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第11話 追放されかけてた令嬢を助ける話6
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「―アシック様、今日も来てくれたのですね!」
翌日、俺を出迎えたのは、そんな明るいユミィの声だった。
これまで不機嫌そうな態度や警戒心丸出しのユミィを見ていた俺は、そんなユミィの反応に思わず立ち止まってしまう。
まだどこか硬い印象はあるものの、その態度は明らかに軟化していた。
そんなユミィに困惑しつつも、俺は礼儀作法を重んじながら言葉を返していく。
「お嬢様、私は『分家』の人間です。『本家』の長女であるお嬢様に敬称で呼んでもらえる立場ではないと思うのですが……」
「そんな事はありません。アシック様のおかげで、私は諦めていた魔法を使う事が出来たのですから。そのような恩人を敬わぬなど、貴族の名折れです」
「お嬢様……」
まさか、一日でここまで態度が変わるなんて驚いたな。
基本的に『本家』の人間は俺達『分家』を見下してばかりだし、そういう人間にいちいち口答えして立場を悪くするのが嫌で俺達『分家』は『本家』の人間に逆らったりはしない。
当主様やリーヴがまさにその典型で、だからこそ俺達は『本家』の機嫌を損ねないようにしてきた。
それが『忌み子』とはいえ、『本家』の長女からこんな風に迎え入れられたのだ。正直に言えば困惑しているものの、ユミィが根っからの人格破綻者ではない事が分かり、安堵してもいる。
「アシック様が居なければ、私の将来は暗いままでした……こんな私ですが、これからも魔法を教えて頂けますか?」
「ええ、もちろんですよ。これからも、ユミィ様の魔法の勉強にお付き合いさせて頂きます」
「ありがとうございます! ……でも、私の勉強を手伝ってくれるのは良いのですが、アシック様も魔法を使う為に努力をされているのですよね? 私との時間を優先してしまうと、アシック様のお時間が無くなってしまうのではいなかと心配なのですが……」
そう言って、チラチラと様子を伺ってくるユミィ。
まあ、本音で言えば「魔法が使えるまでずっと時間を割いて欲しい」ってところだろうが、彼女はちゃんと俺の都合を考えてくれているようだ。「俺が呼んだらすぐに来い」とか偉そうな事ばかり言う君のお兄様に、爪の垢を煎じて飲ませてやりたいくらいだよ。
「ご心配には及びません。私もユミィ様に勉強を教える傍ら、基礎的な復習が出来ていますから。とはいえ、毎日というわけに参りませんので、私の都合とユミィ様の都合に合わせて頂ければ大丈夫ですよ」
「そ、そうですか……。あ……い、いえ、分かりました。私は子供ではありませんし、アシック様の都合に合わせて頂いてもちゃんと待てます」
露骨に肩を落としていたユミィはそう言って虚勢を張ってきた。年相応なそんな彼女の反応が微笑ましく、俺はつい笑みを浮かべてしまう。
「な、何ですか?」
「いえ、失礼いたしました。では、今日は水の魔法を勉強しましょうか」
「はい! よろしくお願いします!」
そうして、他の『本家』の人間とは違い、素直に応じてくれる彼女との授業が今日も始まった。
翌日、俺を出迎えたのは、そんな明るいユミィの声だった。
これまで不機嫌そうな態度や警戒心丸出しのユミィを見ていた俺は、そんなユミィの反応に思わず立ち止まってしまう。
まだどこか硬い印象はあるものの、その態度は明らかに軟化していた。
そんなユミィに困惑しつつも、俺は礼儀作法を重んじながら言葉を返していく。
「お嬢様、私は『分家』の人間です。『本家』の長女であるお嬢様に敬称で呼んでもらえる立場ではないと思うのですが……」
「そんな事はありません。アシック様のおかげで、私は諦めていた魔法を使う事が出来たのですから。そのような恩人を敬わぬなど、貴族の名折れです」
「お嬢様……」
まさか、一日でここまで態度が変わるなんて驚いたな。
基本的に『本家』の人間は俺達『分家』を見下してばかりだし、そういう人間にいちいち口答えして立場を悪くするのが嫌で俺達『分家』は『本家』の人間に逆らったりはしない。
当主様やリーヴがまさにその典型で、だからこそ俺達は『本家』の機嫌を損ねないようにしてきた。
それが『忌み子』とはいえ、『本家』の長女からこんな風に迎え入れられたのだ。正直に言えば困惑しているものの、ユミィが根っからの人格破綻者ではない事が分かり、安堵してもいる。
「アシック様が居なければ、私の将来は暗いままでした……こんな私ですが、これからも魔法を教えて頂けますか?」
「ええ、もちろんですよ。これからも、ユミィ様の魔法の勉強にお付き合いさせて頂きます」
「ありがとうございます! ……でも、私の勉強を手伝ってくれるのは良いのですが、アシック様も魔法を使う為に努力をされているのですよね? 私との時間を優先してしまうと、アシック様のお時間が無くなってしまうのではいなかと心配なのですが……」
そう言って、チラチラと様子を伺ってくるユミィ。
まあ、本音で言えば「魔法が使えるまでずっと時間を割いて欲しい」ってところだろうが、彼女はちゃんと俺の都合を考えてくれているようだ。「俺が呼んだらすぐに来い」とか偉そうな事ばかり言う君のお兄様に、爪の垢を煎じて飲ませてやりたいくらいだよ。
「ご心配には及びません。私もユミィ様に勉強を教える傍ら、基礎的な復習が出来ていますから。とはいえ、毎日というわけに参りませんので、私の都合とユミィ様の都合に合わせて頂ければ大丈夫ですよ」
「そ、そうですか……。あ……い、いえ、分かりました。私は子供ではありませんし、アシック様の都合に合わせて頂いてもちゃんと待てます」
露骨に肩を落としていたユミィはそう言って虚勢を張ってきた。年相応なそんな彼女の反応が微笑ましく、俺はつい笑みを浮かべてしまう。
「な、何ですか?」
「いえ、失礼いたしました。では、今日は水の魔法を勉強しましょうか」
「はい! よろしくお願いします!」
そうして、他の『本家』の人間とは違い、素直に応じてくれる彼女との授業が今日も始まった。
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