんですか?」
気にしていなかった、というより忘れていただけだけど、キャルアにはダンジョンの事は一切話していない。
ピュイが喋れる。
それだけで、僕らに目を留め話しかけてきた少女。それがキャルア。
そういう意味では打算がないので、気持ちは楽な気がする。
「ご主人様はダンジョンマスターなのです! 凄いのです! 褒めるのです!」
「あれ? 僕としか話さなかったんじゃなかったの?
嬉しそうに目を細めて言うピュイにそう言うと、ぷいとそっぽを向いた。
「ご主人様、意外といじわるなのです! いじわるなのです! ピュイは御主人様の凄いとこ言いたいなのです!」
拗ねたような口調だが、頭を撫でてやるとすぐに機嫌が直る。
扱いやすいけど可愛いなと思った。
「ダンジョンマスター……ですか。何だかよく分からないですけど、凄そうです。キャルア、凄い人とお知り合いになってしまいました!」
あれ? 一人称は私じゃなかったっけと思いつつ、
「あはは。全然、そんなことないよ。駆け出し中の駆け出し。見習い中の見習い。これから頑張っていこうかなって思ってるんだ」
「そうなのですか? じゃあ、キャルアも一緒に頑張ります!」
心を許してくれたのかな?と考え、再度少し気が楽になった気がした。
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