怪異妖怪の伝承を紹介

妖怪名:屋根叉（やねまた）

黒猫は不吉の象徴。
屋根叉もまた不吉の象徴とされる妖怪。

常にどこかしらの人家の屋根に登っており、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしている。

自分の家の屋根に屋根叉が登っているのを見たら、家の者は火箸を投げるなどして追い出そうとする。

何故そこまでして遠ざけようとするのか。

もし屋根叉が自分の家の屋根の上で寝てしまったら、その家の誰かが必ず死ぬと信じられているからだ。

屋根叉眠るか、誰の命か。

屋根叉が眠るとき、それは誰の命を奪っているのか。そういう意味を込めた言葉もある。

一つ奇妙で且つ恐ろしいのは、屋根叉の呪いで死んだ人は皆、とても幸せそうな表情で死んでいるんだという。

これでいいんだと言わんばかりの表情で。

一部の地域では、屋根叉は不幸の象徴ではなく、反対に安らぎの象徴として受け入れられているという。

屋根叉の呪いで死ぬのではなく、苦しんで死ぬ運命にある人が、屋根叉の眠りの力によって安らかに死ぬ運命に変わる。
そう考えられているからだ。

屋根叉が眠るとき、誰の命が亡くなるか。